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http://japanese.engadget.com/2016/05/01/8-fm-7-5-pc/


8ビットマイコン『FM-7』が5歳児をトリコにしたワケ:レトロPCの想い出 - Engadget Japanese


こんにちは、元Web担サカモトです。え、お前誰だよって? 今は亡きニュースサイト「週アスPLUS」の作者です。どうしても気になるなら「イース Web担サカモト」でレッツグーグルしてみてください。

突然ですが、みなさんの思い出のパソコンは何でしょうか? 今回はレトロPCなネタについてEngadget編集部さんに寄稿する機会をいただきましたので、8bitパソコン・マイコンについて記憶の引き出しを探ってみたいと思います。

「パソコン」の原体験を振り返るとき、いつも思い出すのは初めてパソコンを見た、幼稚園児だった5歳のころ。当時は珍しいマイコンの前に母親が座って、なにやら入力していたのをおぼろげながらも覚えています。

時は少し遡りまして、1970年代、世にマイコンブームが到来し始めたころ。
今からはちょっと考えられないのですが、キーボードでタッチタイプできること、それ自体が特殊な専門スキルだった時代がありました。若かりし頃の私の母が仕事にしていたのは、まさしくその専門職「キーパンチャー」という職。他の部署で記入された指示のとおりに、データを記録媒体にひたすら入力していたそうです。当時は記録媒体として磁気テープの普及も始まっていたようですが、母はパンチカードと呼ばれる紙製のカードにパンチ穴を開けて2進法でデータ入力していたとのこと。パチンパチンと。


記事中本編に登場する『FM-7』の廉価版『FM-NEW7』。基本性能はほとんど同じだったと思います(画像:Author JCCyC)

そんな母にはサブカル寄りな趣味をもつ弟(私のオジさん)がいまして、マイコンブームに乗ってFM-7を購入します。若者がコンピュータを買ってやってみたいのは、もちろんゲーム! 当時のマイコンでゲームをしたければ、ゲームソフトを買う以外にも、自分でプログラムを組んだり、本を買ってきてプログラムリスト入力したりといった選択肢から選ぶ時代でした。今のように、老若男女がスマホで気軽にゲームができる環境ではなく、コンピュータゲームそのものがまだまだマニアックなものだったのです。



カセットテープとレコーダーを同時に買ったオジさんは、そこでキーパンチャーの経験をもつ母に白羽の矢を立てます。ゲームソフトを買うよりも、リストの載った本を買ってテープに入力したほうが安いと目論んだわけですね。幼稚園児だった私を実家に連れてこさせ、その面倒をみる代わりとして母に入力を頼んだのでした。

リストは廣済堂出版のFM-7プログラミング本「FM-7 ゲーム・ジョイフル・パック」。定番のブロック崩しはじめ簡単なゲームのリストがいくつか収録されていました。


実家から発掘した当時の「FM-7 ゲーム・ジョイフル・パック」。昭和58年(1983年)11月初版、定価1800円で164ページ。



収録ゲームを並べて紹介しているページ。競馬やシューティング、スロットマシン、変則ルールのチェスなどなど。

さて、母が入力したいくつかのゲームを私も遊ばせてもらったのですが、なかでも私の一番のお気に入りは「スラローム」というゲーム。どんな内容かというと、半角記号の「キャラクター "x"」を並べてゲジゲジに見立てた自機を、テンキーで左右に操作して、強制スクロールで画面下からせまりくる障害物の「#」を避けるというもの。

障害物をひとつクリアするとスコアがあがり、一定距離をスクロールすると障害物の数が増えて難しくなっていく。自機の移動スピードは常に一定なので、迫り来る障害物を避けるには先読みしながらの左右移動が必要。加えて、単調ながらも味のあるBEEP音がBGMに流れるというギミックつき。チビっ子でもわかる単純操作と明快なゲームルールが5歳児のハートをわしづかみし、母の実家に行きたがるようになったのです。


キャラクターベースのゲーム「スラローム」。単純そうに見えますが、ちゃんとBGMも流れるのです。


ダンプリストを入力しながら、プログラムが学べる内容。テンキーの7で左、9で右に移動。

その後小学校の入学を迎えた私は、FM-77を購入したオジからFM-7を譲りうけることに。母のインプットした「スラローム」入りテープに加えて、暗黒城(ENIX)、ムー大陸の謎(マジカルズゥ)、ヴォルガード(デービーソフト)、ザ・キャッスル(ASCII)、リグラス(ランダムハウス)といったカセットテープをもらいうけます。

「おれんちで、ゲームで遊ぼうぜ!」と友達を家に呼んだら、LOADコマンド入力してカセットテープを回し、近所の公園で缶蹴りやドロケイしながら読み込みを待つ。30分ほど遊んで家に戻ると、"Device I/O Error"かなにかが出て、またコマンド入力してゲームの起動を待つ。無事に起動していれば、ついにゲーム! だけど画面はグリーンディスプレイ。

「コンピューターゲームは簡単には遊べない、難関をくぐり抜けた先にある限られた楽しみ」

そんな幼少時代でした。


ゲームオーバーになるとスコアが表示されるしくみ。言語は富士通のF-BASIC。

その後はNECの国民機がやってきます。イース、幻影都市、アルシャーク、ブランディッシュ、ダンジョンマスター、ソードダンサー......。キラ星のごとくかけぬけた16bit PCゲーム時代に突入するのですが、それはまた別の話。アディオス、アミーゴス!
8ビットマイコン『FM-7』が5歳児をトリコにしたワケ:レトロPCの想い出
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