母親とは、俺が生まれてから少しして離婚したらしい
とーちゃんは、昔からカッコ良かった。ちょっと強面だけど、優しいとーちゃん。
1人で俺を養って大変なはずなのに、仕事で疲れててもいつだって俺と遊んでくれていた
とーちゃんはスポーツゲームが得意で、手加減されても中学ぐらいまではまったく勝てなかった。
友達を家に連れてくと、とーちゃんも一緒にまじる。
ゲームが上手くて、俺の友達にもニコニコ話かけたりするとーちゃん。
初めてとーちゃんをみる友達はみんな怖がるけど、次からはとーちゃん目当てで遊びに来るやつらもいた。自慢のとーちゃん
ハッピーエンドで終わってくれ…
仕事で忙しいはずなのに、お泊まり会とかクリスマス会とか丁寧に準備をしてくれる。
「お前の父ちゃんが羨ましい」
と友達に言われるのが誇りだった。
と言っても、別にケンカしたりするわけじゃない。ただ単に俺が暗い人間になっただけだ。友達も少なくなったし、家に連れてくことも無くなった。
とーちゃんは心配して、「最近どうだ?」と俺によく聞いてきたけど、中学に馴染めずイライラしていた俺は
「ほっといてよ」
と冷たく言い放った。どうして俺はあの時、そんな態度をとったんだろう。自分が憎たらしい。とーちゃんはいつでも味方なのに
そう、俺はイジメの対象になった。毎日数人のクラスのイジメっ子が、俺を弄ったり殴ったりする。
学校をポツポツ仮病で休むようになった。とーちゃんは、「何があったんだ?」と優しく聞いてくれたけど、この時の俺は頑なに口を閉ざした。
ほとぼりが冷めれば、なんとなく、もうイジメられないんじゃないかと思っていたけど甘かった。
その日イジメっ子達にはやっぱりイジメられ、下校時も付きまとわれた。
カバンをたくさん持たされ、泣きそうになってたその時。
「よぉ、>>1!!今帰りか?」
とーちゃんが声をかけてきた。本当なら仕事のはずなのに。
「たくさんカバン持ってるな!お前そんなに力持ちだったか?」
その言葉で、とーちゃんの見た目にビビったイジメっ子達はバツが悪そうに「持っててくれてありがとうな」「次は俺が持つわ」など
と取り繕うように言っていた。とーちゃんは
「そういうゲームは、もう卒業するんだよ」
と声色は優しいが、真剣な眼差しでイジメっ子達を1人1人見つめて言った。
その日はとーちゃんと家まで帰った。何も聞かず、ニコニコしながら「何食べたい?」と聞いてくるとーちゃんをみて、俺は中学入ってから初めてとーちゃんに泣きついた
次の日からイジメはなくなった。
ありがとう、とーちゃん
とーちゃんともたくさん遊ぶようになり、ゲームも互角に遊べるようになった。
前より仕事の帰りが遅くなったとーちゃん。
このぐらいになると、とーちゃんがどんなに頑張ってるのか、どんなに大変なのかをちゃんと理解出来ていた。
俺はアルバイトを始め、家事を覚えてとーちゃんより早く帰ってご飯を作った。
「世界で一番美味いよ」
と俺の作ったカレーを食べて言うとーちゃん。
俺も、とーちゃんのご飯が世界で一番美味いよ
「それはお前の稼いだ大事なお金だ。うちのことはとーちゃんに任せて、お前はそれで好きな物を買え。あまり小遣いあげられてなかったからな。でも、貯金もしろよ」
そんなことない。
小さい頃から、とーちゃんは俺の欲しい物は買ってくれたし、人並みに小遣いもくれた。
俺のために、大好きな酒を減らしてたりしたのも、今ならわかっちゃうんだよ。
アルバイトの金は、最低限しか使わず、家に何かあった時助けられるようにって貯金した。
高校になっても、休日時間ある時は
「キャッチボールするか」
と2人で外に出る。
バッティングセンターでボールをかっ飛ばすとーちゃんの後ろ姿は、どんな野球選手よりもカッコ良く見えた。
流石に高校の頃は、とーちゃんも昔より歳をとったから、運動した翌日筋肉痛になったりしてたけど。
そんなとーちゃんをマッサージするのは俺の仕事
とーちゃんは「金の心配をしないで進学しろ」と言う
俺は「やだ。働いてとーちゃんを助ける」と言う
しばらく対立したけど、勝ったのは俺。
これだけは譲れなかった
「お前と酒飲むの、夢だったんだ」
そう笑うとーちゃんをみて、心底俺はとーちゃんの息子で良かったって思った。
とーちゃんが血を吐いた。
俺はパニックになったけど、急いで救急車を呼んだ。
入院になって、気が気じゃなかった。時間がある限り、付き添った
かなり酷い状態だったみたいで、治るには結構時間がかかるみたい。
「お前のメシが食えないのが一番辛いな」
と笑うとーちゃんに、「じゃあ早く治せよ!!いくらでも作るから!!」と、いつも笑ってくれるとーちゃんみたいに俺も笑った
「良かった」と嬉し泣きする俺に
「お前の子供を見るまで死なねーよ」と笑うとーちゃんに更に泣かされた。
本当に無事で良かった
その頃本当にとーちゃんは仕事大変だったみたいで、しかも仲良かった同僚が仕事中事故で亡くなった。
それが原因だと思う
今の俺の嫁。
とーちゃんは自分のことみたいに喜んでくれた。結婚式の時は、普段全然泣いたりしないくせに号泣しまくって大変だった。
結婚を機に家を出て、嫁と2人暮らしを始めたけど、とーちゃんの顔はよく見に行く
「そんなに頻繁に来なくても、俺はまだまだ元気だから大丈夫」
と言ってたけど、そんなのわからないじゃん。
嫁もとーちゃんと仲良くて、嬉しい
俺にも子供が出来た。「孫が見れた」とまた嬉しそうにしていたとーちゃん。
世界一カッコ良いじーちゃんがいて、俺の子も幸せだと思う。
ありがとう、とーちゃん。
俺もとーちゃんみたいになるよ。嫁も、子供もたくさんたくさん大事にして、良い父親になる。
最高のとーちゃんに、最高の嫁、そして可愛い俺の息子。
本当に幸せです、ありがとう
これで終わりです
引用元:http://www.logsoku.com/r/open2ch.net/news4vip/1461857994/
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BAD ENDじゃなくてヨカタ。