エーミール「そうか、そうか、あれから何年も経ったんだな…」
エーミール「はは、まだまだ。こんな標本じゃ僕は満足できないねぇw」
僕「君と同じヤママユガの標本だよ?」
エーミール「たしかにヤママユガだけど詰めが甘すぎだ。羽が左右対称角度がずれてるよ、子供の頃僕が成功させた『あれ』のほうがまだマシさ」
エーミール「君は僕のヤママユガをバラバラにしてからしばらくして言ったろう?僕の納得できるヤママユガの標本を作って弁償するってさ」
僕「もちろんさ、あの時のあの台詞、今でも心に染み付いてるからね」
エーミール「まあそうなってくれるよう望んで言ったからね…ふふふ」
僕「わかってるって!かならず君が喜んでくれるヤママユガを完成させてみせるよ!」
エーミール「ソレは楽しみだwもうそう言って数年経ってるけどねw」
僕「ぐぬぬぬ」
エーミール「さて、今日はもう遅い、よかったら夕食でも食べていかないかい?」
僕「え、いいの?」
僕「あ、ありがとう。それじゃあお言葉に甘えて」
エーミール「近いうちにもうちょっと上手く作成できるよう僕が技術を伝授してやるよ」
僕「ありがたいけどお手柔らかに頼むよ。君は本当にきびしいからなぁ…」
エーミール「まあ教えたところで君が僕に追いつけるはずなんてないんだけどねw」
僕「ぐぬぬぬ」
エーミール「ふふ、さあ、夕食が冷めないうちにいただこう」
僕「え…じゃあ今度こそ!」
エーミール「誰が納得したと言ったんだい?以前より多少マシになっただけだよ。こんなんじゃ誰もほしがらないし売り物にすりゃならないよ」
僕「くっそう…今回もだめか…もうあきらめたくなってしまったよ」
エーミール「そうか、そうか、つまり君は(ry」
僕「わかった!わかったからそれ言うのやめて!がんばる!がんばりますってば!」
エーミール「ふふ、その意気だw」
僕「ねえ、ここの割れてしまった羽の部分なんだけど…」
エーミール「ああ、それはね…」
・・・・・・
・・・・
・・
エーミール「ほう…やるようになったものだ」
僕「どんなもんだい?これなら様にになってるだろ?君ほどじゃないけど」
エーミール「ふ、ふん!///ま、まあ君なりには上達しているようだね、でもまだまださ。あの時異常のヤママユガの標本を君に弁償してもらうまで僕は君を逃がさないよ?」
僕「そ、そっか…わかったよ…一度失った信用を取り戻すことは大変だからね…がんばる…!」
エーミール「別に僕と君の関係は信用するしない以前のものだった気もするけどねw」
僕「ひっど!」
エーミール「ふふ、さあ今日はもう遅い、親も心配するだろうからまた続きは後日にしよう」
エーミール「本当ぼろぼろにしてくれたものだよw僕の最高傑作を…」
エーミール「だけど…僕は…」
・・・・・・・
・・・・
・・・
僕「見事なヤママユガでしょ?徹夜で完成させたんだよ?」
エーミール「すごいな…初めて僕が完成させたもの以上の出来だ…認めざるおえない…」
僕「本当!?やった…!やっと納得してくれた!受け取ってよ!そのヤママユガ!」
エーミール「いいのかい?こんな凄い出来の物を僕に…」
僕「だって僕は君の宝物を壊してしまったんだ、これはその償いさ。今までそのために頑張って来たんだから貰ってよ」
エーミール「そうか…わかったよ。これであの時の貸し借りは無しだ…」
僕「うん!本当にごめんね…」
エーミール「謝る必要なんてもうないさ。君はこうやって対価以上の物を僕に心から詫び、返してくれた。それだけで十分だよ」
僕「エーミール…」
エーミール「だから…」
僕「ん?」
エーミール「いいや。なんでもない。今までありがとう」
入手が非常に難しいクジャクヤママユを時間をかけては標本にして彼に送り続けた。
そして初めてエーミールは僕の作品を認めてくれた。
エーミールは普段の不気味な笑みではなく、曇りの無い笑顔で僕にお礼を言ったんだ。
しかし、時代の流れとは酷なものだ。僕が何年もかけて彼にやっとプレゼントした標本も時代の流れで価値は落ちていた。
そう、今の子供たちは蛾の標本集めではなく、カブトムシの標本集めに移行していたからだ。
そしてしばらくしてエーミールから連絡があり家に向かった。
エーミール「やあ、久しぶりだね、君に見てほしいものがどうしてもあって」
僕「え?何?また何か標本を作ったの?」
エーミール「その通りさほら見たまえ」
僕「うわ!これオオクワガタの標本じゃねーか!まさか幼虫から育てのか!?」
エーミール「馬鹿を言っちゃいけないよw山で捕まえてきたのさw」
僕「すっげえ…売れば10万以上になるんじゃね…?」
エーミール「生きていればね?wまた君の驚く顔が見れてうれしいよw」
エーミール「そりゃどうもwさあ、熱いだろう?アイスティーでも持ってくるから少し待っていてくれたまえ」
僕「お、悪いね、いつも気を利かせてくれてありがとう!」
エーミール「ふん//褒めてもなにもでないからな?取って来る」タッタッタッ
エーミール「まったく、もう少し上品に飲めよ君は…」
僕「いやぁ、やっぱ夏に飲む飲み物ってついガブガブいっちゃってさ…ってあれ…なんか体がふらつくんだけど」
エーミール「え?大丈夫かい?まさか熱射病じゃ…とりあえず水分をたくさん取るためにこのアイスティーをたくさん飲むんだ!」
僕「すまん…恩にきるわ…」
そして気づけば夕方になっておりエーミールのベッドの上で横になっていた
水枕が添えられていた
エーミール「目が覚めたか…」
僕「あれ、エーミール…僕は一体」
エーミール「どうやら室温が高すぎて熱射病になったらしい、いきなり倒れて驚いたよ」
僕「君が介抱してくれたんだね。ありがとう」
エーミール「別にそんなことはどうでもいいさ…それより困ったことが起こったよ…」
僕「何?」
僕「あれ!?オオクワガタの標本が胴体真っ二つになってる上に羽がもげてる!?」
エーミール「誰がやったとおもう?」
僕「気を失っていたから解らないよ…」
エーミール「そう、君が気を失って倒れた際に君の後頭部が僕のオオクワガタの標本にもろに命中したのさ…」
僕「うそ…?」
僕「監視カメラ!?趣味悪!」
エーミール「どっかの誰かさんが人の蛾を盗んだときから用心としてつけたんだよ」
僕「何も言いかえせん…」
エーミール「ふふ、で、どうしてくれる?」
僕「え…?」
僕「え…じゃあ僕はかなりやばいことをしたんじゃ…」
エーミール「やばいね」
僕「でもわざとじゃないし」
エーミール「そうかそうか、つまり君は(ゲス顔」
僕「だからそれやめ!ったく、不可抗力とはいえたしかに壊した僕に責任がある…わかったよ…なんでもするから…」
僕「そ、それなら僕がこれ以上のオオクワガタを捕まえて標本にして君にプレゼントしてやる!」
エーミール「僕のより大きいオオクワガタなんて無理だよ。なかなか居ないと思うよ?ホームセンターで売ってるようなものじゃないんだからねぇ」
僕「できらぁ!」
僕「え?これより大きいオオクワガタを…?」
エーミール「ほほぅ?君はそこでふざけるかね」
僕「じょ、冗談だよわかったよ。善処する!」
僕「くっそ、ノコとかカナブンしかいねぇ…うわ!スズメバチだ!」
僕「でもまあ僕が壊してしまったことに変わりは無い…がんばらないと…」
・・・・・・・
・・・・・
・・・
一緒に飼育しながら雑談したり彼の家で食事をご馳走になったりした。
しかしどうあがいても僕はあれ以上の大きさのオオクワガタを捕まえることが出来なかったのだ。
エーミール「やあ、もうギブアップかい?」
僕「ぐっ…どうしても君のオオクワガタより大きい固体が見つからないんだ…」
エーミール「そうか…(無理も無い…だって僕のクワガタは実はオオクワガタではなくギラファノコギリクワガタだった
コメント一覧
-
- 2016年04月08日 22:20
- 元ネタのチョイスがシブすぎる
そして唐突のスーパー食いしん坊w
-
- 2016年04月08日 22:25
- ギラファとオオクワ見間違えるとか僕くんの目節穴過ぎませんかね……
-
- 2016年04月08日 22:27
- こんな結末になってたらいいな……
原作のままだったら多分もうエーミールに軽蔑されっぱなしだろうが
-
- 2016年04月08日 22:31
- SSによくあるwや///という表現が元ネタとそぐわない気がする
読んでて違和感しかなかった、あと誤字も気になった
ただ、あの話のその後を考えるという発想は素直に良いと思った
-
- 2016年04月08日 22:37
- ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」か
-
- 2016年04月08日 22:43
- できらぁ!
俺なら同じヤママユガでもっとすごい標本を作ってやらぁ!
-
- 2016年04月08日 22:45
- 小学校の時だったか?懐かしいなあ。
当時の想いすら鮮明に思い出せるあの作品は、やっぱり名作と言えるんだろうな。
-
- 2016年04月08日 22:47
- 途中のアイスティーで例のアレかと思ったがそんなことはなかった
-
- 2016年04月08日 23:01
- 淫夢とスーパーくいしん坊で顔中草まみれや
-
- 2016年04月08日 23:50
- 中学の時、教科書で読んだ…
懐かしい
良かったよ(^^)
-
- 2016年04月08日 23:56
- エーミールを女顔の男の娘と思うのと実は女の子だった元気ッ子と思うのはどっちが業が深いのだろう…
まあぶっちゃけどっちもいけるしどっちも萌えるが。
-
- 2016年04月09日 00:01
- ホモスレかと思った
多分疲れてるわ。寝よう
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
LINE読者登録QRコード
スポンサードリンク
実際俺もかなり印象に残ってるし
実際にこう続けたら蛇足だろうけど二次創作としてはすごくよかったと思う