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「この憎き世界に復讐を!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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「この憎き世界に復讐を!」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:21:47.76 ID:eCMFtwqUO

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――――


「あ………あああ………」

これで2度目だ。

「うああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

石造りの街中を、馬車が進んでいる光景も、隣でいつも元気120%な無駄にうるさい青いのが喚いているのも。
しかし、前回とは確実に違った点がある。

「カズマさん!!なんかおかしいんですけど!?なんかこれおかしいんですけど!!!」

これが前回と一緒ならば、俺の身体を揺さぶりながらひたすら泣き喚く駄女神……なのだが、そこにはやけに顔立ちが整った――



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:23:39.29 ID:eCMFtwqUO

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この世界に来て二度目の冬、出歩くのも億劫なこの季節に俺は屋敷にこもりせっせと作業に励んでいた。

「カズマカズマ、何を作っているのですか?」

「ああ、めぐみんか。
これはな、Zippoといって、前に作ったライターの亜種みたいなもんだ」

「Zippoですか?どこかの漫画キャラみたいな名前ですね」

今、なんか聞き捨てならないことを聞いた気がするんだが。まぁ流しておこう。

「Zippoはすごいぞー」

「どうすごいのですか!?ライターでも充分便利ですが……これはそんなに違うのでしょうか?」

「ふっふっふ、これはなー、実はライターと大差ないし売らなあ゛おぉ゛いだいいだいいだい!!!」

めぐみんの野郎がいきなり首元をつねってきやがった、めちゃくちゃ痛い…。

「ひどいです…いつもいつもこうやって人を誑かして騙して、今だって私の期待を裏切って…クズマです」

「まって!?今俺が何したよ!何もしてないだろ!」



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:24:10.98 ID:eCMFtwqUO

「お金になる話かと期待していたのでそれの裏切りです」

さっきの羨望の目はそれか。
金なんて腐るほどあるじゃないか、などと言ったら火に油なのだろう。
琴線に触れないように言葉を返そう。

「まぁ、今後また金が必要になる場合もあるしな。暇つぶしがてらの金策だ」

「へぇ、そういうことにしておきますよ」

なんだろう、この上から目線は。
うざったい。非常にうざったい。

「ところで、ちょっと相談したいことがあるのですが……」

さっきのふてぶてしい態度から一転、しおらしい態度でめぐみんがそう聞いてきた。
雰囲気的にちょっと妄想しちゃ…いや、なにもやましいことは考えてないぞ?

「あの……スキルアップポーションを作りたいと思ってまして」

「詳しく」

俺は即答していた。



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:25:13.51 ID:eCMFtwqUO

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――

「材料がこれだけ必要になりまして」

めぐみんから説明を受ける俺は血眼になりながら相槌を打つ。
一千万以上も下らないシロモノが量産できるならば、そうなるのも仕方がない。

「一撃熊の肝さえ手に入れば、あとはなんとかなりそうです。できれば多めに」

とめぐみんが説明を終えた。マジで?一撃熊さえなんとか出来ちゃえば、スキル上げながらぼろ儲けできるわけ?

「乗った、というか乗るしかねぇッ……このビックウェーブにっ……!!」

「レベルも上がって多少は楽になったと思ったのですが……やはり爆裂魔法だと熊ごと蒸発してしまうみたいなのです」

おいおい、強烈すぎる火力もやっぱり扱いがめんどくせぇな!
……あの時、上級魔法を憶えさせた方がよかったのではないかと頭をよぎるが今となっては仕方のないことだ。
そう、仕方の無い……時間巻き戻らないかな?

「おい、なにか言いたいことがあるなら聞こうじゃないか」

「そうだな…熊か、俺にいい考えがある……!」

「無視ですかそうですか」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:27:12.35 ID:eCMFtwqUO

――――――――
―――――
――

「熊といえば冬眠!今の季節は冬!!ここから導き出される結論はこうだァァァァ!!」

「『バインド』ッ!!!」

普段より多めに魔力を込めた、特注のロープを冬眠している熊に投げる。
無防備な状態で寝ていたので難なく熊はスキルにかかった。

「ぐへへへ……後は1発ヤるだけだぜ熊さんよぉ……」

武器を手にジリジリと近寄っていく。
油断はできない、普通のより頑丈に作ってもらっているのでこのロープはうちの筋肉変態マゾエ口セイダーでも壊せないが、熊となると別だろう。

「気持ち悪いです」

「気持ち悪いわね」

「なにおう!?せっかく人が雰囲気ってもんを出してやってんのに気持ち悪いとはなんだ気持ち悪いとは!!」

「レ○プみたいな絵面で見てらんないわ」

「しかも相手が一撃熊とか絵面的に最低です…」

お前ら、最近俺に対する態度が辛辣すぎないか?かずまさん泣いちゃうぞ。



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:28:38.84 ID:eCMFtwqUO

……とにもかくにも、バインドが解けないうちに緊縛熊さんをヤらねば。

「えいっ」

俺の愛刀がズブリと熊さんに入る。念には念を入れ、頭から串刺しに。
ビクッと一回、大きく波打ち熊さんは静かになりました。
どうやら熊さんはイってしまったようですね、安心安心。

「なんかこいつ変な事考えてそうなんですけど……顔が気持ち悪いわ」

「不潔です…よりにもよって獣○なんて……気持ち悪いです」

まてまて、やましいことは何も無いぞ?

何もな?

「ほら、ちゃっちゃと肝回収しちゃいなさいよケモクズマさん」

ケモ……!?クズマさんは百歩譲るとしても、ケモは言いがかりすぎる!何もやってねぇ!!



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:30:21.78 ID:eCMFtwqUO

なんやかんやありめぐみんと作戦会議を開き、熊はこの寒い時期に活発になる熊はいないと結論づけた俺達は肝の回収にきていた。
……俺が失敗して死んだ時の保険に呼んだアクアだが、この調子だとこいつは必要なさそうだ。こんなのに取り分がもってかれると考えたら腹が立ってきた。

「おいアクア、お前の仕事なさそうだから帰っていいよ……もちろん取り分はなしな」

「なによ、強がり?失敗したら怖いから私を呼んだんでしょ?一回上手くいったからって次はそうはいかないものよ?それでこのまま私が帰ってカズマが死んでももう生き返れないわよ?いいのかしら?」

うぜぇ。
口を開かなければなかなかになかなかなのものなのだが、調子に乗った瞬間これだ。
よし、こいつにはゴー・ホームしてもらおう!

「帰れ」

「わあああああああああああああああああっっ!!!!帰らない!帰らないから!!なんでカズマさんそういうこというのよ!!私をのけ者にするつもりなの!!?死んだらちゃんと生き返らせてあげるから!私にもわけて!!!もらう権利はあるでしょ!?」

ガクガクと駄女神が俺の肩を揺らしてくる。
少しやかましいが仕方ない。



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:31:45.95 ID:eCMFtwqUO

「じゃあ肝」

「?」

何を言ってるのかしら?このバカはとでも言わんばかりにこのバカはバカと見下して俺を見てくる。
というかさっきの泣き顔どこいった。

「肝だよ、一撃熊の肝!それとってこい」

「無理よ、触ったら浄化しちゃうもの」

なんだそれは、血も飲料水も汚水も関係なく液体ならお構い無しに浄化するっていうのか……。
というか固形はどうやって浄化されるんだ…。
んー、役立たずにも程がある。

これからはアクアに体内の血を触られないようにしなければ。

「アクアがダメなら私がやりますよ」

「ダメだ」

「えぇっ」

これからポーションを作るという大事な大事な仕事があるめぐみんにそんな危険なことなんてやらせられない。
なんせやつらは臭いに敏感だ。
身体でしっかり稼いでもらうんだから、臭いに引き寄せられたモンスターにうちの大事なアークウィザード様が傷物にでもされたらたまったもんじゃない。

……やましい意味はありませんよ?何もね?



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:32:17.14 ID:eCMFtwqUO

「しょうがねぇなあ」

対策不足だった、仕方ないのでこれをとったら一回街へ帰ろうか。

「あーあー、カズマさん血ついてるじゃないの…浄化してあげよっか?」

「いいよ別に…アクアがやったら俺死にそうだし」

「わあああああああっっ!!なんでよぉぉぉぉ!!私、人に危害なんて加えない清く正しいアークプリースト様よおおおおおお!!魔物の血の浄化くらいお茶の子よおおおおおっ!!!」

「そんな真逆のアピールすんなや!もっと改心してそうなれや駄女神が!」

「安心してくださいアクア、カズマの服は私が責任をもって綺麗にしますよ」

「任せためぐみん!」

「うあああああああああああっ!!!なんでよおおおおお」

ぐずり始めたアクアを2人でなだめ、俺達はすぐさまこの場を後にした。



10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:33:59.43 ID:eCMFtwqUO

――――


「カズマさん、私は物申します」

始まりの街アクセルへと戻る道中…まだ雪山の中なのだが、アクアがいきなり何かを言い出した。

「スキルポーションを作るって言ってもそんなに数も作れないと思うし、カズマさんがそんななけなしのポイントでスキルだけをとっても魔王なんか倒せるわけがないと思うのよ」

「おいまて」

流石に今のままで倒せといわれても無理だろうなーと思うかもしれないが、対抗できる手段が作れればまた別の話で……

「だいたいカズマさん、今レベル幾つなの?まだ1桁なんじゃないの?」

「なにおう!?20超えとるわボケ女神!!あー、あったまきた!目にもの見せてやる!!!」

「姑息な搦め手しか使えないクズマさーん!正々堂々と女神の私に勝ってみなさいよ!!」

あったまきた。こいつには一回きついのを御見舞してやらねば。

「よーしきた『バインド』ーーーッ!」

「ちょっ、それブレイク出来るんですけど!?」



11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:35:04.61 ID:eCMFtwqUO

そう、ブレイクスペルを使わせるのが目的なのだ。
その詠唱でできた隙を……

「華麗に回避ー!!」

……避けやがった。

「ふふん、カズマさんもまだまだね…奇襲とかいう卑劣な手を使っても、長い付き合いの私には丸わかりよっ!」

なんてこった……回避されたせいで次の手を考え…な……
え、なにあれ

「ロープが…浮いて……?」

なぜか、空中に、亀甲縛りになっているロープが漂っている。
たしかに俺は命中したら亀甲縛りになるようにと組んだが……空中で命中……?

「ほら、どうしたのよカズマ!もう終わりかし……どうしたのよ、カズマだけじゃなくめぐみんまで変な顔して」

「あ…ぁあ……」

めぐみん、気持ちはわかるよ。ごめんなさい。



12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/27(水) 20:35:43.93 ID:eCMFtwqUO
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月27日 21:45
      • いやむしろここからだろ!?
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月27日 22:03
      • タイトルだけでもグッドですたい
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月27日 22:37
      • アセロラってなんだって思ったけどセロリのことね、わからんかったわ
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月27日 22:51
      • このすばSSはどれも再現度高くて
        読んでて楽しいわ

        なんか気取ろうとして書くやつが
        俺ガイルとか書いちゃうのかな
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年04月27日 23:29
      • ※3
        字面だけ見るとスーパーマーケットでの一言に見えるコメントだな。

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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