東京では、カフェなどでノートパソコンを使って仕事をする「ノマドワーカー」をよく見掛けます。パソコンの性能はむっちゃあがってますし、Dropboxがあれば簡単にデータをやり取りできますし、会社に行かなくても働ける時代が来たってことなんでしょうね。そもそもオフィスを持ってないフリーランスはもちろんのこと、企業勤めの営業さんもけっこう社外で仕事をしてますよね。
そんな便利な現代に、オリックス自動車からちょっと変わった商品が登場しました。営業用バンを改造したレンタカー「移動事務所車」です。
机やイス、ルームランプなどデスクワークをするうえで必要最低限の機能を備えており、パソコンを充電しながら作業することも可能。名前の通り「事務所のように使える自動車」というわけです。
この「移動事務所車が全国で借りられるようになる」という情報を知ったとき、思わず「21世紀なのに……?」と思ってしまいました。
わざわざ職場まで行かなくても、たいていのデスクワークがノートパソコンでできてしまう時代に、どうしてこんなレンタカーサービスが始まったのでしょうか。オリックス自動車に話を伺ってみました。
「『移動事務所車』って、どういう人が使うんですか?」
―――「移動事務所車」はもともと、道路工事を行うゼネコンからの依頼で開発されました。建設現場では、現場監督が事務処理を行うプレハブを建てるのが一般的なんですが……。
「そうですよね、たまに見掛けます」
―――普通の建物なら特に問題ないんですが、道路は長~く続くものですから、作業現場がどんどん移動するんですよ。作業現場からプレハブまで移動するだけでも大変です。帰社してから事務作業しようと思ったら、渋滞に巻き込まれて何時間経っても会社に着かない……なんて悲劇もあります。
「うわ、むっちゃキツいですね」
―――道路工事の現場監督向けのニッチな商品のつもりで、数年単位で貸し出すレンタカーとして提供していました。ですが、さまざまな業界から「ウチも使いたい」「レンタル期間、短くできない?」と声が掛かるようになって、この度全国展開することになりました。
「基本料金は12時間13,500円とのことですが、もっと短時間で使うこともできますか?」
―――対応いたします。また、貸出期間、台数に応じて個別見積もりしていますよ。
「それはいいですね!『事務所動かしてえええええ!!』って思ってる業界って多かったんですね。具体的には、どんなところから?」
―――道路に似たところだと、防波堤の建設現場ですね。これも作っているうちに作業場所が移動するので、プレハブだと不便です。あと、現場が海なので、屋外で昼ごはんを食べると、潮風で砂だらけになったりするそうです。
▲参考画像:砂
「むっちゃ萎えますね。でも、事務所移動車が建物の代わりになってくれると」
―――そんな感じですね。エンジンを切ってもエアコンが使える仕組みなので、ガソリンの消費も抑えられます。
▲参考画像:ガソリン
―――あと、競合他社からも連絡がありました。
「……もしかして、パクられたんですか?」
―――いえ、フツーに業務で使いたかったみたいですね。小型の店舗を作るときに、便利みたいですね。
「むっちゃ人気出てるじゃないですか!」
……というわけで、「移動事務所車」は、一部の業界では「こんなの待ってた!」「この事務所……動くぞ!」「現場監督も夢中になるわけだ」って感じの夢の商品だったよう。地味ながらも使い勝手のいいアイテムなんですね。
ちなみに、法人以外も利用可能。山や海でノマドワーカーしたい人でもレンタルできるそうですよ。