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http://japanese.engadget.com/2016/05/04/ipad-pro-9-7-apple-sim/


iPad Pro 9.7インチ版の内蔵Apple SIMを海外で使ってみた(週刊モバイル通信 石野純也) - Engadget Japanese


「iPad Air 2」から対応の始まったApple SIMですが、3月31日に発売された9.7インチ版の「iPad Pro」では、SIMカードを差し替える必要がなくなりました。9.7インチ版iPad Proでは、Apple SIMが本体に内蔵されるようになったからです。これによって、iPadを出張などで外に持ち出した際の利便性が、大きく上がっています。さっそく、海外出張する機会があったので、その機能を試してみました。

iPad ProでApple SIMを使ってみた

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その前に、Apple SIMとはどういうものなのかを、ここでおさらいしておきましょう。Apple SIMとは、その名のとおり、Appleが発行するSIMカードのこと。最大の特徴は、"書き換え可能"なところにあります。その書き換え機能を持っているのが、先に挙げたiPad Air 2や、iPad mini 3/4、12.9インチ版のiPad Pro、9.7インチ版のipad Proというわけです。これによって、海外に行ったときは、現地の通信事業者と直接契約して、割安なデータプランを使うといったことが可能になります。

Apple SIMのような、中身を書き換えられるSIMカードは、「e-SIM」としてグローバルで標準化が進められています。SIMという名前はついていますが、カードではなく、端末に内蔵されたデータを書き換える仕組みが想定されており、欧州の一部キャリアではサムスンのスマートウォッチ「Gear S2」に、キャリアの設定を書き込むサービスがスタートしています。業界関係者の話をまとめると、Apple SIMに関しては、おそらく独自の方式で、似たようなことを実現しているとのこと。9.7インチ版のiPad Proでは、端末に内蔵され、さらにe-SIMの形に近づきました。

実用化間近ということもあり、2月のMWCでもe-SIMのデモを多数見かけた
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筆者は、4月下旬に訪問した韓国で、iPad Proを使用。空港に着いて、バスで移動している最中に、Apple SIMを設定してみました。

通信するためには、初期設定が必要です。とは言え、内蔵SIMのため、SIMカードの抜き差しは不要。日本から持ってきたiPad Proの電源をそのままオンにすると、電波をつかみます。この状態で、「設定」を開き、「モバイルデータ通信」をタップします。筆者は日本でApple SIMにauを設定しており、同時にSIMカードスロットにSo-netの「0 SIM」を挿しているため、以下のように表示されます。

「設定」の「モバイルデータ通信」を開く


ここで試しにauやドコモをタップしてみましたが、国際ローミングに対応していないプランのため、やはり通信はできませんでした。通信するには、Apple SIMの書き換えが必要になります。ここでは「新規プランを追加」をタップ。すると、画面が現れ、対応している通信キャリアが表示されます。

「新規プランを追加」を選ぶと、対応キャリアが表示される


韓国では、日本のように、現地キャリアと直接契約することはできず、ローミング専用キャリアが2つ表示されます。1つが「AlwaysOnline」。もう1つが「GigSky」です。このどちらかと契約すれば、データ通信が使えるようになります。

なお、国によっては現地キャリアと直接契約ができるApple SIMですが、残念ながらその数はあまり多くありません。筆者が現在確認している限りでは、アメリカやイギリス、日本のみ。そのほかの国では、ここで紹介したような、ローミング専用キャリアしか選択できません。

もちろん、Apple SIM対応のすべての国を確かめたわけではないため、ほかにもまだ対応しているところはあるのかもしれませんが、現状では情報が限られているのも事実。アップルのさらなる情報公開に期待したいとともに、対応国、対応キャリアは、もっと広げてほしいと感じています。

少々話がそれてしまったので、閑話休題。Apple SIMの契約の件に、話を戻しましょう。今回は短期出張で、メインの回線は別に確保していたので、iPad用のデータプランは低容量でOKです。AlwaysOnlineとGigSky、それぞれの料金プランを見比べてみましたが、どちらかと言えば前者の方が細かく、利用シーンにあったものを選択しやすい印象を受けました。Always Onlineは、1時間単位、1日単位、容量単位と3つの方式から選べます。

1時間、1日、容量単位のプランを用意する「AlwaysOnline」


これに対し、GigSkyは容量別の料金プランが分かれており、それぞれに有効期限が設定されています。料金は100MB、1800円から。最大が1GBプランで、6000円かかります。2つのキャリアを見比べた結果、上記のような事情があったため、今回はAlwaysOnlineで、1時間プランを契約し、サッとメールを確認してみることにしました。

「GigSky」には、容量別に4つのプランがある


AlwaysOnlineを選択し、プランを選んだら、アカウントを作成します。ここでは、クレジットカード番号や住所、名前などを入力。アカウントの作成が終わったら、実際に支払いを済ませます。しばらくすると、iPadの左上に表示されているアンテナマークの横の文字が、「iPad」から「AlwaysOnline」に変わり、通信ができるようになりました。

アカウントを作成し、データプランを購入


アカウントが有効になり、通信できるようになった


契約時には、「この国はおそらくLTEに非対応」と書かれていたため、3Gになることを覚悟していましたが、アンテナ部分の表示や通信速度を見る限り、おそらくLTEで接続しており、レスポンスも悪くありません。チェックしようと思っていたメールも、すぐに確認できました。

アカウントを開くと、残りのデータ容量などを確認可能

AlwaysOnlineの1時間プランは、20MBまでデータ通信が可能。メールを見ただけで、この容量を使い切ることはできませんでした。そのため、メールチェック後は、Webを見て時間をつぶしていました。そうこうしているうちに、20MBを使い切ってしまいました。容量がなくなると、画面にアラートが表示され、以後一切通信ができなくなります。

LTEで接続でき、Webもスムーズに表示された


さらに使い続けると、アラートが表示され、データ通信ができなくなった


さらにデータ通信を続けたいときは、「設定」の「モバイルデータ通信」を開き、「データを追加」からデータ容量を追加すればOK。今回は、これでいったんiPadでの通信は打ち止めにしました。

使ってみて分かったのは、やはりApple SIMが内蔵されているのは便利だということ。海外に着いてすぐに、割安な通信プランを契約できるのは、魅力的。空港でSIMカードを探し回る必要もありませんでした。

一方で、これは国にもよりますが、やはり現地のキャリアと比べると、通信料は割高になります。韓国のように、国際ローミングキャリアしかない国では、利用価値が半減してしまうのは大きなデメリット。これに関しては、より多くのキャリアを巻き込めるよう、アップルのさらなる努力が必要になります。

また、AlwaysOnlineの設定を書き込むまでの間、頻繁にエラーが発生した点は、少々気になりました。移動しながら設定したのがよくなかったのかもしれませんが、正常にキャリアが表示されるまで、何度か設定を繰り返さなければなりませんでした。筆者はできるまで試してみるタチですが、これだけ失敗を繰り返すと、「壊れたのでは......」と思ってあきらめてしまう人もいるでしょう。この部分の安定性向上も、今後の課題と言えるかもしれません。

iPad ProでApple SIMを使ってみた

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