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ファーウェイ高級スマホP9を実機でチェック。カメラの逆光耐性とマニュアル設定の実用度に感心、省電力機能には低解像度化も - Engadget Japanese


6月9日、中国の大手通信機器メーカーHuawei(ファーウェイ)が、東京でスマートフォンとスマートウォッチの新モデル発表会を開催。その中で大きな注目を浴びていたのが、4月にロンドンで発表された同社スマートフォンのフラグシップ機『HUAWEI P9』。今回はRAM3GB、ストレージ32GBのモデル投入が発表されました。

ファーウェイ側がアピールする最大の特徴は、ライカとの協業によるカメラ機能。2つのレンズとイメージセンサーを搭載する構造を画質重視に振り、従来のスマートフォンを超えた画質を謳います。また注目の日本価格は5万9800円(税抜)。安価とは言えませんが、英国での499ユーロからほぼ為替レートぴったりと、昨今では珍しく価格差がありません。今回はメーカー側がイチオシとしているP9のカメラ機能を中心にレポートします。

HUAWEI P9 実機レポ

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51 枚





カメラアプリの設定は細かさと幅、タイムラグともに上々







まずチェックしてみたのは、レンズの逆光耐性です。発表会場でのスポットライトを直射で撮影してみましたが、フレア(余計な光の帯)などは少なく、また形状も嫌らしくありません(データの持ち帰りが不可能だったため、画面の撮影となります。2枚目はアップです)。

こうした逆光に対するフレアは、明るい箇所で像がぼやける現象や白飛びにも繋がることから、可能な限り抑えられているのが望ましいのですが、かなり優秀と呼べそうです。



今回は比較用に筆者が使っているiPod Touch 第6世代(G6)と比較してみました(もちろん、比較前にレンズは清掃しています)。Touch G6のレンズの逆光耐性は、現在でも並みのスマートフォン以上といったレベルで意外と優秀なのですが、それでも帯状のフレアが出てしまっています。



また、筆者が使っているキキヤノン「PowerShot G7 X」で撮影した状態(上記写真)と比べても、P9はフレアという点では大きな差にはならないレベル。
実写データでも、中山智氏が英国版を使い逆光作例を撮影されていますが(下記記事を参照ください)、こちらも合わせると、P9のレンズの素性はかなり良さそうな手がかりがあります。

レビュー:Leicaデュアルレンズ搭載スマホ、ファーウェイ P9で撮影してみました

次に気になったのは、プロカメラモード(いわゆるマニュアル撮影モード)での設定幅とタイムラグ。一昔前のカメラアプリではマニュアル撮影可能をアピールしながらも、設定幅が狭くオートモードとほぼ変わらない設定しかできないものや、タイムラグがありすぎて、設定しているうちに撮影リズムが崩れるものも多くありました。





ですがP9は、こうした点でも非常に優秀。まず驚いたのは設定幅の広さで、ISOは3200まで(マニュアルでです)、シャッター速度は最速で4000分の1秒まで。





さらに露出補正はなんと3分の1ステップでプラスマイナス4段までが設定可能。ホワイトバランスは詳細設定モードにすることで、2800K(ケルビン)から7000Kまでがリニアに設定できます。






速度に関しては、動画をご覧ください。1本目が各種の露出設定、2本目は(露出補正より合格点を出しにくいモデルが多い)マニュアルフォーカスです。一部操作ミスでタッチすべき点を外れてしまいましたが、ある程度指を速くドラッグしても、露出補正のタイムラグは少なく、またマニュアルフォーカスも滑らかかつしっかりと狙えることがわかるかと思います。

さらに露出に関する表示もリアルタイム、かつ精細に変化します。ここまでの画面でシャッター速度を見ていると、「1/1063」や「1/17」など、いわゆる一般的な速度から外れた、細かな表示となっているのが見て取れます。画質に関するアピールのみならず、こうした挙動を見ていても(むしろこうした挙動の堅実さから)、P9のカメラアプリは確かにかなりの気合いが入っていると思わせるものです。

仮想的なボケ味を出すワイドアパーチャ機能に注目




撮影モード設定に関しては、カメラアプリ実行時に右側をスワイプすると表示されるという操作。非表示時の画面上に手がかりがないため、慣れるまでは若干手間取りそうなのが気になりますが、モードは多彩。

ファーウェイ側が大きくフィーチャーするライカ監修のモノクロモードや、動画撮影、夜間撮影、HDRなども含まれます。夜間撮影やHDRが専用メニューとなっている点からピンと来た方もいるでしょうが、夜間撮影やHDRはいわゆるリアルタイムではなく、複数カットを撮影、後合成をするタイプです。

となると当然、これらの待ち時間が気になるところです。が、HDRなどはSoCとなるKirin 955(の画像処理エンジン)が高速なせいか、1枚のみ撮影する場合などは一呼吸置く程度で合成が終了します。



またモノクロモードは、プレビューもしっかりとモノクロ(グレースケール)表示となってくれるため、露出補正がしやすくなっています。なお、プレビューと撮影後の露出のズレなどもチェックしてみましたが、このあたりも信用度の高いものでした。



そしてもう一つのポイントが、仮想的なボケを作れる「ワイドアパーチャ」機能。これは2つのイメージセンサーで撮影時に被写体の距離情報を記録。その状態でピントを変えた写真を複数枚撮影し、距離情報を元に合成することで、本来は大きなレンズを使わなければ出ないボケを表現するというシステム。
これは同社のhonor6 Plusでも導入されていたもので、F値0.95相当と、非常にボケやすいレンズと同等のボケが得られるというのがアピールポイントです。

本機もそれは引き継がれており、ワイドアパーチャの設定で最大にボカした状態の表示は、同じ「F0.95」となります。なお基本操作は、右にある絞りアイコンのスライダーを上下にドラッグすることで、ボケ具合をコントロールするというもの。このあたりの応答速度も良好です。

なお、カメラに詳しいユーザーにとってはややこしいのですが、ここで言うF値表示は、あくまでも「この値に相当するボケ量が得られる」という目安。スマートフォンのカメラなので物理的な絞りが変更できるわけではありません。また、レンズ自体のF値は2.2です。



気になる効果ですが、縦に区切られた壁など、同種の技術が苦手とする被写体ではそれなりに輪郭強調が気になるものの、従来の同種機能よりは効果の掛け方に無理がない設定なのか、違和感は少なめ。被写体と強度のバランスによっては実用に耐えるのではないかと思えます。

さらにフロントカメラにも、さまざまな美顔効果を掛けられる「ビューティーモード」をはじめ、これまでのファーウェイ製スマートフォンで評価の高かった機能を継承します(ちなみにビューティーモードの効果設定項目は「ビューティーレベル」です)。ビューティーモードに関しては、下記の動画記事を参照ください。

【動画】Huawei P9、ライカ2眼カメラ体験。女の子は自分撮りビューティーレベルが気になる模様

解像度を落としての省電力化などユニークな機能も




基本性能という点では、今回は実機に触れている時間が比較的短く、詳細なチェックはできなかったのですが、それでも基本的な箇所での優秀さや、ユニークな設定はいくつかが確認できました。

まずは本体の設計。ファーウェイはNexus 6P以降、金属ボディのスマートフォンが凄く良くなったという印象ですが、本機はさらにフラッグシップということもあり、しっかりとした剛性感を持ったボディと感じました。薄さによるやわさなどはまったく感じさせません。

前面・背面双方のエッジ部にほどこされたダイヤモンドカットは反射率こそ控えめですが、主張するときにはしっかりと主張をする印象。個人的にはむしろ目立つタイプより好ましいと感じました。



フロント面とカメラ部周辺のガラスは昨今のトレンドに従い2.5D加工となっており、エッジが滑らかになっています。反面、外観を初めて見ると(Nexus 6Pのように)カメラ部が飛び出しているのか? と思いますが、こちらもしっかりフラットなデザイン。サイドから見てもスッキリしています。



また興味深かったのが、指紋認識センサーの応用範囲が広い点。機能の少ないモデルでは、ログインやパスワード入力時の代用といったあたりに留まりますが、本機はさらに、写真や動画のシャッターの代用、通話ボタンの代用、アラームの停止、果ては通知パネルの表示/非表示といった操作も設定可能となっています。

とくに通知パネルの表示と非表示は、あまり類を見ないのみならず、ヘビーユーザーであれば使用頻度が高い機能。これを背面のタッチで行えるというのは魅力的に感じました。



同じくユニークなのは省電力設定で、表示解像度をHD(縦長状態で720×1080)に落として省電力化する機能を備える点。従来のスマートフォンでは見られなかった面白いアプローチです。

ただし、一般的にHD解像度のスマートフォンの消費電力が低いのは、SoC(に搭載されたGPU)側の電力の低さよりも、液晶パネル側の消費電力の低さがより大きく貢献しているのも事実。そのため、元からHD解像度のモデル並み......というわけにはいかなそうですが、GPU部の消費電力が下がることは間違いないため、面白いアプローチと呼べそうです。

とくにIngressなど、「なんだかんだで常時スマートフォンをオンにしている」タイプのアプリに関しては、地味ながら省電力効果が期待できそうな機能でしょう。



HUAWEI P9 発表会での解説

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20 枚



このようにHUAWEI P9は、かなり期待できそうな光学特性に加え、実戦で使えそうなレベルの露出設定が可能なカメラアプリや、ユニークな省電力機能など、かなり意欲的なモデルとなっています。

また繰り返しとなりますが、価格の面でもいわゆる内外価格差がほぼないなど、海外メーカー製の高級SIMフリースマートフォンの中では非常に積極的な販売戦略を採っている点も興味深いところ。こうした点に興味を持った方には、ぜひ一度実機を触れてみてほしいモデルです。
ファーウェイ高級スマホP9を実機でチェック。カメラの逆光耐性とマニュアル設定の実用度に感心、省電力機能には低解像度化も
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