ありがとうシルル紀。袋に子どもを詰めて凧のように浮かせていた古代生物あらわる
事実はジブリアニメより奇なりぃぃぃ!!
SF映画にしてもそうですし、ジブリアニメにしてもそうですけどね、人間の想像力ってすごいなって思うんです。だってもう最近じゃ現実世界でキレイな光景とか現象見たら、「うわーこれ映画みたい!」「これジブリみたい!」って言っちゃうじゃないですか。しかもそれが褒め言葉になってるじゃないですか。でもそれってちょっと悲しいですよね。
っと思ってたら古代怪物来たぁぁぁ!!
ぁぁぁ...。
4億3000万年前に実際に地球上を動いていたというこの古代生物。色は分析のために付けられたもので、ここまでサイケデリックじゃなかったとは思います。が! 驚くべきはその子育てポリシー。子どもを小さな袋に入れて、ヒモみたいな組織で自分の身体にくっつけ、凧のように子どもを自分の周りに漂わせながら移動するというもの。過保護なのか子どもで遊んでるのかわかりませんっ。
学名はAquilonifer spinosusですが、子どもを凧のように引き連れるところから研究者たちは通称「カイト・ランナー(凧をあげる走者)」と呼んでいるそうです。ちなみに「カイト・ランナー」は日本語版も出版されたベストセラー小説のタイトルにも、ちなんでいます。
詳細は科学誌Proceedings of the National Academy of Sciencesで読むことができます。
甲殻類は通常、卵や胚を手足にくっつけた状態で保護したり、特別な袋に閉じ込めることで保護します。しかしカイト・ランナーさんの守り方はちょっと科学者も見たことがないもののようです。イェール大学の古生物学者であり論文の主執筆者Derek Briggsさんは発表の中で「体の表面上にヒモで子どもを付ける生き物は、今日まったく知られていない」と述べています。
このカイト・ランナーさん、たった1つしか化石が残っていないんです。成長した状態で1センチちょっとしかないとのこと。眼が無く、盾のような構造で頭部が覆われています。
眼が無く、盾のような構造で頭部が覆われている...!
いちいち胸を熱くさせますよ、この古代生物。
我々が(中2だった頃)夢に描いていた古代生物を地で行っています。いやまぁ実際に古代生物なんですけど。海綿動物、腕足動物、軟体動物たちと一緒にシルル紀に現在のイギリスのあたりの海底で生息していたと考えられます。
この化石は10体の子どもも含まれており、それぞれが異なる発達段階にあるとのこと。もちろん、それぞれが1本ずつのヒモで大人の身体にくっついているんですね。
科学者たちは寄生生物だった可能性も検討中とのこと。このヒモでくっついた袋の中に他の生き物を捉えて栄養を吸っていたということですね。しかし構造的には特に他の生命から栄養を吸い取るのに適しているとは見えないことから、この袋の中で子どもを育てていたというのが一番現実的な説明と考えられているようです。
親が動き回ると、子どもたちはそれにくっついたデコレーションか凧のように見えたことでしょう。これは今日存在するよりもっと多様な育児方法を節足動物が進化させていたことを示しています。おそらくこの方法はそれほど成功しなかったために絶滅してしまったのでしょう。
と語るBriggsさん。
海底なので実際に凧のようにフワフワ浮いていたんでしょうね。もし映画「スターシップ・トゥルーパーズ」の続編が作られたら出演しそうな気がします。
source: PNAS
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
- カイト・ランナー
- カーレド ホッセイニ|アーティストハウスパブリッシャーズ