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【ディケイド】門矢士「風に乗って」【デレマス】|エレファント速報:SSまとめブログ

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【ディケイド】門矢士「風に乗って」【デレマス】

1: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:11:45.76 ID:CRm0cKEg0

※注意

・仮面ライダーディケイドとデレマス(アニメ)のクロスSSです。ディケイド寄り
・地の文有り
・他ライダーとのクロス要素もあり

[前回]→【ディケイド】門矢士「宇宙が来る」【デレマス】



2: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:13:00.23 ID:CRm0cKEg0



第13話 GOIN’!!! to Ride the Wind




3: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:15:26.89 ID:CRm0cKEg0


フェスを目前に控えた8月の中頃。シンデレラプロジェクトは、新曲の収録を終えた。
ユニットごとのパフォーマンスに始まり、プロジェクト全体でのダンスや歌等、シンデレラプロジェクトとして出来ることはほぼやった。

そして、フェスの前日。
346プロの貸し切った会場近くのホテルで、調整や打ち合わせ等をしつつ、皆が翌日を楽しみに待っていたのだが門矢士だけは違った。

士「…………」

未央「…つかさん、どうしたの?」

卯月「さぁ…。朝からずっとあんな感じです…」

現在時刻は正午を少し過ぎた頃。
シンデレラプロジェクトがミーティングルームとして借り受けた、広めの一室。
長い脚を組み、椅子に深くもたれ込む士は、ずっと仏頂面だった。

凛「仕事が上手く行ってない…っていうのは、ありえないよね」

蘭子「…まさか、異界の者たちの訪れが?」

みく「ええ…。それは困るにゃあ」



4: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:19:59.38 ID:CRm0cKEg0

士は今、謎の感覚に囚われていた。

一言で言うなら、鬱陶しい。朝から頭の奥で何かが鳴っている。龍騎の世界で感じた、戦いを知らせるあの音に酷似していた。
敵の攻撃だと思うが、あまりにも地味。精神干渉にしても、弱すぎて効果がない。
しかしそのままではいられないので、士は面倒くさげに口を開いた。

士「…お前たちの中に、変な感覚のヤツはいるか」

「「「え?」」」

士「頭の奥で何かが鳴ってるような、そんな感覚があるヤツはいるか」

士の問いに、全員が「?」を浮かべた。士の問いも要領を得ないので、当然と言えば当然の反応なのだが、士にもそう言う他ない感覚である。
とにかく、その反応から、士は少女たちの中に該当者がいないことを察した。

みりあ「何かあったの?」

士「…朝からずっとこうだ。何かが感覚に引っかかる。敵の攻撃か…?」

きらり「士ちゃん、大丈夫ぅ…?」

莉嘉「働き詰めでお疲れ、とか?」

士「いや、そんなことは全くない」

普通の人間ならいざ知らず、士は働き詰めで参るほど弱くはない。社会人としては規格外とも言える体力の持ち主だ。
故に、体調不良と言う線は最初から捨てている。だからこそ、この現象が気になるのだ。



5: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:24:23.71 ID:CRm0cKEg0

李衣菜「あの。それでもし、また敵が来たら、士さんは…」

士「戦うしかねえだろ。このタイミングで敵が来れば、そいつが原因だろうからな」

その時、士にしか聞こえない音が、突然大きくなった。
それは攻撃と言うよりは、何かの“報せ”であるかのように、士の中で次第に存在感を増していく。

士「…………何かが来てやがる」

その場にいる全員の表情が、一瞬で強ばった。プロデューサーとて例外ではない。
もし大規模な戦いになれば、明日のフェスに支障が出るかもしれない。
そして、もし誰か一人でも巻き込まれてケガでもすれば、その時点で“全員でステージに立つ”という目標も叶わなくなってしまう。

何人かはそこまで考えているであろう、と、士は表情から読み取っていた。

椅子から立ち上がった士は、自分の感覚を頼りに歩き出す。

P「門矢さん、自分に何かできることはありますか」

士「敵はまだ来てない。だが、そう遠くないうちに現れるだろう。なるべく早く片付けるが、可能な限りここから人を出すな。いいか」

P「分かりました。皆さんも、門矢さんの指示通りにお願いします」

「「「はいっ」」」



6: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:27:16.82 ID:CRm0cKEg0

外へ向かう途中で、士は様々な人間とすれ違う。
多くはスタッフだ。今回のフェス開催に向けて、彼らもまた陰ながらにアイドルたちを支え続ける存在だ。
フォーカスされることは無いだろうが、彼らには彼らの物語がある。それらも守るため、士は歩を進める。

ホテルの外に出た士は、裏手の駐車場で足を止める。そして、ディケイドライバーを装着した。

士「変身」

変身が完了すると同時に音が収まり、オーロラが出現して戦闘員・マスカレイド・ダスタードたちが現れた。
落ち着き払った態度で手を払い、ライドブッカーを握りしめる。士のもう一つの仕事が始まった。



士「雑魚だけか…。何かの作戦か?」

5分程度で敵を全て片付け、士は変身を解除した。

奇妙な音に導かれるようにして戦ったが、今思えばあれは世界が発した敵の襲来のサインだったのだろうか。
となれば、戦いが続く限り、それが今後再び起こる可能性は高い。

ただ、これまでのように行き当たりばったりに戦うよりは、事前に対策を立てられる分幾分マシだ。



7: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:31:01.93 ID:CRm0cKEg0

だが今、士にとってそんなことはどうでもよかった。
彼の中で問題になっているのは、先ほど少女たちが見せた表情についてだった。

士「慣れてきている…か」

プロデューサーをはじめとした何人かは、敵が出現した際に「恐怖し怯える」という段階を脱している。
それによって何が起こり得るか。どう行動すればいいのか。それを瞬時に考えられるようになっていた。
それは本来のこの世界では要らない思考だ。やはり士が戦うことで、世界の枠組みは徐々に歪み始めている。
目に見えてそれが分かるのが、士としては歯痒かった。


何事もなかったかのように戻ってきた士を、シンデレラプロジェクトの面々が拍子抜けした表情で出迎えた。

未央「あれ?思ったより早かったね」

士「雑魚ばかりで、多少は戦えるやつがいなかったからな」

そうして、いつものようにソファにふんぞり返る。その様子を見て、全員がほっと息を吐いた。



8: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:33:30.15 ID:CRm0cKEg0

だが、まだ懸念事項はあった。

みりあ「明日はどうなるのかな」

士「……さあな」

今日も大切だが、彼女たちにとって一番大事なのは明日のステージだ。そこに敵が来ればステージは台無しになってしまう。
アスタリスクの二人の初ステージも、一人の人間の暴走でぶち壊されてしまった過去がある。警戒するのは当然の事だった。

P「天気は問題ありません。大きなトラブルも無ければ、予定通りに進行できるはずです」

士「何かあれば俺たちが対処する。あまり考えすぎるな」

敵が来るかどうかは、その時にならなければ分からない。先の予想が正しいのなら、来る時にはまたあの音が聞こえる。
明日戦うことが無ければいい。しかし、そういう時にこそ敵が攻めてくることが多いのも知っている。だから士は戦うことを覚悟していた。



9: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:35:37.30 ID:CRm0cKEg0


今日はそれ以降に敵が来ることも無く、粛々と過ぎていく。

女子寮組はさておき、そうでない者たちは初めてプロジェクトメンバー以外と同じ屋根の下で過ごすことになる。
そのことに、少女たちは多少浮足立っていた。

夕食後。プロデューサーと士が会議で部屋を離れている間、プロジェクトの部屋に集まった少女たちの中で、莉嘉が提案した。

莉嘉「ねーねー!みんなで何かしない?」

みく「何かって何にゃ」

莉嘉「うーん…、トランプとか」



10: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:37:41.81 ID:CRm0cKEg0


今日何度目かの会議が終わり、やっと解放された士とプロデューサー。2人はホテルのラウンジで、揃ってコーヒーを飲んでいた。

旨いが、士には少し物足りなかった。
長い旅の内に、コーヒーは栄次郎が淹れるものが当たり前になっていたせいだろうか。
ここ最近は光写真館に戻っても、栄次郎のコーヒーを飲む時間すらなかった。仕事が多忙を極めていた証拠だ。

士「…………」

P「門矢さん、どうかしましたか」

士「明日のフェスが終われば、あいつらはさらに注目されて、仕事も増えるだろうな」

P「そう…ですね。そうなればいいと、思っています」

そう答えた対面のプロデューサーは、よく見れば分かるくらいの微妙さで微笑んでいた。
だが、彼の表情は突如一変して、いつも通りの固い表情になってしまう。

P「門矢さん。……明日は、どうなるでしょうか」

士「何とも言えない。だが、予想する限りじゃ敵は来る」

こんな会話をしなければならないのが残念でならない。
本当なら明日の天気を心配するとか、誰それのコンディションは問題ないかとか、そう言う話になるはずなのだ。
それでも今は必要なことだからと、士はプロデューサーには包み隠さずに話をする。



11: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:38:30.77 ID:CRm0cKEg0

士「昼間話したが、敵が来れば恐らく分かる。明日もしそうなったらお前には知らせる」

P「他の方には、私の裁量でお伝えしてもよろしいのでしょうか」

士「まず信じる奴の方が少ねえだろうがな…」

それきり、プロデューサーは黙り込んでしまった。いつもの癖で、手が首の後ろを押さえている。

士「…あくまで予想だ。そう今から構えすぎるな」

コーヒーを啜る。豊かな苦みが、口の中一杯に広がった。きっと、目の前の男もこんな風に苦い思いをしているのだろう。

ゆっくりとした動きでカップを持ち上げ、口をつけるプロデューサー。一息ついた彼の目には、少しだけの余裕があった。

P「…はい。明日も何卒、よろしくお願いします」

士「ああ」

2人は共に立ち上がり、様子を見るためにプロジェクトの部屋へ向かった。



12: ◆7ALWpexvKs 2016/04/30(土) 21:40:10.26 ID:CRm0cKEg0


その頃、2人が戻って来る事など少しも知らない少女たちは、トランプゲームからガールズトークに移っていた。

何人かは顔を真っ赤にして突っ伏し、何人かはガチガチに固まったまま一言も発さない。
そんな中、割と平静な未央が莉嘉とみりあを相手に話をしていた。

莉嘉「未央ちゃん、Pくんと士くんに色々と助けてもらったんでしょ?そーゆーところから、好きになったりしないの?」

未央「うーん、ちょっと違うかも。プロデューサーにも、つかさんにも感謝してる、って言えば良いのかなぁ」

みりあ「どうして?」

未央「プロデューサーは、私がその…、やめるって言っちゃっても、ちゃんとやり直そうって言ってくれたんだ。今もあの時のことは忘れてないよ」

未央「つかさんは、私が怪物になっちゃいそうなところを、ギリギリで止めてくれた。みんなと一緒にいられるのは、2人のお陰なんだ」

未央「だーからっ、明日は2人に恩返しする場でもあるんだ。しまむー・しぶりんと一緒のステージで、今度こそ見てくれる人を笑顔にするから」

あの時のことは、当事者の未央・プロデューサー、そして士の3人以外には口頭でしか伝えられていない。
話を聞いただけでは、未央がどれほど2人に感謝しているのは伝わり切らないだろう。それほ
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年05月03日 22:02
      • 新作か!待ってた!
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年05月03日 22:28
      • あとはオーズ、ウィザード、鎧武か。なんだかんだ楽しく見てるし、次のにも期待。
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年05月03日 22:41
      • ディケイドのメアリースーまだやってたの?自己満足。
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年05月03日 22:41
      • 二期ストーリーにも続いてくれて何より。常務(当事)との絡みもあるのか期待。
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年05月03日 23:03
      • 写真館があるなら夏ミカンとユウスケはどうしてんだろう?

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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