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iPhone SEを2週間使ってみた感想とAppleの戦略の変化(週刊モバイル通信 石野純也) - Engadget Japanese
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話題のスマホことiPhone SEが発売されてから、明日でちょうど2週間。都内のキャリアショップ、家電量販店などでは、64GB版が完売していることが多く入手困難な状況が続いています。筆者は、一足早くiPhone SEを借り、2週間ほどが経過したところですが、実際に使ってみると、この端末からはアップルの戦略の変化も見て取ることができます。

もはや解説は不要かもしれませんが、iPhone SEは、iPhone 5やiPhone 5sと同じ4インチのボディーに、iPhone 6、iPhone 6s相当の機能を詰め込んだ1台。チップセットやメモリ、カメラなどの性能はiPhone 6s並みになっている一方で、コンパクトで持ちやすいスマホに仕上がっています。

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4インチとコンパクトなiPhone SE

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背面にはSEのロゴが

実際、パフォーマンスは非常に高く、メモリが増えているお陰もあってか、ブラウザーで複数のタブを開いても、すぐに再読み込みがかからないなど、スペックが上がっただけのメリットはあります。ソフトウェア処理がうまく、シチュエーションによらず、シャッターを押すだけでキレイに撮れるカメラも健在。iPhone 6s相当ということで、最新モデルと比べても、そん色ない写真を撮ることができます。


パフォーマンスはiPhone 6sを凌駕


シャッターを押すだけで写真もキレイに撮れる

持ちやすさは、4インチで幅が58.6mmとコンパクトなため、非常に良好。iPhone 6sやiPhone 6s Plusはもちろん、大画面化が進む昨今のAndroidスマホと比べても、手になじむサイズになっています。一方で、当然ながら、画面が小さいことのデメリットもあり、映像の迫力に欠けたり、表示が小さくなってしまって目が悪いとみづらかったりというトレードオフも。この点は、好みの分かれるところかもしれません。

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ボディーが小さく片手での操作がスムーズ

かく言う筆者も、比較的手が大きいこともあって、スマホは大画面派。機種変するたびに、徐々に画面のサイズを上げています。例外的に、GALAXY Note EdgeからXperia Z5に機種変したときには、少々物足りなさを感じたものです。同様に、iOS端末は、普段iPhone 6sを使っているため、iPhone SEにしたときに迫力不足を感じたことも偽らざる印象です。

少々残念なのは、デザインがやや古く見えるところ。個人的に、iPhone 5やiPhone 5sは完成度が高い外観だと思っていましたが、改めてiPhone SEを見ると、"思い出補正"がかかっていたことを痛感しました。最新の薄型スマホに比べるとやや厚く、ディスプレイのベゼルが太いところにも、野暮ったさのようなものを感じます。特に正面から見たときの印象は、もう少し今風に合わせてもよかったのではと感じています。スペックとしては、キャリアアグリゲーションに非対応なのが、残念なポイントです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA改めて見ると厚みがやや目立つ

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画面が小さいため画面の占める率が低く"今っぽさ"が薄い

とは言え、iPhone SEは、16GB版で5万2800円から。最近では最低でも8万円前後になっていたiPhoneシリーズとしては、破格の安さと言えます。CA非対応だったり、指紋センサーが1世代古かったり、3Dタッチが載っていなかったりといった点はありますが、どれも致命的な機能ではありません。日本だと、CAがあった方がキャリアとしても売りやすくなったと思うところはありますが、これもなかったら通信ができないというわけではないため、ある意味、絶妙なスペックの取捨選択です。使ってみても、最新のiPhoneと、ほぼそん色ないことはすぐに分かります。


SIMフリー版で5万2800円からとiPhoneとしては破格の安さ


CA非対応のiPhone SE(左)は、iPhone 6s(右)より通信速度では見劣りする

ただ、ここまで安いと、利益率には大きな影響を与えるはず。いくらボディーが小さく、ディスプレイやそのほかでコストを抑えられるからとはいっても、iPhone 6sより16GB版で3万4000円も安くなったとは考えづらいところ。iPhoneシリーズは、その利益率の高さでも知られていた端末ですが、iPhone SEはアップルがある程度身銭を切ってきた可能性もあります。


8万6800円のiPhone 6sより3万4000円も安い

実際、海外の報道では、iPhone SEの原価が160ドルであると伝えられています。日本では、原価率の低さが驚きとともに伝えられていましたが、iPhone 6sの発売当時に発表されていた原価は211.5ドル。比率を計算してみると分かりますが、抑えた原価以上に、販売価格を低く設定しています。あくまでこの見立てが正しければという前提ですが、アップルは、原価率を上げてまで、低価格路線に打って出たというわけです。

ここからは、1モデルをグローバルに販売し、高い利益率を得ていたアップルの路線が、徐々に変化していることがうかがえます。過去に販売したモデルと同じデザインのiPhoneを復刻する点も、従来にはなかった戦略。良くも悪くも、ユーザーの声に耳を傾けた結果なのかもしれませんが、1つの理想を掲げ、キャッチアップができるユーザーだけを相手にしていた以前のアップルにはなかった考え方です。

価格を落とすことで、プレミアムモデルの1つ下である、ハイエンドなAndroid端末に対抗する狙いもあったのかもしれません。実際、日本でも、比較的スペックの高いSIMフリーAndroidスマホは、この価格帯。売れ筋の3万円前後よりやや高い一方で、「これ」という特徴を打ち出せているのが、5万円台のスマホです。この市場にアップルが参戦したことで、戦況にどのような変化があるのかは、注目したいところ。現状では、まだ供給が十分ではなく、実力が見えない印象を受けますが、今後の動向からも目が離せません。
iPhone SEを2週間使ってみた感想とAppleの戦略の変化(週刊モバイル通信 石野純也)
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