理由はさまざまだけど監督が謝罪した映画11選
そんなつもりはなかったのに……
映画というものは観客を楽しませるために作られますが、必ずしも製作側の意図したことが観客に伝わるわけではありません。時には多くの観客が作品を不快と感じ、監督が謝らざるを得ない状況に陥ることもあるのです。
そこで今回は、ScreenRantがピックアップした、監督が謝罪した映画をご紹介します。
「アナと雪の女王」(2013年)
大ヒットした「アナ雪」に関して、どうして謝罪する必要が? と驚いた方もいるかもしれませんが、これはうれしい謝罪のお話。
本作の最大の見どころである「Let It Go」のシーンは、劇場で「みんなで歌おうバージョン」も公開され、子供から大人までがエルサやアナと大合唱するイベントが行われたほどでした。
しかし、あまりにも歌の印象が強かったため、脳内再生がエンドレスになってしまう人が続出。公開直後には「あの曲は最高!」と大喜びだった人も、いい加減嫌気がさして「あの曲、まだ流れてるよね……」と苦笑いしていました。
その結果、監督のジェニファー・リーが「ごめん!」とうれしい謝罪をしたそうです。
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(2008年)
スティーブン・スピルバーグ監督は脚本のマクガフィン(後述)について謝罪しました。
マクガフィンが嫌いな観客のみなさんには申しわけないと思っています。私自身、マクガフィンが大嫌いです。
マクガフィンに関してはジョージ(ルーカス)ともずいぶん議論しました。エイリアンだろうが謎の箱だろうがとにかく嫌だったんです。でも、私は友情を大事にする人なのでね。
「マクガフィン」とはアルフレッド・ヒッチコック監督が唱えた概念で「物語の構造の中で、キャラクターの行動の理由やストーリーを展開させるために用いられる仕掛けの1つ」です。どれも登場人物たちにとっては重要という設定ですが、他のものでも代用できる、つまりそれである必然性はないものを指します。たとえば、スパイが狙うのは「書類」、泥棒が狙う「宝石」などがそうです。
また、スピルバーグ監督はインディ・ジョーンズが冷蔵庫に隠れて核爆発をしのいだシーンについて、「あれは本当にバカなアイデアを出してしまった」と反省している一方、「nuked the fridge」という、シリーズものの映画がピークを超えてつまらなくなってしまったことを意味するフレーズが生み出されたことを誇らしく思っているのだとか。
「ホステル」(2005年)
ホラーの帝王、イーライ・ロス監督の「ホステル」といえば、一部の国のイメージを悪く(怖く)した作品ですが、謝罪は意外にもスロバキアやチェコではなく、アイスランドに対するものでした。
本作に登場するアイスランド人のオリーは、妻子がいるにもかかわらず美女とワンナイトスタンドを躊躇なく楽しんだ揚げ句、お尻にフザケタ絵を描いておどけてみせます。こういった人物設定をしたことで、アイスランド人のイメージを悪くしたと、監督は怒られたそうです。
プレミアの時に、文化省の大臣が私(ロス監督)とクエンティン(タランティーノ)とオリー役のエイゾール・グジョンソンとでディナーをしようって言ったんだ。
アイスランドを愚弄したことで正式な謝罪を求められているんだと理解したよ。そして、謝罪は受け入れられた。
その後、アイスランドの大統領に接見する機会があったから、全世界に向けてアイスランドの変なイメージを流してしまって申しわけないと頭を下げたんだ。
すると「君のキャラクターは的を射ていると思う、だから許します」と言ってくれたんだ。
「ファンタスティック・フォー」(2015年)
ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞と最低リメイク、パクリ、続編映画賞を受賞したアメコミ映画。ジョン・トランクはTwitterで次のようなスタジオを責めているかのようにとれるコメントをしました(後に削除)。
1年前、私は素晴らしいビジョンを持っていた。高い評価を得られたと思うけど、観客はそれを永遠に目にすることはないと思う。でもそれが現実なんだ。
これは謝罪ではないですね……。
「モール・ラッツ」(1995年)
恋人に振られたオタクの2人組がショッピングモールをウロウロするコメディ映画。
監督のケビン・スミスは1996年のIndependent Spirit Awardsで「何を考えていたのかわからない」と謝罪しました(後に謝罪はジョークだったとも言っています)。
「アルマゲドン」(1998年)
大ヒットしたパニック映画ですが、監督のマイケル・ベイは次のように謝罪しています。
「アルマゲドン」に謝罪するよ。私たちはあれを16週間で完成させなくてはいけなかったんだ。重大な仕事が山積みで、映画を作るような状況とは言えなかった。
もしできるのなら、脚本の構成から何から全部やり直したいくらいだ。でもスタジオは我々から映画を奪ったんだ。あれは最悪だった。
ビジュアルエフェクトのスーパーバイザーが降りてしまったので、私が引き継ぐことになった。ジェームズ・キャメロンに電話をして「すべてのエフェクトを1人でやらないといけなくなったら、どうする?」と相談したくらいだ。
「アロハ」(2015年)
本作でエマ・ストーンは中国系25%、ポリネシア(ハワイ)系25%、スウェーデン系50%という設定ですが、どう見ても白人にしか見えないため、ハワイの人権団体やアジア系の著名人が抗議。
この件についてキャメロン・クロウ監督は「アリソン・エングという女性は実在の人物。しかし、不快に感じた人がいるのであれば心から謝罪します」と陳謝しています。
「ミッドナイト・エクスプレス」(1978年)
オリバー・ストーンは本作の脚本家であり、監督ではありませんがリストの中に含まれています。
ビリー・ヘイズの実体験を原作にしたアカデミー賞脚色賞を受賞した作品ですが、トルコの刑務所とトルコ人を「あまりに劇的に書きすぎた」と謝罪しています。
「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」(1997年)
「バットマン」シリーズ史上最もヒドイ作品とも言われている本作。
ジョージ・クルーニー、ユマ・サーマン、アーノルド・シュワルツェネッガー、アリシア・シルバーストーンという力のある豪華俳優陣の活躍もむなしく酷評の嵐でした。
ミスキャストだったのか、スタジオに明確なビジョンがなかったか……原因は1つではないでしょう。しかし、ジョエル・シュマッカーは「責任はすべて自分にある」と謝罪しています。
「バットマン フォーエヴァー」が好きで「バットマン&ロビン」を見に行った人々を失望させてしまったのであれば、私は心から謝罪したい。
私は観客をがっかりさせたいと思っていたわけではない。ただ、楽しんでほしかったんだ。
「ブラウン・バニー」(2003年)
マスターベーション映画、つまらない、退屈すぎる、オチがひどい……と、カンヌ国際映画祭で激しいバッシングを受けた、ビンセント・ギャロ監督の作品。
「バッファロー66」などでおなじみのギャロ監督ですが、カンヌで目に涙を浮かべながら以下のように謝罪しました。
彼らの発言を認めるよ。どうしようもなく、時間の無駄だ。見栄を張ったり、わがままだったり、無駄な映画を作りたいと考えたことはない。
ただ、自分はみんなと共有できる美しいものを持っていると思ったんだ。時間を無駄にしたと感じた人たちには謝ることしかできない。
「ゴッド・オブ・エジプト」(2016年)
エジプトの話でありながらエジプト人がまったくキャスティングされていない作品。この多様性のないキャスティングを巡り、スタジオとアレックス・プロヤス監督が謝罪しました。
キャスティングのプロセスは非常に複雑な上に不安定です。とはいえ、今回のキャスティングは多様性に欠けていたことは明らかです。私たちの決定により不快な思いをした方々に深くお詫びします。
プロヤス監督
この度は多様性を欠いただけでなく、非常に敏感な問題を無視する形になってしまったことを心よりお詫び申し上げます。ライオンズゲートは今後、観客の多様性を反映した作品を作っていくことをここに誓います。
―ライオンズゲート
ちなみに、この謝罪が発表されたのは昨年暮れで、映画の公開前でした。
source: ScreenRant, YouTube1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10
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