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続編、リメイク、リブートの嵐のハリウッドで流行する、観客のノスタルジーを引き出すテクニックとは? : ギズモード・ジャパン

続編、リメイク、リブートの嵐のハリウッドで流行する、観客のノスタルジーを引き出すテクニックとは?

2016.06.25 21:30
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兵器化された手法?

映画における「インターテクスチュアリティ」(間テクスト性・あるテクストの意味を別のテクストとの関連・参照を通して見いだすこと)、つまり、過去の映画や本、演劇、歌といった作品内の何かが、そのあとにつくられた映画に登場することについての面白い分析が公開されています。

インターテクスチュアリティは一種のコールバック(コメディなどで、一度使われたジョークがそのあとの別のシーンで、ちがった意味合いで使用されること)みたいなものです。または、その作品のカルチャーやジャンルに対する目配せ、と言ったほうが妥当かもしれません。



こちらはThe Nerdwriterさんの動画。

彼の分析で興味深いのは、リメイクやリブートであふれ返る現在の映画界、またはシェアード・ワールド(大元の設定やキャラクターを共有して、複数の作家が作品をつくること。代表的な例として「スター・トレック」シリーズなどがある)において、インターテクスチュアリティがどのように使われているか?ということです。以下、「007 スペクター」、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」などの作品のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

インターテクスチュアリティは現在、観客のノスタルジーを誘うためのテクニックへと変わってきてしまっています。観客の反応を素早く簡単に引き出すための手段として、単なるファンサービスのために使われるものなのか、ストーリーテリングのために使われるものかによって、意味合いが大きく異なってきます。

The Nerdwriterによれば、そもそもインターテクスチュアリティは、ジャンルの慣習や過去のテクストからの影響、文化的・歴史的背景などを示すものだったにもかかわらず、最近ハリウッドで流行しているインターテクスチュアリティは、単に観客の気を引きそうな、昔の作品に出てきたモノや登場人物、シチュエーションを登場させるだけのものになりがちだとのこと。たとえば、2015年公開の「007 スペクター」では、ボンドシリーズお馴染みの悪役であるブロフェルドが登場しますが、こういった手法はシリーズ全体のストーリーを生かし続けることはできるものの、その魂は半分程度しか生かせていない、と彼は言っています。

The Nerdwriterは、この手法を「兵器化された(weaponized)インターテクスチュアリティ」とまで名付けています。まぁ、飛び道具的なインターテクスチュアリティ、と言ったような意味でしょうか? 彼の分析が最高に素晴らしいのは、こういった「兵器化されたインターテクスチュアリティ」のダメっぷりを分析しているところです。

動画では、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」で、悪役が実はカーンだったというシーンに触れ、またザック・スナイダー監督の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」についても詳しく解説しています。

The Nerdwriterは、バットマンとスーパーマンが典型的なインターテクスチュアル的なキャラクターであり、この2人のヒーローが一堂に会するのは観客をわくわくさせることだとしながらも、2人が戦いを繰り広げるシーンが力強い知的なドラマのかわりには決してなっていないと言います。また、スナイダー監督は「ウォッチメン」でも似たような問題に直面しているとも指摘。この映画では、ほとんどすべてのショットの構図を、原作コミックの構図とマッチさせるという試みがなされているのですが、コミック・ファンにとって、コミックのシーンが映画の世界で生きているのはスリリングであるものの、見終わったあとに残ったのは、虚しさであったと言っています。

The Nerdwriterは、映画のフランチャイズシステムやシェアード・ワールド自体はうまくいけば再生芸術のコミュニティを築き、社会的絆を育てることもできるため、決して悪いものではないとも言っています。要はクオリティ次第ということ。

収益性を考えると、映画のフランチャイズシステムが次々と関連作をつくることをやめそうもないので(2016年だけでも、「ファインディング・ドリー」、「ゴーストバスターズ」、「スター・トレック ビヨンド」などなど)、こういった類のインターテクスチュアリティは、これからもなくなることはなさそうです。


source: YouTube

Casey Chan - Gizmodo SPLOID[原文
(鈴木統子)

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