イギリスのロンドンにて現地4月6日、ファーウェイは同社のプレミアムモデル「Pシリーズ」の最新モデル「Huawei P9」と「Huawei P9 Plus」を発表した。ドイツのカメラメーカー「ライカ」との協業モデルで、デュアルレンズ&デュアルセンサーのカメラ特化スマホに仕上がっている。
発表会会場はロンドン中心部にあるバッターシーパーク内のイベント会場「バッターシー・エボリューション」。4000人規模のカンファレンスが行なえる会場で、関係者によると、今回の発表会はファーウェイの中でも最大クラスで、プレスや関係者も含め、約1000人を招待したという。
発表会会場
プレゼンテーションには同社Consumer Business Group CEOのリチャード・ユー氏が登壇。Pシリーズは端末発表会を、「Huawei P6」と「Huawei P8」を今回と同じくロンドン、「Huawei P7」はパリで開催。リチャード氏はPシリーズを「Best Craftsmanship & Camera in Smartphone」であり、同社のプレミアムモデルとして位置づけられる、重要なシリーズであることを強調した。
P9を持ち登壇するリチャード・ユー氏
この「Best Craftsmanship & Camera in Smartphone」という思想のもと、登場したのが、「Huawei P9」と「Huawei P9 Plus」。この2つのモデルの特徴は、「Art of Craftsmanship」、「Art of Photography」、「Art of Technology」の3つ。それぞれ芸術的に進化させたという自信の製品だ。
P9およびP9 Plusを特徴づける3つのポイント。開発にはライカが参加している
「Art of Craftsmanshipについては、デザイン面をアピール。フルメタルボディーでエッジやコーナーの丁寧に加工し、フロントのガラス部分とメタル素材のつなぎ目がわからないシームレスな仕上げ。厚さは6.9ミリ。カメラ部分の突起もなく、Huawei P9は左右のベゼルが1.7ミリと狭額縁なため、5.2インチながら持ちやすいサイズとなっている。
画面左右のベゼルはそれぞれ1.7mmの挟額縁
本体カラーもHuawei P9は「Ceramic White」、「Haze Gold」、「Rose Gold」、「Titanium Grey」、「Mystic Silver」、「Prestige Gold」と全部で6種類。Huawei P9 Plusは「Ceramic White」、「Rose Gold」、「Haze Gold」、「Quartz Grey」の4色をラインナップされカラフルな印象だ。
また各色のうち「Rose Gold」、「Titanium Grey」、「Mystic Silver」、「Prestige Gold」の4つは、背面がサンドブラスト仕上げで、ざらつきのある感触となっている。
ライカと共同開発のカメラ機能
「Huawei P9」と「Huawei P9 Plus」のもっとも重要なポイントとなるのが、カメラ機能。今回はライカと共同開発したカメラを搭載。発表会にはライカCEOのオリバー・カルトナー氏も登壇。ライカのカメラに対しての思想を説明し、今回の「Huawei P9」と「Huawei P9 Plus」がスマートフォン用のカメラではあるものの、ライカとして自身をもって提供できる製品であると説明した。
P9搭載のカメラについて説明するライカCEOのオリバー・カルトナー氏
ライカの技術が特に注がれているのが、レンズ。ライカのレンズとして「SUMMARIT H 1:2.2/27 ASPH」の名称が付けられている。「SUMMARIT H」というモデルナンバーはライカとしては初めての製品となるが、現地説明員によると、モバイル向けのモデルナンバーで、「Huawei」のHという意味も込められているという。
P9のカメラには明るい単焦点広角レンズを採用
Huawei P9とHuawei P9 Plusは、このSUMMARIT H 1:2.2/27 ASPHレンズを2基搭載したデュアルレンズ仕様。さらにイメージセンサーも2基搭載しており片方をRGB向け、片方をモノクローム用として活用するとのこと。
カラー用とモノクロ用に2基のイメージセンサーを搭載する
2つのセンサーサイズは同じだが、モノクロのほうはカラー情報を扱わないので、RGB用のセンサーとくらべて明るさなどの情報が3倍扱えるとのこと。この2つのセンサーがキャッチしたデータを合成して1枚の写真として書き出すため、一般的なスマホのカメラよりも、暗いシーンや逆光などでも、しっかりとした明るさと色合いが出せるという。
P9とiPhone 6Sのダイナミックレンジ比較作例
さらに2つのレンズはオートフォーカスにも活用。専用の被写界深度計算用のソフトウェアエンジンを搭載し、被写体の位置を計算したフォーカスが可能。従来のレーザーAFとコントラストAFも搭載しているので、3つのオートフォーカス機能を使い、ピントを素早く合わせられる。
2基のレンズユニットをAFに活用
さらに、被写界深度フォーカス機能を使って、カメラの絞りを変えるのと同じ機能が利用可能。絞りを開くことで背景にボケを活かした作品に仕上げたり、逆に絞りを閉じて全体的にピントのあった作品にするなど、カメラ好きの満足できるようなマニュアル操作機能も装備している。
写真をフィルムの風合いに仕上げるカラーモードも搭載
そのほか、メニューのデザインやシャッター音などもライカ製のカメラをモチーフにし、「Standard」、「Vivid」、「Smooth」とライカのフィルムカメラ風に仕上げるカメラモードも用意されている。
最新CPU「Kirin 955」を搭載
Huawei P9とHuawei P9 Plusに搭載されているCPUは、同社製の最新モデル「Kirin 955」で、2.5GHz(A72)×4コア+1.8GHz(A53)×4コアのオクタコア仕様。さらにDSPといった今回搭載された「デュアルレンズ&デュアルセンサー」をコントロールする機能も内蔵されている。
また、Pシリーズとしては初めて指紋認証センサーを搭載。センサーは本体背面に配置されており。同社の指紋認証センサーとしては最新の第4世代のシステムを採用。指紋の溝の高さまで検知することで、より素早く正確な認証が可能とのこと。
最新世代の指紋認証センサーを装備
通信機能に関して、対応バンドなどの詳細はなかったが、4Gは全部で18のバンドに対応しており、2Gから4Gまで合わせれば、世界217ヵ国、1334のキャリアに対応できるという。SIMスロットは、トレー式でHuawei P9とHuawei P9 Plus共にデュアルSIM仕様。ただし片方はmicroSDとの共用となっている。
デュアルSIM仕様だが、片方のスロットはmicroSDと共用
さらに長期間使用していてもファイルアクセス時のレスポンスが落ちないように最適化する、新しいファイルシステムを採用。これにより、従来モデルと比べて20%もレスポンスが改善できる。
Huawei P9 Plusオリジナル機能
Huawei P9とHuawei P9 Plusは機能的にはほぼ同じだが、大きく異なる点が3つある。ひとつはディスプレーサイズで、Huawei P9が5.2インチに対して、Huawei P9 Plusは5.5インチと一回り大きい。
さらにディスプレーは感圧式の「プレスタッチディスプレー」となっており、2段階の押し込む操作に対応。アイコンからメニューを呼び出したり、写真閲覧時にクローズアップするといった使い方ができる。
2段階の感圧に対応する「プレスタッチディスプレー」
カメラ機能もメインのリアカメラは同じだがフロントカメラに違いがあり、Huawei P9 PlusにはF1.9と明るいレンズを採用し、オートフォーカス機能も装備とセルフィー向けに性能がアップしている。
P9 PlusではP9よりも大口径のレンズを採用している
またエンターテイメント向けとして、Huawei P9 Plusは本体上下にスピーカーを装備し、横位置での利用時にはステレオ感のある音響で楽しめる。さらに、本体上部には赤外線センサーを搭載し、赤外線リモコン機能が利用可能。テレビやエアコンなどのリモコン信号を学習させて、Huawei P9 PlusからAV機器や家電がコントロールできるようになる。
赤外線リモコン機能を搭載
著名なカメラマンやハリウッドスターも登壇
発表会後半では、カメラ機能に特化したモデルということで、ナショナルジオグラフィックのDavid Guttenfelder氏やフリーランス・スキーフォトグラファーのReuben Krabbe氏、トラベラーのZhu Yinghao氏の3人のフォトグラファーも登壇。ファーウェイHuawei P9のカメラを実際に使ってみた感想を伝えた。
P9内蔵カメラについて語るMary McCartney氏
また、Huawei P9のグローバルプロモーションには、ハリウッドスターのHenry CavillとScarlett Johanssonが起用されることが発表された。Scarlett Johanssonは発表会会場には来られず、ビデオメッセージでの出演となったが、Henry Cavillは実際に会場に登場。英国出身で、現在公開中の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」にも出演中ということもあり、会場は大いに盛り上がった。
プロモーションキャラクターにはHenry CavillとScarlett Johanssonを起用
日本での登場は未定
発表会では価格と発売時期も発表されており、4月16日に世界各国で発売予定。価格はHuawei P9の3GB/32GBモデルが599ユーロ、4GB+64GBモデルが649ユーロ。Huawei P9 Plusが749ユーロとなっている。
ローンチの市場に日本は含まれていない
ただしどちらのモデルも、4月16日の出荷国リストに日本の記載はなく、発売時期や価格は不明となっている。
発表会終了後は、ハンズオン会場にて実機を展示。実機のレポートについては別途お送りする。