映画「デッドプール」ティム・ミラー監督インタビュー:ゲームの仕事の経験が生きた!
全世界で大ヒットを記録しているアメコミヒーロー(?)映画「デッドプール」。
今回は、本作で長編映画監督デビューを果たしたティム・ミラー監督に、予算節約の秘密や今後のシリーズ展開などについてお話を伺いました!
ティム・ミラー監督の略歴
長編映画監督デビューとはいえ、実はベテランのティム・ミラー監督は、1995年にCG映像制作スタジオ「Blur Studio」を設立し、ビジュアル・アーティスト兼クリエイティブ・ディレクターとして活躍。
Blurといえば、「バットマン:アーカム・シティ」や「アサシンクリード ユニティ」などの数々のゲームの超かっこいいムービーを制作し、洋ゲーマーなら一度はその作品を見たことがある有名スタジオです。
また、ティム・ミラー監督は同スタジオで映画「ドラゴン・タトゥーの女」や「ソー・ダーク・ワールド」のタイトルシークエンスの制作も手がけています。
ティム・ミラー監督にインタビュー
――Blur Studioでの経験は、本作でどのように生かされたのでしょうか?
ティム・ミラー(以下、ミラー):アニメーションに携わっている時に人の動き方を研究していたので、映画でも自然かつリアルに見える動きが作れたと思います。
人の動きに気を配らないと、例えばバーで会話をしているシーンなどで、フォーカスされていない背後の人間が不自然な会話や動きをしているところを撮ってしまいます。すると、観客はそこが気になって、集中できなくなってしまうんです。
あと、私はBlurのオーナーでもあり、150人ほどのスタッフを抱えています。それは映画の現場と同じくらいの人数なので、大勢の人間に指示を出したり、質問を受け付けたり、アシスタントを手配したりということに慣れていたのも、映画の製作に生きましたね。
――本作は近年のヒーロー映画に比べてかなりコンパクトな予算で作られているにも関わらず、他の作品に負けない、すごい映像が見られます。これは非常に難しいことだと思うのですが、どのように実現したのでしょうか?
ミラー:一番大きいのは(最近の多くのヒーロー映画よりも)上映時間を短めにしたことだと思います。他の作品は「デッドプール」よりもだいたい20~30分長いですよね。
多くの場合、その20~30分で大規模なアクションシーンが展開されているので、その分のVFXが必要になります。要するに、そこにお金がかかっているわけです。個人的には見ていて疲れてしまうので、本作は108分の映画にしました。
――本作を製作する上で、特に影響を受けたコミックのシリーズはなんでしょうか?
ミラー:今回の映画は、いろいろなコミックで語られたデッドプールの誕生のストーリーを組み合わせたもので、特定のシリーズを原作にはしていません。
私はジョー・ケリーが担当したシリーズが大好きなんです(筆者注:「Deadpool Vol.1」、デッドプール初の個人タイトル)。ジョー・ケリーはデッドプールを担当した中でも最高のライターで、彼のキャラクター像を確立した人物だと思っています。なので、ケリーの作品には大きな影響を受けていますね。
――すでに決定している「デッドプール2」をはじめ、デッドプールと同じ世界で展開されている「X-MEN」との共演など、今後のデッドプールはどのように展開させたいと考えていますか?
ミラー:「デッドプール」の後は、ある種の終着点として「X-MEN」ではなく、「X-Force」(筆者注:コミックでX-MENから派生したチームで、ケーブル、ウルヴァリン、サイロックなどが所属していた)を考えています。自分の中ではデッドプールはX-MENではなく、X-Forceのキャラクターだと思っているんです。
コミックのX-ForceはX-MENの特殊部隊版のようなチームで、時には正しい事をするために道徳的には正しくない行動も取る、より現実的でグレーな集まりです。それはウェイド・ウィルソンが取った人生の選択にも似ていると思います。
Blur Studioでの経験が映像面だけでなく、監督としての仕切りの部分でも役立ったというのは興味深いです。そして、何より「X-Force」がとっても楽しみ! 果たして、どのようなメンバー構成になり、X-MENとどのような関係になるのでしょうか?
映画「デッドプール」は6月1日(水)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー。
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source: 映画「デッドプール」公式サイト, YouTube
(傭兵ペンギン)
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