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http://japanese.engadget.com/2016/05/23/500-245km/


四肢麻痺の元レーサー、『インディ500』コースで時速245kmを記録。頭部で操縦するコルベット駆使「最高の気分」 - Engadget Japanese
2000年に事故で四肢麻痺となった元インディカードライバー サム・シュミット氏が、頭部だけで操縦可能なコルベットを操り245km/hという最高速度記録をマークしました。コースはインディ500マイルレース予選ウィークを迎えているインディアナポリス・モーター・スピードウェイ。

サム・シュミット氏は大学卒業後、一時はビジネスマンとして働いていた経歴を持つ異色のレーシングドライバー。インディ500マイルレースを走るという夢を捨てきれずに1995年、31歳にしてレーシングドライバーに転身しました。才能に恵まれていたシュミット氏は1997年には晴れてインディカーシリーズにステップアップ、夢だったインディ500への出走も果たしました。

1999年にはラスベガスで開催されたレースで初優勝を記録するに至り、すでに押しも押されぬトップドライバーとなっていたシュミット氏。しかし好事魔多し、2000年1月、来るシーズンに向けたテスト中の大クラッシュはシュミット氏を瀕死の状態に追いやり、5ヶ月におよぶ人工呼吸器生活に四肢麻痺という残酷な結果を突き付けました。

レーシングドライバーとしての生命を絶たれたシュミットですが、ウィリアムズF1チームを率いるフランク・ウィリアムズ氏に倣って自らもレーシングチームを興すことを決意、再びインディカー・シリーズにチームオーナーとして参戦しています。
2014年、そんなシュミット氏に再びレーストラックを走行する機会が訪れました。チームのスポンサーでもある米国の電装・コンピューティング技術開発企業Arrow Technologies が、シュミット氏に再び走ってもらおうと首から上だけで操縦できるシボレー・コルベット C7を用意。シュミット氏はこれに乗ってインディアナポリスのレーストラックを走行。約100mph(約160km/h)を記録しました。

その後もArrowはコルベットの改良を重ね2016年最新バージョンを開発。5月22日、再びシュミット氏と組んでインディ500の予選ウィークの走行に臨みました。
Sam car 3.0.  April 263, 2016.  Photo by Ellen Jaskol.
コルベットは、シュミット氏の頭部が左右に動けばステアリング、後方に倒すと加速、口に加えたセンサーを噛むことでブレーキングする仕掛けになっています。また操縦を制御するコンピューターシステムは、万が一に備えて高精度GPSを常に監視しており、コースアウトやウォールへのクラッシュは自動的に回避するようプログラミングされています。

走行はインディ500の予選とおなじ4ラップ。"ブリックヤード"を駆け抜けたコルベット C7 の最高速度は152mph(245km/h)に達し、前回2014年を大幅に上回ってみせました。シュミット氏は「最高の気分だった。16年前、私はもう2度とドライビングはできないと思ったが、こんな素晴らしい車に乗れるなんて、本当にいい思い出ができたよ」とコメントしています。
 
 
シュミット氏の走行が催された日、シュミット・ピーターソンチームのドライバー ジェームズ・ヒンチクリフは第100回インディ500マイルレースの予選1位、ポールポジションを獲得しました。自らもコースを走り、チームはポールポジション。シュミット氏にとってはこの上なく素晴らしい1日となったはずです。

ちなみに同レースには日本の佐藤琢磨選手も参戦しており、こちらは予選12位で4列目のグリッドを獲得しています。こちらも優勝を狙える位置だけに、あと1歩だった2012年の雪辱に期待したいところ。5月29日の決勝に注目したいところです。

四肢麻痺の元レーサー、『インディ500』コースで時速245kmを記録。頭部で操縦するコルベット駆使「最高の気分」
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