ゲッサンにて連載中の島本和彦「アオイホノオ」通算91回目です。
新人コミック大賞佳作でもらった賞金の10万円を親に送る一方で、ヒーローショーのバイトで貯めたお金を全部使って部屋に電話を入れた焔。
だが、担当・三上の遅い時間の電話にまともに対応出来ず、苦戦を強いられてしまう。
そんな中、仲間たちから旅行を提案された焔だったが、何と宿泊費を安くするために北海道の焔の家に泊めて欲しいのだという。
本誌に掲載された同期受賞の「塀の下のバイオリン弾き」の評価を気にする一方、ついにデビュー作が掲載された増刊少年サンデーを手にした焔だったのだが…!?
待望の増刊少年サンデーをゲットし興奮する焔。
ロゴが懐かしい増刊号ですけど、掲載されている作品がまた懐かしいものばかりです。
この時期の増刊号の看板といえば「さすがの猿飛」でしたけど、週刊の方では「どっきりドクター」を同時に連載していました。
この頃は細野不二彦のみならず週刊少年サンデーとかけもちで連載している作家が何人もいましたけど、今ではこのスタイルはすっかり影を潜めてしまった気がします。
表紙には他に「ダッシュ勝平」がありますが、当然このタイトルは週刊でやっており、この時期は番外編連載というのをやっていました。
また、「ジャスティ」の岡崎つぐおは週刊の方では「ただいま授業中」、「らぶらぶぽりす」の原秀則は「さよなら三角」を同時に連載しており、島本先生自身もこれから「炎の転校生」「風の戦士ダン」のダブル連載をする事になります。
表紙にある「戦国生徒会」は高橋留美子の読みきりですけど、この頃は「うる星やつら」「めぞん一刻」のダブル連載をした上で新作を描いているのが驚きです。
最近は新作を描く際に連載を休む作家が多いですけど、あの頃の作家はかなりタフだった気がします。
まあ、このあたりは作家が若くして死んだりした事もあって、以前と比べて出版社が作家を守るようになったとも言えますが。
そんなサンデーでデビューを飾った焔。
彼のサクセスストーリーと同時に語られるサンデーの歴史もまた楽しみなところです。
誰にも会わないうちに読んでしまおうと、教室で増刊サンデーで開いた焔。
当たり前の様に教室で読む焔ですけど、待ちきれなくて朝早く買ってそのまま大学に来たといったところでしょうか?
週刊との同時連載の「ダッシュ勝平」を読み、高橋留美子の最新読みきり「戦国生徒会」を目にした焔。
タイトルが自分の「必殺の転校生」と似ているため自分の作品を潰すために描かれたのかと最初は感じた焔ですけど、そんな事考えたのは島本先生だけなんじゃない?(笑)
『――だがおそらくは偶然の一致!高橋留美子はそんなことをする漫画家ではない!!』
会った事もないのにやたらと信用している焔。
これに引っ張られた読者が自分のもまとめて読んでくれる事を期待する焔ですけど、むしろ比較されてしまう気もします。
そんな懐かしの「戦国生徒会」ですけど、高橋留美子の次回作は「闇をかけるまなざし」で、ギャグから一転してシリアスものに初挑戦しています。
個人的には高橋留美子の伏線を張ったドタバタ劇がすごく好きだった時期で、「闇を」より「戦国生徒会」の方がずっと好きでしたね。
「うる星やつら」のアニメでちょっと出た時は興奮したのを思い出します。
さらにページをめくり新谷かおるの「ファントム無頼」を読んだ焔。
この時期の新谷かおるといえば「ファントム無頼」「エリア88」「ふたり鷹」のトリプル連載状態であり、ファンとしてはたまらない時期でもありました。
そんな「ファントム無頼」の人情話に感動した焔。
自分はチャランポランな学生であるため人情的にグっとくる話を描くのは不可能だと言う焔ですけど、考えてみると島本作品で人情話を期待して読んだ事って今まであったかな?(笑)
原秀則「らぶらぶぽりす」を読み、相変わらずノリだけで細かい所をすっ飛ばしていると感じた焔。
『俺も実は憧れていた刑事漫画…このやり方なら確かに成立するが…怖くて俺にこれを描く勇気はない!』
何気にさらっとディスる焔ですけど、今にして思うに細かい部分をカットしているため要点がより浮き彫りになっていて頭に入りやすかったというのはありますね。
「さよなら三角」も当初は足りない部分ばかり目に付いてましたけど、これはそれが持ち味なんだと気が付いて当時出ていた5巻くらいまでを一気に買い集めたのを思い出します。
(そういや「さよなら三角」はドラマになりましたけど、内容ばかりかタイトルロゴまで全く違うものに変えられたのは何気にショックでしたね。)
原秀則「らぶらぶぽりす」の直球のカッコよさに人気が取れると確信した焔。
そんな中、「伊代」と名の付くキャラがいる事に気が付いた焔だが、前のページの「ダッシュ勝平」にも松本伊代がいたのだという。
『漫画家の心をくすぐる何かを持ってるのか…松本伊代!!』
松本伊代に何かを感じた焔。
結局、島本作品といえば松本伊代というくらい名前が出まくる訳ですけど、島本漫画で松本伊代に興味を持った人ってのも結構いるんじゃないのかな?
内山まもる「ドクにまかせろ」を読み終わり、いよいよ新人コミック大賞受賞作のページに入った焔。
その先陣を切る事になった焔ですけど、果たして編集部ではどれだけの期待があったのか?
『うわさの超ド級新人、“初見参!!”』の文字に興奮する焔。
『どこでどううわさされているのか知らないが…そんな気になってくる!』
編集の粋な計らいに喜ぶ焔ですけど、連載開始直後に『早くも大人気』と書くのと同じ匂いがします(笑)。
いきなり最初のページで困惑した焔。
何と、自分がつけておいたページと順番が違うのだという。
本来なら掲載2ページ目がタイトルの前に入り、センスのあるしゃれたタイミングで始まる様に計算していた焔。
『フン…ど新人がこざかしく小手先の演出をしてくんじゃねーよ!』
『新人は新人らしく1ページ目にタイトルを持ってくりゃいいんだよ!!』
『そんな簡単なことがわかっちゃいないようだから…こちらで変えておいてやったよ!』
横山・三宅にしてやられてしまったと勝手に解釈した焔。
邪悪な笑みを浮かべる焔ですけど、モデルがいる編集者をここまで悪者として描いている作品は珍しい気がします(笑)。
入れ替えられてしまった事にショックを受けながらもそれを受け入れる事にした焔。
『もうこの…デビュー作の冒頭のページが逆にされたということは…一生誰にも言わないと誓おう!』
『墓まで持って行くのだ!!』
まさかの決意ですけど、ここでバラしたら墓まで持って行けてないじゃん(笑)。
『ホノオくんは何をしても一切文句を言わない扱いやすい漫画家だ!』
『だったらそれに免じて連載させてやろう!』
何やら都合のいい事を妄想する焔。
と言うより、扱いやすいと思ってるなら打ち切る時も文句を言わせないんじゃないのかな?(笑)
ハシラに書かれた「入賞のことば」に驚く焔。
言った覚えが無いという焔ですけど、だとしたらこれまで色々な作家のデビューコメント自体捏造されている可能性があるのか?
寝ぼけて口走ったにしても「キラリと光るギャグセンス」などとは自分では言わないという焔。
言われたらうれしい言葉であり、三上さんが書いてくれたのかもしれないと予想する焔ですが、だとすると「入賞のことば」とはある意味「担当のことば」だといえるのかも知れません(笑)。
そんな「担当のことば」に「二作目、三作目に挑戦していきます」と書かれている事に気付いた焔。
「三作目までは載せてくれるという保証か!?」
「俺はそこまでサンデー編集部に保証されたのか!?」
恐ろしく前向きにとらえる焔ですけど、二作目がすぐに掲載された事を考えるとあながち間違ってませんね。
掲載された自分の作品の線の汚さにイライラした焔。
だがそれはSA社の編集のアドバイスを生かした結果なのだという。
何と、車田正美のベタを見習って最後に残ったページは全部ベタにしたという焔。
これでMADが見ても一切の文句はないはずだと高笑いする焔ですけど、汚く見えたのは目をつぶっちゃうの?(笑)
入賞者のことばが別のページにまた書かれている事に気が付いた焔。
『自分で気に入ってるところは、わかんないや』
その一文が目に付いた焔だが、確かに電話でも言っているのだという。
「まさかそのまま活字にしてくるとは!」
「そうならそう言ってくれたらもう少し深く考えたのに!!」
失敗したと感じた焔だが、同時にその方が実は面白いとも感じたらしい。
プロの編集者のセンスを信じる事にした焔。
『これからどこかでこの質問をされたら必ずこう答えることにしよう…』
『俺はそういうキャラになったのだから!』
編集者が作ったイメージ通りに生きる決意をする焔ですけど、島本先生そういうキャラだったの?(笑)
プロになったこれからは自分の勝手には出来ないと理解した焔。
島本作品は正に「勝手」のかたまりだと思いますけど、そんな焔に三上さんがどけだけ手を加えようとするのかは気になるところですね(笑)。
そんな今月号の最後には予告編2ページが掲載されていました。
何と、いよいよ庵野が焔にサインを求めるドラマ最終回のシーンになるらしい。
いきなり絵のタッチまでドラマ調になってしまいましたけど、この絵で連載していたら焔はここまで爆発出来たのかな?
巻末コメントによると「漫画では同じ展開にならないかも」との事ですし、どういう形になるのか今から楽しみですね。
公式サイト:俺は燃えてなどいない!~漫画家島本かず彦のブログ~
【ドラマ24】アオイホノオ
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>連載開始直後に『早くも大人気』と書くのと同じ匂いがします
集計や印刷のタイムラグの都合上、2話3話あたりで大人気かどうか分かるわけないと清々しく暴露したのは…あれ何の番組だっけ
巻末コメントも作家によっては編集が書いてますという暴露も何かで見ましたが、ハシラとか割と長いコメントも代筆?してたのか編集部
それならそれで「いい電子」のように署名が欲しいぞ編集部