理樹「ハグ魔と化すおまじない?」
理樹(僕は来ヶ谷さんからここのベンチに呼び出されていた)
来ヶ谷「そうだ。美魚君から興味本位で借りてみたんだがまさかこんなことまで書かれているとはな」
理樹(と、来ヶ谷さんは膝の上に乗せてある『おまじない100』をポンポンと叩いてみせた)
理樹「えーと…それで僕を呼び出した訳というのは?」
来ヶ谷「そのハグ魔と化すおまじないを実際に理樹君で試してみようと思ってな」
理樹「ごめん、ちょっとトイレ」
来ヶ谷「逃がさん」
理樹(強い力で手を掴まれた。もうダメだ、おしまいだ)
理樹「だ、誰かー!!助けてーー!!」
来ヶ谷「えっとなになに?掛けたい相手に『ハグガシタイオナズン』と唱える…か」
グワングワン
理樹「ぐあっ!」
理樹(その瞬間、全身に電流が走ったかのような衝撃を受けた。まさか、本当になってしまったのだろうか?そのハグ魔というやつに)
理樹「うっ………」
来ヶ谷「どうした理樹君?」
理樹(来ヶ谷さんがめちゃくちゃ嬉しそうな声で聴いてきた)
理樹「な、なんだか身体が火照ってきた……なんだかとってもオギオギする!」
来ヶ谷「ようし、その調子だ!そのまま誰かに抱きついてくるんだ!」
理樹「僕は…………」
(>>3を抱きしめに行く)
来ヶ谷「おっと…」
理樹「ご、ごめん…でも…」
来ヶ谷「ふふ……まあ良いだろう。私が唱えたのだからまずは私からだな」
理樹(本人はあまり怒ってない。それどころかこうなる事を予見していたかのようだった)
来ヶ谷「甘えん坊だな理樹君は」
理樹「ハァ…ハァ…」
理樹(右手を来ヶ谷さんの肩へ、左手を腰に添えた。来ヶ谷さんの髪が僕の頬をなぞって少しこそばゆい)
来ヶ谷「ふふふっ。理樹君はこんなことで興奮するのか?外国にいた頃はこんなこと、文字通り挨拶代わりだったよ」
理樹「日本じゃそんな習慣はないからね…」
来ヶ谷「だが、理樹君の恥ずかしそうな顔が見れるんだからそれで良かったよ」
理樹「あの…えと……」
理樹(そう言われても反応に困る。それに今僕が顔を真っ赤にしているのは来ヶ谷さんが僕の臀部に手を伸ばしているからなんだけど)
来ヶ谷「…む。なんだ?」
理樹「今の来ヶ谷さんの手……これも海外の挨拶じゃ自然なの…?」
来ヶ谷「そうだよ」
理樹(と、言いつつその手で撫で回してきた)
理樹「いやぁ、なんか違う気がするなぁ…」
来ヶ谷「おかしな少年だな。君は海外に行ったことがあるのか?」
理樹(その手はどんどん手前の方に滑り込んできた)
理樹「す、ストップ!」
理樹(慌てて右手で制止する)
来ヶ谷「なんだ。藪から棒に」
理樹「全然藪からじゃないよ!絶対おかしいって!」
来ヶ谷「むぅ。自分からスキンシップを求めてきた割には文句が多いな」
理樹「誰のせいなんだよ…」
来ヶ谷「まあいい。そろそろ気が済んだ頃合いじゃないのか?この本によると一度抱きつくと3分ほどは収まりが効かないらしいからな」
理樹(言われてみれば確かにもう来ヶ谷さんとハグしようなんていう自殺まがいの発作は起きていなかった)
理樹「そ、それじゃあもう大丈夫なんだね?」
来ヶ谷「大丈夫とは?」
理樹「もうこんな馬鹿げた気持ちにはならなくて済むってことさ。来ヶ谷さんだから良かったものの、事情を知らない他の誰かに抱きついたら、それが男であれ女であれ変態扱いされるところだよ…」
来ヶ谷「あー……うーん……」
理樹(嫌な予感がする)
理樹「な、なにさ…その歯切れの悪い感じは」
来ヶ谷「言ってもいいか」
理樹「どうぞ」
来ヶ谷「この症状は人が近くにいるとランダムに発生する。効果は今日の間はずっとだ」
理樹「な、なんてことを……!!」
来ヶ谷「安心しろ。要は人と会わなければいいんだ。それくらい簡単だろ?」
理樹「そ、それもそうだね!今日はずっと部屋に篭っているよ!」
来ヶ谷「その意気だ。いや、迷惑をかけたな。今度また缶コーヒーでも奢ってやろう」
理樹「期待してるよ。それじゃもう男子寮行くからっ」
来ヶ谷「ああ」
次の相手>>12
ドンッ
「きゃっ」
理樹「うわっ」
理樹(少しよそ見した隙に誰かとぶつかってしまった)
理樹「だ、大丈夫です……か?」
西園「は、はい…」
理樹「西園さん!」
西園「あ……直枝さんでしたか。こんにちは」
理樹「ごめんね。ちょっとぼーっとしてたら…」
西園「いえ、こちらも考え事をしていてつい前が疎かになってしまいました」
西園「………っ!」
理樹(立ち上がる瞬間、西園が一瞬、苦痛の表情を浮かべた)
理樹「どうしたの?」
西園「い、いえ……なんでもありません」
理樹「いやいやいや、そういう訳にもいかないよ。少し見せて」
理樹(少し強引に西園さんの足首を見せてもらった。靴下をめくると、少し赤くなっている)
西園「あ、あの……1人でも大丈夫…」
理樹「いや、担いで行くよ。保健室に行こう」
西園部屋
理樹「ごめん…せっかく裏庭で本でも読もうとしていたんだろうけど……」
西園「いいえ。不注意はお互い様です。でも……」
理樹「でも?」
西園「寮の中を担がれながら移動………というのはとても恥ずかしかったです」
理樹「誰とも出くわさなかったのが幸いだね」
西園「それでも助かりました。あとは本当に大丈夫なので直枝さんはどうぞ、本来の目的に戻ってください」
理樹(本来の目的…そこまで言われてからやっと後悔した。しかし、身体の火照りが止まらない。帰るには遅すぎた)
理樹「西園さん……」
西園「はい。なんでしょう?」
西園「!」
理樹(足に当たらないよう西園さんの隣に座ったままの体勢で、その小柄な体を包み込んだ)
西園「……なんの冗談ですか?」
理樹「ふざけてやってる訳じゃないんだけど……」
西園「あなたが本当に直枝さんなら、その方がもっと信じられません」
理樹「だ、だよね」
理樹(とはいいつつも西園は抵抗しなかった。おそらく何をしていいのか分からないのかもしれない)
西園「急にどうしたんですか?私は一応怪我人ですよ」
理樹「当たらないようにするからさ…」
西園「だからと言ってやっていいことと悪いことがあります」
理樹「こんなことはもう2度としないから……っ」
理樹(なんの言い訳にもならないフォロー)
西園「そうではなくて、こういう事はもっと段階を踏んでから…」
理樹(そこまで言われてからやっと金縛りのような気持ちが解けた)
理樹「ハッ!」
理樹(そして飛び上がるようにその場を離れた)
理樹「あ、あの………」
西園「………なんですか?」
理樹(見るからに怒っていた)
理樹「こっ、こっ、これは……」
西園「………分かりました。これはここまで運んでくれたことでチャラにします。本当に、今回だけですよ」
理樹「あ、ありがとう!じゃあそろそろ行くね!」
理樹(急いでその部屋から出て行った)
次の相手>>17
理樹「ふぅ…なんとかなった……」
真人「おっ!帰ったか理樹!」
理樹(真人は既に部屋に戻っていた)
理樹「ただいま真人…聞いてよ、今日は色んなことがあってさ…」
真人「ほう。聞こうじゃねえか」
理樹「実は……」
理樹(その瞬間、また身体が熱くなった。まさか!いくらなんでもこれはヤバイって)
理樹「く、来ヶ谷さんにさ……なんか催眠術かけられたみたいで…」
真人「なんか声裏返ってないか…まあ、それはともかくどんな催眠術なんだ?」
理樹「こ、こんなのなんだけど!」
理樹(我慢出来なかった。今回は身長が届かないので真人の腹筋辺りを抱きしめた。めちゃくちゃ硬い)
真人「あーー……えっと、つまり…突進したくなるってことか?」
理樹「ちょっと違うな。人を抱きたくなるって事なんだけど…」
真人「なんだそういう事か!へへっ、面白えなそりゃ」
理樹「僕はそれどころじゃなかったんだけどね…」
真人「よっしゃ!それじゃ、そのまま俺の体に掴まってろよ理樹!」
理樹「えっ、えっ、なにする気!?」
真人「まあ見てな。それっ」
理樹(真人がグルグルと自分の体を回転し始めた)
理樹「ちょっ!」
真人「ほーら!昔もやったろ?ちょっと狭いけどこれくらいのスペースがありゃ充分だぜ」
理樹(僕も真人にくっついているのでその遠心力から簡単に浮いてしまった)
理樹「う、うわぁぁーーっっ」
理樹「げげごぼおえっ……」
真人「おいおい、だらしねえな理樹は……もうダウンか?」
理樹「きゅ、急にやめてよね…こういう事……バターになるかと思ったよ」
真人「悪いな。つい抱きつくもんだから」
理樹「この遊びを始めるトリガーが緩すぎるよ……」
理樹(しかし、この時の僕はまだ知らなかった。このあと、寝るまで定期的に真人に抱きつく衝動が起きて、その度にグルグルされることを……)
ハグ魔と化す理樹編終了
裏庭
理樹「>>22と化すおまじない?」
理樹(来ヶ谷さんからまたベンチに呼び出された)
来ヶ谷「そうだ。まさかこんなことまで書かれているとはな」
理樹(と、来ヶ谷さんは膝の上に乗せてある『おまじない100』をポンポンと叩いてみせた)
理樹「え、えーと………それで僕を呼び出した訳というのは?」
来ヶ谷「その>>22と化すおまじないを実際に理樹君で試してみようと思ってな」
理樹「やっぱり!じゃあね来ヶ谷さん!!」
来ヶ谷「逃がさん」
理樹(タックルで地面にひれ伏された。もうダメだ、おしまいだ)
理樹「だ、誰かー!!助けてーー!!」
来ヶ谷「えっとなになに?掛けたい相手に『森は美しく暗く深い。だが約束を果たし、眠りにつくまでに道はまだ遠い』と唱える…か」
グワングワン
理樹「ぐあっ!」
理樹(その瞬間、全身に電流が走ったかのような衝撃を受けた。まさか、本当になってしまったのだろうか?その>>22というやつに)
理樹「うっ………」
来ヶ谷「どうした理樹君?」
理樹(来ヶ谷さんがめちゃくちゃ嬉しそうな声で聴いてきた)
理樹「な、なんだか身体が火照ってきた……なんだかとってもオギオギする!」
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