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9.7インチ版iPad Proを購入し、3週間使ってみて分かったこと(週刊モバイル通信 石野純也) - Engadget Japanese


前回のiPhone SEに続き、今回は3月31日に同時発売となった9.7インチ版iPad Proをレビューしていきます。こちらは、発売日に自腹購入。間もなく、3週間目を迎えようとしています。合わせてApple Pencilも購入したので、その使い心地もレポートできればと思います。


その前に、まずはおさらいとして、iPad Proの基本情報や位置づけを振り返っていきましょう。このiPadは、昨年発売された12.9インチ版iPad Proの機能を受け継ぎつつ、王道である9.7インチの画面サイズをもつタブレット。初代iPadも画面サイズは9.7インチでしたが、そこからiPad Airに名称を改め、このたび、晴れてiPad Proに昇格したということになります。つまり、iPadシリーズとしては、ど真ん中の製品というわけです。

薄く、軽くなったことでiPadからiPad Airに名称を変えたように、この機種にも、これまでのiPadとは一線を画す機能が搭載されています。その1つが、Apple Pencilへの対応。これは、iPadとBluetoothで接続できるスタイラスのこと。筆圧などまで検知でき、正確に文字や絵を書くことができます。OSレベルで対応したことにより、サードパーティ製品とは異なり、アプリだけでなく、ホーム画面での操作にも使えるようになっています。


12.9インチ版と同様、Apple Pencilにも対応する

また、Proをうたうだけに、スペックも大幅にアップしています。チップセットは、12.9インチ版のiPad Proと同じ「A9X」。メモリこそ2GBと、12.9インチ版の4GBより少なくなっていますが、歴代iPadの中では、高い性能を誇る機種であることは確かです。試しに測定した「GeekBench 3」のスコアも、それを裏づけます。


GeekBenchでは、12.9インチ版のiPad Proに迫るスコアを記録

ここからは筆者が実際に試してみた印象ですが、手に取ってみると、パフォーマンスの違いは明らか。アプリはスムーズに動きますし、切り替えもスピーディ。Safariのタブが裏で落ちてしまわないのも、メモリが2GBあるからこそと言えるかもしれません。こう感じるのは、筆者が使っていたのが、初代「iPad Air」だったからかもしれません。iPad Airはメモリが1GBしかなく、Safariのタブの再読み込みが頻繁に発生しました。Webを比較しながら見る際には、これだと力不足。アプリの切り替えも少々もたつくことがありましたが、iPad Proでは、そうしたストレスがありません。


タブをたくさん開いても切り替え時の再読み込みが少なくスムーズ

重さに関しても、9.7インチながら非常に軽量で持ちやすくなっています。サイズ、重量に関しては「iPad Air 2」と同じため、当たり前かもしれませんが、スペックが上がっていながらiPadの強みである軽量性を維持しているのは好感触。9.7インチになると、寝ころびながらWebを見たり、電子書籍を読んだりすることも増えますが、これなら快適に使うことができます。


軽量で薄く、持ち運びやすい仕上がり

それ以上に筆者が注目していたのが、9.7インチ版のiPadとしては初めて対応になったApple Pencil。別売で出費が1万2744円も増えてしまうのは、少々懐へのダメージが大きいところですが、使ってみると、その価値はあったと感じています。絵心のない筆者、これをスケッチに使ってみようとは思いませんでしたが、仕事で校正をする際に、活躍しています。以前は静電容量式タッチパネルに対応したペンを使っていましたが、違いは歴然。細かな字を滑らかに書くことができ、実際に比べてみると、字もキレイになっています。これなら、校正を受け取る側である、編集者もうれしいでしょう(笑)。


Apple Pencilで校正すると、字もキレイに書ける

校正と言うと特殊な仕事と思われるかもしれませんが、出力した紙に手書きで修正指示を入れるのは、何も編集者や物書きだけの特権ではありません。プレゼン資料に修正指示を入れたり、PDFで作られた書類にサインをしたりと、さまざまなビジネスシーンで、まだまだ手書きをすることは多いはず。その際に、iPad Proがあれば、その紙をデジタルデータに置き換えられるのはメリットと言えるでしょう。

Apple Pencilは昨年発売された12.9インチ版のiPad Proにも対応しているため、そちらでもいいのではという声も聞こえてきそうですが、9.7インチのiPadで使えることに大きな意味があります。12.9インチ版はやはりサイズが大きく、重量もWi-Fi版で713g、セルラー版で723gと重く、ポータビリティには少々難があります。片手で持つのも、そのサイズと重量ゆえに大変です。一方で、9.7インチ版のiPad Proなら、片手で持って文書の全体をふかんしながら、おかしなところだけApple Pencilでチェックをつけていくといった使い方ができます。こうした点を考えると、よりバランスが取れているのは、9.7インチ版のiPad Proと言えるかもしれません。

もう1つ注目していたのが、Apple SIMを内蔵したこと。これは、iPadシリーズ通して初の試み。従来型のSIMカードスロットもあるため、少々特殊な形ですが、アップル製品としては初の「デュアルSIM対応」になっているというわけです。Apple SIMは、日本国内だとauなどと直接契約でき、プリペイドの料金で利用できます。auの場合、31日、1GBで料金は1620円。Apple SIMの場合、初期費用がかからないため、プリペイド同士の比較ではMVNOも顔負けの料金プランになっています。


Apple SIMを内蔵しており、国内では簡単にauなどと契約できる

内蔵のため、面倒なSIMカードの出し入れも不要。普段はMVNOのSIMカードを挿しておき、いざとなったらauを契約して使うということも可能です。もちろん、海外に行ったときに、現地のキャリアやローミング専用キャリアを契約してもいいでしょう。スマホとは異なり、毎日外に持ち出すとは限らないiPadだけに、その都度チャージできるプリペイドプランをすぐに契約できるのは、うれしいポイントです。なお、Apple SIM自体はドコモ版、ソフトバンク版でも利用できるようですが、auの契約はできません。月額料金がかかってしまうことを考えると、プリペイドで利用したいなら、SIMフリー版を選ぶのが正解と言えます。筆者も、そうしました。


SIMカードスロットもあるため、事実上のデュアルSIM端末となる

と、ここまでベタぼめしてきたiPad ProやApple Pencilですが、難点もあり、以下の点は次回以降、ぜひ改善してほしいと感じています。その1つが、ペンが長すぎること。削っていない鉛筆に近いサイズ感ですが、自分にとっては少々長すぎると感じています。ある程度サイズを調整できると、さらに使い勝手はよくなっていたでしょう。また、充電方法に、アップルらしいスマートさがないのも気になる点です。端子をiPadに直差しするか、付属の変換コネクターをつけなければならず、ここも改善の余地あり。純正品で、同時に充電できるドックを発売してほしいと痛感しています。


充電やペアリングのためには、iPadにApple Pencilを挿す必要が......

こちらはレビュー用に借りただけで購入を見送りましたが、Smart Keyboardも、あまり使い勝手がいいとは言えません。12.9インチ版に比べてキー1つ1つが小さくなってしまう上に、実測値で230g程度あるため、合体させると、それなりの重量になってしまい、せっかく軽量な9.7インチ版iPad Proの特徴が失われてしまいます。あえて合体させておく必要もなかったので、キーボードを使うシーンでは、使い慣れたBluetoothキーボードを別途持ち運ぶのでもいいでしょう。


Smart Keyboardはキーが小さく、重量もかさんでしまうのがネック

また、キーボードがあるからと言って、PCと同様に使えるわけでもありません。ディスプレイの表示を分割できるようになったものの、やはりiOSはiOS。PCのようにデスクトップがあるわけではないため、込み入った作業をするのには向きません。一方で、サッと文章を書いたり、ビューアーとして使うのであれば優秀なOSですし、Apple Pencilに対応した専用アプリが充実しているのもiOSのメリット。こうした特徴を考えると、無理にPCのような使い方をする必要はないのかもしれません。


資料を見ながら原稿を書くことは可能だが、これ以上複雑なことができない
9.7インチ版iPad Proを購入し、3週間使ってみて分かったこと(週刊モバイル通信 石野純也)
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