シャープが4K/60p出力対応のAndroid TVセットトップボックス『AQUOS ココロビジョンプレーヤー AN-NP40』を発表しました。発売は6月10日で、予想実売価格は2万円前後。
特徴は、テレビ番組や各種コンテンツの視聴履歴からオススメの番組を自動検索し、画面と音声でガイドしてくれるというユニークな機能。さらに本体搭載の人感センサーにより自動で本体とAQUOSの電源をオンにできるため、「テレビの前に行くだけで、自動(0クリック)でオススメ番組のガイドが表示される」という、ともすればテレビとのつきあい方が変わるような環境を実現できます。
このオススメ番組ガイド(写真)は、シャープのクラウドサービス『COCORO VISON』(ココロビジョン:利用は無料)との連携によるもの。本体側(クライアント)の実装は、プリンストールされたAndroid TV版アプリがベースとなります。
オススメ番組の選定基準は、視聴履歴の番組ジャンルや、出演している俳優や選手といったデータによるもの。本機は独自にコンテンツ視聴の履歴を蓄積しており、サーバー側のデータベースと合わせて、ユーザーが好むであろう作品(コンテンツ)を紹介します。
標準状態では本機で見た作品(コンテンツ)のデータが使われますが、同時発表されたAQUOS「XD45」「US40」「U40」シリーズ7機種と組み合わせると、テレビ側で見た番組の履歴も連動し、検索精度が上がる仕組みです。なお当然ですが、視聴番組情報などはユーザーが許可しないと送信しない仕様です。
合わせて、オススメ番組と視聴履歴は時間帯ごとに変更する仕様。例えばお父さんが見ていた深夜番組からのオススメが学校帰りの学生に表示されて恥ずかしい事態に......といった事故も防げます。
オススメ番組の表示は、4つのタイルによるもの。タイルの下方には作品の時間やチャンネルなどと合わせて、「あの人が出てた番組!」「先週見た番組だよ!」といった理由に関するコメントも表示します。
合わせて選択時は音声(同社の「ココロボ」や「エモパー」と同系統のあの声です)でも「○○さんが出演しています」のようにガイドします。また、人感センサーで電源オンとなるときには音声で挨拶をしたり、さらに作品を見ている時以外であれば、ココロボやエモパーのように、ユーザーに語りかけることも。今日の天気や豆知識などを教えてくれます。
オススメされる番組は、地上波やBS、CSの番組に加え、シャープが新参入する有料映像配信(VOD)サービス『COCORO VIDEO』(ココロビデオ)も加えられています。
ココロビデオは、「ビデオマーケット」(VM)のVODサービスから作品の提供を受けていますが、VMのラインアップはテレビ放送の見逃し配信が充実しているのが特徴。本機のオススメ番組表示はこれを活かし、たとえば連続ドラマを見逃した際などは、ココロビデオ側にある見逃し配信を紹介してくれる機能も有します。
なおココロビデオの利用料金は、月額540円(税込)から。また利用自体は、AQUOSココロビジョンプレーヤーがなくてもOKです(当然ながらオススメ番組表示はないため、メリットは薄いですが)。
また、発表会では、「ココロビジョンのWebAPIは他のVODサービス側にも公開予定で、すでにU-NEXTが対応を表明している」との解説もありました。将来的には使っているサービスに合わせた結果表示となる予定です。
他にも、Android TV(版セットトップボックス)としての機能は一通り搭載。Google PlayストアやGoogle Playムービー&TV、もちろんYouTubeなどにも対応します。
搭載SoCは非公開で、発表会で質問しましたが「回答できない」とのこと。ただしHDMIからの映像出力が4K/60p出力対応とのことから、比較的新しいチップと思われます。メインメモリは2.5GBで、ストレージは16GB。LANは802.11ac/a/b/g/n Wi-Fiと100BASE-TX 有線LANに対応します。OSバージョンはAndroid 5.1。
搭載する端子はHDMI出力×1(4K/60p対応、HDCP 2.2)とUSB 2.0×2基。人感の機能は温度センサーによるもの。本体サイズは、151×151×39mm(幅×奥行き×厚さ)、本体重量は約500gです。
付属のリモコンは音声検索用のマイクを搭載。接続したAQUOSやAQUOSブルーレイの録画番組検索をはじめ、Web検索もリモコン経由で手軽に使えます。さらに下方にはココロビジョンとココロビデオに加え、YouTubeとNetflixのアクセスボタンを装備。これらはアプリもプリインストールされているため、手軽に視聴可能です。
なお、発表会では合わせて、本機と連動可能なAQUOS 4Kの「XD45」「US40」「U40」シリーズモデル(計7機種)と、HDD+Blu-ray Discレコーダー『AQUOSブルーレイ』8機種が発表されました。
今回発表されたAQUOSは、4K対応モデルの中でも比較的廉価なベーシックモデル(U40シリーズ)とメインストリームモデル(XD45とUS40シリーズ)という位置づけ。画面サイズは40型、50型、55型、60型(シリーズによって異なる)で、全モデルが輝度情報を拡大した「HDR」ソースに対応します。
HDRソースの再生では、液晶パネルの輝度の高さと黒の深さが鍵となりますが、高輝度技術として「リッチブライトネス」を搭載。加えてXD45とUS40には外光反射を抑えて黒を引き締める「N-Blackパネル」技術も加わります。さらに、US40とU40のスタンドは、大型テレビとしては珍しい、スイーベル(左右角度調整)に対応します。
AQUOSブルーレイの8モデルはチューナー数(1基から3基)とHDD容量(500GB、1TB、2TB)、本体色(ホワイト系、ブラック系)によるラインアップ。
主な強化点は、現在視聴中の番組を一時録画できる機能「AQUOSタイムシフト」がテレビ側チューナーにも対応する点、新作連続ドラマやアニメの冒頭4回分を自動録画する「ドラ丸」機能がBSデジタル放送にも対応した点など。
中でも注目は、「セリフ付き見どころポップアップ」機能。既存機種では録画した番組の画面を時間軸順の縮小画面で表示する「見どころポップアップ」機能は搭載されていましたが、今回のモデルは放送時の字幕も表示できるようになったのがポイント。
一見しただけでは盛り上がりどころがわかりにくいような番組でも、字幕を手がかりに見どころが探せるという、良い意味でシャープ製品らしいアイデア機能です。
なお、液晶テレビ側の4K+HDR推し(さらにプレゼンにロゴが入っている)にも関わらず、Ultra HD Blu-ray対応モデルは発表されませんでした。このあたりを担当者に尋ねたところ「今回は様子見となったが、当然4K+HDRソースとしては重要なので、将来的に検討している」旨の回答でした。
このようにAQUOSココロビジョンプレーヤーは、ネットなどの作品を見るのみならず、作品をオススメしてくる「積極的なセットトップボックス」とも呼ぶべき特徴を備えたモデル。
ぱっと見ではイロモノにも見えますが、テレビの前に立つだけで(一切操作なしで)番組リストが表示される動作などは、ある意味では「テレビに求められるユーザーインターフェイス設計を問い直す」かのような野心的製品でもあります。
またSTBとしてはまだ数少ない4K/60pに対応するなど、機能的にも注目すべき点があるのも面白いところ。Engadget読者にはぜひ一度試して見て欲しいタイプの商品です。