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新しい技術というものは、いつだってちょっと怖い。自分の病気はwifiのせいだと思っている人もいる。しかし、不運なことを最新技術のせいにするのは、なにも今に始まった話ではない。1920年代の農夫たちもまた、豪雨や地震、干ばつを当時最新技術だったラジオのせいにしていたのだ。
1924年10月、雑誌『サイエンス・アンド・インベンション』は、出版者で編集者のヒューゴ・ガーンズバックの記事を掲載した。現在、サイエンスフィクションのレジェンドと言われているガーンズバックは、異常気象をラジオのせいにしたとしても、そこに科学的な根拠はないと説明している。
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1920年代初頭のアメリカ人にとって、ラジオはまだ比較的新しい技術だったので、未知のものに対するおかしな迷信が広まっても無理もないように思われる。科学的根拠はないと言っておきながら、当のガーンズバック自身も、記事からもわかるように、ラジオには潜在的に治療パワーがあると真剣に信じていたようだ。将来的には血圧が下がるといった効果がラジオ技術にはあると拡大解釈した。
ガーンズバックの論説は、一般消費者向けラジオの幕開けが生んだ魅力的な産物である。以下に全文を紹介しよう。
■ラジオと生活 ヒューゴ・ガーンズバック
低気圧が居座って大雨が続くとか、長期の日照りや地震について、その結果について伝えるのは確かにラジオの責任だ。しかしもちろん、ラジオが大雨や日照りに影響を与える可能性があるなどという話は、科学者たちは一笑に付すだろう。確かにラジオの電波が大気になんらかの影響を与えているのは本当だが、その影響は大草原の真ん中に置いた扇風機のようなものだろう。扇風機は多少のそよ風や気流を起こすだろうが、扇風機からものすごく離れていれば、その影響はゼロに等しい。電波もまたしかりだ。
この地球全体から宇宙に放たれる電気エネルギーは、総計5000キロワットにも満たない。つまり、50ワットの白熱灯10万個くらいの明るさにすぎない。もしこの先、この電力が100万キロワット以上になれば、大気に多少の影響はあるかもしれない。しかし、たとえそうなったとしても、降雨や太陽に干渉できるほどの深刻な影響力はない。
将来、超特大ラジオが国民に支給されて、そこから50万キロワットもの大量の電力を宇宙に放射することになるなら話は別だ。それだけ巨大な基地局のパワーを十分に高めれば、すぐ近くに雨を降らせないようにしておくことも可能かもしれない。最近では、飛行士が電気を帯びた砂を使って雲を散らし、雲堤に巨大な穴をあけることができることがわかっている。未来のラジオ発電所が、数マイル四方の空気中にある雨やみぞれや雪の雲を吹き飛ばすかもしれないが、そのような巨大な発電所でさえ、大気全体に著しく影響を与えることはできないだろう。
この文章を読んでいる間にも、電波が四方八方からあなたの体を通り抜けているのは事実だ。開けた場所にいる場合、町中にいるときよりもあなたの体はより強い電波を浴びている。草原にひとりで立っているとき、電波の最大の影響を受けているのだ。
高い鋼鉄のビルに囲まれている町中にいるときは、これらのビルがあなたの体よりも電波を吸収するため、最終的に密閉された鉄の屋内に入っていれば、電波が体を通り抜けることはない。
高周波電流はむしろ人体にとって有益なことも
直接的・間接的に観察した限り、実質的な影響はないか、せいぜいガラス一枚に日光が当たる程度だ。なんらかの影響はあるかもしれないが、非常に小さく、今のところラジオが発する電波はとても弱くて、ひとつの音を聞くのに受信機の感度を何千倍にも増幅しなくてはならないほどだ。電波に関して言えるのは、人間の体は電流を非常によく通す導電体であるというだけなのだ。
もし、あなたが強力なラジオ局のすぐ真下に住んでいるのなら、体になんらかの影響が出るかもしれないが、それはむしろいい方の影響だ。20年も30年も長いこと電波の影響下にいたなら、きっと動脈硬化にならないで済むといった、人体にとって有益な結果が出るだろう。
これは年をとるのと同じで、人間のもっとも一般的な病理的特質なのだ。高周波低電圧電流が、例えば血圧を下げて劇的に病気を治すような効力をもっていることは、数年前にフランスの物理学者ダルソンヴァールによって発見された。もちろん、こうした効果が期待できるのは、電波の送信所にとても近いところに住んでいるときのみだろう。1マイルも離れていたら、実質的な影響はない。
いまから50年や100年後に、スーパーラジオ局が大量の電気を発生させるようになったら、状況は変わるかもしれない。この地球上のどこにいようと、誰でもその有益な恩恵を受けることができるようになる。さらに、高周波電流は、あらゆる人間に活力を与えられるくらい十分に強力になるだろう。
わたしたちはあらゆる意味で電気を帯びることになる。人間だけでなく、最近の高周波実験でもわかるように、植物も大きく活性化されることになる。作物や植物は2倍から10倍も速く成長し、帯電化することによってよって生産量も増える。スーパーラジオ発電所が、局所的な気候をもコントロールするようになる。田舎のある地域で降雨が必要なら、週に1日か2日、発電所を止めて雨を降らせればいいのだ。
via:People Used to Blame Earthquakes and Droughts on New Radio Technology/ translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ラジオ聞きながら読んでたけど番組によっては逆効果もありそうだなぁ…
2. 匿名処理班
未だに携帯電話の電波が人体に有害だと主張している人たちがいるくらいだし、昔からこの手の話は尽きないよ
3. 匿名処理班
今でもそう考えてる人がちらほらいるようだ
4.
5. 匿名処理班
一方、10年後のイギリスでは
国防省「ワット卿、電磁波で敵のパイロットを倒せないだろうか」
ワット「それは実用化できそうにないが、飛行機を探知することはできると思う」
国防省「やったあ」
ワット「レーダーが出来た」
6. 匿名処理班
昔は新聞読んだら頭に悪い影響出るとかも言われてたらしいし、人間の先進性に対する基本的な反応のひとつかもね
7. 匿名処理班
ブルーライトを当てられた昆虫が死ぬって話を読んでから
微妙にPCやスマホを使う時間が減った
すぐ元に戻ったけどな!
8. 匿名処理班
頭にアルミホイル巻いてる人もこんな感じの思考なのかな