NVIDIA が、カリフォルニア州サンノゼで開催しているGPU Technology Conference(GTC)にて、フォーミュラE 選手権の前座レースとして開催される予定のロボットカーレース「ロボレース」全車輌に、AI エンジン「DRIVE PX 2」を供給すると発表しました。「DRIVE PX 2」は自動運転用のAIを搭載し、ディープラーニングを利用した走路演算が可能な人工知能ユニットです。
しかし、秋に始まるとなれば、そろそろレースのレギュレーションや走行距離、そして参戦を計画しているチームのエンジニアとしては、肝心の AI がどんなものになるのかを知りたくなる時期です。そして今日、サンノゼで開催中の GTC で NVIDIA が、ロボレースの標準 AI エンジンに『DRIVE PX 2』を供給すると発表しました。
1月の CES 2016 で発表された『DRIVE PX 2』は、Tegra チップおよび Pascal 世代 GPU を各2基ずつ搭載する自動運転用 AI エンジンです。1秒間に24兆回の演算が可能で、「Macbook Pro 150台分」、「弁当箱サイズのスーパーコンピューター」などの異名をとります。自動運転のチューニングには開発キットの『DRIVEWORKS』が提供され、その走り方をプログラミング可能。ディープラーニングによってさらに鍛えることができるとされます。
ロボレースは現在のところ10チーム20台が参戦する計画で、各チームには全く同じ車輌を使用するワンメイクレースとなります。マシン的にはイコールコンディションとなるため、やはりドライバーの代わりにマシンを操縦する AI のチューニングが重要です。たとえば攻撃的に走るのか、ペースを抑えてバッテリーを温存するのかといった戦略の教え込み具合が、勝敗の分かれ目となりそうです。
ロボレースが人間顔負けの白熱バトルになるのか、恐ろしくハイスピードなムカデ競争になるのかは、この秋のシリーズ開幕まではわかりません。ただ、もしもオンボード映像やテレメトリーデータを使ったディープラーニングが可能なら、たとえばジル・ヴィルヌーブやアイルトン・セナといった亡き名ドライバーたちのドライビングを AI に 叩き込み、その走りをどこまで再現できるのかといったことも、可能なら一度見てみたいものです。