フィアンマ「ローマ正教内部を見学しようと思うのだが……」
- 2016年05月28日 22:40
- SS、とある魔術の禁書目録
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・本編より前のお話という設定です
・設定はまもりたいけど……目をつむっていただけると幸いです
・キャラ崩壊にご注意を
………イタリア・聖ピエトロ大聖堂………
フィアンマ「どうだ?」
教皇「それは……」
フィアンマ「それはなんだ? 続きを言わないと分からないぞ」
教皇「好奇心があるのは悪いことではないだろう」
教皇「しかし、その好奇心は今まで秘匿され続けていた神の右席の存在を明るみに出すような行為につながりかねない」
フィアンマ「そんな回りくどい言い方をするな」
フィアンマ「要は、見学とか面倒なことはやめてくれ、と言いたいんだろ?」
教皇「分かっているのなら、わざわざ口に出して私に尋ねなくても良いだろう?」
フィアンマ「いや、やめてくれと言われてもやめるつもりはなかったからな」
フィアンマ「つまり、さっきのはただの独り言だ」
教皇「やめて欲しい理由が分かるのならやめてもらえないものか……」
フィアンマ「拒否だ。やめろと言われてもやめるつもりは毛頭ないと言っただろう?」
フィアンマ「人の話はちゃんと聞いておくべきだ」
フィアンマ「そもそも、おかしいのはお前たちの方だろう?」
教皇「何のことだ?」
フィアンマ「ローマ正教の裏のトップである俺様が全く組織の内情を把握できていない」
フィアンマ「これは大問題だろ!!」ギリギリ
教皇「お前にあまり詳しい事情を知られると、勝手に行動し、そのことによって神の右席の存在が露見してしまう恐れがある」
フィアンマ「……どう動くかはその報告を聞いた後、俺様が決めることだ」
フィアンマ「それに、バレないための配慮くらい俺様だってしている」
教皇「万が一にも知られてはならないのだから、本当なら有事の時以外は閉じ込めておきたいくらいなんだぞ?」
フィアンマ「……俺様の立場、分かっているのか?」
教皇「私の……相談役だ」
フィアンマ「……まあ、力関係的には逆転しているが、そこは置いておこう」
教皇「……」
フィアンマ「本来なら下から現在のローマ正教について記された書類などが渡されて当然なはずだ」
フィアンマ「しかし何も無い」
フィアンマ「ならば、俺様自らの足で調べるしかないじゃないか」
教皇「……書類などを渡しても即燃やしてしまうだろう?」
フィアンマ「そんなのは当然だ」
フィアンマ「目を通して覚えたものは必要ないだろ?」
フィアンマ「未来の俺様がそんな紙切れ一つに足を引っ張られる羽目になるのも興ざめだしな」
教皇「……紙がもったいないとは思わないのか?」
フィアンマ「全く。少しも思わないな」
フィアンマ「なんのためにあんなに大量の寄付金を集めているんだ?」
フィアンマ「……紙代程度で困るほど金不足になるはずないだろう? 宗教というものは稼げるからな」
教皇「宗教は金を稼ぐ道具ではない」
フィアンマ「そうかい。だが、そんな話はどうでもいいんだ」
フィアンマ「実際問題、信者どもから金を取っているのだからな」
教皇「っ……」
フィアンマ「まあ、そのことについてどうこう言うつもりは全くない」
フィアンマ「俺様はただ単にローマ正教に属する奴らの活動を観察したいだけだからな」
教皇「……」
教皇(困った、神の右席の存在は一般教徒に知られるわけにはいかない……)
教皇(配慮していると言ってはいるが、何かあった時に自分の正体を明かしてしまう危険がある)
教皇(その上フィアンマは他人のことなど気にしない……騒動を起こしかねない)
「それなら私が同行するのである」
フィアンマ「ん? アックアか」
フィアンマ「ここに入るときはちゃんとノックしろと言っただろう」
アックア「はじめから中にいたんだが」
フィアンマ「!!?」
教皇「……いいのか?」
アックア「もちろん、フィアンマを一人で歩かせるとどうなるか想像もできないのである」
フィアンマ「む、それはどういう意味だ。返答次第では殴るぞ」グ-
アックア「お前が私を殴っても、お前の関節を痛めるだと思うが……それでもいいなら殴ればいい」
フィアンマ「……攻撃するぞ、魔術で」
アックア「はぁ……お前が一人で敷地内を歩くと迷うだろう?」
アックア「だから私が案内をしてやろうという提案をしたのである」
フィアンマ「ああ、なるほどな。そういう意味か」
フィアンマ「てっきり俺様を馬鹿にしているのかと思ったじゃないか」
アックア(本当はそういう意味だったけど黙っておくべきか)ウンウン
教皇「ふむ、分かった」
教皇「アックアを連れていくならローマ正教内部を見学することを許可しよう」
アックア「了解した」
フィアンマ「アックアが話に参加してから進むのがスムーズすぎるだろう……」
教皇「あともう一つ条件がある」
フィアンマ「なんだ? さっさと言え」
教皇「身分を隠すことだけは厳守してもらいたい」
フィアンマ「……いいだろう」
フィアンマ「神の右席の存在を隠したいというお前の意思をたまには尊重してやるのも悪くはない」フム
フィアンマ「だが、それだと自由に見て回れないな……」
フィアンマ「一般の見学者は表の部分しか見学できないのだろう?」
アックア「確かにそうだな……」ウムム
教皇「それは……この紙を持っていれば大丈夫だ」サラサラ
フィアンマ「ふむ、署名付きの許可証か」ピラリ
教皇「それさえ見せれば大体のことは許可がもらえるはずだ」
フィアンマ「……よし、行くぞ、アックア」
アックア「分かった」
教皇「頼んだ」ソコッ
アックア「任せるのである」
……………………
フィアンマ「……」ウズウズ
アックア「そんなに楽しみなのか?」
フィアンマ「楽しみ? 遊びに来ているんじゃないのだから楽しみを求めるわけが無いだろう」
アックア「そ、そうか」
フィアンマ「純粋に俺様がローマ正教のために何かできることはないかと考えただけの話だ」ニヤリ
アックア(嘘であるな)
アックア(まず、フィアンマのことを語るために純粋という単語を使うことがありえない)
フィアンマ「なにか失礼なこと考えているだろう」
アックア「まさか、新参者の私がそんなことをするわけがないだろ」
フィアンマ「……ずっと前からローマ正教に属している俺様より、ついこの前きたお前の方が地の利があるとはどういう事なんだろうな?」
アックア「さあ?」
アックア(きっと、今までの行動から判断されたに違いない)
フィアンマ「奴からの信頼度も違うみたいだしな」
アックア「ん? 気づいてたのか」
フィアンマ「当たり前だ。その程度の感情を察知できなければ、俺様は今生きてないさ」
アックア「……人の気持ちがわかるとは……見直したのである」
フィアンマ「いや、それは普通に失礼だぞ」
フィアンマ「……今回の見学もとい視察はより人間の感情について調べる、という意味もあるんだからな?」
アックア「わざわざそんなことをしてどうするつもりだ?」
フィアンマ「今後の俺様の活動方針を固めるためだ」
フィアンマ「人の感情とは利用できるか否か、それをこの際よく調べておこうと思ってな」フフン
アックア「……む、さっきの見直したというのは訂正させてもらおう」
アックア「やはり自分の為でしかないのか……」
フィアンマ(……)ニヤァ
フィアンマ「おいおい、俺様だって年頃の男だぞ?」
フィアンマ「友とかガールフレンドとやらも欲しくなるものだ」
アックア「そ、そうか……邪推してすまない」
フィアンマ「いやいや」
フィアンマ「俺様も誤解させるようなことを言ってしまったからな」
フィアンマ(ま、新参者のお前に俺様の思考を理解できる訳が無い)
フィアンマ(物心ついた頃から俺様に付きまとうマタイの奴でさえ、俺様の考えは闇だ、と理解を放棄している有様だからな)
フィアンマ(くくっ、結果が楽しみだ……)
アックア「なぜニヤニヤしている?」
フィアンマ「新しい領域に踏み込むというのは実に興味深いものだからじゃないか?」
『マジカル☆シスターズ』
フィアンマ「はぁはぁ、別の建物に移動するなんて聞いてないぞ」
フィアンマ「第三の腕使用での移動もできないから疲れたんだが」
アックア「移動するのは当たり前である」
アックア「全て一箇所に集結させていたら、襲撃を受けた際にローマ正教の全機能が停止してしまうのである」
フィアンマ「いや、その理屈は分かるが、この距離じゃ意味が無いだろう?」
フィアンマ「バチカンから少し出ただけじゃないか。それでもかなり歩いたが」
アックア「ああ、この程度の距離じゃ施設を分けているとはいえない」
アックア「まあ、それは考えあってのことなのであろう」
フィアンマ「……意味がなかったらショックだな」ハァ
フィアンマ「で、ここは?」
アックア「アニェーゼ部隊の本拠地である」
フィアンマ「アポしたのか?」
アックア「アポする? ポアみたいに言うな」
フィアンマ「……アポとったのか?」
アックア「いいや。突撃しないと視察の意味が無いのである」
フィアンマ「ふむ……確かにそれは一理あるな」
アックア「しっかり普段の動きを見たいなら隠れてみるのが一番であるが……無理だな」チラ
フィアンマ「……ああ、体を使わねばならない行動はあまり得意ではない」
アックア「見栄はらないでできないと正直に言うのである」
フィアンマ「キャンノットではない。だが、ウェルでもない」
アックア「……」
フィアンマ「……まあ、入るか」
アックア「であるな」
フィアンマ「……」コンコン
アニェーゼ『はいはい、今出るんで待っててください』
ガチャ
アニェーゼ「もう出発って命令ですか?」
フィアンマ「……視察に来たぞ」
アニェーゼ「……え?」
アックア「お邪魔させてもらうのである」ズイ スタスタ
アニェーゼ「ちょ、あ、え? あんたら何もんですか!!」アセアセ
フィアンマ「強引で申し訳ないが、これでも見て理解しろ」スッ ズイ
アニェーゼ「ちょ、待ってくださいっての!!」グッ バタン
フィアンマ「!?」ズザッ
フィアンマ(……アックアは入れたのに俺様は小娘に押し戻される……だと?)
アニェーゼ「あ、すみません」アセ
アニェーゼ「まだ中で着替えていたもんで」
フィアンマ「……いや、俺様も悪かったな。強引に入る必要はなかった」スック
アニェーゼ「分かってもらえてよかったです」
フィアンマ「ところで、先に入ったゴルフウェアのようなものを着た男はどうしている?」
アニェーゼ「ええと、ちょっと待っててください……」ガチャ
バタン
アニェーゼ「タコ殴りにされてますね」
フィアンマ「それって大丈夫なのか?」
アニェーゼ「まあ、私たちは戦闘部隊ですが、シスターなんで貞操観念はしっかりしてますよ」
フィアンマ「いや、その殴っているシスターたちの手とかは問題ないのか、という意味で聞いたんだ」
アニェーゼ「鍛えてま