モバP「カタカタカタ……」
プロデューサー(以下P)(――静かなもんだな)
P(皆ほとんど出払ってるから、当然と言えば当然だが)
ぐぉーん。
P(聞こえるのはエアコンの駆動音に)
ぺらっ。
P(時折混じる、紙の音)
カタカタカタ。
P(そして俺がキーボードを打つ時に鳴る、このカタカタ音)
ぐぉーん。ぺらっ。カタカタカタカタ……。
P(あぁ、キーボードを叩けども叩けども)
P「――終わらない雑務の山であった」ぼそっ
P(大体、こういう単純作業は眠くなるからいかん)
P(ここのところ寝不足気味だしなぁ……)
P(このままだと能率も落ちる一方だろうし、キリのいいところで一旦手を止めて休憩でも――)
がちゃ。
唯「ふぃー、たっだいまー!」
杏「おぉう……空調の効いた室内のなんと快適なことか……」
杏「……よっと、ソファーにだーいぶ!」どさっ。
P「おっ、二人とも帰って来たか」
P「レッスン、真面目に頑張ったか? 今回はお目付役が一緒じゃないから、ちょいと心配してたんだぞ」
杏「失礼しちゃうね。杏たちはいつでも全力、アイドル活動に大真面目だってのにさ」ごろごろ。
P「杏が言うと、不思議と説得力がないなー」
杏「そりゃ。説得しようとしてるんじゃなくて、事実を述べてるだけだからね」
P「こやつめ、屁理屈をこねおる」
P「こねるのなら、今からでもみちる達の所に合流しに行ってもいいんだぞ?」
P「駅前の料理教室で、『アイドルと一緒にパン作り!』の仕事をやってるとこだから」
杏「やだよ、そんな面倒な……ん?」
杏「ちょっと待ってよプロデューサー。今日、みちると一緒なのって確か……」
P「フレデリカだな」
杏「……人ごとだけどさ、なんだってその二人で組ませたの?」
P「みちるといえばパン。パンといえばフランス。フランスといえば――」
唯「フンフンフフーン、フンフフー……」
P&唯「「フレデリカ~♪」」
P「……と、いうわけだ」
唯「軽い理由だね☆」
杏(安直だなぁ)
P「とはいえ、あっちにはちゃんとお目付役として大人もつけといたからな」
P「そうそう暴走することもあるまい。多分」
杏「一応聞いとくけど……そのお目付役って、誰さ」
P「日下部さん」
P「『頼りになるのは貴女だけなんです!』って俺がお願いした時は、凄く喜んでたよ」
杏(災難だなぁ)
唯「でもさでもさ! そーゆーお仕事も、チョー楽しそーだよね!」
唯「なんかいーな、いいなぁー」
唯「ふふんっ。ねぇねぇプロデューサーちゃん! 今度のゆいのお仕事もさ、そーゆー感じの、何か体験する系のにしてよ!」
P「んー? 体験系のお仕事ねぇ」
唯「そうそう! えっと、例えばぁ~……」
唯「例えば、そう! キャンディ作りの体験とか、良くない? お仕事終わった後で、できたてのアメが貰えるんだー☆」
杏「飴となっ!?」ぴくっ。
杏「ね、ねぇプロデューサー? ホントにそんなお仕事を予定するならさ……」
P「うん。悪くないかもしれんなぁ……唯と、残りのメンバーは」
杏「はい! はいはいはいっ!」ひょこひょこ
P「お菓子だからな。ここはやっぱり、なるべくなら小さい子を入れたいが」
唯「ウチの事務所で選ぶなら~、ありすちゃんとか、若葉ちゃんとか?」
P「唯。それ本人たちの前では絶対に言うなよ」
唯「にひひひっ。ジョークジョーク☆」
P「とはいえ、あの二人以外から選ぶとなると……」
杏「ここ! ここに小さい子がいるよ!」ぴょんぴょん
P「意表をついて、文香なんかに任せるのもいいかもしれんな」
杏「なんでっ!!」
P「なんでって、そりゃあ」
P「――知識だけでなく、経験として未知の領域に足を踏み入れる鷺沢文香」
P「最初は初めての飴作りに戸惑いの色を浮かべるが、本を読むだけでは知ることのできないその体験は、
彼女の心の中に実践した者でないと得られない、本物の知識を刻み込むのだ」
P「するとどうだろう? 飴作りに没頭する文香の瞳は次第にらんらんと輝き始め――」
P「最後には作業に熱中するあまり、汗で額に前髪を張り付けながら、
満足そうな笑顔と共に出来上がったばかりの飴を持ってこう言うのだ」
文香『……どうやら私は……また一つ、物知りになってしまいました』
P「くぅ~っ!! たまらんっ!!」
杏(プロデューサー、気持ち悪いぐらいに悶えてる)
唯(話を振ったのはゆいだけどさー)
杏&唯(これは正直、ちょっと引くなー)
P「文香! その出来上がったばかりのべっこう飴は俺にくれぇっ!!」
P「――あっ」
文香「…………」
文香「…………」ぺらっ。
唯「あれ? 文香ちゃんっていつからいたの?」
杏「杏たちが戻って来た時には、もうそこで本読んでたよ」
P(……忘れてた)
がちゃ。
千夏「ふぅ……ただいま」
ライラ「ライラさんもー、ただいまですよー」がさがさ
唯「ちなったんもライラちゃんも、おかえりおかえり~!」
杏「ん、お帰りー」
杏「ところで……何持ってんの、二人とも?」
千夏「ふふっ、これのこと?」がさり。
ライラ「これはですねー」がさがさ。
唯「分かった! 皆へのおみやげだねっ! ヤッター!」がたたっ。
千夏「おっと危ない」ひょい
千夏「唯ちゃん。もう少しあなたは、落ち着きを持ちなさい」
唯「あはっ☆」
ライラ「いきなり飛び込んできては、危ないのですよー」
杏「……で、それは?」
千夏「あぁ、そうだったわね。ライラちゃん」
ライラ「じゃんじゃん、でございますー♪」
デデーンッ!!
『アイスキャンディーの型』
ライラ「材料も、ほら! こんなにありますです!」ごちゃぁ……。
杏「お、おうっ……!」
唯「ふぇー、なんかめっちゃ買って来たんだー」
千夏「今からちょこちょこっと作って冷やしておけば、おやつの時間には食べられるでしょう?」
ライラ「お仕事帰りに、チナツさんが買ってくれたのでございますよー」
杏「へぇ、あの千夏さんがねぇ」
唯「良かったじゃんライラちゃん! ちなったんがお仕事帰りに――」
唯「……え、えぇっ!? ちなったんがっ!!」
杏「あ、杏たちには仕事帰りの買い食いすら許してくれない、あの千夏さんがっ!?」
唯「ゆい達がどれだけキャンディ買ってっておねだりしても、いつもは『我慢なさい』一点張りの、あのちなったんがっ!?」
千夏「まぁ、たまにはこういうのも良いと思ったの」
千夏「それにね、二人に極力買い食いを許さないのは、いつもPさんが用意した飴玉を仕事先でも勝手に食べてるからよ」
千夏「私が我慢なさいと言ってるのも、甘い物の食べ過ぎになるから注意してるだけ」
ライラ「おー、食べ過ぎはよくないですねー。わたくしもアイスは食べ過ぎないよう、よくマユさんに注意されてますです」
ライラ「お腹がゴロゴロ。カミナリサマになるのですよー」
唯「あ、アメはいくら舐めても、お腹痛くなったりしないって!」
杏「そうだそうだ! せいぜい虫歯になるくらいだ!」
千夏「えぇ、ホント……杏ちゃんの言う通りね」
千夏「これからのためにも、Pさんと相談して、普段食べる飴の量を今以上に厳しく管理した方がいいかしら?」
千夏「アイドルが虫歯だなんて、笑い話にもならないもの……ふふっ」
杏&唯(あ、軽く流された)
千夏「ところで……そのPさんはどこかしら?」
千夏「一応、戻って来たって一声かけておきたいのだけど」
唯「あ、あぁー……プロデューサーちゃん?」
杏「あの人なら、ほら、そこで土下座してるよ」
P「…………」
文香「…………」ぺらっ。
千夏「あらあら、今日の相手は文香ちゃんなのね」
唯「そーなんだってちなったん! 文香ちゃんがねー?」
杏「読書モードってゆーの? 声かけても何の反応も返って来なくってさー」
杏「本読んでて気づいてないのか、怒ってて無視されてるのか分かんないから、ああやってずっと土下座してるんだよね」
千夏「なるほど、ね。それじゃあ、声をかけるのはまた後にするわ」
千夏「それまでは、ライラちゃんとこれで」がさがさ。「アイスでも作って待っていようかしら」
唯「あっ! だったらさ、ゆいも一緒に作るー♪」
杏「よーしっ! だったら私も、アイスが出来上がるまで全力でだらだらして待ってるよ!」
千夏「はいはい。それじゃあ、調理場の方へ行きましょうか――ライラちゃん!」
ライラ「はい?」
コメント一覧
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- 2016年06月07日 22:25
- 米1
懐かしいなw
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- 2016年06月07日 22:28
- ※1
>モバP「カタカタカタ…」
ポンコツアンドロイドもロボもいるし
ドア「バァーン!」 とかもあるし
これからはメカマス!
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- 2016年06月07日 22:30
- いいな、これ
半値調べてみるか
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- 2016年06月07日 22:31
- 若葉さんは大人だから自前でミルク作れるよ
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- 2016年06月07日 22:31
- 若葉さんのミルク飲みたいナリィ
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- 2016年06月07日 22:31
- ライラさんかわいい
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- 2016年06月07日 22:32
- ゆいちなはいいものだ
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- 2016年06月07日 22:32
- そらちん書くのうめーな
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- 2016年06月07日 22:33
- この人普段は本家とかミリもかいてるよな
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- 2016年06月07日 22:36
- 人選が俺得
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- 2016年06月07日 22:43
- >文香「代わりに、私でよければ……どんな責め苦でも、受けますから」
よし!そういうことならこの中から好きなのを選んでもらおうか!
・とときら学園にゲストで出演(チャイルドスモック)
・光とヒーローショーに出演(際どいダメージスーツ)
・一日きらり風にハピ☆ハピした口調で過ごす
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- 2016年06月07日 22:46
- この人のは地味に好みだ
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- 2016年06月07日 22:54
- この人の地の文の雰囲気好きだな
探すのはダルいしここで過去作でも新作でもまとめてリンク付けしてくんないかなぁ
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- 2016年06月07日 23:01
- 関係ないけど、誰かあんりす書いてくんねーかな
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- 2016年06月07日 23:13
- 百年経ってもふみありす
千年経ってもゆいちな
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- 2016年06月07日 23:14
- 日菜子ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
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- 2016年06月07日 23:39
- オバちゃんかな?
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- 2016年06月07日 23:43
- ふみありの尊さは天地を駆け抜けますなあ
唯「ねえ…なんかプロデューサーロボっぽくなってない?」
杏「…確かにロボっぽいね…」
モバP「………」ウィィン…
モバP「ロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウロボチガウ………」カタカタカタカタカタ…
唯・杏「「ロボだこれーーっ!!」」ガビーン!!
――みたいな話とオチかと思ってたら全然違ってた