Lenovo傘下のMotorola Mobilityは6月9日(現地時間)、薄さ5.2mmの新スマホ Moto Zや、Moto Z Forceを発表した。(別記事参照)。実機に触ってわかったことをお伝えしていきたい。
ヘッドフォン端子を廃してまで薄く作ることにこだわり
Moto Zの最大の特徴は、プレミアムスマートフォンとして世界最薄(同社談)の5.2mmの薄さ。そして、Moto Modsと呼ばれる背面に取り付ける周辺機器にある。ちなみに世界最薄を「プレミアムスマートフォンとして」と断っているのは、ミッドレンジやエントリーでもっと薄い製品があるからだ。▲Motorola MobilityのMoto Z
▲Moto Zの四面。ヘッドフォンジャックがないことがわかる
また、バリエーションとして用意されているMoto Z Forceは、ShatterShield Technologyと呼ぶ強化ガラスで、高いところから落としても割れない堅牢性が特徴。液晶部分が強化されているため、Moto Zよりは厚い。ただし、背面のフットプリントはほぼ同じで、いずれも同じ着せ替えジャケット「Moto Mods」を共用できるようになっている(Moto Z Forceの方が周辺部分がやや大きくなっている)。
なお、指紋認証リーダーは背面に設ける端末もあるが、背面にはMoto Modsを取り付ける仕様になっているため、Moto Z / Moto Z Forceともに指紋認証リーダーは前面のホームボタンが兼ねる形となっている。
▲SIMカードスロットはピンで取り出す方式
▲Moto Z(北米版)には日本語が選択肢としてなかった、技適マークもなかった
▲左がMoto Zで、右がMoto Z Force。ややMoto Z Forceの方が大きいことがわかる
▲裏面、左がMoto Z Forceで、右がMoto Z
▲厚さの比較、上がMoto Z Forceで、下がMoto Z。Moto Z Forceがやや厚いことがわかる
▲同じく厚さの比較、左がMoto Z Forceで、右がMoto Z
薄さの秘密は、航空機にも使われるアルミニウムとステンレス鋼を採用した点にある。それにより、本体の剛性を確保しながら5.2mmという薄さを実現した。しかも、その薄さを実現するために邪魔なヘッドフォンジャックは潔く取り払われており、ヘッドフォンを利用するにはBluetoothで接続するか、本体下部に用意されているUSB Type-Cコネクタ経由でアダプタを接続する形になる。ただし、この5.2mmという薄さは本体部分だけで、実際には背面カメラはそこから飛び出る形。あくまでカメラ部分を除いて5.2mmの厚さになるというわけだ。
ただ、それはMoto Modsを背面に取り付けないときの話で、Moto Modsや背面カバーを取り付けると、当然その分の厚さが生じることになる。
Moto Z | Moto Z Force | ||
カラー | ブラック(ルナグレートリム)/ブラック(ローズゴールドトリム)/ファインゴールド | ブラック(ルナグレートリム)/ブラック(ローズゴールドトリム)/ファインゴールド | |
SoC | Snapdragon 820(クアッドコア/2.2GHz) | Snapdragon 820(クアッドコア/2.2GHz) | |
メモリ | 4GB(LPDDR4) | 4GB(LPDDR4) | |
ストレージ | 32GB/64GB | 32GB/64GB | |
ディスプレイ | 5.5型 AMOLED QHD(2560x1440) | 5.5型 AMOLED QHD(2560x1440) | |
指紋認証リーダー | 前面 | 前面 | |
カメラ | フロント | 500万画素 | 500万画素 |
リア | 1300万画素 | 2100万画素 | |
通信 | SIMスロット | Nano SIMカード/micro SDカード | Nano SIMカード/micro SDカード |
LTE(北米向け) | B1/2/3/4/5/7/13、UMTS/CDMA、GSM | B2/3/4/5/7/13、UMTS/CDMA、GSM | |
Wi-Fi/BT | IEEE802.11ac/BT4.1LE/NFC | IEEE802.11ac/BT4.1LE/NFC | |
サイズ | 153.3x75.3x5.19mm | 155.9.9x75.8x6.99mm | |
バッテリー | 2600mAh | 3500mAh | |
重量 | 136g | 163g | |
OS | Android 6.0.1 | Android 6.0.1 | |
発売(米国) | 9月 | 9月 | |
価格 | 未定 | 未定 |
ユニークなMoto Mods、磁石で自然に吸い付くように合体する
もう1つMoto Zを特徴付けているのは、同社がMoto Modsと呼ぶ機能拡張ジャケットを背面に取り付けて利用できる点だ。本体側に固定するツメなどが用意されている訳でなく、本体とMoto Mods側の凹凸がぴたっと吸着する感じで固定する。実際にはマグネットが入っていて、それで固定されるのだが、取り付けるときにぴたっと貼り付く感じがして、ちょっと心地よい。また、機能が入ったMoto Modsばかりでなく、背面カバーも同じ仕組み(磁石)で本体に固定される。好みに応じて背面カバーにしたり、Moto Modsにより機能を拡張したりと切り替えて使えることができるのもおおきな特徴だ。なお、本体側、Mods側それぞれに16のボゴピンが用意されており、それによりデータのやりとりと電力供給を行う仕組みになっている。
▲Moto Modsを接続する為のボゴピン、全部で16もある。どのピンがどの役目を果たしているかは現時点では非公開
▲Moto Mods側のボゴピンと合わせて取り付ける。磁石を利用しており吸い付くようにくっつく感じ
▲Moto Modsには周辺機器だけでなく、このように背面カバーも用意される
このMoto Modsには標準で、ステレオスピーカー、バッテリー、プロジェクターが用意されている。ステレオスピーカーには、スピーカーメーカーとして知られるJBL社のSoundBoost技術が利用されており、実際に会場で聞いてみたが、スマートフォンとは思えない音量で音楽を鳴らすことができていた。バッテリーは標準で30時間のバッテリー駆動時間を、さらに22時間延ばすことが可能になる。
▲JBL社のSoundBoost技術のスピーカー
▲モバイルバッテリーは、TUMIなどファッションブランドの意匠を利用したタイプも用意される
プロジェクターは、YOGA Tab 3などのタブレット製品に内蔵されているのと同じ小型タイプ。最大72インチ相当のディスプレイに画面を出力できる。本体への装着は非常に簡単で、前出の通りボゴピン同士を合わせてくっつけるだけ。それでそれぞれの凹凸が合わさって固定される。固定されたら、Mods側のプロジェクターのスイッチを3秒長押しすると、スマートフォンのディスプレイがプロジェクターから出力される。あとは壁などに向けて、内蔵のダイヤルで焦点を調整すればOKだ。
▲Moto Modsのプロジェクター。最大で72インチ相当のディスプレイを出力できる
Motorola Mobilityでは、このMoto Modsの開発プログラムを7月より公開する。開発に必要なハードウェアやソフトウェア開発キットなどがセットになっており、同社が用意する認証プログラムを通過すると、販売が可能になる予定だ。
ただし現時点では、このMoto Modsの開発プログラムをどのようなビジネスモデル(例えば、サードパーティとMotorolaが利益をどのように分配するのかなど)で展開していくのかは未定。詳細はMoto Modsの開発プログラムが正式に立ち上がった際に、メーカーなどに個別に説明するという。今後さまざまなMoto Modsが登場する可能性に期待したいところだ。
▲Moto Modsの開発者向けキット、このキットを利用して周辺機器の開発などができるようになっている
▲バッテリー、カバー様々なMoto Modsが用意されている
なお、Moto Zの展開について、Lenovo アジア太平洋地域スマートフォンビジネス担当副社長のディーリン・イー氏は『日本市場には積極的に取り組みたいと思っている。我々は既にNexus 6を投入し、Moto G3/G3 Turboも既に販売をしている。我々は日本市場にMoto Zを投入する計画を持っている』と述べ、Moto Zに関しては日本市場へ投入したいという計画があるとのことだった。
ただし、それがキャリア経由での販売になるのか、現在一部の販売代理店経由でMoto X Playが販売されているような形になるのかは、コメントしなかった。また、Moto Z Forceに関しては基本的に米国がメイント市場で、日本を含むアジア太平洋地域には投入する予定がないとイー氏は説明した。