【WIXOSS】一衣「その邂逅は」凌牙「冀望」
病院にて
一衣(どうやら、私はバトルの最中に倒れてしまったらしい)
一衣(しかも、起きてみればルリグカードまで失くしてしまったようで……)
一衣(……最近、色々なことがあって、挫けそうだ)
一衣(なぜ自分が、こんなことになっているのかすら分からない)
一衣(先生には『特に以上も見当たらないが、念のため入院を』とのことだし……)
一衣(しかもお母さんにまで、心配をかけてしまった)
一衣母『一衣……一体、どうしてしまったの……分からない……どうして……こんな……』
一衣(……お母さんも、すごい追い詰められてるみたい)
一衣(……なんでこうなっちゃったのかな)
ユヅキ『……だから、願いを叶えるのは、セレクターの私じゃなくて、ルリグの花代さん……!』
ユヅキ『それがこの戦いの真実なんだ』
一衣(あれは何だったのかな……)
一衣(持っている筈がないルリグが私のことを知っていて、会っている筈がないセレクターが私のことを知っている……)
一衣(……『願いを叶えるのはルリグ』?)
一衣「……あとでユヅキに聞かなくちゃ」
一衣「……!デッキ……」
一衣「これもあるし……うん、足りてる」
一衣(ユヅキ以外は足りてる……よかった……)
一衣(……あの時バトルした白使いさん……多分、あの人が救急車を呼んでくれたんだよね……。じゃあユヅキもあの人が)
一衣(……色々考えてたら疲れちゃった。デッキを見て気を紛らわそう)
一衣 ペラペラパチパチ
凌牙(……なんだあのカード)トナリノベッドカラノゾキミ
凌牙(……すごい気になるな。聞いてみるか……)
凌牙「なあ、アンタ」
一衣「ふぇ……、な、何ですか、あなた……!」オドオド
凌牙(やべ、ビビらしちまった。まあ、なんか気が弱そうな見た目してるし……いきなり話しかけんのはマズかったか)
凌牙「ああ、いや、ちょっとその手元のカードに興味があってな」
一衣「と、取るつもりですか……!?」
一衣「話……?」
凌牙(お、少し警戒心が緩んだかな。ここはもうひと押し……)
凌牙「ああ、俺も……」ゴソゴソ
凌牙「ほら、カード持ってるんだ。アンタのとは違うが」パラ
一衣「あ、どうも……『ブラック・レイ・ランサー』……?」
一衣「え、えと、私のはこれです……」ミセルダケー
凌牙「『気炎万丈』……へえ、白のカードもあるんだな」
一衣「『WIXOSS』ってカードゲーム、知ってますか?」
凌牙「……いや、聞いたことない」
一衣「ご、ごめんなさい」
一衣(そう言う割には眼つきが怖いし……なんだろう、所謂『不良』みたいな人……)
凌牙「それに、こんなケガじゃな」
一衣「あ……」
一衣(よく見たら、包帯ぐるぐる……。ひどいケガだ……)
凌牙「そうは言っても、結構治ってんだけどな。俺は『大丈夫』って言ってんのに、妹がなかなか退院させてくれねえんだ」ヤレヤレ
一衣「妹さんが……いるんですか」
凌牙「ああ、ウチ親がいなくてよ。双子の妹がいるんだが、まあお互い意地っ張りというか負けず嫌いというかで、両方保護者みたいな感じだ。……の割には最近アイツこねえんだよな。だから暇でな……」
一衣「そ、そうなんですか……」
一衣(なんか、優しい眼差し……悪い人じゃなさそうだけど……)
一衣「……う、植村一衣……です」
一衣(な、名前言っちゃった……。どうしよう)
凌牙「一衣か。…その、『ウィクロス』だったか。どんなカードゲームなんだ?」
一衣「あ、それはですね……」ゴソゴソ
ルールブックス!
凌牙「……ほう……ふむふむ」
凌牙「さらに、ルリグデッキのアーツによる確定戦略。メインデッキのスペルによる不確定戦略を併せ持つのもいいな」
凌牙「……如何にルリグをグロウしながら自分を守り、コストを稼ぐか。そこが重要なところか……。まあそりゃデッキによってまちまちだよな」
一衣(すごい……!ルールブックに目を通しただけで大筋を掴めてる)
凌牙「……デュエルモンスターズとは大違いだな」
凌牙「ん、ああ、さっき俺が渡して見せたカードゲームのことだ。興味あるか?」
一衣「ちょっとだけ……あります」
凌牙「そりゃいい。だったらデュエル!……といきたいが、俺はルールブック持ってねえし、なによりデッキは璃緒に没収されてんだよな……すまねえ一衣」
一衣「……い、妹さんですか、その、璃緒さんって」
凌牙「ああ。まったく、別に病院で怪我するなんてバカな状況にはならねえだろうに」
凌牙「それに、普通に、通常のデュエルぐらいさせろってんだ。病院にもデュエルスペースだってあるしな」
一衣(……『通常のデュエル』?)
一衣「あの……一つ、質問してもいいですか?」
凌牙「ん?何だ?」
一衣「そのケガ……カードゲーム、『デュエルモンスターズ』っていうので、ケガしたんですか?」
凌牙「あー、その、誰にも言わないでくれるか?」
一衣(やっぱり……!)
一衣「はい。私、誰にも言いません。だから、教えてください…!」
凌牙「……一衣の言ったとおり、これはカードゲームやってケガしたんだ。しかも、ただデュエルしたんじゃない。呼び出したカードが実体となって、俺に攻撃してきたんだ」
一衣「…………」
一衣「……あの」
凌牙「何だ」
一衣「私も、特別なカードを使って……戦ってるんです」
凌牙「……そうか。それで、やっぱり酷い目にあって、ここに来たのか?」
一衣「……私のお話、聞いてくれますか?」
凌牙「…一衣、なんかすげー悩んでいるっていうか、すごく真剣に考えてることがあるだろ?そんな顔してる。でも、答えは見つからなくて、ずっと『悩んでるまま』なんじゃないか?」
一衣「……そうです」
凌牙「知り合いに似たような奴がいてな。……イラっとする奴だが」フッ
一衣(……なんか不思議な人だな。カリスマ?っていうのかな。惹きつけられる……)
凌牙「俺が何か助けになれるかは分からないが、俺はどんな話をされても信じるし、答えれることがあるなら答えるぜ」
凌牙「じゃあ、一衣も、その『願い』のために戦っているんだな」
一衣「……私は、『願い』が最初は見つからなかったんです。その時、私はひどく不安定で……なんて言えばいいのかな。『マイナス』、みたいな状態で」
一衣「何かが欠けていることは、分かってたんです。でも、それが何なのかは分からない」
一衣「そんな状態でした」
一衣「でも、ちょっと前に、やっと、ほんの少しだけ掴めたんです。私が心の底から『欲しい』と切望していたモノを」
一衣「『願い』を自覚した私は、セレクターとのバトルに臨みました。そこで、私は倒れてしまった……ようなんです」
凌牙「……成程な」
一衣「……気が楽になりました。実は、家族にすら話してなくて」
凌牙「……せめて親には、言ったほうが」
凌牙(いや、そんな事ができるなら、とっくにしてるだろう。一衣は、あくまでも『自分で選んで戦っている』んだ……)
凌牙「すまん、何でもない。余計なおせっかいだった」
一衣「いえ、嬉しいです……とっても……」
一衣「何ですか?」
凌牙「嫌だったら答えなくていい。……一衣の願いは、何だ?」
一衣「……!私の……願いは…」
一衣「うっ……!」
凌牙「一衣っ!?」
凌牙「言わなくていい!一衣!しっかりしろ!」
凌牙「くそっ!ナースコールボタンは……」
一衣「待ってください!」
凌牙「だが一衣!」
一衣「大丈夫です…!この程度の痛みなんて……!」
凌牙(……なんて力強い目をしてやがる)
一衣「友達……」ズキ
凌牙「……それがお前の願いなのか、一衣」
一衣「はい……そうです」スゥ…
一衣(よかった……痛みが治まってきた)
凌牙「……一衣、俺と……その、友達には…なれないのか?」
凌牙「俺とお前は、友達になれると思う」
コメント一覧
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- 2016年06月19日 22:37
- 生きていたのか、タマァ!?
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- 2016年06月19日 22:43
- 忘れたか!お前の一番のファンの顔を!
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- 2016年06月19日 23:02
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中々良かった
遊戯王世界でのウィクロス普及率はどんなモンなんだろうな
話は変わるけどひっとえーって絶対むっつりだよね
緑子もそう
遊月はオープンスケベ
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- 2016年06月19日 23:14
- 限られた言葉でいつしかの笑顔許して欲しいんだろ?
許してやるよォ!
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- 2016年06月19日 23:40
- メンタルカウンセラーの遊馬先生なら全て解決!
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- 2016年06月19日 23:41
- ?「我が遊戯王カードをWIXOSSに書き換えたのだ」
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