航空機内は格差社会の縮図。エコノミー乗客がファーストクラスを通ると暴力的行動が増加する
2016.5.19 09:30 知る・歴史・文化 # コメント(-)
飛行機を利用したことのある人ならわかるかと思いますが、飛行機ほどその格差をまざまざと見せつけられることって、日本にいる限りはめったにないことでしょう。
確かにエコノミーの4倍の料金を支払って乗るファーストクラスなので、待遇も違いがあるのは当然ですが、エコノミークラスの乗客がファーストクラスの乗客が接するとき、あまりにも明白な不平等に暴力的発言や行動が増加するという研究結果が報告されました。
カナダ・トロント大学のキャサリン・デセレス准教授らは、あまりにも明白な不平等は、暴力の原因になる可能性があるとし、その代表的な例のひとつが、飛行機のエコノミークラスとファーストクラスの乗客が接するときであるとしています。
デセレス氏らは、不平等を直に見ることが、人々を乱暴な振る舞いに駆り立てる可能性があると考え、それを航空機のデータで実証しようと考えました。そこで乗客が「暴言または暴行」によって乗務員やほかの乗客を威嚇する「エア・レイジ」の発生記録をあつめて分析しました。
匿名の航空会社における数百万件を超えるフライトで報告されたすべてのエア・レイジの発生を調べた結果、ファーストクラスがあるフライトでエア・レイジが発生する確率は、ファーストクラスがないフライトの3.84倍だったそうです。この増加率は、「9.5時間の遅れが出たフライト」でのエア・レイジ増加率とほぼ同じだとのこと。
また、乗客が直接エコノミークラスに入るのではなく、飛行機の前方から搭乗し、ファーストクラスを通ってエコノミークラスに移動した場合、エコノミークラスにおけるエア・レイジは2.18倍増加したそうです。
しかしこの数字も、自分たちが高いお金を払って使用している贅沢な客室を一般の人々が歩いたことが原因と見られる「ファーストクラス乗客の怒り」と比較すると色あせます。エコノミークラスの乗客がファーストクラスを通り抜けるフライトでは、ファーストクラスにおいてエア・レイジが発生する率は11.86倍も高かったのです。
自分たちの客室をぞろぞろと歩いていくエコノミークラスの乗客を見ると、ファーストクラスの乗客は醜悪に振る舞う傾向がある、と論文には述べられています。
「社会的に高い地位にある人が、自分の地位を意識すると、高慢な態度になり、思いやりが薄れる傾向がある」と、ディセレス准教授は述べています。これまでの研究で、豊かな立場の個人が、上から見下ろすかたちの社会的比較によって、不快な振る舞いを見せるようになる場合があることも示されています。
via:dailymail・motherboard
この記事を読んだ人はこんな記事に興味があります