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こたつコードでスマホを充電? 最強最速USB充電ケーブルの自作にチャレンジ!!  (ウェブ情報実験室) - Engadget Japanese


こんにちは、フリーライターの宮里です。

以前の実験で「ケーブルは太いほど充電性能が高い」という傾向はわかったわけですが、あくまで手に入る範囲での話。市販品にはない「太すぎる線材」を使ったケーブルの性能はどうなのかという純粋な疑問がわいたので、作って確かめてみました。

この記事は、身近にある「疑問」や「不思議」を検証する『ウェブ情報実験室』です。

実験の目的

スピーカーケーブルや平形コード、AC延長コードなど、太めの線材でUSB充電ケーブルを作り、その性能を比較する。

動機

昨年末に「100均『USBケーブル』は外見で選べ!? 100円ショップで購入できるUSBケーブルをいろいろ比較してみました(ウェブ情報実験室)」という記事を書いたのですが、このときの実験から、「ケーブルの抵抗値が低いほど実際の充電性能も高い」という傾向がわかりました。

このケーブルの抵抗値は断面積が大きいほど低くなります。そこで、「USBケーブルとしてあり得ない太さのケーブルを作れば、さらに高速な充電ができるのでは?」と思いついてしまったので、ならば実際にやってみよう!......というのが今回の動機です。
ただ、適当な太めのケーブルを使って確認するだけでは面白くないので、ちょっとクセのあるケーブルも含めて5種類ほど用意してみました。

実験対象

今回自作したUSB充電ケーブルの線材と、比較用の市販品を紹介していきましょう。なお太さの単位「sq」は平方mmで、数値が大きいほど断面積が大きく(太く)なります。

1.DCケーブル自作セット(オヤイデ電気)

ケーブルに強いオヤイデ電気さんの店頭に、コネクタとケーブルがセットになったケーブル自作セットがあったので思わず購入。「音をよくするDCケーブル!」などと書かれているだけに、期待が高まります。これを発見したとき、「もう、これだけでいいんじゃねーか?」などと思ったのは内緒。半田も付属した1mのセットで800円(税抜)。ケーブルの重量は実測で23.1g/m。導体の太さはAWG18とのことなので、0.75sq。


2.スピーカーケーブル(田中電線)

透明な被覆のスピーカー用としてよく見かける平形コードです。商品名に「スピーカーケーブル」と書いてあったので、なんとなく品質面で期待できるのではないかという安直な考えから選びました。オーディオ関係は高いものを探すと青天井になってしまうこと、そして何よりこだわりのない自分には違いがわからないこともあり、手ごろなものを。購入価格は210円/m(税抜)。ケーブルの重量は実測で33.8g/m。導体の太さは1.25sq。


3.シールドケーブル(カナレ、GS-6)

わずかな抵抗差が充電性能に影響していたことを考えれば、ノイズの影響も皆無ではないだろうという発想から、シールドケーブルを選びました。シールド部も電力伝送に使うので、意味があるかどうかは不明ですが......。なお、知らずに選んだのですが、ちょっと調べてみたらギター用のケーブル自作などで使われる製品のようです。購入価格は230円/m(税抜)。ケーブルの重量は実測で47.9g/m。導体の太さは1.0sq。


4.100均の延長コード(ダイソー)

みんな大好き100円ショップのAC延長コード。以前は3口くらいの電源タップでも100円だった気がしますが、最近は長さや口数などの違いで価格が変わるようです。価格と一緒に品質も上がっていると信じて。1.5mで200円(税抜)。ケーブルの重量は実測で64.5g/m。導体の太さは、目測で1.5~1.75sqくらい。


5.こたつコード(ELPA)

大電流を流すには抵抗が低くなければ危険、つまり、大電流用のケーブルは低抵抗に違いない!というこじつけで選んだのが、こたつ用ケーブル。記憶の中では赤いケーブルというイメージが強かったのですが、最近はグレーとか黒とかばかりなんですね。新しい発見。3mで809円(税込)。ケーブルの重量は実測で38.5g/m。導体の太さは、目測で0.5~0.75sqくらい。

参考:RC-UHCM10R(ルートアール)

前回の100均ケーブル検証で比較対象にした、ルートアールの充電ケーブル。このケーブルの性能を上回るのが、今回の目標でもあります。690円。

どれも長さは1mとし、+5VとGNDの線材として使用。USB-Aのコネクタと、microUSBのコネクタを半田付けしてケーブルを作成しました。今回は充電専用ケーブルということで、D+とD-を別の単芯線で短絡しています。



半田は少しでもいいものをと、高純度のスズに銀を4.7%配合した「SS-47」を使用しました。

実験方法

今回は作成したケーブルの抵抗値といった細かな検証はしないため、純粋な充電性能だけをチェック。USBの電圧と電流が測れる簡易計測器「RT-USBVAC3QC」を使い、「Xperia Z Ultra」(バッテリー残量50~51%)充電時の電圧と電流とを計測しました。



さらに、機器によって性能が変わるかもしれませんので、「HTC Desire 626」(バッテリー残量62~63%)、Windowsタブレットの「Si02BF」(バッテリー残量58~63%)でもテストしています。
またUSB-AC電源との相性を避けるため、2A以上出力ができる3製品でそれぞれ試しました。



左から、2.4A出力のルーメン「LAC-1UQC2」、2.4A出力の日本トラストテクノロジー「CUBEAC224」、8A出力のANKER「71AN7105」です。

実験結果

それでは実験結果を見ていきましょう。USB-AC電源によって電圧や電流の値が違うので電力に換算し、その平均をグラフにしたものが下の図です。





一応グラフにしてみたものの、すでに機器側の上限となっているようで、平均電力はどのケーブルでもほとんど同じで優劣がありません。自作したすべてのケーブルで、USB充電ケーブルとしては十分な性能があったようです。

結論

以上の実験結果から、ある程度太い線材でUSB充電ケーブルを作れば、最大速度で充電できるということがわかりました。ということでポイントをまとめると、

1. 太いケーブルを使えば高速充電ケーブルの自作は可能
2. ケーブルは延長コードだろうが、こたつコードだろうが太ければOK
3. ただし市販品でも上限となるため、性能は超えられない

といったところでしょうか。
太いケーブルでの性能を見るためとはいえ、用意したケーブルはすべて太過ぎました。「DCケーブル自作セット」の0.75sqでも、USB充電にはオーバースペックといえます。手元のUSBケーブルの中にはさらに細いAWG22(0.3sq)と明記されているものもありましたし、AWG20(0.5sq)あたりでつくれば、十分な性能をもつケーブルとなるでしょう。

今回は1mという長さで試しましたが、5mや10mといった長さになれば、太さによる差が出てくるかもしれません。市販品にはない長さのUSB充電ケーブルを作りたいという場合には、太めのケーブルを使うと安心できそうです。......問題は、そんな場合がまずないだろうということですが。

おまけ1

実験では充電性能が頭打ちになってしまってケーブルによる差がありませんでしたが、太いほど青天井に性能が上がるようなら、さらに太い「平形コード(北越電線、5.5sq)」を投入しようと思っていました。



導体部分だけで、直径3mmくらいあるでしょうか。ここまで太いと、そもそもコネクタが半田付けができないのではないか、という疑問は当然出てきますが、実際無理です。はみ出しまくります。



ケーブルが結構重たいので、作れたとしても使うとコネクタ部から折れる可能性が高く、使うのも危険が伴うという超上級者向け。

おまけ2

こたつコードの残りがもったいなかったので、実験用ではなく、ちゃんとした充電ケーブルにしてみました。単純にコードだけ使うのも芸がないので、誰が見てもこたつコードだとわかる形を残してみたのがポイントです。コードの中間スイッチで充電のオンオフができるのがメリット!



USB-Aは元からあったこたつ用のプラグに穴をあけて固定、microUSBはメスのプラグに植え替えてから、片方の穴を広げてコネクタを固定しています。



まだちゃんと接着していないので何度か挿抜しているとUSBコネクタが抜けちゃいますが、これでもちゃんと高速に充電できるのが面白いです。

結論2

2016年、USB充電ケーブルの自作が絶対流行る!......予定。
こたつコードでスマホを充電? 最強最速USB充電ケーブルの自作にチャレンジ!!  (ウェブ情報実験室)
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