【モバマスSS】お題は星の数だけ 2夜目
関連記事:【モバマスSS】お題は星の数だけエ口、グロ等はご勘弁を
まずは>>3のお題を頂戴します
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……
数々の部門を有す大きな企業
その中の一つ、アイドル部門に私は所属している
プロデューサーの目にとまり、スカウトしてもらったのだ
それは運命というよりは偶然に近いものだったのかもしれない
けれど、夢の一歩に立っている今、そんなことは言っていられない
お給料もそれなりに良いし、固定のファンの人がつく場合もある
アイドルになるという夢を追いかけるために始めたお仕事ではあるが
誰かに奉仕するという事に喜びを得ることになるなんて思いもしなかった
それはきっと
ナナの初めてのファンという存在ができたからだろう
無口だけれど、ナナのサービスに喜んでくれたし
ナナの元気がない時には励ましてくれたりもした
どもりながら、けれど、その言葉一つ一つが優しく心に響いた
その人はとても恥ずかしがりやで
名前を聞いたことがあるけれど
アニメの登場人物の名前を出して、はにかんでいたっけ
「ナナちゃんならきっと良いアイドルになれる」
その声は小さかったけれど、とても力強かった
オーディションで受からなかった時、不安になる時
その簡単な言葉がナナを動かしてくれた
しかし、現実は非常というもので
結果が出ない日が続き、メイドカフェを辞めて実家に帰ろうと考えた時だ
そう彼が言った
運命? そんなものあるわけがない
ナナが神様にお願いした回数を知っていますか?
わからないでしょう?
頑張った人が救われる、努力した人が救われる……
世の中そんなに簡単じゃないんですよ
もちろん、そんな考えはまったく出さずに笑顔で応じる
奇しくも明日はナナの最後の出勤日
運命の日だか何だか知らないですが、頑張っちゃいましょうか!
そう、心の中で整理をつけたはずなのに全然眠れずに朝が来た
後悔とちょっとした期待
もしかしたら私はまだ……
メイクをしても、少しだけくまが残ってしまったけれど仕方がない
来店されたお客様を出迎える
一人目のお客様は彼だった
その後に続いたお客様は見たことがない人だった気がする
黒いスーツに身を包んだとても大きな男性
目つきが悪くて怖い人なのかな? というのが第一印象だった
おかえりなさいませ、と声をかけると
「どうも」
と、ハスキーな声で返された
「ええ」
雰囲気は良い人そうなきがするけれど……
「かしこまりました、今日はナナが精いっぱいご奉仕させていただきます」
「よろしくお願いします」
45度ぴったりなんじゃないかと思うほどのお辞儀
む、これは負けていられないですね
お客様に負けじとできる限り綺麗なお辞儀を返した
「お席はどちらにいたしますか?」
「では、そちらで」
お客様が指定されたのは、彼が座っているテーブルだった
知り合いなのだろうか? けれど、彼が誰かと来たことなど一度もない
「かしこまりました、こちらに」
椅子を引いて座ってもらう
「ありがとうございます」
座ってようやくナナと同じくらいの伸長って大きすぎませんか?
ぺこりと一例して去る
その際に彼にウィンクしてみた
今までしたことがないサービス
今日が最後だからいいだろう
さて、今日は特に頑張らなくちゃ!
悔いが残らないように、今日を思い出して泣かないように……
あれ? こんなに短かったっけ
いつもは長く感じた時間は今日は特に早く感じた
「いってらっしゃいませ、ご主人様」
最後のお客様、彼と、同席した方をお見送りする
「今までありがとう、ナナちゃん」
そういわれて握手を求められた
精いっぱいの笑顔を浮かべて、さよならの挨拶をする
くしゃりとした感触
なんだろう? そう思って手を開くと折りたたまれた紙が一つ
外で待っています、○○○より
彼の名前だろうか、聞き覚えのない名前がつづられていた
とにもかくにも、今日でメイドカフェのナナはおしまい
今日でここともさよならか
不思議と涙は出なかった
悔しい思いも楽しい思いもさせてもらった場所
ここを辞めるという事は夢を諦めるという事
「……」
ぴしゃりと頬を叩く
情けないぞナナ、自分で決めたことでしょ?
いたずらじゃないと良いな
くすりと笑って店を出ると
先ほどのスーツをきた大きなお客様が立っていた
「こんばんは、お待ちしていました」
「こんばんは、ナナを待っていたんだすか?」
はい、と付け加えて彼は名刺を渡してきた
「私、こういう者です」
シンデレラプロジェクトプロデューサー
名刺にはこう書かれていた
とくん、と胸が高鳴る
「では、手短に」
もう駄目だと思っていた夢
「シンデレラになってみませんか?」
こんな結末が待っていたなんて……
「はい、よろしくお願いします」
涙が出た
もう枯れてしまったと思っていたけれど
プロデューサーさんに質問をした
どうして、ナナの所にきたのですか?
答えはこうだ
「熱心なファンの方にお願いをされたのです」
貴女のファンを素晴らしい方でした、と付け加える
ああ……何ていう話なのだろう
自分ひとりで頑張ってきたつもりだったけれど
結局は誰かの力も借りていたのかと気付く
その言葉を聞いたとき、救われたような気がした
ありがとう、名前も知らないご主人様
そして、さようなら
ううん、またね、が正しいかな
ナナはメイドからアイドルになるけれど
また、初めてのファンになってくれますか?
おしまい
そしてお題ありがとうございました
お次は>>25のお題を頂戴します
短いかもしれませんがご容赦を
パンキチ? 可愛いは正義ですよ
梅雨時期はじめじめして苦手だ
「凄い雨ですね」
隣の彼女が言う
大原みちる
くりくりとした瞳と八重歯、そしてコロネのような髪型が特徴の女の子
「どこかで雨宿りしましょう」
あたりを見回すとファミリー
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