もう転職先は決まってるんだよ
そこは大丈夫なんだな
20歳の時に叔母に誘われ大手生命保険会社に入社した。最初は「こんな簡単な研修受けるだけで給料貰えるのかぁ」ってくらい楽な仕事だったんだよ。
1年程経って一人で営業にも行けるようになった頃、上司が変わった。元の上司は産休で休むことになりましてね。まぁソイツはそのまま居なくなったんだけど。
その新しい上司がクソ過ぎてクソ過ぎてwwwwwwwww
サビ残は勿論当たり前。
毎時間毎時間「今どこにいるの?誰と何をしてるの?商談は何件したの?見込みは?何時に営業部に帰ってくるの?何時の電車orバスで戻るの?」これが留守電に入ってるwwwwww最早ホラーの域wwwww
そんな上司いるのか
(´,,・ω・,,`)社会って怖いな
上司の粘着が酷くなってきたところで私は考えたんだ。何も言われないように一人で完璧に働こうと。
保険のセールスレディなんて頼れるのは自分ひとりだけなんだと。
顧客管理をゼロから見直して営業スタイルも変えて、そうしたら売上も自然と増えていった。
同時期に新入社員も沢山入ってくれて上司は育てるのに必死。ポンポン昇進して行った私に上司は張り付かなくなっていったんだ。
この数ヶ月間だけ。
そんな中ある日事件が起こった。
新 入 社 員 が 全 員 辞 め た
「上司が嫌」「プライベートが何も無い」
みんな口を揃えてこう言った。
気付いて相談に乗れなかった私も悪かったんだけど、新入社員達はみんな土日も朝から働いていた。子持ちのシンママも元ニートのオタクっぽい子もギャルも。
何故土日も働いていたのか聞けば、勝手にアポを入れられたからだという。
次の日からまた研修明けの悪夢が始まることになる。
でも、転職先への希望があったから大丈夫さ!
あの時の笑顔に寒気がした。
一人ひとりにメモを書いていたんだけど、あるお客様でそれはもう豪勢なマンションに住んで、お金を貯めていたお婆さんが居たんだ。
とても優しくて、本当は聞きたくないはずの商談も「うん、うん」と聞いてくれて、昇進した際にはケーキまで出してくれるような優しいお婆さんだった。
そのメモを見て何故か上司は興奮していた。
あれ、この人お花好きだっけなーなんてぼんやり考えていたんだがそうじゃなかった。
「胡蝶蘭ってとっても高い花じゃない!お金持ち!早速アポをとって突撃よ!!!!!〇〇(一番評価成績が高い商品)の提案書を何パターンか打ってちょうだい!!!!」
胡蝶蘭でそんなに飛躍するか?
まじかよ、そんな上司は社会的に殺してやりたい
上司の商談は本当にしつこい。例えて言うなら宗教の勧誘みたいな感じかな。
あなたの為です!これに入れば将来安心!亡くなった時は誰かに残したいですよねぇ?!的な。
だからこそだ。大切なお客様にそんな商談をして欲しくなかった。
「申し訳ないですけど、このお客様は私一人で担当したいんでこの方の事情も何も知らないなら関わらないでください」
的なことをもっと柔らかく伝えた。
「部下の顧客全員に挨拶するのは上司の仕事です。あなたがそんなこと言うなら私が一人でこの方にアポを取ります。」
挨拶も何も商談だろやめろwwwwwww
私の抵抗も虚しく本当にアポを取られた。
嬉しいことにお客様は>>1さんは来ないのかい?と聞いて下さり私も同行できることに。
そのアポは次の日だった。
爛々と提案書を抱えて訪問し、「んまぁ素晴らしい箪笥!!!」なんて至るところを褒めちぎる上司にニコニコなお客様。一頻り褒めちぎった後に、さて本題。上司が打った提案書をテーブルに置いた。
私は目を疑ったよ。保険料がとんでもない額なんだから。法人向けの商品かというくらい。
ちらりとお客様を見れば、普段は見たことのないような真顔で提案書を見ていた。
まさか興味が有るのか?と心臓が跳ねたのも事実。
ペラペラと商品を説明して、さぁどうする?申込はいつにする??と食い気味な上司。
「私はこういう物にお金をかけたくないの」
そう言ったお客様にまだまだ畳み掛ける上司に私はうんざりしていた。その時だった。
提案書に涙が落ちた。
小さな声で「もうやめてちょうだい…」そう言った。その声に私まで目が潤んだ。
今ある多額の貯金は早くに亡くなった旦那様がお客様とそのお子様達の結婚資金、お孫さんへの教育資金のために残したお金だから今まで1円も使ってない。すべてを賄える金額ではないけれどこのお金の大切さがわかる?
お客様はそんな内容を静かに語った。
私はテーブルに出された提案書を畳み、深く頭を下げた。
だ が 上 司 は 違 っ た 。
お 前 は バ カ か 。
まだ商談をしようとする上司に「この後近所の△△さんのお手続があります。こちらは後日私が伺いますから。」と有りもしないアポを伝えて半ば引きずる形でお客様の自宅を後にした。
家を出て車に乗り込んだ瞬間上司は
「惜しかったわねー。あと一押しってとこね!」そう言った。
さっきまでは怒りが心の中を支配していたけど、それがフッと切れて呆れになった。
コイツもうダメだ、そう思った。
顧客管理のメモに書き残さずとも忘れられない事件を思い返して涙が出た。情けなかった。お客様の顔が忘れられなかった。後日どうお詫びしようか。会ってくれなかったらどうしよう。そればかり考えていたんだ。
啜ったコーヒーの味がしなかった。
ちなみにこの事件が2ヶ月前です。
マスカラが落ちて酷い顔になった私に、隣の組織のリーダーがメイク落としをくれた。
ちょっと喫煙所付き合ってよ。そう言ってくれて、居たくない部署から連れ出してくれたんだ。
Aさんはジュースを買ってくれた。それを開けずにぼんやりしていたら、Aさんは何も聞かずに「この〇年間大変だったね。頑張ったね。偉かったね」そう言ってくれた。
その瞬間に大泣きしてしまったんだ。
「あら化粧落としもう1枚必要だねwww」そう言って頭を撫でてくれた。
一対一で褒められたのはいつぶりだったかな。
きっと入社する為の試験に受かった時、最初の上司に言われて以来だった。今の上司には褒められたことは無かった。
一頻り泣いて落ち着いた頃、灰皿の中には吸殻が何本もあった。Aさんは空になった箱を握り潰して「まだ若いんだから道は沢山あるよ」そう言ってくれた。
この一言で決心した。この会社をやめよう。
遅くまでAさんを付き合わせてしまって申し訳なく思いながら帰宅して、顧客管理ノートを開いた。
辞める挨拶に伺う順番を作るためだ。これがまた骨の折れる作業で、寝たのは朝方だった。
次の日、出社してすぐにAさんに缶コーヒーを渡しに行ったら、寝不足と泣き腫らしたせいで顔が酷すぎて「化粧落ちてないじゃんwwwww顔面はきちんとしなさいよwww」と笑われた。コーヒーは受け取ってくれた。
上司には昨日のアポが嘘だったのがバレて怒られた。カフェにいたと言えば呆れてものも言えない、そんな顔をした。
朝礼が終わって、部長にミーティングがしたいと話した。後ろで上司が同席させろ!私は上司だぞ!報告しろ!!!とキーキー言っていたがそれは無視。部長は何かを察してくれて、じゃあ会議室に行こうかと言ってくれた。
わたし→20代、専門中退、高身長、武井咲に似ていると言われる。
Aさん→36歳(当時)、大卒、高身長、子持ち、長谷川潤にクッソ似てる。
長い話になると見込んでのことだった。
私は入社してからの数年間の話をした。
大変だった、大切なお客様が沢山できた、辛かった、でも楽しかった。
話したことはすべて過去形になっていた。
部長は「うん、うん」と相槌を打ってくれながら聞いてくれた。すべて話し終わって、立ち上がって深く頭を下げた。
「5月いっぱいで辞めさせてください」
「頭を上げなさい」
「お願いします」
「わーかったわかったwほら頭上げて」
頭を上げて恐る恐る部長の顔を見たら優しく微笑んでいた。責められ、怒られると思っていたから意外だった。
「大変惜しい存在を失うことになるが、君に関しては引き止めないよ。君はうちの部には勿体ない位の人だ。」
そう言ってくれた。嬉しかった。空気だった部長が神様に見えた。
部長は長々と話してくれた。
入社して1年ほど経ってから人が変わったと。変貌ぶりが怖いとすら思ったと。何かあったはずなのに聞けなかったのは申し訳ない。
そんなような内容だった。
すっかり冷めたコーヒーを飲み終わり、部長は私に聞いた。
「この業界に入って良かったかい?」
「勿論ですよ」
即答だった。頭に浮かんでいたのは社内のことよりもお客様の顔だったから。
「挨拶回り、大変だと思うけど頑張ってね。□□(上司)にはまず僕から伝えておこう。」
そう言ってくれた。会議室を出ると偶然なのか何なのか、会議室の目の前に上司がいた。
聞いてましたよといったような顔で私を睨んでいた。
仕事もせずに立ち聞きしてたとか怖すぎるww
社長、社員さんはみんな「まじか!辞めんなよ!」と引き止めてくれました。嬉しかったなぁ。最初は私のこと無視してたのにw
企業に挨拶しながら、近くの自宅にお邪魔したりとあいさつ回りは着々と進んでいった。
残り少なくなった顧客管理ノートには、本当に大切なお客様数名しか残っていなかった。
その中に勿論先日の胡蝶蘭のお客様もいた。
全然そういったものには関わりのない凡人です
5コールくらいだったかな、出ないで欲しいのと出て欲しいのが混じって吐きそうだったwww
「もしもし、胡蝶蘭です」
お客様は出てくれた。名乗ろうとしたら声が上手くでなくて、「あっえとあの、〇〇の、あの>>1です…っ」って変な感じになってたなwwwww不審者かwwww
私の声を聞いて少しの沈黙があり、手帳にアポを書き込むために握ったペンは震えていた。
胡蝶蘭さんは落ち着いた声で
「こんにちは、最近暑かったけど…お元気でした?」そう言ってくれた。
その日までは正直サボりまくったwwww同期と朝から夕方までカフェにいたり自宅で遊んだり凄く楽しかったwwww丸1日遊びまくっていたらとうとうその日が来てしまった。
「>>1です」
「あなたアポは午後よね?!こんな早くに出て何をしているの?!!?!辞めるからって調子に乗ってまたカフェか何かでサボってるんじゃないでしょうね?!!」
「サボってないです」
「じゃあどこにいるの?!あたしも一緒に挨拶に行くからそこで待ってなs」
またヒステリックになる予感がしたので電話は切った。すぐにまた掛かってきたので電源も落とした。もう邪魔して欲しくないからね。
駅には大きなスーパーに入っていて、そこで時間をつぶしていたら、お花屋さんが目に止まったんだ。
手土産にお菓子を買っていたけど、お花屋さんを見ていたら何故かお花も渡したくなった。
綺麗な陶器の鉢に入った胡蝶蘭もあったので見てみたら心臓が止まりそうになるほど高かったwwww胡蝶蘭さんすげぇwwwwwww
その横に置いてあったアレンジブーケを買って胡蝶蘭さんのいざ自宅へ。
胡蝶蘭さんは笑顔で迎えてくれた。
テーブルにつく前に先日の事を謝り、私は土下座をした。今思えば何故土下座だったのかはわからない。謝罪マックスと言えば土下座と思っていた。
胡蝶蘭さんは「いやwwやめてちょうだいなww」と引いていた気がする。
「あなたは悪くないわよ。」その一言で救われた。
そして、本題の私が退社する話になった。
胡蝶蘭さんは驚いていた。先日私が泣いてしまったことを気に病んだのかと聞いてきた。
まぁ引き金はそれだったけど「せやで」とは言えなかった。
一身上の都合で、としか言えなかった。
本当にお世話になりましたとお菓子とお花を渡すと、胡蝶蘭さんはまた泣いた。笑いながら泣いていた。
「あなたが担当で本当に良かったわ」そう言ってくれた。この言葉は生保レディーにとって一番嬉しい言葉だと思う。その言葉に私も泣けたよ。
胡蝶蘭さんは最初の挨拶で渡した私の名刺をテーブルに置きながらお話してくれる方だったのですが、そこに担当になった日が書かれていました。歴代の担当さん全てに書いているそうです。
私の名刺にその日の日付を書き込んで、私の担当を終えました。短くも長い年月でした。
(ちなみに胡蝶蘭さんの引き継ぎ担当はAさんにお願いしました。)
手紙、お菓子、ハンドクリーム、ブックカバー。お菓子以外は今でも大切にとってある。
辞めないでと泣いてくれた後輩も居たw可愛いww
それを見た上司からは言葉というプレゼントが。
「私の部下になって社会の厳しさに耐えられるようになったかなぁ?転職先では嫌なことから逃げちゃダメよ?成長できないわよ?」
やはりこいつはどこまでもクズだ。
お客さんは身構えちゃうし良いことない
お客様身構えちゃいますよね…。明らかになんで連れてきた?って顔されますもんww
大口契約の時にもうちの上司は無能だったので、私は支社の人間に同行を頼んでいました。彼らはやはり素晴らしい。
部長「えー皆さんにご報告があります。本日を持ちまして>>1さんが退社されます。じゃ、>>1さんよろしくお願いします」
「「はい」」
え、今もう1人はいって言った。
まさかと思い振り返れば上司が立っていた。しかもちょっといいスーツ着てた。
「さ、先に行って。」と私を前に押し出すと後ろから付いてくる上司。なんだこいつは。
一人ひとりに目を合わせてお話していて、Aさんと目が合った時に言葉が詰まりました。
口パクで「がんばれ」と言ってくれたAさんに頭を下げて、メイク落としありがとうございますと伝えて締めました。
すると後ろで見ていた上司が私の前に登場。
「えー、うちの部下の>>1が皆様にご迷惑とご心配をかけ続けたことをお詫び申し上げます。そんな>>1に皆様優しくして頂いてありがとうございました…グスン」
涙も出ていないのに左手に握りしめていたハンカチで目元を抑える上司。周りドン引き。
上司は私の手を取り、「泣いちゃってゴメンネ☆」と舌を出した。背筋が凍った。
「>>1の為に尽くしてきたともいえる〇年間でしたが…」
「はいはいわかったわかったそれは後で聞くからねー」
部長が私から引っぺがしてくれて挨拶は終了。
バッグを持って部署から出れば私はもうここの職員では無くなる。
それが一昨日の話です。
お幸せにどうぞ
引用元: http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1464317413
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