シンデレラガールズと愉快な仲間たち
短編集だよ 百合を含むよ
【泉の女神】
「――貴方が探しているのは、この右のガラスの靴ですか?」
「いいえ」
「では、この左のガラスの靴ですか?」
「いいえ」
「それでは一体、貴方は何をお探しなのでしょう」
「――ガラスの靴を履いた、シンデレラを」
「では、正直者の貴方の為に、私も一肌脱ぎましょう」
「ありがとうございます、女神様」
「あ、この場合は『一足脱ぎましょう』ですかね。ふふっ」
「いやちょっと本当に脱がないでくださいってば楓さん」
【素直なキミが好き】
凛「プロデューサーってどんな私あっ」
P「……ん?」
凛「別に、違うから。仕切り直すね」
P「え? ああ」
凛「プロデューサーってどんな女の子が好きなの?」
P「……」
P「……素直な女の子」
凛「……」
凛「……ちょっと待って」
P「ああ」
凛「今、どうするか決めるから」
P「ああ」
【喜ぶ顔が見たいから】
紗枝「……担当はんを悦ばす?」
周子「うん。たまには喜ばせようかなーと」
紗枝「そやなぁ……最中に『あかん』ゆうと、男の人いうんは喜ぶ聞いとりますえ」
周子「へー。あんがとさん」
[翌日]
周子「……おはよう……ございー……」
紗枝「……あら、周子はん? どないしたん、そんなよろけて」
周子「……」
紗枝「周子はん?」
周子「……あかん。紗枝ちゃん、アレほんまあかんわ……」
紗枝「悦んだみたいで何よりやわぁ」
【私だって女の子】
速水奏はそわそわしていた。
「ナー」
「おおぅ、可愛い奴め。ほれほれ」
収録からの帰り道に出逢った仔猫。
まだ小さな三毛を、塩見周子が可愛がっている。
「わっ、くすぐったいって。ふふ」
「ニャ?」
「……」
そりゃもう清々しいくらいに可愛がっている。
猫可愛がりここに極まれりだった。
(……撫でたい)
だが、奏がそれを口にする事は叶わなかった。
速水奏はクールでミステリアスな女である。
残念ながら可愛らしい仔猫を積極的に撫でにいくようなキャラではないのだ。
(めっちゃ撫でたい)
ただ、彼女も女子高生であるからして。
女の子としての本能には抗えないのだ。
「ふふー」
「フミィ」
「……ねぇ、周子」
「あーごめんもうちょい待って。もうちょいで行くからほんと。堪忍な」
「あ……うん」
周子が最後のダメ押しと言わんばかりにこれでもかと仔猫を撫で回す。
ひとしきり撫で終えると、小さく溜息をついて立ち上がった。
「お待たせ。いこか」
「……ええ」
振り向いた周子が不思議そうに眉を上げる。
慌てて平静を装うとする前に、周子があっと何かに気付いた。
「……奏、ひょっとして」
「……ええ、お察しの通り」
「もー。恥ずかしがらずに言いなって」
「私だって、女の子だもの」
ようやく気付いた周子がくすくすと笑い。
――奏の頭を優しく撫でた。
「……え、あの、周子」
「うりうりー。可愛い奴め」
「……えっと」
「奏ちゃんは可愛いなーもう」
「……」
……まぁ、悪くないかな。
そんな事を考えつつ、満更でもない表情で周子に撫でられるままの奏。
お年頃の可愛らしい女の子達を眺めて、小さな三毛がにゃあと鳴いた。
【凛ちゃんに「うん」って言わせたがる病】
凛「寒い」
P「寒いな」
凛「……」
P「……」
凛「…寒いね」
P「あぁ。すっかり冬だ」
凛「……」
P「……」
凛「…あっためて」
P「……」
凛「……うん」
P「……すまん」
凛「許すよ」
P「ありがとう」
凛「うん」
P「寒いか?」
凛「あったかい」
P「そうか」
凛「うん」
【たわむれCafe au lait!】
フレデリカ「クイズ! フレデリカ~!」
周子「ファイナルアンサー!」
フレデリカ「正解!」
周子「やったー!」
フレデリカ「また来週~!」
奏「そろそろ行くわよ」
周子「ウィス」
フレデリカ「ッス」
【同じ目線で】
楓「低垣楓です」
P「楓さん」
楓「はい」
P「しゃがんでるだけですよね」
楓「はい。撫でやすいと思いませんか」
P「……」
楓「……」
P「…………でも、抱き締めにくいですね」
楓「ちょうどいい垣楓です」
P「立ち上がっただけですよね」
【名前を呼んで】
「――準備出来たか、ありす?」
「ありすではなく橘です」
「今は橘でもないだろ」
「……そうでした」
「今しがた籍入れたばかりだってのに」
「無駄口叩いてないで前見て運転してください」
「うーん、鬼嫁が怖い」
「……しょうがないから」
「ん?」
「ありすと呼ばせてあげます」
「そりゃどうも」
【何度も言わせるな恥ずかしい】
P「げっか……すまん、何だって?」
文香「……」
肇「……月下氷姫、です。げっかひょうき」
P「その、どういう字を書くんだ?」
文香「……」
肇「……え、っと……げ、月下美人の月下に……」
P「ああ」
文香「……」
肇「氷の……お、姫様……で、月下氷姫、です……」
P「ああ、月下氷姫。月下氷姫、月下氷姫か……なるほどな」
肇「……」
文香「……プロデューサーさん」
P「どうかしたかな、鷺沢さん」
文香「そろそろ……怒ってもいいでしょうか……」
P「えっ?」
【感受性の高い人たち】
加蓮「実は最近、みんなの持ち歌練習してるんだよねー」
奈緒「あーそういや言ってたなそんな事」
卯月「熱心ですね!」
未央「へー。じゃあ試しに唄ってみてよ!」
加蓮「何にする?」
凛「じゃあ卯月のsmilingで」
加蓮「オッケー」
『憧れてた場所を、ただ遠くから観ていた』
”――なんかそーゆーキャラじゃないんだよね。”
『今さら、なんて無い!』
”――体力ないの、昔入院してたから。”
『今はまだ、真っ白だけど』
”――私も……本当に輝ける?”
『憧れじゃ終わらせない、一歩近付くんだ』
”――ふふっ。信じてくれればいいの!”
『昨日ヘコんで寝込んだ自分と、指切りして』
”――今日も昨日も明日も…特別だよ。”
『おしまい、なんて無い!』
”――大丈夫。あなたの育てたアイドルだよ。”
『愛を込めて、ずっと唄うよ!』
未央「う”わ”あ”ぁぁぁ~ん! かれりん~っ……!!」
卯月「ひくっ、えぐっ……加蓮ちゃん……! もう、一人じゃありませんよ……!」
凛「加蓮。歩んでいくよ……私も、一緒に!」
奈緒「加蓮ー! だいすきだーっ!!」
加蓮「えへへ……みんな……」
奏「……何アレ」
【クールとは】
茄子「あのー、私ってクールなんでしょうか?」
泰葉「ええ、凛とした大和撫子さんだと思います」
茄子「あら、ありがとうございます♪」
泰葉「その、私も恥ずかしながら、最近は可愛いと言われる事が多く……」
茄子「いえいえ、現場で落ち着いて振る舞う泰葉ちゃんはとってもクールですよー?」
泰葉「ふふっ、ありがとうございます」
蘭子「……あの」
茄子「どうしました?」
蘭子「何で私ここに呼ばれたの?」
泰葉「えっ?」
茄子「えっ?」
蘭子「えっ」
【夜も安心】
藍子「……終電、無くなっちゃいましたね」
P「……ああ」
藍子「……これじゃ、帰れませんね」
P「……ああ」
藍子「……」
P「……」
藍子「朝までファミレスでのんびりしていましょうかー」
P「だなー」
【花の名は】
夕美「綺麗だねー」
P「そうだね」
夕美「やっぱり春は好きだなぁ。花がすっごく綺麗なんだもん♪」
P「うん。すごく綺麗だ」
夕美「Pさん」
P「どうかした?」
夕美「お花見だよ?」
P「花見だね」
夕美「私
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