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結婚するには若すぎる。ネパールの幼な妻たち : カラパイア

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 ネパールのカトマンズ郊外に暮らすデゥルガ(25)と妻のニルタ(23)。この若夫婦は8年前、わずか14歳と16歳で結婚した。ネパールは子どもの婚姻率が非常に高い国のひとつだ。少女の41%、少年の11%が18歳以下で結婚する。

 デゥルガたちが結婚した日には、寺院ではほかにも何組かの同世代の子どもたちの結婚式が行われていた。ドゥルガの父親は、息子が教育も受けずにあまりにも若くして結婚することに反対していたが、ドゥルガの母親が亡くなってしまったため、家族は家の中でも、畑でも人手が必要だった。そのため、ふさわしい若い花嫁を探さざるをえなくなったのだ。
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 2007年に16歳のドゥルガと結婚したときの14歳のニルタ。

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 現在3人の子どもの母であるニルタ。住まいの小屋の中で末っ子のクザン(11ヶ月)に授乳している。彼女は子どもや家畜の世話をしながら、ここでほとんどの時間を過ごす。

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 2014年、とてつもなく急な斜面での長時間農作業をしているせいか、ふたりはだいぶ年をとったように見えたが、8歳と5歳の子どもも授かり、幸せそうだ。「自分の子どもには、こんなに早くに結婚させない」とドゥルガは言う。「教育を受けないと、ぼくたちのようになってしまうか、さらに状況は悪くなる」

 彼らの心配は正しかった。2015年4月25日、ネパール大地震が起こったせいで、子供の婚姻率が増えているのだ。

 ドゥルガとニルタは、地震はもちろんのこと、普段からの困難にもほとんど対処できていなかった。地震の数カ月前に、ニルタは3人目の子を妊娠したことがわかり、夫に内緒で中絶しようとした。中絶は、若くして結婚させられ、避妊方法についてなにも知らない少女たちが頼る共通の手段なのだ。

 だが、手術は大量失血を伴い、ニルタの命は危険にさらされた。「お腹じゅうが痛くて、今にも死んでしまいそうでした」ニルタは言う。しかも手術は失敗で、胎児は無傷で残り、ニルタはまだ自分の妊娠が終わっていないことに気がついた。すでに中絶できない時期だったため、そのまま地震の数週間前に出産したのだ。

 そのすぐあとに、ドゥルガの父親が3年にわたるガンの闘病の末、亡くなり、治療費のための多額の借金が、夫婦に残された。さらに悪いことに、父親が口約束で購入した農地をめぐって裁判中だった。教育も経験もない若い夫婦は、裁判に負けて土地の半分を失い、大打撃を受けた。

 そのうえこの壊滅的な地震が追い打ちをかけ、誰が見ても彼らの子どもたちの未来は危ぶまれている。「言うのも恥ずかしいが、当時、ぼくたちは食べるものさえなかった」ドゥルガは言う。隣には長女のスミトラがいて、彼女は10歳なので嫁がせるにはまだ早いが、その可能性がないわけではない。

 両親が農作業で忙しいため、スミトラが家族のための食事を作るもことも多い

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 2015年の地震で発生したがれきの上で、ドゥルガとニルタの帰りを待つ7歳のスシルと10歳のスミトラ。

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 娘のクザンにキスするデゥルガ。そばにはスミトラが座っている。「彼は子供たちの中で末っ子を一番かわいがっている」とニルタは言う。ドゥルガはクザンを医者にしたがっているという。

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 水牛のための新鮮な干し草を運ぶニルタ。十代で結婚した当初のことを思い出して話してくれた。「初めの三ヵ月は恥ずかしくて、彼の家でとても居心地が悪かったわ。でも、彼の妹が、心配しないで、一緒にいて助けてあげると言ってくれて、すべてを教えてくれた。彼女がいなかったら、今わたしはここにいないでしょう」

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 ほかの村人たちの協力で、木材やじゃがいもを自分のトラックに積み込むデュルガ。スミトラもトラックに乗っている。ひと晩かけてカトナンズまで走り、これらを市場で露天商に卸す。

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 結婚式の祝宴を準備する家族の様子を見守る、16歳の花嫁アニータ。

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 花婿の家に運ばれるアニータ。

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 隣人の家で両親の帰りを待つ、スシルと姉のスミルタ。

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 末娘を抱いて家族と一緒に住んでいる小屋の前に座るドゥルガ。ここで、水牛や鶏、ヤギも一緒に飼っている。

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 小屋の中のニルタとふたりの子どもたち。ニルタはここで大半の時間を過ごしている。病気も家族に襲いかかる苦難のひとつだ。クザンは去年深刻な下痢を起こした。「重症だったので、カトマンズの病院に連れていきました。薬代に1000ルピーかかりましたが、効かなかった。お金がなかったので、地元のシャーマンのところに連れていったら、黒い雄鶏を生贄にするよう言われました。そうしたら回復したんです」

 地元の学校の副校長チャークラマン・シュレスタ・バラミによると、早くに結婚する人たちが、貧困の悪循環に陥ることが多いのは確かだという。


Too Young to Wed: The Secret World of Child Brides nytimes・translated konohazuku / edited by parumo

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 22:40
  • ID:yFXhfkzp0 #

昔の日本も10代初めで結婚してた・・・

2

2.

  • 2016年05月10日 22:41
  • ID:BQeXvnBt0 #
3

3.

  • 2016年05月10日 22:44
  • ID:uQgpzmwt0 #
4

4. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 22:49
  • ID:3k005Dpj0 #

幼児婚は、私にとっては容認できない習慣のひとつだ(他には女性器切除、人身売買など)
しかし、今のところ彼等に他の選択肢はない。慈善団体は悲惨な環境に押し潰されそうな子供をカメラで追い、「医者になりたい」「教師になりたい」と言わせるのが好きだけれど、そういう団体に小銭を送って、果たしていくら子供に渡るのか?
そういうCMの子供達のうち、誰か教師に、医者になれたのか?
私は、何を、すべきだろうか?
以前から考えてきたし、今も考えている。これからも考えるだろう。

5

5. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 22:49
  • ID:go0gV7Q90 #

14の時なんて来週のジャンプのことしか考えてなかったな

6

6. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 22:51
  • ID:.YSgbFDL0 #

結婚が早いから幸せとは限らないんだな。早婚の奨励されてる国は、働き手が欲しい貧しい国

7

7. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 22:55
  • ID:m4ktT7BZ0 #

貧しい国ほど老化が早いから早めに結婚して出産しないと子孫を維持できないけど、そうすることで貧困が固定化してしまうという悪循環。

8

8.

  • 2016年05月10日 22:59
  • ID:9IbM8Abb0 #
9

9. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:02
  • ID:5ey2BrXPO #

早婚の前に基礎教育を受けてないから流されるままに貧困が連鎖し続けているようだ

10

10. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:05
  • ID:i.SDum2t0 #

夫婦お互い助け合って生きてるみたいだし 貧しくて不運も多かったんだろうけど 結婚自体が不幸な物だったとは思えない

11

11. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:16
  • ID:aM9b.PVI0 #

この年齢で結婚するのはネパールの常識かもしれないけど、日本じゃ犯罪になってしまう。
でも、日本人の物差しで測るのは、先進国のおこがましさを感じる。
国ごとにそこでの習慣や常識は違うから、こういうのは凄く難しい。不必要に関われば過干渉になるし、向こうの人たちの反発も買うだろうね。「そっちの文化を押し付けるな」って。

ネパール政府とネパール人達が今後彼ら自身でどうするか決めるしかなさそう。
僕らがどうこう出来るものじゃない気がする。

12

12. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:19
  • ID:cj1VssAj0 #

ままならない生活だなぁ

13

13. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:28
  • ID:nyJqDvS.0 #

でも、この夫婦は同じくらいの年齢なので、
少女がじいさんの元に嫁がされるよりは、
ちょっとだけマシに思えてしまう。

14

14. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:34
  • ID:9G7jfIe20 #

早いか?先進国が異常に遅いだけだろ。
あと実際問題として年取ると妊娠しににくなるよね。10代の子なら簡単に着床するのに、年取ると何回やっても出来ない。
羊水は腐るって表現が昔あったけど、強ち間違ってないよね。

15

15. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:35
  • ID:SRh7O55j0 #

子供を産みすぎることが問題なんだろ。
人頭税でもつくれば?

16

16. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:36
  • ID:gwjEB5Tn0 #

※10
これが恋愛結婚とかで、男女互いに納得づくのことならそうも言えるが、彼らは貧困や労働力不足のために意に沿わないまま引き合わされ、結婚せざるを得なかった。子供には早すぎる結婚をさせたくない、教育を受けさせたいと願うのは、自分がそうでありたかったことの裏返しだろう。それを無視して、「結婚自体が不幸ではない」と論点をずらすのは卑怯だ。
結婚自体が不幸ではなくても、早すぎる結婚は子供たちの学ぶ機会を奪って、子供のまま働かされ、子供を産まされ、育てさせられ、貧困からのがれられなくされてしまった。これは間違いなく不幸なことだ。

17

17. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:38
  • ID:m5jVLkPs0 #

生物的には10代の中盤くらいから子孫を残すのが適正かもしれないけどさ。
無知なまま結婚生活を送らされるのも可哀想だね。
とは言っても、人間の教育方法が日本では学校教育で16年くらいかけて育てるようになってるから、普通に働いてから結婚すると30歳近くなる。

すると子供が欲しくても中々出来ない人が増えてくる年代になってしまう。
うまくいかないねぇ。

18

18. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:41
  • ID:bMnveSzI0 #

伊達政宗は12才で結婚してる。奥さんは当時10才。夫婦生活は数年後までお預けしてるけど、その奥さんが最後に子供産んだのが40才。当時の人生は50年だからね。
前田利家は22才で奥さん13才で子供産んだ。
イスラムの男尊社会で13才ぐらいの幼女が結婚初夜で死んだとかあるけど、女性をまともに守れない社会は男に威張る資格はないね。不倫も女性のせいにされる社会。

19

19. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:41
  • ID:e5ab.zGU0 #

こういう地域で
現地の人々の文化や生活に悪影響を与えずに
支援する一つの方法は、
灌漑の技術を伝えることだと思う。
灌漑は、世界のどの地域でも必要な最低限のインフラだから。
それを現地の人が利用・運用してそれぞれの文化や生活を豊かにしてもらえたらいいと思う。

20

20. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:41
  • ID:iIck7xHf0 #

「結婚は個人の自由」と言っていたら
みんな結婚しなくなってしまった日本と
どっちが不幸せなんだろうね。

21

21. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:43
  • ID:uW.jMZDP0 #

若くして結婚した、全世界の全ての幼い夫婦達が、幸せな結婚生活を遅れますようにと、願わずにはいられない。

22

22. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:49
  • ID:zpXwvl8p0 #

沢山働いてるのにこんなに貧国なのは、物価が安すぎるため?

23

23. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:51
  • ID:eK978eT60 #

中東やインドの高齢爺相手の幼妻とはまた違った、男女とも幼いままで結婚してしまうパターンか…
読んでて切なくなった
どうにかならんのかなあ

24

24. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:56
  • ID:BPBK5HY00 #

これも悲惨だけどまだ若い者同士な分ましなのかも。
成金のおっさんに金で買われるような形で結婚させられてる少 女とかなんでこんな事がまかり通るのかって思う。

25

25. 匿名処理班

  • 2016年05月10日 23:59
  • ID:24DnBsm40 #

この例は16歳と14歳だからまあまともそうに見えるけれど
実際には父親ほども歳の離れた男に嫁がされる女の子が多いんでしょ…?

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