現在、多くの企業が気球やドローン、その他のハイテク機器を駆使して、僻地にWi-Fi環境を提供することに取り組んでいる。大手広告代理店「サーチアンドサーチ」は、オーストラリア・アデレードのフリンダース大学と共同で、Wi-Fi、UHF、DTN(遅延耐性ネットワーク)の技術を用いてトヨタの「ランドクルーザー」をモバイル通信のホットスポットに変え、オーストラリアの僻地で通信網を構築する取り組みを研究している。カプセル型の小型デバイスをランドクルーザーの窓に吸盤で取りつけると、約25kmの範囲で通信ネットワークができる仕組みだ。
ランドクルーザーによる移動式ネットワークを利用し、クルマからクルマへデータを経由させることで、緊急時に通話や位置情報の送信が可能になる。基地局の圏内にランドクルーザーがいれば、データの送信者は世界中と繋がることができる。山火事などの災害発生時には、救助隊が連絡を取り合う際にもこのネットワークが役立つのだ。
これは、単にアイデアが実現可能であることを示すためのデモンストレーションではなく、オーストラリアでも最大級の僻地であるフリンダーズ・レンジズで実際にテストされている。トヨタは、今回のテスト結果を踏まえ、別の地域での運用や、最終的にはビジネス化といった次のステップへ進む予定だ。もちろんこれには、オーストラリアの僻地で多くのランドクルーザーが普段使いのクルマとして使われているということが大きい。
※注:この記事はAutoblogの姉妹サイト『Engadget』に掲載されたBilly Steele記者による記事を転載したもの。
By Engadget
翻訳:日本映像翻訳アカデミー