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花陽「親愛なる隣人」凛「アメイジングかよちん!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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花陽「親愛なる隣人」凛「アメイジングかよちん!」

2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:17:35.99 ID:DulE4xZbo



 "This, like any story worth telling, is all about a girl."
    「これは、一人の女の子の物語だ」




花陽「お母さん、あの子天使?」

花陽母「あらあら、花陽ちゃん。じゃああの天使ちゃんと、今日から親愛なる隣人なのね」

花陽「隣人って?」

花陽母「あの子は今日お隣に引っ越してきた星空さんちの子なの。名前は――」


 ――凛ちゃん。





3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:18:47.33 ID:DulE4xZbo


Chapter.1




音ノ木坂学院 入学式


花陽(私は小泉花陽、どこにでもいる普通の中学生……だったんだけど、今日からちょっとだけ大人です)

花陽(私、高校生になりました。いままでは自分のことを「花陽」なんて言ってたけど、今日からは「私」なんです、えっへん!)

花陽(でも初日から遅刻しそう、花陽、いつもどんくさいから……はっ、また花陽って言っちゃってます!)

花陽(でも心の中のことだから良いですよね、って誰に言ってるんだろう……なんて)

凛「かっよちーん!」

花陽「あ、凛ちゃん、おはよう」

凛「かよちんそんなペースじゃ遅刻するよー、いっくにゃー!」

花陽「ちょ、速いよ、誰か……ダレカタスケテー!」

 私の手を掴んで風のように走るのは、星空凛ちゃん。

 私と同じ、音ノ木坂学院の新入生で、小さい時からの幼馴染。親愛なる隣人です。



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:19:28.98 ID:DulE4xZbo

音ノ木坂学院 新一年生教室


凛「高校生になっても同じクラスになれてよかったね、またよろしくにゃー」

花陽「うん、よろしくね、凛ちゃん」

 今年は一クラスしかないんだけどな、なんて言葉は飲み込んだ。

 だって私も嬉しかったからです。凛ちゃんと一緒にいられることが。

モブ子A「あ、凛ちゃんだー、もう部活きめたー?」

モブ子B「うちらと一緒にテニス部はいろーよー」

凛「考えとくにゃ―」

モブ子A「楽しみにしとくよー」

モブ子B「凛が入ってくれたら百人力よ」

 音ノ木坂の子は地元の子が多いから、中学からの同級生ばかりです。

 だから前からずっと、凛ちゃんは人気者です。

 可愛くて、運動ができて、明るくて、面白くて、人から好かれて。

 私とは全然違います。人に誇れるものなんて全然ない、私とは。



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:20:42.40 ID:DulE4xZbo

凛「かよちんは部活何にするの―?」

花陽「うーん……私は。凛ちゃんは?」

凛「凛は陸上部にしようかなー」

花陽「凛ちゃん脚速いもんね」

凛「それほどでもないにゃー」

花陽「それでもすごいよ」

凛「かよちんはやっぱりヒーローだよね!」

 凛ちゃんの大きな声に、教室がすこしざわつきました。

花陽「ちょ、凛ちゃん、声が……」

凛「なんで? 凛知ってるよ。かよちんがずーっとヒーローに憧れてたこと」

花陽「でも……私なんかじゃ」

凛「さっきポスター見たにゃ、この高校でもスクールヒーロー始めたんだって!」

花陽「ええっ、スクールヒーローハジメチャッタノォ!?」

凛「二年生の先輩三人でオトノキの治安を守っていくにゃー、かっこいいにゃー」

花陽「でも……花陽じゃ」

 花陽、何の能力もない。ただの人間。それも、とびきりのろまで不器用な……。



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:22:03.51 ID:DulE4xZbo

 スクールヒーロー。

 それは、近年増加傾向に有る若年層の「ライバー」の犯罪に対するカウンターカルチャーのことです。

 「ライバー」は思春期の女の子に多い「特殊な力を持った人間」のことです。

 特殊な力を使うために、高い知能や高い身体能力が付随していることも多く、「新時代の生存者」を意味して「ライバー」と名付けられたみたいです。

 だけどそんな力を悪用する人も多くて、ライバー犯罪が近年増加していました。

 そうすれば、世間の風あたりも強くなります。だから一部の女子高生たちが始めたのが、このスクールヒーロー。

 「ライバー」の力をつかって、犯罪者を捕まえる活動です。

 だけど――。

花陽「花陽、ライバーじゃないから……」

凛「え、何か言った?」

花陽「ううん、何でもないの。今日は先に帰るね、ばいばい、凛ちゃん」

 逃げるように飛び出した。



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:23:38.63 ID:DulE4xZbo

小泉家


花陽「ただいま」

花陽母「おかえり、花陽ちゃん、学校どうだった?」

花陽「どうって……普通だったよ」

花陽母「お母さん小耳に挟んじゃったんだけどなー、オトノキでスクールヒーロー始まったのよね? 花陽ちゃん入ってみ――」

花陽「――いい」

花陽母「……そう」

花陽「ごめんね、お母さん。花陽、体調悪くて……部屋に行ってるね」



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:24:30.32 ID:DulE4xZbo

花陽の部屋

花陽兄「よお、花陽。帰ってたのか」

花陽「お兄ちゃん……! 帰ってたのか、じゃないよぉ。お兄ちゃんこそ何年ぶり? 花陽の部屋勝手に入って……」

花陽兄「悪い悪い、俺が出て行くまでは俺の部屋だったからな。忘れ物を取りに来たんだ」

花陽「忘れ物?」

花陽兄「もう手に入れたよ、悪かったな。ああそれと、しばらくこのへんで生活するからよろしくな」

花陽「ええっ」

花陽兄「あーそうだ。母さんが言ってたな、花陽の学校って――」

花陽「――スクールヒーローでしょ、やめてよ。お兄ちゃんは花陽のことわかってるでしょ」

花陽兄「……そうだな。あんなの、母さんの夢だ。お前の夢じゃない。きっと俺の夢でもなかった……」



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:25:18.64 ID:DulE4xZbo

数年前

花陽母「どうしてできないの、花陽ちゃん! お兄ちゃんを見習いなさい!」

花陽「でも……無理だよぉ」

花陽母「あなたたちはね、ヒーローになるの! いなくなったあの人と、戦えなくなったお母さんの代わりに!」

花陽兄「母さん、もうそのへんで……」

花陽母「妥協は悪よ。妥協なんてヒーローにいらない。妥協したら悪い子なの、悪い子か、ヒーローになりたいのか。あなたたちは――どっち?」

花陽兄「……!」

花陽「……なりたい……」

花陽母「何、聞こえないわ」

花陽「ヒーローに……なりたい」



10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:26:08.89 ID:DulE4xZbo

現在 小泉家 花陽の部屋


花陽兄「母さんは自分と死んだ親父の夢を俺たちのものだと思い込んだ。俺は『ライバー』だからよかったものの、普通人(ノーマル)の花陽は苦労したよな」

花陽「お兄ちゃんが出て行ってから、お母さんは少し眼が覚めて、私にも優しくなったよ……だけど今でも、きっと未練がある」

花陽兄「未練、か……お前はどうなんだ?」

花陽「花陽が?」

花陽兄「お前がヒーローになりたいって言ったあの言葉、全部嘘だったのか?」

花陽「……そんなの、嘘に決まってるよ」

花陽兄「嘘もつけない、いい子チャンのお前がか?」

花陽「からかわないでよぉ」

花陽兄「ははっ、悪かったよ。まあそんなに怒るな。可愛い顔が台無しだ」

花陽「もうっ、お兄ちゃんってば!」



11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:27:09.01 ID:DulE4xZbo

課外授業 西木野研究所


研究員「ここでは日本の主食であるお米の品種改良を研究しており、味が良く強く育つお米を日々――」

花陽「うわああああああああああああああああああああああああああ ううううわあああああああああああああああああああああああ」

凛「かよちん眼が輝いてるにゃー」

 理科の課外授業で、私たちは西木野研究所に来ています。

 そこでは植物の品種改良が研究されていて、特に実用的な技術として注目されているのがお米。

 この新たな品種「プランタン」はそこからとれる白米がとってもおいしくて長持ちするだけじゃなく、稲全部が衣服の素材やエネルギーとして転用できるらしい。

 まさに日本を支える未来の技術でした。一口くらい……食べてみたい。

凛「そういえば西木野研究所って西木野さんと関係あるのかな?」

花陽「ちょっと、凛ちゃん!」

凛「ヘ?」

真姫 ムスッ……プイッ

 隅っこで退屈そうに見ている西木野さんは私達を一瞥すると、すぐに目をそらした。

花陽「西木野さんはお金持ちの人だって噂になってるよ、だけどそれで近寄られるのを嫌うって」

凛「えー、いい家に生まれたんだから、なにもヤなことないと思うけどなー。凛は素直にうらやましいにゃー」

花陽「一人ひとり、触れられたくないことってあるんじゃないかな。特に――家族のことは」

凛「そういうもんかにゃー」



12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:27:36.33 ID:DulE4xZbo

 そうこうしているうちに、私達のクラスは次のブースに移動になりました。

花陽「……あれ、これ、西木野さんの」

 私が未練がましくお米を眺めていたところ、さっさと言ってしまった西木野さんの立っていたところに、IDカードが落ちていました。

 私達は研究所に入るとき、ゲスト用の半日IDを発行してもらっています。だけどそれとは明らかに違う、もっと特別な感じのカード……。

 きっと、西木野さんが最初から持ってたものだと思いました。

花陽「返しにいかなきゃ」

 クラスから遅れた私はIDカードを持って走り始めます。

花陽「あっ!」

 倒れそうになった私は研究所の壁を、カードを持った方の手で支えてなんとか耐えました。

 すると壁だと思っていた部分がいきなり開き、私は中に倒れこみました。

花陽「いったたたた……ここは……どこ?」

 見回すと、薄暗い研究室のような部屋でした。

 そこにはたくさんの稲があり、そして。

花陽「お、お米だぁー!」

花陽「すごいよ、このツヤ、見ただけでわかる、最高のお米だよぉー! 写真とっとかなきゃ!」パシャパシャ

花陽「ゴクリ」

 それが、あまりに美味しそうだったから。

花陽「一口、味見してもいいよね……?」

 炊いてもいないのに、私はその白米を口に運んだ。

花陽「はわあああああああああああああ、しゅ、しゅごいですうううううううううううう」

 頬がとろけすぎて落ちるんじゃないか。そんな至福の時間。

 それをひとしきり過ごした後、私は。

花陽「はっ、ダメだよ、ちゃんと西木野さんに返さなきゃ!」



13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/04(月) 22:28:33.85 ID:DulE4xZbo
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 19:41
      • 対象が女性の場合は「ヒーロー」ではなく「ヒロイン」なのでは?とマジレスしてみる
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 19:49
      • マグワイブ!
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 19:51
      • 決めたチカ。私も穂乃果の家の隣に引っ越すか穂乃果が私の家の隣に引っ越してもらうチカ。そしたらいつでもイチャイチャできるチカ。
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 20:34
      • ※3
        タイバニやヒーローアカデミアだと女性もヒーローと呼ばれてる。それに戦隊のピンクも戦隊『ヒーロー』チームの1人だろ?
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 20:35
      • ※4ですがさっきのは※1さん宛でした申し訳ありません。
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 21:00
      • 普通のアイドル(E:グラサン)「私達はライバー排斥団体『普通の人々』です!」
      • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 21:52
      • かよちんって新キャラかなと思ったら
      • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月26日 23:46
      • シビルウォーにスパイダーマンでるから皆映画館にいこう!(ダイマ)