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全く新しいしゃべる動物映画「ズートピア」のプロデューサーにインタビュー : ギズモード・ジャパン

全く新しいしゃべる動物映画「ズートピア」のプロデューサーにインタビュー

2016.04.22 21:30
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ズートピアのプロデューサーに直撃


動物の楽園を生み出したのは圧倒的な技術とこだわり。

全米で「アナと雪の女王」を超える大ヒットを記録しているディズニーの最新3DCGアニメーション映画「ズートピア」。今回は本作のプロデューサーである、クラーク・スペンサーさんにインタビューして参りました。

動物の毛のモフモフ具合が注目されている「ズートピア」ですが、本編を見れば一度でその魅力に引き込まれる、これまでのディズニー映画とは一線を画するストーリー大量にちりばめられたオマージュ車のデザイン、テクノロジーの進歩によってどんどん接近してきているかのように感じるアニメーション映画と実写映画の違いなどに関して、話を伺っています。


――映画の歴史を振り返ると「動物が人間のようにしゃべる」設定の作品はたくさん作られていますが、「ズートピア」の製作の際に参考にした作品はなんでしょうか?

クラーク・スペンサー(以下、スペンサー):ディズニーには伝説的な「しゃべる動物」作品がたくさんあるので、「ダンボ」、「ジャングル・ブック」、「バンビ」、「ライオン・キング」、そして監督のバイロン(・ハワード)が好きな「ロビン・フッド」などを見ながら、何がこれらの作品を良作にしているのか? そして、何が観客にキャラクターを愛させているのか? を知ろうとしました。

それと同時に、(製作総指揮の)ジョン・ラセターから「今までに見たことがないような『しゃべる動物』映画を作ろう」と言われたので、片足は過去の名作に入れながらも、もう片足は新しい、モダンな「しゃべる動物」映画を作らなければいけないという気持ちに入れて製作しました。


――新しい、モダンな要素とは具体的にどういったところでしょうか?

スペンサー:いくつかあるんですが、まずは登場する動物たちのサイズのスケールが自然界の動物たちと同じだということです。たとえば、キリンの身長はネズミが95匹上に重なったのと同じ大きさで描かれています。これは過去の「しゃべる動物」映画では採用されていません。大小をある程度すり合わせないと撮影の時に困りますからね(笑)。

だからこそ面白いと思って、本作ではチャレンジしました。それによって「ズートピア」という世界自体が1つのキャラクターになったと思います。乗る動物によって車がそれぞれ違ったり、そこに住んでいる動物によって家のドアのサイズがそれぞれ違ったり、さまざまな動物たちがどのように共同生活をおくっているのか?を見せることで、1つのキャラクターとして「ズートピア」が生まれ、それがまったく新しい「しゃべる動物」映画につながったと思います。

あとは動物たちが「動物の皮を被った人間」風にならないように作るという試みもしました。64種類の動物が登場しているのですが、すべての動物がその動物固有の特徴と人間っぽさを両方持ち合わせています。

たとえばジュディは人間のような資質を持っていますが、同時にちょっと緊張すると鼻が動いたり、急いでいるときは4足歩行になったりします。これによって、見た時に確実に動物だと感じるんだけれども人間が感情移入しやすいキャラクター造形になっているんです。


――過去のディズニー映画に比べると、大人が反応するような映画のオマージュや小ネタが多いように感じました。そういった描写に特別な意図や狙いはあるのでしょうか?

スペンサー:私たちは常にすべての年齢層が楽しんでほしいと思って作っていますが、大人と子どもを同じように感動させたり、笑わせたりするのは難しいので毎回が挑戦です。

本作に関しては設定を現代の都市に決めた段階から「いろいろ楽しもう!」とスタッフ全員で言っていました。いろんなレベルで、同じシーンを大人の目線からも子どもの目線からも楽しめるような作品を作ろうと考えたんです。

たとえば北極トガリネズミのミスター・ビッグが登場するシーンは、大人からするとマーロン・ブランドをイメージして「ゴッドファーザーだ!」と思いますが、子どもは「ミスター・ビッグという名前なのになんであんなに小さいの!?」と思いますよね。

ナマケモノのフラッシュは、大人が見ると「役所とかでこういう仕事がやけにのんびりしている人っているし、確かにイライラするよなあ」と感情移入できて、子どもはそういう現場を知らなくてもルックスと動きの極端な遅さを面白がってくれます。

リトル・ローデンシア(ネズミたちが住むすべてがミニチュアサイズの街)でのジュディのチェイスシーンは、大人はもちろん「キングコング」や「ゴジラ」などを連想しますが、子どもたちが見てもサイズ感が面白いと思うんですね。

他にも、ナイキやバーバリー、アップルといった会社の商品などのオマージュも入っています。どれもがいろんな楽しみをつめこもうという思いから生まれたものです。



怪獣映画オマージュ


――本作は警察もののバディムービーですが、ディズニーとしては非常に珍しいジャンルの作品だと感じました。なぜこのような設定を選んだのでしょうか? また、参考にしたバディムービー、警察ものの映画はあるのでしょうか?

スペンサー5年前の企画段階では「007」シリーズのようなスパイ映画だったんです。最初の10分間の舞台がズートピアで、その後ズートピアを離れて島へ行くという物語を考えていました。その内容に対して、楽しいのはズートピアの部分だという意見と舞台がズートピアに限定された映画を作ったら?という声が多かったので、スパイ映画にするというアイデアはやめたんです。でもミステリーの要素は残したいと思って、謎を追う警察もののバディムービーを作る方向に固まりました。

ディズニーでこういったジャンルの映画を作るのは初めてで、本当に難しかったです。観客が笑える要素、ミステリーの要素、そして私たちが伝えたい、大切だと考えているテーマを90分間で描き切るためのバランスをとる作業が一番苦労しました。映画のどの時間帯でどの要素の比重を大きくするのか? そして、物語をどのように正しく伝えるのか?を導き出すのにはかなり長い時間をかけました。でも、どうにかこのコンセプトを最適なバランスに完成させたいという思いは強かったので、そのための努力は惜しみませんでした。

かなりいろんな映画を見ましたが、映画だと「48時間」、「ミッドナイト・ラン」、「ゴッドファーザー」、古い映画だとフランク・キャプラ監督の「スミス都へ行く」や「オペラハット」、テレビドラマだと「Xファイル」などを参考にしています。こういった作品から、お互いのことをあまり好きではない2人組が、事件を解決するに至るまでの間に信頼関係を深めていく過程をどのように描けば面白いのか?を学んだんです。


――本作に登場する車はカーデザイナーのJ・メイズがデザインしています。過去作にもいくつか参加しているかと思いますが、ディズニーが彼を起用するきっかけはなんだったのでしょうか? そして本作ではどのように彼に依頼し、デザインを決めていったのでしょうか?

スペンサー:J・メイズは「カーズ」の時からジョン・ラセターとつながりがあって、「ズートピア」の製作に着手した時にラセターから「Jに電話しろ」と言われたんです。実際にJに会って作品の話を伝えたら、すごくワクワクしてくれました。特に動物たちが乗る車を、動物たちならどのようにデザインするか?ということにすごく興味を持ってくれたんです。

いろんな動物たちがいるので、それぞれの動物に合わせた車がなければいけませんよね。なので、それぞれの動物たちの車がどのような機能やメカニズムを持っているのか?ということにJは大興奮していました(笑)。

たとえばキリンは首が長くて背が高いので、その体がただおさまるだけの普通の車を作ってしまうと、カーブを曲がる際に横転してしまいますよね? なので、キリンの乗っている車はアコーデオンのようなデザインにして、カーブを曲がった時に遠心力で引っ張られても車体が倒れないようにしているんです。

カバの車には、体重を支えられるためにサスペンション、そしてタイヤが通常の車より多くついています。ネズミの車では、手足がとても小さくてもドアを開けられるようにするにはどうしたらいいか?を考えた結果、車の横で開閉するのではなく、前で開閉するドアを採用しています

このように、Jはどうやったら動物たちが現実的に問題なく乗れる車が成立するのか? 動物たちだったらどうやって車をデザインするのか?を考えながら、本当に楽しんでデザインしていました。


――テクノロジーの進化により、アニメーション映画と実写映画の境目がどんどんなくなってきている印象のある現代において、両者の一番の違いは何だとお考えでしょうか? また、アニメーション映画と実写映画は今後どのように進化していくと感じているでしょうか?

スペンサー:確かにアニメーションと実写映画の距離が近づいてきているというのは事実です。だからこそ私たちは常に「アニメーションの映画を作っている」ということを忘れてはいけないと思っています。なので、どんなにテクノロジーを駆使してリアリズムを押し出して作ったとしても、カリカチュアの要素というのは絶対に必要です。そうでなければ実写で作ればいいですからね。

「ズートピア」であれば、それぞれのキャラクターが実在の動物に見えると同時に、「ディズニーだな」と感じられる造形にしています。根っこにディズニーらしいキャラクターのデザインがあって、そこへリアルな毛並みを与えて、アクションがリアルに感じられるようにしているんです。そうすることで、現実には存在しない住民の全員が動物の都市が作れます。肝心なのは、アニメーションで作る必要のある物語をまず選ぶことでしょう。

テクノロジーがどこまで進化しても、私はアニメーションと実写映画の明確な境界線というものは存在し続けると思っています。実写映画では「俳優を見たい」という観客のニーズは絶対に変わりません。たとえばレオナルド・ディカプリオ出演の映画があったら、ディカプリオ本人の演技が見たいわけで、CGで作られたディカプリオが見たいわけではないですよね?

アニメーションも同様で、アニメならではの世界観やカリカチュアの要素がありながらも、見ていて信じられる、リアルに感じられる世界観やキャラクターを求めて観客は見てくれるんだと思っています。声優に左右されることももちろんありますが、キャラクターというのはやっぱりアニメーターが選択して動かしているんですね。そこが実写映画とは大きく異なる部分だと思います。

個人的には、アニメーション映画はストーリーテリングもどんどん洗練されてきていて、そういった面でも実写映画に近づいてきていることにワクワクしますね。



予告編


『ズートピア』は4月23日(土)2D/3D全国ロードショー。

©2016 Disney. All Rights Reserved./Disney.jp/Zootopia


source: 『ズートピア』公式サイト, YouTube1, 2, 3

スタナー松井

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