不良女「調子に乗ってんじゃあぁねえええぞッ!」
私立ニルバーナ学院ッ!
そこは超能力者の養成・育成を目的とした学校であるッ!
生徒「おい、どけよFランッ!」ドン!
男「痛ッ!」
男「はぁ……」
入学した生徒は予め実施された試験によりランク分け(クラス分け)されるッ!
そして、そう――この男は最低のFクラス、その一人だったのだ!
男「やっぱり俺には向いてないのかなぁ……」
ワイワイ ガヤガヤ
男(俺も人のことは言えないけど――)
クラスメイト「この漫画おもしれぇんだよ!」
男(何の意欲もなく)
クラスメイト「ねぇー、今度の試験まじダルいんだけど」
男(向上心もなく)
クラスメイト「ってか、ぶっちゃけ俺たちって無理なんじゃね?」
男(怠惰で溢れかえっている)
男(そしてそんな潮流に呑まれる俺自身も――)
男「はぁ……」
不良女「――ッ」ガラッ
男「あ、女さん……」
男(今日も一段と怖いなぁ)
不良女「んだよ」
男「ひっ……!」
男「お、おはよう……」
不良女「……」
不良女「ああ」
不良女「……」
男(それがこの女さんだ)
男(異彩というか――ただならぬオーラというか)
男(何故こんな最低クラスにいるのだろうか)
男(そんな疑問が自然と沸いてきたほどだ)
男(本人は『適当にやった』らしく、その結果こんなクラスに振り分けられたとか)
男(もしくは『アタシの能力は地味だからな』とも言っていた)
男(超能力というと魔法のような人智を超えた力を想像する者が多い中で、女さんの能力は地味なタイプだから――)
男(という理由だとも言っていたけれど)
男(しかし、この女さんはただならぬオーラを纏っていて)
男(出来そこないの俺には、とても恰好よく見えた)
男(例に漏れず、もちろん俺も持っていた)
男(しかし、それはただの『井の中の蛙』だったわけだ――)
男(海という存在を知らぬまま、大海原に漂流した有象無象の一人)
男(世間一般で言う『愚か者』というわけだ)
風紀委員「持ち物検査ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
風紀委員「持ち物検査の時間だよおおおおおおおおおおおん!!!!」
男(そして――愚か者や弱者は、いつの時代も搾取や使役、隷属の対象となる)
クラスメイト「やべぇよ……。やべぇよ……」
風紀委員「さぁて――おっ、『ワ○ピース』最新刊じゃねぇかッ!」
風紀委員「こんなの持ち込んでいいと思ってるのかなァ?」
クラスメイト「だ、だって――○○先輩もッ!」
風紀委員「うるせぇえええええええええええんだよぉッ!!!!」ドスッ!
クラスメイト「カハッ――」
風紀委員「○○先輩だぁ!? そいつぁ確かCランクだよなぁ!?」
男(この学院は能力値によってクラスが分かれる)
風紀委員「お前らFランに自由なんてもんはねぇええええええええええええんだよおおおおおお!!!!」
男(そう――この学院は競争主義であり)
男(ランクが下がるごとに、蔑みの対象となる)
男(こと、Fランクに至っては……)
風紀委員「お前らには『だって』も『だけど』もねぇええええええええええんだよお!!!!」
風紀委員「フリーダムもリバティも存在しねえッ!」
男(Fランクに至っては、このように人権すらも危ういのだ)
クラスメイト「そ、そんなっ――」
男(そんな超競争社会の学院)
男(教師陣もそんな『弱肉強食』を指針としているため、これらの行為を半ば黙認している状態である)
男(弱肉強食……。いつの時代も変わらないこの世の理)
男(日常のように繰り返される惨状)
風紀委員「さーて、そんじゃ次はァ――」
不良女「おい」
男「――ッ!?」
風紀委員「なんだァ!?」
風紀委員「なんか聞こえたなァ?」
不良女「そこの刈り上げデブ」
風紀委員「……」
風紀委員「てめぇ、まさかこの俺を、風紀委員のこの俺を侮辱したのかァ……?」
不良女「いつもより早めに登校してみたらこのザマとは」
不良女「朝っぱらからうるせぇえええええええんだよッ」
男「お、女さんまずいって……!!」
男(この人たちは風紀委員なんだよ!?)
男(いわば憲兵や秘密警察と同じような恐るべき存在ッ!!)
男(そんな人たちに逆らったら――)
不良女「……」
不良女「アタシはうるせぇ奴が嫌いなんだよ」
不良女「失せろ」
風紀委員「……ッ!!」
風紀委員「この俺に、風紀委員に逆らうとはなァ!!」
風紀委員「Fランクの分際でッ!!」
不良女「ランクもクソも関係ねぇッ!!」
不良女「ぶーぶーぶーぶーうるせぇんだよ豚野郎ォッ!!」
不良女「ここは養豚場じゃあぁねぇッ!」
風紀委員「な、なん……だと……!!」
男(や、ヤバイッ!!)
風紀委員「て、でめぇ……!!」
風紀委員「殺す――」
男(まずいッ!!)
不良女「……」
男(くそッ!)
バキッ!!
風紀委員「なッ……!?」
不良女「――ッ!?」
男「くっ……!」
風紀委員(この男)
不良女(アタシの身代わりになった!?)
男「お、女の人に手を上げるなんて……!!」
風紀委員「てめぇ……」
男(こ、怖ッ!!)
男「ど、どうかこの俺で勘弁して下さいッ!!」
不良女「お、お前ッ!?」
風紀委員「分かったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドスンッ!!
男「――ぐふっ」
風紀委員「この掃き溜めのクズどもがぁッ!」
風紀委員「そこのクソ女――てめーの顔はしっかり覚えたぜ」
風紀委員「今日はそこのヒョロヒョロ男の謝罪に免じて許してやる」
風紀委員「次、何かあったら――そのときはたっぷり可愛がってやるからなぁッ!」
キーンコーンカーン
風紀委員「ちっ……! それじゃ行くかァ……。覚えてろよ」
不良女「おい」
男「あはは……。ごめんね女さん」
男「手当てまでしてもらって――ありがとう」
男「だけど、もう本当に大丈夫だから……」
不良女「おい」
男「……?」
不良女「どうしてアタシを庇った?」
男「……」
不良女「アタシだったらあんな豚野郎――」
男「ただ、そうしたかっただけさ」
不良女「……ッ!?」
男「俺も、風紀委員のやり方がずっと気に入らなかった」
男「でも、抵抗できずにいる」
男「そんな、弱い人間だ」
不良女「――ッ」
男「だから……。こうやって精一杯耐えることしかできない」
男「耐えることが抵抗になると……そう信じることしかできない」
男「弱い男なんだ」
不良女「……」
男「不幸中の幸いっていうか……俺は普通の人間より丈夫なんだ」
男「それが、この俺の能力だ」
男「超スピードで回復するとか、そういう立派なものでもないんだけどね……。はは……」
不良女「切れてる」
男「え?」
不良女「絆創膏貼ってやるよ――こっちこい」
男「……」
男「ありがとう」
男(ニルヴァーナとは涅槃のことであり、涅槃とは仏教用語で云々……)
男(つまり、おおざっぱに言うならば悟りを開いた状態。ある境地に達した状態)
男(その『境地』こそが超能力であり、そんな由来があって人は超能力を『ニルヴァーナ』と言う)
男(ニルヴァーナには大小様々なものがあり……)
男(傷の治癒、瞬間移動や身体能力の強化、炎や水の使役、空間操作などなど)
男(そして俺のニルヴァーナは身体能力の強化にあたるもので)
男(体が頑丈なだけ――そう、頑丈なだけだ)
男(頑丈なだけであり、傷はできる)
男(そして、瞬間的に治癒するわけでもないので限度があり)
男(攻撃を受け続ければもちろんお陀仏だ)
男(そんな、使えない能力なのである)
不良女「これでよし――」
男「あ、ありがとう……」
不良女「あの……」
男「……?」
不良女「その……。す、すまなかったな」
不良女「アタシなんかのために……」
不良女「ありがとう」
男「そ、そんな……」
不良女「それに――アタシのことを『女』だなんて」ゴニョゴニョ
男「えっ?」
不良女「な、なんでもねぇよ難聴野郎ォッ!」ドン!
男「グハッ……」チーン
不良女「あっ――す、すまねぇ!」
男「……」
不良女「ぶっ飛ばして――」
男「駄目だよ」
不良女「どうしてだ!?」
不良女「おめぇ……。男ッ!!」
不良女「やられっ放しでいいのかよ!! おめぇ男だろうがッ!!」
不良女「キ○タマついてんのかよォッ!!」
男「……」
男「泣く子も黙る風紀委員」
不良女「……ッ!?」
男「風紀委員の上には『悪魔も逃げ出す生徒会』があるッ……!」
男「そんな奴らに逆らったら……」
男「例え俺たちが絶対的に正しかったとしてもッ!」
男「俺たちが『悪』とされてッ」
男「裁かれてしまうんだッ!!」
男「どんなに強い人間だろうと……。狩りを熟知した狼の群れには敵わない」
男「残念ながら……俺たちは耐えるしかないんだ」
男「もしくは、自分が上のクラスへ上がるしかない」
男「――ッ!?」
不良女「耐えること――だと?」
不良女「それでてめぇの自由が縛られた
コメント一覧
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- 2016年04月19日 22:53
- チョキン
つ HASAMI
-
- 2016年04月19日 23:30
-
続きそうな終わり方したけど
こりゃ続かねえな(湖南勘)
-
- 2016年04月19日 23:46
- ※1
おまぇの腹いい感じに硬いな
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