4月6日(日)、『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR“10Ks!”』初日(ナゴヤドーム)を見た。4月1日に3人体制になったばかりのKAT-TUNの初ライブだ。

テレビでは3人だけの出演や歌う姿は見ていたが、幕が開くまで「ライブステージに3人が並ぶ絵」は想像できなかった。もしかしたら淋しさ、物足りなさを感じるのではないかという不安があった。しかし、いったん始まれば、淋しさを感じる余裕すらなく、聞きたい、見たい、記憶にとどめたいものが次々提示され、ひたすら彼らに釘付けになり、神経を集中させ目と耳を凝らした。

また、今回ステージに登場したのは、シンプルにKAT-TUNの3人だけ、ドームという大きな箱だが、ジャニーズJr.やバックダンサーはつかなかった。それでも、人数が減っての違和感、ショックは思ったほどなかった。あらためて「少ない」と感じたのは、「Peaceful days」でメンバーの頭文字のスペル「K-A-T-T-U-N」を連呼する時と、恒例のメンバーが手をつないで「We are KAT-TUN」と叫ぶ時のみだった。

KAT-TUNのライブは、毎回コンセプトをもとに趣向を凝らし、あっと驚くような新しい演出や試みを盛り込み“魅せる”要素が強い。今回のライブは10周年をテーマに、“10Ks!”とThanks!をかけたり、ペンライトが「銃(じゅう)」といった遊び心はあるが、それ以外のテーマは特に設けずデビュー10周年目の3月22日にリリースしたベストアルバム「KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY BEST “10Ks!”」をベースにしている。今回は「6人、5人、4人、3人という人数に関係なく、とにかくKAT-TUN の10周年をみんなで純粋に楽しみお祝いするライブにしたい」と、亀梨和也が話していたように、今までの足跡・ヒストリーとしっかりと対峙して総ざらいする部分が強いライブになった。

そして、数曲を除くほとんどのシングルと、ファン投票で選ばれた「Hyphen Selection」15曲全てを網羅した全40曲を披露した。6人で活動していた時期、5人で活動していた時期、4人で活動していた時期を織り交ぜた過去への時間旅行、そして、今、これからを予感させる3人の姿。公演時間はダブルアンコールを含めて約3時間弱(2時間55分位)。

■『海賊帆』のセット、広いドームを3人で使いこなす

ステージ構成は船がモチーフになっている。メインステージにデビュー前のライブ『海賊帆』を思わせる船と、これまでのツアーロゴ。メインステージから中央に花道がありセンターステージにつながる。センターステージとバックステージの間に花道はなく、後方はバックステージと一塁側、三塁側に、変則的な形の小さなステージがあり、近くで見るとわかりにくいが天井席から見ると『錨』のカタチが浮き上がるそうだ。暗闇に「銃」のペンライトが放つ光は赤い光が揺れる様子も美しく、細かいところまでこだわっているのがわかる。

3人は、メインステージ、センターステージ、バックステージの他、2ヵ所のリフター、トロッコ、フロート、3つに分割できるムービングステージをフルに使い、いつも以上に動き、ほぼ休まず踊り歌う。ナゴヤドームは3人にとって広すぎることはなく、むしろ小さく感じたほどだ。また、3人になって曲ごとにセンターが変わるのも新鮮だった。

■伝説の『TEN-G』など懐かしいキャラが復活

1曲目はライブ『海賊帆』と同様、『GOLD』で幕を開け、会場は熱気と絶叫に包まれた。デビュー前、不良っぽいオラオラ時代の頃の曲だ。亀梨がMCでも言及したが、今後3人のライブがあっても1曲目が『GOLD』で始まることはもうないだろう。それだけレアな、お祭りライブであることがわかる。

ほかにも、長く応援しているハイフンにとって懐かしくてたまらない宝物たちが随所に、さりげなくちりばめられていた。例えば、デビュー前のライブや2008年の『QUEEN OF PIRATES』にも登場していた『TEN-G(テン・グー)』キャラが復活。TEN-Gとは、「メンバーが天狗になってしまったことを歌う全米で大ヒットしたKAT-TUNの弟分という設定とWikipediaに書いてある」と中丸が説明。天狗のお面はボロボロになった当時のものをビニールテープで補修して使用しているそうで、物もちがいい。

また、『NO MORE PAIИ(ノー モア ペイン)WORLD TOUR 2010年』以来に登場したドラキュラ姿の亀梨の犬歯の治療を担当する白衣姿の中丸クリニック中丸院長、『KAT-TUN LIVE TOUR 2012 CHAIN』の時にもあった客席のファンの頭上を弾みながら飛ぶバルーンなど、記憶の奥にしまいこんでいた想い出が、数年の時を経て再会を喜ぶ笑顔と共によみがえった。

曲も、ライブであまり歌われていなかった曲、久しぶりに聞く曲もいくつかあり、脱退したメンバーが歌詞を書いていたために書き変えられたりしていた歌詞も、アルバム“10Ks!”同様、リリース当時のオリジナルで披露された。

懐かしいあの頃へ誘うVTRも効果的に使われている。オープニングには過去のライブ映像、終盤には1983年~2015年の3人の写真が映し出されるが、赤ちゃんの頃から一年毎に成長し現在にいたる様子は頼もしさと懐かしさと、順風満帆ではなく荒波に挑み続けてきた彼らの道のりを思い、涙腺がゆるんだ人も多かったようだ。

■会場全体が笑いに包まれた中丸のHHB芸

それでも、全体的には前向きで明るい曲、KAT-TUNらしい『攻め』の曲が多かった。 テレビのイメージ、見た目からKAT-TUNというグループに明るいイメージは薄いかもしれないが、KAT-TUNを見ると一人ひとりが明るく面白い要素をもっているのがわかる。

なかでも、一人でも「笑い」をつくれるのが中丸だ。ツアーグッズを紹介する某テレビショッピングをパロディ化した『カトウネット高丸』のキャラも定着化。得意のHBB(ヒューマンビートボックス)ではライブのたびに新しい技を増やしてきたが、今回も2015年の“quarter"ライブ同様、字幕の「心の声」と連動するスタイルに、好評だった「ぺぺ」が「ドリフターズの加トちゃんぺ」のパロディ「雄ちゃんぺぺ」としてさらにパワーアップ。関係者やメンバーから「長い」と言われているHBBだが、音と映像と文字で誰もが楽しめるエンターテインメントになった。

※後編に続く
『KAT-TUN 10 TH ANNIVERSARY LIVE TOUR“10Ks!”』初日ナゴヤドーム レポート(ネタバレあり)後編

(ライター:佐藤ジェニー)

facebook このエントリーをはてなブックマークに追加  
ジャニーズブログランキング 人気ブログランキング