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アメリカ、カリフォルニア州に触るものみな傷つけていた野良犬がいた。ジャーマンシェパードが入った雑種のレックスは、他の犬とケンカをしていたとか、猫をかみ殺していたとして保護施設に通報が入り、施設で保護された犬だった。
そんなレックスを引き取ったのが現在の飼い主のエド・ガーノンさんだ。ガーノンさんは当時のレックスについてこう語っている。「彼は野良犬として生き延びなければならなかった。そのためには狩りもしなければいけなかったんでしょう」
ガーノンさんに引き取られたレックスは、とても穏やかになった。暖かい愛情に包まれ、何不自由ない幸せな生活を手に入れたのである。その1ヵ月後、今度はレックスが「恩送り」をすることとなる。レックスは傷ついて動けなくなっていた小さなハチドリをどうにか助けようとしたのだ。自分が助けてもらったように。
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06 19 15 Hummingbird Tormenting Rex
レックスはこの日、いつものようにガーノンさんと一緒にお散歩を楽しんでいた。
ふとレックスは何かに気づき立ち止まった。レックスの視線の先にあったのはアリが体中に群がっている小さなハチドリだった。ガーノンさんはそれを見て、「かわいそうだがもう死んでいるだろう」と思い再びレックスを促し歩き出そうとしたが、レックスは頑としてその場から動こうとしない。
心配そうにハチドリを見つめその場を動こうとしないレックス。そこでガーノンさんがその鳥に近づいてよく見てみると、その鳥はかろうじて生きていたのだ。
全身をアリに覆われ、羽毛もない状態だったが、小さな体ではかない命を必死に繋ぎとめようとしていた。1ヶ月前までは人々から危険な犬だと言われていたレックスがこれほどまでに気にかけ、心配そうな表情を浮かべている。そんなレックスを見たガーノンさんは全力でこの鳥を救おうと試みた。
ガーノンさんはこのハチドリをすぐさま獣医のもとに連れていき、起きている間は毎日15分おきに特別に処方された薬を与え続けた。
「まさか自分がこんなことをするなんて一生考えられなかったことです。すべてレックスのおかげです。世界中が殺したがっていたあのレックスがハチドリを救いたいと私に訴えてたんですから。だから、私は最後まで諦めずに頑張ってこの鳥を助けようと思ったんです」
ガーノンさんは数週間つきっきりでハチドリを看病した。その甲斐あって、ハチドリは元気を取り戻し、すぐに飛べるまで回復した。
「まるで家の中にティンカーベルがいるみたいだ」と、ガーノンさんはハマーと名づけたこのハチドリをとても可愛がっている。
ハマーは、レックスが自分を救ってくれたことを理解しているのか、レックスに絶大な信頼を寄せている。隙を見てはレックスにキスまでしようとしているのだ。ハマーはレックスにベタ惚れで、常にレックスの側にいて離れようとしない。
「レックスがどこにいてもハマーは彼にくっついて来ます。レックスが餌を食べている間は、彼の飲み水用のボールで水浴びをしながら食べ終わるの待っています。そしてレックスが食べ終わると、一緒に遊ぼうと誘うんですよ。とても不思議な光景ですが、同時に感動的でもあります」
今では完全に犬の王子様レックスしか見えていないハマーだが、彼女が成長するにつれ、自分に相応しいパートナーを見つけてくれることをガーノンさんは願っているという。
「もう巣立ってもいい頃なので、いつも窓やドアを開けっぱなしにしています」
ただ、その日がくるまではハマーはレックスの周りを飛び回って喜びと感謝の気持ちを全身で表現し続けることだろう。
「私は犬を救いました。その犬が鳥を救いました。そしてその鳥は、ある意味で私たち全員を救ってくれています。これは奇跡です」ガーノンさんは感慨深くそう語ったという。
注:ハチドリは野生動物である。今回は非常事態だったようだが野生動物は原則として個人が飼育できないことになっている。もし自分で育てる場合には役所に届けを出そう。放鳥を前提として30日までなら飼育が許可される場合もあるそうだ。
via:losangeles・thedodo・dailymailなど。translated melondeau / edited by parumo
「恩送り」とは誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送るという意味だ。そしてその送られた人がさらに別の人に渡すし、そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくことで、社会に善の連鎖が起きるのだ。
ガーノンさんに助けてもらったレックスは、もちろんそんなことを意識していたわけではないだろう。だが、人のやさしさに触れたレックスは、確実にそのやさしさを別の生き物に向けたのだ。誰かに救われた誰かが他の誰かを救う。他者に向けられるやさしさはこうして繋がっていくのだ。
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コメント
1. 匿名処理班
全ての生き物には、他を愛するこころがあると思う。
思いたい。
2. 匿名処理班
いっぺんナマで見てみたい
3. 匿名処理班
蟻さん…
4. 匿名処理班
俺も丸くなったもんよ・・・フッ
5. 匿名処理班
優しい世界
6. 匿名処理班
優しい顔をしている・・・
7. 匿名処理班
泣いた
8. 匿名処理班
ガーノンさんの愛情がレックスに伝わり、レックスはハマーに愛情を伝えることにしたんだね!愛の連鎖は美しい
9. 匿名処理班
なんか泣ける話だ
人の愛情を知って優しくなった元ヤクザのような感じかw
10. 匿名処理班
ホバリングすげえ
11. 匿名処理班
ハチドリのホバリングを間近でじっくり観察できるなんてうらやましい
12. 匿名処理班
よくも助かったものだな、小動物の生命力は儚いのか強靭なのか…
どちらにせよ愛がかったのだ
13. 匿名処理班
情けは人の為ならず、か
14. .
野生動物が怪我をして落ちていても拾ってはならない
15. 匿名処理班
誰も蟻には無関心w
16. 匿名処理班
実際処置したのは人間だけど、助けようとした犬の意志が鳥に伝わるのがスゴイ
鳥も懐くし人を見分けたりするのはわかるけど
初めて出会ったのに状況や立場まで判断して覚えてるってことだよね
瀕死なのにいろいろスゴイよ
17. 匿名処理班
ハチドリはカナダで幸福を運んでくる鳥と言われてるよ
18. 匿名処理班
レックス お前だったのか。荒くれ者なのに 心優しいのは。
19. 匿名処理班
※13
い、意味が違くないか?
20. 匿名処理班
あら、羽音しないんだね
21. 匿名処理班
恩送りって表現、初めて聞いたんだが…。
22. 匿名処理班
疲れてんのかな
涙腺の蛇口がゆるいわ
23. 匿名処理班
カリフォルニアにハチドリ居るんですね〜。
勉強になりましたわ。
24. 匿名処理班
私も涙もろくなったものだわ…
25. 匿名処理班
※21
wikiにもあったよ
自分は
26.
27. 匿名処理班
※21
wikiにもあったよ
自分はpay it forwardから生まれた言葉だと思ってたけど
日本には昔からあったらしい
28. 匿名処理班
※13
……周りあっての我が身なれ。
29. 匿名処理班
怨なら送ってっかも・・・怖っ俺。
30. 匿名処理班
※19
いやあってるだろ、廻り廻ってみんな幸せ
31. 匿名処理班
日本には、鳥獣保護法があるから野生の鳥の扱いは慎重にしないといけないね。
32. 匿名処理班
※14
野生生物は自然の摂理に任せて人間が勝手に手を出してはならないという事が言いたいのかな?
それも一理あるけれど、人はそれぞれ自分が正しいと思うことをそれぞれの判断と責任でやれば良いのではないかな?
ガーノンさんはそれを献身的にやり遂げたからこそ今のレックスやハマーがいる。
しかも彼は、最終的に救われたのは我々だったと話している。
とても深い言葉だと思う。
感情が過ぎてもいけないが、理性に囚われすぎると大切なモノを見失う事もあるよ。
33.
34. 匿名処理班
ティンカーベルがいるみたいか
なつきやすいみたいだし飼ってみたいなぁハチドリ
35.
36. 匿名処理班
※15
蟻「餌とるなよ」
37. 匿名処理班
ハミングバードだからハマーと名づけたな、きっと
38. 匿名処理班
こういうの見ると性善説を信じたくなるなぁ
今の私に勇気をくれるお話でした
ありがとうレックス
39. 匿名処理班
レックスは生きるのに一所懸命でマジメだったんじゃないかな。だからどんなことしても生き延びようと尖りまくって荒くれて見えたのかも。
保護されて丸くなってもそういうレックスだからこそ生きようと必死だったハマーが放っておけなかったんじゃないかな。
助けられて世話してくれた人間じゃなくてレックスにべたべたなハマーを見るとそんな推測をしてしまうなぁ。
40. 匿名処理班
※32 ガーノンさんの言葉は美しいが、自己満足で完結しているのかもしれない。
やはり野生動物の生態には人は介入するべきでない。それは厳しさや優しさといった感情にとらわれない世界だ。
小鹿物語は安易な救済が大きな悲劇を招いた。同じ生命でも捕鯨を可哀そうといい、牛豚の屠殺はいいという傲慢さと通ずるものがある。
ライオンに食べられるシマウマの子供と蟻にたべられるハチドリにはなんの違いもない野生の世界である。
41. 匿名処理班
犬、良い。ハチドリ、良いねえ。
>そしてその鳥は、ある意味で私たち全員を救ってくれています。
飼い主も良い! この話最高に良い!!
42. 匿名処理班
>同じ生命でも捕鯨を可哀そうといい、牛豚の屠殺はいいという傲慢さと通ずるものがある。
どの途人類生存の為には全ての生物を利用していい、と考えるのが人間である
散々人間都合で介入しているし、上記のものも尺度が違うだけで結局どこかで線引き
するのもまた文化や倫理観の都合であって真理ではない、人間は傲慢である
ならせめて己の良きと信ずる道を他人に押し付けず行う事は善き事ではなかろうか
むしろ貴方のいう事が捕鯨反対を訴える人となんら変わらないものではなかろうか
43. 匿名処理班
※40
弱ってる生き物が目の前にいて、助けられるのであれば、俺は助けるよ。
残念ながら君のように世界をマクロで見る事が出来て、感情もその器に見合うようコントロール出来るほど、立派な人間ではないのでね。
もちろん、君は何が死に掛けていようとも、ただ見ていればいい。それだけの事だ。
ただ、学校で『昨日、死にかけた鳥が落ちてたよ』って話したら、必ず『助けなかったの?』って訊かれるだろうけどね。
その時、君は『どうしようもなかったから』などと答えるのではなく、『野生なのだからそのままにしておくのが正しいんだ』って言えるかい?
44. 匿名処理班
悪意を受けたのに、他者に善意を注ぐ、それでもまた裏切られる。そういうことが繰り返されるうちに、魂は荒廃してしまうのだと思う。でも、こういう話を知ると、9割以上を裏切りで返されたとしても善意を捨てたくないと思う。それが、どこでどんな救いにつながるかわからないから。
45. 匿名処理班
生きる糧とは、食糧のことだけではないんだよ。