ダイヤ「は？」

千歌「私分かりました・・・普通の方法じゃダイヤさんは絶対Aqoursに入ってくれないって・・・」

ダイヤ「普通ではない方法でもありえませんが」

千歌「だから、デュエルで勝負です！！」

ダイヤ「・・・」

ダイヤ「（頭を指しながら）ここ、大丈夫ですの？」

千歌「ふふん、デュエルを条件にしてしまえば断られるはずがありません！」

ダイヤ「アニメの世界ならそうでしょうね」

千歌「私が勝ったらAqoursに入ってもらいます！」

ダイヤ「私が断るとしたら？」

千歌「カモンアミーゴ！」

曜「へへっ、おとなしくしなっ」
ルビィ「お、お姉ちゃ～ん・・・」
梨子「ゴメンねルビィちゃん・・・」

ダイヤ「・・・」

千歌「ダイヤさんが勝てなかったら、この可愛い妹さんがどうなるか」

千歌「分かりますよねぇ？」

梨子「千歌ちゃん・・・」

曜「おらおら～！」ﾌﾟﾆｰ
ルビィ「ほっへひっはははひへほひいフヒィ！」ﾌﾟﾆｰ

梨子「曜ちゃん・・・」

千歌「ひっひっひw」

曜「ふっふっふ・・・」

ルビィ「離してほしいルビィ・・・」
梨子「ゴメンね。一応頼まれてるから」

ダイヤ「どうなるのかしら」

千歌「全力でくすぐります」

千歌「ダイヤさんがデュエルしてくれるまで止めません」

千歌「絶対に止めません」

ルビィ「・・・え？地味にキツくないかルビィ？」

曜「こちょこちょこちょ～」ｺﾁｮｺﾁｮ
ルビィ「あやまるくらいなら止めるルビィ！・・・ぁひっ！」
梨子「ほ、ほんとにゴメンねぇ～！」ｺﾁｮｺﾁｮ

曜「触れるか触れないかの距離で！」ｺﾁｮｺﾁｮ
ルビィ「あひゃひゃひゃひゃひゃwだ、ダメルビィ・・・wこ、これ本気のやつルビィw」
梨子「ゴメンねぇ～！」ｺﾁｮｺﾁｮ

ルビィ「あひゃひゃひゃひゃwwwww」ｺﾁｮｺﾁｮ

ルビィ「あひゃひゃっ・・・げほっ！ゴボっ！」ｺﾁｮｺﾁｮ

ルビィ「あっ・・・ひぃい！あﾞぁああああ・・・」ｺﾁｮｺﾁｮ

ルビィ「うﾞえぁああﾞああ・・・ぁあﾞ・・・がぼっ」ｺﾁｮｺﾁｮ

ルビィ「・・・っおﾞっ」

ルビィ「おﾞねﾞぇちﾞゃあﾞあああああん！！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

千歌「・・・うわぁ」

ダイヤ「あなたが引いてどうするんですの」

ダイヤ「分かりましたから、止めてあげなさい」

千歌「そうだよ。二人ともやりすぎ」

曜「えぇええええ！？」
梨子「やれって言ったの千歌ちゃんだよぉ！？」

ルビィ「ｶﾋｭｯ・・・ｶﾋｭｰ・・・ｺﾋｭｰ・・・」

曜「大丈夫？ちゃんと息できる？」

梨子「流石にやり過ぎだったね・・・」

ダイヤ「心配ないわ。見た目よりずっと丈夫にできてますもの」

梨子「丈夫って・・・」

ルビィ「し、死ぬかと思ったルビィ・・・」ｾﾞｪｾﾞｪ

曜「あ、ほんとにすぐ復活した」

ルビィ「お姉ちゃんのアホ！人でなし！！もっと早く助けるルビィ！！」

ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「あなたたち、続けなさい」

ルビィ「ウソルビィ！お姉ちゃん最高！マジLOVEズッキュン☆ルビィ！」

曜「この姉妹こんなんだっけ・・・？」

梨子「あはは・・・」

千歌「というわけで、ダイヤさんは私とデュエルを」
ダイヤ「条件」

千歌「・・・へっ？」

ダイヤ「ただ漠然とデュエルしよう、というのは散漫としています」

ダイヤ「そうでしょう？」

曜「まあ、たしかに・・・」

ダイヤ「そこで提案です。ルールを設けましょう」

梨子（・・・あれ？）

千歌「ルール？」

ダイヤ「例えば、私は1人ですがあなたたちは3人」

ダイヤ「私はその中の誰と戦うのか。3人全員と戦うのか。あるいは3人同時にデュエルする可能性すらある」

千歌「あ、それ面白そう」

曜「たしかに・・・マッチ戦にするとかの話もあるよね」

ダイヤ「ですから、細かいことを色々と定めてみようということです」

梨子「・・・」

ダイヤ「ちょっとしたゲームのようにしてみるのも一興ですわね・・・こうしましょう？」

ダイヤ「私とあなたたちで2回、ルールを交互に定め合うのです」

梨子（何かおかしい・・・）

ダイヤ「これなら不公平がありませんし、お互いの納得のいく条件でデュエルに挑めますわね」

ダイヤ「もちろん、あまりにも突拍子もないものは却下です。常識の枠に収まる範疇の取り決めを」

ダイヤ「ああ、直前のルールを直接無効にするようなものも興醒めですね。そういったものもなしにしておきましょう」

曜「ふむふむ・・・たしかに、1人が自分に有利な条件を決めるよりはそっちの方がいいかも・・・」

梨子（本当にそう・・・？）

ルビィ（あー、これいつものやつルビィ・・・）

ダイヤ「なら、初めは私から提案させていただいても？」

ダイヤ「後出しの方が圧倒的にやりやすいですからね。そこは提案を出した私が譲りますわ」

曜「おおっ、太っ腹だね！」

千歌「じゃあそれで！」

梨子「ちょっと待って二人とも・・・もっと考えてからでも・・・」

ダイヤ「ならば、私の提案です」

ダイヤ「このデュエルは」

ダイヤ「いずれかの『ストラクチャーデッキ』を使用して行うこと」

梨子「っ！？」

千歌「へぇー、ストラクチャー対戦かぁ。そういうのも面白そう！」

千歌「じゃあ私の方からの提案はぁ」
梨子「千歌ちゃん！！」

千歌「・・・へっ？」

曜「どしたの梨子ちゃん？」

梨子「その提案なんだけど、私が決めていいかな？」

梨子「ううん・・・決めさせて」

ダイヤ「・・・」

千歌「まあいいけど・・・急にどうしたの？」

梨子「えっ？な、なんか急にそんな気分に・・・」

千歌「ふぅん・・・」

ダイヤ「私は構いませんわよ」

梨子（・・・この人、公平に決めるって言っておいて）

梨子（条件を限りなく自分に有利な方に寄せる気だ・・・）

梨子（構築が決められたストラクチャーデッキ同士の対戦・・・それは多分、通常のデュエルとは条件が大きく異なるものになる）

梨子（デッキを自分に合わせて組めない分、単純な頭の勝負になる・・・そうなれば、有利なのは生徒会長さん）

梨子（なにが不公平がないだ・・・なにが後から決める方が有利だ・・・）

梨子（あの人は最初から、こうなるように仕向けてた・・・！）

梨子（なら、私にできることは・・・）

梨子「その対戦で使うデッキ、そっちが選んでから私たちが選びます」

ダイヤ「それでいいの？」

梨子「はい」

梨子（せめて相手のデッキが分かれば、少しでもそのデッキに対し有利なデッキを選ぶことができる）

梨子（ストラクチャーデッキで対戦する事実を変えられない現状、こうやって少しでも自分たちの有利な方向に寄せるしかない・・・）

梨子（大丈夫・・・もう一回定めららるルールはある。そこで更に私たちの方が有利になるような条件を定めれば・・・）

ダイヤ「私のもう一つの方の提案よ」

ダイヤ「お互いが選ぶデッキはランダムに選出されるようにしましょう」

梨子「っ！！？」

梨子（やられた・・・これは選出方法を定めたルール・・・選ぶ順番を定めた私の提案を無効にするものではない・・・）

梨子（けど、これじゃあ私の定めたルールは実質無意味・・・完全に無駄打ち・・・！）

梨子（結果的に私の決められるルールは1つだけになってしまった！）

梨子（それだけじゃない・・・デッキをランダムに選ばなければならないということは、ルールが公平になってしまっている・・・）

梨子（土台が生徒会長さんにとって圧倒的有利な条件・・・そこに公平性を上から乗せられてしまったら、どうあっても私たちの不利は覆らない・・・）

梨子（じゃあどうすれば・・・）

ダイヤ「ふふっ」

曜「梨子ちゃんめっちゃ考えてるね」

千歌「そんなに悩むことかなぁ」

ルビィ「無駄ルビィ。性格の悪さでお姉ちゃんの右に出る者はいないルビィ」

梨子「・・・」

梨子「・・・」

梨子「・・・デュエルは」

梨子「高海千歌と黒澤ダイヤによる、代理戦争」

梨子「お互いが選んだ人物同士によって行われるものとします」

曜「へ？」

ダイヤ「・・・へぇ」

千歌「うぇえ！？」

ルビィ「・・・ん？どういうことルビィ？」

梨子「・・・」

ダイヤ「なかなかどうして」

ダイヤ「頭の回る子もいたようね」

～～～

梨子「ゴメンね千歌ちゃん・・・こうするしかなかったの」

千歌「うぅ～・・・」

梨子「あのルールじゃ私たちは絶対生徒会長さんに勝てない」

梨子「あの人を戦わせなくさせる必要があったの」

千歌「だからってなんで私を戦えなくするのさぁ」

梨子「それは、その・・・」

曜「分かるよ。千歌ちゃんってバカだもん」

千歌「えぇっ！？」

梨子「・・・」

千歌「なんで梨子ちゃんも黙るの！？」

曜「梨子ちゃんの言いたいこと分かるよ。このデュエル、頭の良さが決め手になるってね」

梨子「曜ちゃん・・・」

曜「極めてクールでクレバー・・・状況を冷静に見定められるデュエリスト。そんな人物・・・」

曜「私しかいないじゃないかヨーソロー！」
梨子「私がやる」

千歌「梨子ちゃん・・・」

梨子「私が戦うよ」

曜「・・・」

曜「・・・あれぇ？」

～～後日～～

ダイヤ「誰が戦うか決めましたか？」

梨子「はい・・・私です」

ダイヤ「そう。やはりね」

梨子「・・・」

ダイヤ「私の方からはズーラを出します」

千歌「ズーラ？」

花丸「・・・」

曜「・・・」

千歌「Aqoursのメンバーじゃん！！」
曜「Aqoursのメンバーじゃん！！」

千歌「マルちゃ～ん・・・」

花丸「わ、分かってほしいずら」

ダイヤ「・・・」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

花丸「断れるわけないずら・・・」

曜「あー・・・」

千歌「マルちゃんって強いの？」

ルビィ「多分、最近お姉ちゃんと一番デュエルしてるのズーラルビィ」

梨子「それって・・・」

ルビィ「お姉ちゃんが一番、対等に戦えると思ってる奴ルビィ」

梨子「・・・」

ダイヤ「うまく私を出し抜いたつもりでしょうけどね」

ダイヤ「見た目よりやるわよ？黒澤家（うち）の駄犬は」

花丸「そんなポジションに落ち着いたつもりはないんだけど！？」

千歌「でも、私たちが勝ったらAqoursに入ってもらいますからね！」

ダイヤ「ええ、いいですわよ。ところで」

ダイヤ「私たちが勝利した時の条件をまだ提示していませんでしたわよね」

千歌「・・・え？それいります？」

ダイヤ「・・・」

梨子「千歌ちゃん・・・それは流石に唯我独尊すぎ・・・」

ダイヤ「私たちが勝ったら、もう金輪際私をAqoursに誘うのはお止めなさい」

千歌「えー」

曜「マルちゃんたちはそれでいいの？」

花丸「まあ、別に」

ルビィ「全然オッケールビィ」

花丸（というかむしろ、入ってほしくないまであるずら・・・）

ルビィ（部活でまでお姉ちゃんの小言聞きたくないルビィ・・・）

ダイヤ「条件を飲めないならここでお開きです」

千歌「・・・ま、いっか」

千歌「梨子ちゃん負けないし」

梨子「千歌ちゃん・・・」

梨子「うんっ！私、負けない！」

千歌「分かりました。そっちが勝ったら私はもうダイヤさんをAqoursに誘いません」

ダイヤ「では、この誓約書にサインを」

梨子「せ、誓約書・・・？」

曜「用意周到すぎでしょ・・・」

曜「デッキの選び方はどうするの？」

ダイヤ「ルビィ」

ルビィ「はいはい・・・アミダ作ってきたルビィ」

ルビィ「私が1人で」

ダイヤ「ここに全員で1本ずつ線を足すのはどうかしら？それなら細工の心配もない」

ダイヤ「公平でしょう？」

梨子「・・・」

ダイヤ「何もしませんわよ。流石にこんなところで小細工する程無粋ではありませんわ」

ルビィ（信用ならないルビィ・・・）

千歌「そういえば実際のデッキは？」

ダイヤ「古いものはうちに全部ありますから、持ってきました」

花丸「新しいのはまだ市販されてるから買ってきたよ」

ルビィ「その真ん中のお姉ちゃんがやってない頃の絶版はシングルで集めてきたルビィ」

ルビィ「これも全部私が1人でやったルビィ」

梨子（ど、奴隷・・・）

ダイヤ「さ、さっさとお決めなさいな・・・おっと」

ダイヤ「そういえば、最初に決めなければならないのはこちらというルールでしたわね」ｸｽｸｽ

梨子「・・・」

曜「すっごく嫌らしい笑顔・・・」

花丸「えっと・・・じゃあオラはこの線で」

梨子「私はこれにします」

千歌「線足すよー！私はここ！」

曜「じゃあ私もここ！しかもめっちゃグニグニさせるよ！」

ルビィ「私もここにするルビィ。これはワープだからこの地点に飛ばされるルビィ」

花丸「自由すぎずら」

梨子「そこだけ線がグチャグチャになっちゃったね」

ダイヤ「・・・もっとバランスを考えるとか、なさいませんの」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

花丸（ヤバい・・・ダイヤちゃんが無駄なことでストレスを溜めてる・・・）

ダイヤ「美しくありませんわ・・・私は少しでもバランスを保つ為にあなたたちの反対側に引きます」

梨子「じゃあ私もこの辺りで」

花丸「オラもダイヤちゃんの近くにするよ」

ダイヤ「・・・まだバランス悪いですわね」

梨子（そりゃあれだけグチャグチャな線引かれたらね・・・）

千歌「うぉお・・・これめっちゃやり辛いよぉ」

ダイヤ「当たり前です！！」

梨子「・・・ねぇ、これワープ入ったら無限ループにならない？」

曜「・・・なってるね」

ダイヤ「ワープ除外で」

花丸「ラジャーずら」

ルビィ「ルービッビッビwやってやったルビィw」

曜「計画的犯行かい」

ダイヤ「天誅！！」ｽﾊﾟｧﾝｯ!

ルビィ「暴力反対ルビィ！！」

千歌「でもさぁ、実際ストラクチャー対戦ってどうなの？」

ルビィ「え？今更それルビィ？」

花丸「まあたしかに・・・ストラクチャーデッキ全部が対象っていうのはちょっとバランス的にどうなの？って思うずら」

曜「ストラクチャーっていつからあるのか知らないけど、少なくとも数年間の時代の差があるわけだもんね」

ダイヤ「そうですね。どうしようもない外れがあるのは否定しませんが」

梨子「否定しないんだ・・・」

ダイヤ「それでいいとは思いませんか？」

ダイヤ「強者と弱者の図式ができるのも、拮抗した者同士の争いになるのも、どちらも同様に美学がありますもの」

曜「はぁ・・・？」

ダイヤ「そうでしょう？」

千歌「あ、それはその通りっ！」

梨子「・・・あ」

梨子（もしかして生徒会長さん・・・ほんとに純粋にデュエルを楽しむ気だった・・・？）

梨子（だったら私・・・）

梨子（余計なことしちゃったのかも・・・）

花丸（要はそのどの立場になっても自分が負けるわけがないって自信があるってことだけど）

ルビィ（どっちにしろロクなもんじゃないルビィ）

花丸「・・・アンデットの脅威？」

曜「んー知らないなぁ・・・古いやつ？」

ダイヤ「SD2ですね」

梨子「・・・えっ？じゃあ、初めから2番目のストラクチャーデッキってこと！？」

千歌「古っ！私たち生まれてる！？」

ルビィ「違うルビィ。ストラクチャーにSDの略号が付いたのは4期からルビィ」

ダイヤ「それ以前に原作キャラクターのデッキを意識したストラクチャーデッキが8つほど出ていますから、厳密には10番目のデッキということになりますね」

ルビィ「まぁあの辺はただカード押し込んだだけのお粗末な出来になってるから、構築済みデッキの体としては実質2番目で間違ってないルビィ」

梨子（なんでこの姉妹はそんなにストラクチャーに精通してるんだろう・・・？）

ルビィ「にしても、アンデットの脅威ルビィか・・・」

千歌「やったよ梨子ちゃん！」

曜「向こうはどう考えても外れ引いてる！こっちが新しい方のデッキを引ければ、全然勝てる！」

梨子「う、うん・・・たしかに」

花丸「・・・うーむ」

花丸「SD2・・・せめてマシンナーズ・コマンドー辺りを引けてたらまだ勝機はあったのに・・・」

ルビィ「いや、あれは3箱買って汎用混ぜれば強いって話でデッキの完成度自体は低いルビィ」

花丸「これは構築の時点から大幅なハンデを背負わされ」
ダイヤ「ズーラ」

花丸「はいっ！すみません！」

ダイヤ「よくやりました」

花丸「・・・へっ？」

梨子「・・・やった！HERO's STRIKEだよ！」

千歌「あ、それなら知ってるよ！なんか強いって騒がれてたよね」

ダイヤ「今まで微妙な立ち位置にいたM・HEROをフィーチャーしたデッキでしたか。私は再開したばかりですから下馬評には疎いのですが、大会環境に食い込める程のポテンシャルを得たとか」

ルビィ「SD27・・・また時代が両極端ルビィ」

花丸「えぇー・・・4期と9期とか10年くらい離れてるずら・・・」

曜「よっしゃあ！これ絶対勝ったよ！」

千歌「そうそう！カードパワーがダンチなのだ！」

花丸「こんなの勝負にならないよぉ・・・」

ルビィ「・・・お姉ちゃん、これ」

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「どうやら、想定していた中で最も面白い形になったわね」

ダイヤ「では、早速デュエルに・・・といきたいところですが」

ダイヤ「あなたたち、昔のストラクチャーデッキのことは何も知らなかったのね」

曜「あ、はい」

梨子「恥ずかしながら・・・勉強不足ですみません」

花丸「いやいや、これは知ってるダイヤちゃんたちが異常ずら」

千歌「そうだよ。そんなちっさい頃私たち遊戯王のぎの字も知らなかったもん」

ルビィ「え？普通の家は毎日おやつ賭けてストラクチャー対戦やらなかったルビィ？」

曜「どんな家庭環境よ」

ダイヤ「あの頃は体重を気にせねばならず苦労しましたわ」

ルビィ「あの頃は溢れ出んばかりの殺意を押さえ込むのに苦労したルビィ」

ダイヤ「しかしいけませんね。ストラクチャー対戦とはお互いがお互いの構築を知っていることが前提の駆け引き。そこが醍醐味なのです」

ダイヤ「一方のデッキ内容が不明確な状況など論外」

曜「・・・そうなの？」

花丸「さあ？オラもこの姉妹が言ってるストラクチャー対戦なるものとは初めて出会ったからなぁ」

千歌「ていうか、私HEROの方もデッキ内容までは覚えてないよ？」

ルビィ「じゃあ一度みんなでデッキ確認するルビィ」

～アンデットの脅威～
メイン40枚

上級7枚
ヴァンパイアジェネシス 闇より出でし絶望 2 龍骨鬼 2 砂塵の悪霊 ヴァンパイア・ロード
下級10枚
ピラミッド・タートル 3 再生ミイラ 2 達人キョンシー ヴァンパイア・レディ
ダブルコストン 精気を吸う骨の塔 魂を削る死霊
魔法16枚
強奪 サイクロン ハリケーン 抹殺の使徒 強欲な壺 生還の宝札
大嵐 強制転移 2 生者の書−禁断の呪術− 2 ミイラの呼び声 3 リロード 2
罠7枚
砂塵の大竜巻 激流葬 マジック・ジャマー 無謀な欲張り 強制脱出装置 3

エクストラ0枚

～HERO's STRIKE～

メイン40枚

上級3枚
「E・HERO」ネオス エッジマン ネクロダークマン
下級14枚
「E・HERO」シャドー・ミスト エアーマン オーシャン フォレストマン ボルテック
ザ・ヒート アナザー・ネオス ワイルドマン バブルマン
「その他」N・グラン・モール オネスト カードガンナー ハネクリボー 召喚僧サモンプリースト
魔法17枚
マスク・チェンジ マスク・チェンジ・セカンド フォーム・チェンジ マスク・チャージ
融合 ミラクル・フュージョン 平行世界融合 ヒーローアライブ ヒーロー・マスク
H−ヒートハート E−エマージェンシーコール R−ライトジャスティス O−オーバーソウル
増援 戦士の生還 強欲で謙虚な壺 愚かな埋葬

罠6枚
ヒーロー・シグナル ヒーロー・ブラスト リビングデッドの呼び声 奈落の落とし穴
強制脱出装置 神の警告

エクストラ5枚
「M・HERO」光牙 カミカゼ ダーク・ロウ
「E・HERO」ガイア
「C・HERO」カオス

千歌「・・・」
梨子「・・・」
曜「・・・」
花丸「・・・」


千歌「アンデットの脅威ヤバすぎ！！！」
梨子「アンデットの脅威ヤバすぎ！！！」
曜「アンデットの脅威ヤバすぎ！！！」
花丸「アンデットの脅威ヤバすぎ！！！」

曜「なにこれ！？強欲入ってるんだけど！？」

花丸「いやいや、もう強欲程度は些細な問題ずら・・・」

梨子「強奪、ハリケーン、大嵐、生還の宝札・・・」

千歌「禁止カードのオンパレードじゃん！！」

花丸「そのインパクトに押されてるけど、何気に強脱3積みが強烈・・・」

梨子「というか、メインギミックも全体的に複数積みでデッキとしてのバランスがとれてる・・・」

ダイヤ「個人的には全ストラクチャー中最高の出来だと思っています」

曜「これが実は一番の当たりだったってこと・・・！？」

ルビィ「お姉ちゃんにこれ取られて勝てた記憶ないルビィ」

千歌「じゃあ、もしダイヤさんが自分で戦ってたら・・・」

ルビィ「多分、200％お姉ちゃんが勝ってたルビィ」

曜「うへぇ・・・」

千歌「梨子ちゃんお手柄だよ・・・」

ダイヤ（・・・確率は100％が上限ですし、そもそも絶対を示唆した言葉の文頭に何故多分が入るのかしら）ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

花丸（ああ・・・またダイヤちゃんがどうでもいいことでストレスを溜めてる・・・）

千歌「梨子ちゃん！」
曜「梨子ちゃん！」

梨子「・・・」

梨子「ヒーローズストライクは、いいデッキだよ」

梨子「大丈夫。勝てる」

千歌「梨子ちゃん・・・」
曜「梨子ちゃん・・・」

梨子「・・・た」

梨子「多分・・・」

千歌「梨子ちゃ～ぁん・・・」
曜「梨子ちゃ～ぁん・・・」

花丸「・・・」

ルビィ「ズーラやれるルビィ？」

花丸「デッキは把握したけど、実際にどうなるかはデュエルしてみないとなんとも」

ダイヤ「おそらく、あなたの方が不利でしょう」

花丸「えぇ・・・あれだけ褒めといてそれ・・・？」

ダイヤ「いくら過去に禁止指定されたカードが多数収録されてるとはいえ、最新鋭のカードパワーと比べてしまえば全体としての地力は劣りますからね」

ダイヤ「先程の私の発言も、単純に過去を美化しているだけのものかもしれません」

ルビィ「おそらくとかかもしれないとか、お姉ちゃんにしては自分でもよく分かってないみたいルビィ」

ダイヤ「そうしたいものよ。思い出とは」

ダイヤ「確実に言えることは」

ダイヤ「そのデッキは美しい」

ルビィ「・・・」

花丸「・・・」

ダイヤ「よく考え、よく戦いなさい」

ダイヤ「期待していますよ、ズーラ」

花丸「・・・はいはい」

花丸「ま、やってみるずら」

梨子「4だね」

花丸「7。先攻はもらうよ」

花丸「メインまで・・・って、いらないか」

梨子「そうだね。こっちのデッキにここで介入できるカードなんてないことは分かってるし」

花丸「とりあえず強欲な壺。2枚引く」

梨子「・・・」

千歌「ドンマイ梨子ちゃん！」

曜「旧ルールに戻っただけだよ！」

ルビィ「困るの早過ぎルビィ」

ダイヤ「困った時にのみ引ける方がファンタジーですわよ」

花丸（さて、何を立てるか）

花丸（お互いがお互いのデッキ内容を把握しているのは妙な気分だ・・・TCGというより、ボードゲームをやってる気分）

花丸（カードが見えている分、それぞれのカードをどこに割り当てるか予定できるし、予測もできる）

花丸（おそらく、これはいかに相手のマストを掻い潜り、自分のマストに仕事をさせるかが重要なゲーム）

花丸（その点で先攻は圧倒的有利。第一ターンにノーリスクでモンスターを立てることができるから）

花丸（例えばモンスターを立てない理由になる激流葬の旨みも薄い。モンスターを立てないという選択肢はない・・・壁を出すことは相手の選択肢を狭めることにも繋がるし）

花丸（モンスターを絶やさないことはある種の絶対条件になる）

花丸（その点でリクルーターは通常のデュエルよりずっと強いな・・・ピラタがあったら即セット安定）

花丸（・・・引けてたらね）

花丸「モンスターをセット。カードを1枚セットしてエンド」

梨子「・・・」

花丸（ま、とりあえず先攻の動きはこれしかない）

花丸（モンスターを公開情報にするのはよっぽど厄介な能力を持っていない限り悪手。デッキの内容は割れてるんだから、ボードの上で相手を悩ませることが必要になってくるから）

花丸（伏せもブラフであってもそうでなくてもセット安定。相手がノーリスクでモンスターを降臨させられる構図もまた悪手）

花丸（まずは梨子ちゃんの精神的余裕を削ぐ。常に悩んでいてもらうずら）

梨子（あの伏せ・・・嫌でもプレッシャーを感じる）

梨子（アドバンテージの損失による不利はほとんどのゲームで敗北に繋がるものだけど・・・この戦いではそれが直結している気がする）

梨子（・・・序盤のアドバンテージの損失はかなり辛そう。慎重にならざるを得ない）

梨子（抹殺の使徒もあるし、下手したらセットすらせずモンスターを温存する選択肢もある）

花丸（単純に場に戦力が多い方が有利・・・それって戦いとしてはひどく原始的ずら）

梨子（・・・なるほど。これはたしかに）

花丸（いつものデュエルとは全く別のゲーム）

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子「・・・メインいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子（・・・アライブ。デッキからHEROを出せるカード）

梨子（シャドミサーチならそのまま変身に繋がるパワーカードだ）

梨子（普通なら願ってもないディスティニードローだけど・・・このデュエルでは評価は180℃変わる）

梨子（ライフコストが重すぎるんだ）

梨子（アライブのライフコストは1/2・・・それは自身のライフが多ければ多い程辛く響く。ライフが満タンの現状ではそのディスアドは最大値だね）

梨子（ライフ4000は極端な話、ダーク・ロウを強奪されて2体でダイレクトされたら終わる範囲・・・ダメ。序盤からライフを進んで減らすのはもはや自殺行為）

梨子（今打つのは好ましくないってことなんだけど・・・でも、主要モンスターがデッキからある程度出きってる終盤でこの能力は特別強くない）

梨子（・・・まあ、それでも充分強いけど）

梨子（結論から言うと・・・序盤に引くのは完全に死に札）

梨子（向こうのセットカードも気になるな。セットモンスターに1伏せ・・・効果的な布陣だ）

梨子（セットモンスターがピラタだったら厳しいよ・・・攻撃力2000以上を容易に呼ばれてしまう）

梨子（特に龍骨鬼との相性は悪い・・・そうなったら対応はとたんに難しくなる）

梨子（リクルーターが強過ぎる・・・かと言って、攻撃しないという選択肢はジリ貧・・・）

梨子（私の手札は事故ってない。むしろ、シナジーのあるカードをいくつか引き込んでる良配牌）

梨子（ただ、手っ取り早く警告とか欲しかったのが本音・・・そうそう上手くはいかないね）

梨子（当たり前か。デッキに入ってる妨害札なんて4枚しかないんだから・・・）

梨子（・・・あっ！）

梨子（このデュエル、実はそれ程致命的に妨害を踏む確率は高くない・・・！？）

梨子（そもそも数がないから・・・そして、それは相手も同じ）

花丸（で、伏せを必ず敷かなければならないというテンプレ）

ダイヤ（そう・・・この戦い）

ダイヤ（伏せられている大抵のカードはブラフなのです）

梨子（・・・待って！もっと言えば、アンデットの脅威に収録されていたカードの中でモンスターに触れられる妨害罠は激流葬と強脱しかない！）

梨子（そして激流葬はモンスターを立てた現状では伏せられてないと判断できる！）

梨子（強脱もありえない・・・序盤のテンポアドバンテージの損失なんてそこまで痛くないし、マスチェンを警戒するならマスカンは変身した後のHEROなんだから！）

梨子（つまり今はボーナスターン！無償でモンスターが立てられるんだ！）

梨子（なんでこんな簡単なことに気付かなかったの・・・！？）

梨子（そうなると、警戒するのはセットモンスターの1点のみ・・・）

梨子「・・・アナザー・ネオスを通常召喚します」

花丸「・・・通すよ」

梨子（セットモンスターをかわせる手段がない以上、結局殴るしかない・・・ピラタだったらもうしょうがない）

梨子（光牙もオネストも見えるアナネオは牽制としては充分・・・なはず）

梨子「バトルにいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子「アナザー・ネオスでセットを攻撃」

花丸「攻撃宣言に対応して強脱で」

梨子「・・・」

梨子「えぇっ！？」

花丸「ん？」

梨子「こ、ここで強脱！？」

花丸「そりゃ3枚あったら1枚引いてもおかしくないよ？」

梨子「いや・・・そうじゃなくて・・・」

梨子「ま、マスチェンとか怖くないの？」

花丸「あれだけ悩んでアナネオならマスチェンは握ってないでしょ？」

梨子（うっ・・・読まれてる・・・）

花丸（まあセカンドの手札コストで悩んでた可能性も捨てきれなかったけど）

梨子「アナザー・ネオス手札です」

梨子（それでもここで強脱は意外・・・こっちの剥がしが弱いんだから普通は紫降ってくるまで温存なんじゃ・・・？）

梨子「メイン2いきます」

梨子（モンスターがいないからカードはセットしなきゃならない・・・）

梨子「えっと・・・」

梨子（どれにしよう・・・万が一割られてもダメージの低いカードは・・・）

梨子「1枚伏せてエンドです」

花丸「ん、ならオラのターン。ドロー」

花丸「メインまで」

梨子「どうぞ」

花丸（・・・あればダメでしょ、梨子ちゃん）

花丸（メイン1であれだけ悩んで不測の事態。そこからメイン2でそんなに視線を泳がせてたら）

花丸（その伏せがブラフだって丸分かりずら）

花丸「セットリリース。ヴァンパイア・ロードをアドバンス召喚」

梨子「・・・通します」

梨子（ヴァンパイア・ロード・・・強脱を使ったのはあれを出したかったからだね）

千歌「セットしてたモンスターは・・・再生ミイラ？守備力より攻撃力の方が高いよ？」

曜「ほんとだ。なんで守備で出したんだろ？」

花丸「バトル。ロードでダイレクト」

梨子「・・・受けます」【梨子LP8000→6000】

花丸「なら、ここでロードの能力が誘発するよ」

梨子「・・・あ、そっか。そんな効果あったね」

花丸「おや、梨子ちゃん。これを把握してないのはいけないずら」

梨子「え・・・」

花丸「ロードの効果でデッキから罠カードを1枚落としてもらおっかな」

梨子「・・・」

梨子「ああっ！？」

曜「どゆこと？」

ダイヤ「・・・まあ、これくらいならいいでしょう」

ダイヤ「ヴァンパイア・ロードの効果は、戦闘ダメージを与えた時、自分がモンスター・魔法・罠カードの中から1種類を選択し、相手がその種類のカード1枚を選んで墓地へ送る効果ですが」

ダイヤ「このデュエルでは、相手の罠カードを絞る効果として捉えることができませんか？」

曜「・・・あ、罠が少ないから？」

ダイヤ「そうですね。今回のデュエルでいうなら、桜内さんのデッキの罠は6枚」

ルビィ「しかもそれ全部が役に立つカードルビィ。ほんとすごくいいデッキルビィね」

ダイヤ「しかし、それが裏目に出てしまうわけですね。何を引いても使えるカードなら、何を無力化されても困る」

ダイヤ「他のデッキならこうはいきません。大抵のストラクチャーデッキは再録などの都合が絡み、有効に使い辛いカードが入っているものですから」

ルビィ「要は、ヴァンパイアロードは梨子ちゃんに刺さってるルビィ」

千歌「へぇー」

ダイヤ（まあ、もっと言えばそれだけではありませんが）

花丸（全てが使えるカードと言っても、それには必ず優先度が存在する）

花丸（オラの考えではその優先度は、リビデ＞ブラスト＞シグナル＞奈落＞警告＞強脱）

花丸（つまり、向こうの落とすカードは）

梨子「強制脱出装置を墓地へ送ります」

花丸（こうなる）

花丸（でもここで梨子ちゃんが強脱でなく別のカードを落としていたら？）

花丸（それは強脱は既に手札にあるか、場に伏せられているか）

花丸（1枚透けるってことずら）

梨子（マルちゃんは、手札1枚を使ってテンポと情報アドバンテージを得ようとしたんだ・・・）

梨子（これはそういう戦いなんだね・・・）

花丸「カードを1枚セットしてエンド」

梨子（・・・厳しいな。攻撃力2000は高い）

梨子「私のターンです。ドローから・・・メインいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子「・・・モンスターをセット。カードを1枚伏せてエンドです」

花丸「ふぅん・・・」

梨子（ロードを通しちゃったことで私の伏せがブラフなのはバレちゃったはず・・・大嵐怖いけど、ここは伏せるしか・・・）

花丸（前の伏せはブラフ確定で今の伏せも手出し・・・今回もブラフ濃厚だけど、どうなるかな？）

梨子（・・・主導権は完全に握られた気がする）

ダイヤ「・・・」

ダイヤ（ズーラがわざわざ貴重な強脱を使用してロードを立てたのには思惑がありますわね）

ダイヤ（おそらくは、情報アドバンテージ）

花丸（2000打点を超えないか・・・）

花丸（あのデッキでロードを倒す手段は色々ある）

1.上級モンスターを召喚する
2.マスク・チェンジや融合を使いエクストラデッキからモンスターを召喚する
3.ヒートハートを使い下級モンスターの攻撃力を上げる
4.オネスト
5.奈落の落とし穴

花丸（ロードを破壊しなかったということは以下のカード、又はそれを使用できる組み合わせを手札に持っていないということ）

花丸（1のケースは現状では愚埋やヒーローマスクとオーバーソウルが絡むケースしか無理かな。つまり、それらの組み合わせは握ってない）

花丸（2もないならマスチェン系もない。が、シャドミから間接的に持ってこれるアライブは使うタイミングを伺ってる可能性もあるからこれはまだ怪しい）

花丸（3、4もアナネオが見えてる現状ではない。5はそもそも遅い）

花丸（デッキの内の何枚かのカードは持ってないことがほぼ確定したね）

花丸（で、他にも引いてるはずのないカードは予測できる）

花丸（ヴァンパイア・ロードはいい指標だったずら）

花丸「オラのターン。ドローからメインまで」

梨子「はい」

花丸（しかしあのデッキ・・・パワーカードは多いけど、落ち着いて考えると穴が多いな）

花丸（バックに触れる手段はライトジャスティスとエアーマンくらいしかないし、それで複数枚のカードを割るのは手間がかかる。そもそも1枚割るだけでも回りくどい）

花丸（モンスターに至っては1枚で2枚以上を除去できる方法はないはず）

花丸（除去られてもほぼ1:1なら後続を出すことにそれほどのプレッシャーはないな）

花丸（・・・相性いいかも）

梨子（アンデット相手だからダーク・ロウ立てれば有利って漠然と思ってたけど・・・実はあのデッキ、刺さるのピラタと生者の書くらいしかない？）

梨子（ネクロダークマンにブラストにリビデ。それを牽制する生者の書・・・むしろ墓地に気を配らなきゃいけないのはこっちだ）

梨子（モンスタースペックはこっちの方が高いけど、強奪で奪われることを考えたらそれは逆に足枷になる・・・）

梨子（・・・相性悪いかも）

花丸「ヴァンパイア・レディ召喚」

梨子「・・・」

梨子「うぁあ・・・」ﾌﾙﾌﾙ

ルビィ「エッグいルビィ」

千歌「え？」

ルビィ「あれロードと同じ能力ルビィ」

曜「・・・うへぇ」

花丸「通るかな？」

梨子「・・・通ります」

花丸「ならバトル。ロードでセットを」

梨子「・・・ボルテックです。破壊されます」

花丸「レディでダイレクト」

梨子「・・・通ります」【梨子LP6000→4450】

花丸「レディの効果。罠カードを」

梨子「・・・うぅ」

梨子「奈落の落とし穴を墓地へ送ります」

花丸（奈落の方を落とした・・・？）

ダイヤ（おや・・・）

花丸（警告は既に引いてる・・・？けど、それならレディに使うはず・・・いや、レディ程度なら温存という見方も・・・？）

花丸（いやいや、さっきの伏せは手出し。いくらこっちに除去が多いとはいえ、初手であって伏せない選択肢はないよ）

花丸（・・・どうやら、まだまだ警告を使えると勘違いしてるみたいだね）

花丸（もうそれは死に札だよ。それが分からないようじゃ）

花丸（このデュエルはオラの勝ちずら）

花丸「1枚伏せてエンド」

梨子（バックを厚くしてきた・・・）

花丸（このリズムならライトジャスティスは1枚破壊・・・なら、もう1枚伏せることが逆にリスクの緩和に繋がる）

花丸（伏せを多くするほど安心って理屈だけど、手札と場のカード比率が透けるのはちょっと嫌だね。伏せは基本的に2枚までに留めたい）

梨子（・・・既に強脱を使われてるから、確率的に考えて最低一方はブラフっぽいけど）

梨子（それは理想論だ）

梨子（こっちの剥がしは不自由すぎる・・・貴重なバック破壊をブラフに使ってしまうのは致命的）

梨子（正直、伏せられたら伏せられただけ辛い）

梨子（・・・このカードゲームで複数枚伏せが怖くない状況なんてないよ）

花丸（・・・が、この露骨さを悟られるかは心配だ）

花丸（安全確認してからの後続なんて、大抵が本命なんだから）

梨子「私のターンです。ドローからメインまでいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子（このドローは・・・どうなんだろう？）

梨子（レディを倒すことはできるけど・・・流石にそうしたら負けが見える）

梨子（さっきからマルちゃんはこっちの伏せを全く警戒してないんだ。ブラフが透けてるってこと）

梨子（この洞察力・・・普段のマルちゃんからは想像できない）

梨子（・・・生徒会長さんと同等に戦えるデュエリスト）

梨子（決してルビィちゃんのでまかせじゃないみたい）

梨子「モンスターをセットしてそのままエンドです」

曜「防戦一方・・・」

千歌「がんばれー！梨子ちゃーん！」

花丸「オラのターン。ドローからメイン・・・」

花丸「いや、そのままバトルまでいくよ」

梨子「・・・はい」

梨子（よかった・・・後続はない）

花丸（これ出してもこのターンで終わるわけじゃないし、出さなくても次のターンでキルまではいける）

花丸（リペアも兼ねるいいカードを引いた。焦ることはない）

花丸「ロードでセットを」

梨子「カードガンナーです。破壊されます」

花丸「む・・・」

梨子「1ドローもらいます」

花丸（ちょっと面倒くさいの踏んじゃったか）

梨子（あっ・・・）

花丸「レディでダイレクト」

梨子「・・・通ります」【梨子LP4450→2900】

花丸「罠カード」

梨子（・・・もう無理だ）

梨子「警告です」

花丸（やっぱり持ってなかった・・・）

花丸（・・・）

花丸「そのままエンドまで」

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子「メインまでいきたいです」

花丸「ん」

梨子（・・・さっきのカーガンで引いたカード）

梨子（うん、今度はこっちの番だよ）

梨子「アナザー・ネオスを召喚します」

花丸「何もないよ」

梨子「ならバトルいきたいです」

花丸「ん」

花丸（んー・・・レディだけでも倒しておこうってことか、引いたのか）

梨子「アナザー・ネオスでレディを」

花丸「破壊で」【花丸LP8000→7650】

梨子「ネクロダークマンをコストにアナザー・ネオス対象でマスク・チェンジ・セカンドを発動します」

花丸（引いてきたんだね・・・）

花丸（しかも、手札では完全な死に札のネクロダークマンを使用してのチェンジとは・・・）

ルビィ「噛み合ってるルビィ」

ダイヤ「ええ。流れています」

花丸「・・・通るよ」

千歌「こっから逆転？」

曜「うむ、千歌君。私の予想だとそうなるよ！」

梨子「なら、アナザー・ネオスを墓地へ送り、光牙を特殊召喚します。そのままロードに攻撃」

梨子「攻撃力はマルちゃんの場のモンスター1体分だけ上がってるから3000だね」

花丸「・・・ん。何もないよ」【花丸LP7650→6650】

梨子（よし！巻き返した！）

梨子（光牙は戦闘で破壊するのは困難なモンスター）

花丸（オラのデッキに戦闘を介さずモンスターを除去できる手段は極端に少ない・・・）

花丸（なるほど。一気に劣勢ずらね）

ダイヤ「ふふっ」

千歌「・・・ダイヤさん？」

ダイヤ「ガチガチにグダる時もあれば、くるりと一変する時もあるのよ」

ダイヤ「楽しいわ」

千歌「・・・」

梨子「エンドです」

花丸「オラのターン。ドロー」

花丸「メインまで」

梨子「はい」

花丸「モンスターをセットしてエンド」

梨子（・・・迷いがない）

ダイヤ「迷いがないということは、それだけ相手に判断材料を与えないことに繋がります」

ダイヤ「分かりますか？ズーラは何を引いてくるか、それによって自分がどう動くのかを事前に想定しているということです」

曜「ふーん」

ルビィ「それってやってみるとかなり疲れるルビィ」

千歌「ふーん」

ルビィ「だからそれやめたルビィ」

千歌「だよねー」
曜「だよねー」

ダイヤ「・・・」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

梨子「私のターンです。ドローからメインいきたいです」

花陽「どうぞ」

梨子（ここで追撃・・・といきたいけど、油断は禁物）

梨子（こっちのライフは結構削られてるし、光牙の除去には向こうも手間取るはず）

梨子（アライブを使って連撃を重ねてもまだライフ0にはできないなら、ここはセットモンスターを増やして長期戦に備える）

梨子（大丈夫・・・流れは私にある）

花丸（あのデッキ、光が想定以上に強い・・・）

花丸（アンデット相手なら即ダークロウみたいなプレイングしてくれた方がよっぽどやりやすかったずら）

花丸（落とされたネクロダークも気になる・・・上級モンスターが手なりで降ってくるのはそれなりに恐怖。向こうには防戦封じのエッジマンもいることだし）

花丸（一刻も早い生者の書へのアクセスが必要になるけど・・・この辺は完全に運だからなぁ）

花丸（・・・ここからが重要になってくる）

梨子「バトルいきたいです」

花丸「・・・どうぞ」

梨子「光牙でセットを」

花丸「ピラタ」

梨子「うっ・・・」

梨子（引かれていた・・・！？）

花丸「ピラタの効果までいっても？」

梨子「・・・はい」

花丸「なら、デッキから龍骨鬼を特殊召喚」

梨子（とうとうきてしまった・・・ヒーローを撃ち抜く銀弾）

梨子（ダーク・ロウを出しておけばこの局面は防げた・・・明確なプレイミスだ・・・）

梨子「・・・メイン2。モンスターをセットしてエンドです」

曜「龍骨鬼ってなんだっけ？」

ダイヤ「戦士、魔法使い族と戦闘を行った時、勝敗関係なくそのモンスターを破壊できるカードですわね」

千歌「・・・ん？」

曜「もしかして光牙死んだ？」

ダイヤ「十中八九、そうなります」

ルビィ「多分、梨子ちゃんが一番戦いたくなかったモンスタールビィ」

梨子（戦闘を介するとはいえ、1:1交換ってだけでも強いのに攻撃力2400・・・鬼を倒せる英雄から限られてくる）

梨子（しかも、それがピラタから簡単に降ってきて、あともう一体いるんだ・・・）

花丸（こいつをどう使っていくかがHERO攻略の鍵ずら）

花丸「オラのターン。ドロー」

花丸「メインまで」

梨子「はい」

花丸（さて、ここは攻めるか構えるか・・・）

花丸（相手にイニシアチブがある手番ターンに回すのは怖いな・・・向こうに攻撃を抑制する手段もないなら）

花丸「バトル。龍骨鬼で光牙」

梨子（倒しにきた・・・なら）

花丸（ここは先手を取るのが正解）

花丸（今ならフォームチェンジも光牙自身の効果も、最悪オネストすら怖くない）

花丸（さあ、何が来る？）

梨子「アナザー・ネオス除外で光牙の効果を龍骨鬼に使用したいです」

花丸（真っ直ぐか・・・ん？）

花丸「・・・んん？」

梨子「あ、何かある？」

花丸「・・・ううんゴメン。何もない。龍骨鬼破壊で」【花丸LP6650→4150】

梨子「光牙は戦士族。龍骨鬼の効果でこちらも破壊されます」

梨子（うん。ここまでライフを削れたならワンチャンス・・・）

花丸（なんで・・・）

ダイヤ「・・・妙ですわね」ﾎﾞｿｯ

千歌「え？」

千歌「あの、それってどういうことですか？」

ダイヤ「・・・耳を貸しなさい」

千歌「へ？」

曜「なになに？内緒話？」ｺｿｺｿ

ルビィ「内緒話大好きルビィ」ｺｿｺｿ

千歌「あの・・・」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「デュエルしてしているプレイヤーはフェアであるべきです。ギャラリーからの情報漏洩はできるだけ避けないといけません」ﾋｿﾋｿ

曜「あ、だからヒソヒソ話するんだ」ﾋｿﾋｿ

ルビィ（最初に言葉漏らしたのお姉ちゃんルビィ・・・）

千歌「何が妙なのかなぁ、と」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「桜内さんの墓地のHEROは3体。ボルテック、アナザー・ネオス、ネクロダークマンですが」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「その内の2枚、アナザー・ネオスとネクロダークマンは墓地に置いておきたいカード」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「光牙の効果を使用するなら除外するのはボルテック一択ということになります」ﾋｿﾋｿ

曜「ん？ネクロダークは分かるけど、アナネオが？」ﾋｿﾋｿ

千歌「・・・あ、ブラストだ」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「そうです」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「ヒーロー・ブラスト。墓地の通常モンスターHEROの攻撃力以下を焼くカードルビィ」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「厳密には、その前に通常モンスターHEROを手札に加える効果があり、それがメインなんですが」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「アド損なしでの露払い。ストラクチャー戦では破格の性能ですわね」ﾋｿﾋｿ

曜「ふむふむ。墓地肥やしをする必要はあるけど、あのデッキならそれもけっこう簡単だよね」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「いや、直接墓地はそこそこムズいルビィ。一度場を介すならたしかに簡単ルビィけど」ﾋｿﾋｿ

曜「・・・」

千歌「でもそれで破壊できるのって攻撃力1900以下ですよね？上級焼けないなら弱くないですか？」ﾋｿﾋｿ

千歌「それなら少しでもライフ減らした方がいいような」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「む・・・」

曜「千歌くぅん・・・遊戯王はそんなに単純なゲームじゃないのだよ」ﾋｿﾋｿ

千歌「そっかなぁ」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「削りを優先すると自爆するルビィ。ソースは私ルビィ」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「あなたのはまた別の問題です」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「・・・ビィ」

ダイヤ（・・・しかし、着眼点はいい。それならある仮説が浮かぶ）

千歌「どうせ引くかどうか分かんないカードなんだからさぁ」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ（この子・・・）

曜「結局アナネオを除外した理由は？」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「プレミルビィ」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「ないですわね」ﾋｿﾋｿ

千歌「ダイヤさん、梨子ちゃんの味方をしてくれるんですか！？」ﾋｿﾋｿ

千歌「ならそのままAqoursに！」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「私は彼女『は』買ってますわよ」

曜（梨子ちゃん限定ね・・・）

ダイヤ「なかなか頭の回る子です。出会った立ち位置が違ったなら、側に置いておきたい素材」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「だからこそ断言できる。選択肢ならともかく、彼女にそういったプレイミスはありえない」ﾋｿﾋｿ

曜「・・・なんか嬉しくない？」ﾋｿﾋｿ

千歌「そうだね。私たちまで褒められてるみたい」ﾋｿﾋｿ

ルビィ「それは気のせいルビィ」

ダイヤ（そう、これはおそらく）

ダイヤ（選択肢）

花丸「・・・モンスターをセットしてエンドするよ」

梨子「・・・私のターンです」

梨子「ドロー」

梨子（・・・）

梨子（・・・ワンチャンス、きたっ！）

梨子「メインまで！」

花丸（梨子ちゃんの空気が変わった・・・）

花丸（これは・・・）

ダイヤ「来ますわよ」ﾋｿｯ

曜「へっ？」

千歌「大勝負」ﾋｿｯ

ダイヤ「・・・あなた、分かるんですの？」ﾋｿﾋｿ

千歌「ううん。なんとなくです」ﾋｿﾋｿ

千歌「なんか梨子ちゃん。燃え上がってるから」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「・・・ふっ」

曜（分からん）

ルビィ（全く分からんルビィ）

梨子「ザ・ヒートを通常召喚します」

花丸（ヒートか・・・）

花丸「通すよ」

梨子「なら」

梨子「ヒーロー・アライブ！！」

花丸「っ！」

花丸（アライブ・・・しかも手出し。握ってた！？）

花丸（あの位置のカードはたしか2ターン目にドローしていたもの・・・ライフがギリギリになる瞬間を狙ってたんだ・・・！）

花丸（・・・）

花丸「それも通し！」

梨子「ライフを半分支払い、デッキからシャドー・ミストを特殊召喚！」【梨子LP2900→1450】

梨子「シャドー・ミスト効果で、マスク・チェンジサーチまで！」

花丸「・・・」

花丸「ま、通しずら」

千歌「通った！」

梨子（・・・そうだよね。ここで妨害が飛んでくるはずがないんだ）

梨子（何故なら、似たようなシチュエーションの光牙をマルちゃんは止められてないから）

梨子（あれから伏せは増えてないもの。ジャマーや強脱、激流葬・・・ヒーローの変身を阻む策略が潜んでいることはありえない）

梨子（・・・そう）

梨子（問題はここから）

梨子「セットモンスターを反転召喚。フォレストマンです」

曜「・・・あ、これ」

ルビィ「？」

ダイヤ（killライン成立）

花丸（アナネオ除外の思惑はここだったんだね）

花丸（ま、考えてみれば簡単なことずら）

梨子（マルちゃんのライフは4150。つまり）

ダイヤ（ザ・ヒートでズーラのセットモンスターを払い除け、1000+1000+2400。合計4400のダイレクトアタックを成立させれば、桜内さんの勝利）

花丸（ボルテック除外じゃオラのライフは5050。ネクロダーク除外でも4450。これじゃギリギリ殺しきれない）

梨子（だから、アナネオを手放す必要があった）

梨子（ここでデュエルを決する為に！）

ダイヤ（しかしザ・ヒートはツモ切り・・・なかなか賭けに出たものですわね）

花丸（オラのデッキの下級モンスター。その最高守備力はダブルコストンの1650）

花丸（既に場にあったフォレストマンの攻撃力1000ではそれを超えられないから）

梨子（最低でもそのラインを超えるモンスターを引く必要があった）

ダイヤ（可能性があったのは、エアーマン、ザ・ヒート、グラン・モール、後はそれに繋がるサーチカード。ネクロダークマンの召集に応じるネオスやエッジマン。複数枚を絡めるならもう少しありますが・・・）

ダイヤ（これだけのカードを引けばいい状況なら、決して分の悪い賭けではない）

花丸（そういうの、嫌いじゃないよ。けど）

梨子（本当の賭けはこれから）

梨子（あのセットモンスターのカード、攻撃力だけなら超えられるんだけど）

梨子（倒しきれないケースがある）

ダイヤ（リクルーターであるピラミッド・タートル。戦闘破壊不可能な魂を削る死霊。セットモンスターがいずれかであった場合、桜内さんの決死の特攻は破綻します）

梨子（たった3枚の可能性・・・けど）

梨子（3枚『も』可能性があるんだ）

花丸（デッキ構築の時点で、確実に引きたいカードをデュエリストは3枚積む）

花丸（それをどう捉えるかは、個人の裁量だけど）

梨子（実際、マルちゃんは3枚積まれてる強脱を初手から持っていた）

梨子（・・・私は）

千歌「進めばいいんだよ」

梨子「・・・千歌ちゃん」

千歌「いいことを教えてあげよう。私の知ってる梨子ちゃんは」

千歌「やる時にはやってしまう女の子なのだ」

梨子「・・・」

曜「いけぇ！梨子ちゃん！」

梨子「・・・」

千歌「大丈夫」

千歌「梨子ちゃんは強い！！」

梨子「・・・うんっ！！」

梨子「ザ・ヒートで、セットモンスターを攻撃！」

花丸「・・・」

花丸「ダブルコストン」

梨子「・・・」

梨子「うん」

千歌「勝ったぁ！！」
曜「勝ったぁ！！」

梨子「シャドー・ミストでダイレクト」

花丸「受ける」【花丸LP4150→3150】

梨子「フォレストマンでダイレクト」

花丸「それも受ける」【花丸LP3150→2150】

梨子「マスク・チェンジを発動」

花丸「通す」

梨子「M・HERO ダーク・ロウ」

梨子「・・・生徒会長さん」

ダイヤ「・・・」

梨子「Aqoursに、入ってもらいます」

ダイヤ「・・・ふっ」

ダイヤ「それを言うには、まだ舞台が整っていないわね」

梨子「・・・」

梨子「・・・えっ？」

ルビィ「言ったはずルビィ」

ルビィ「ズーラは強いって」

花丸「マスチェンは通す・・・でも」

花丸「そこから先は許さない」

梨子「・・・そんな」

梨子「だって・・・それはあの時だって・・・」

梨子「伏せられて・・・！！」

花丸「激流葬」

梨子「・・・」

花丸（ピラタを握ってたなら、光牙に激流葬を打つ必要はない）

花丸（むしろ、その油断からモンスターを無駄に展開してきた時こそが真の狙いどころ）

花丸（その点では、梨子ちゃんの光牙降臨からの戦い方は悪くなかった）

花丸（最後の最後で勝負を焦り過ぎたね）

花丸（思惑が分かっているなら、狙い撃つのは簡単ずら）

ダイヤ（デュエルには、確実にここだという瞬間が存在する）

ダイヤ（それを見極められる者が、勝利者となる資格があるんです）

ダイヤ「人が最も罠にかかりやすい時がいつか、分かりますか？」

千歌「・・・」

ダイヤ「勝利を確信した瞬間です」

梨子（場のモンスターが・・・全て破壊・・・デッキのマスク・チェンジも枯れて・・・）

花丸（・・・例えばスポーツの試合、その終了間際に1点差が2点差に広がったような）

花丸（そんな虚無感を感じてるのかな）

梨子「・・・そ、そうだっ！し、シャドー・ミストの効果を！」

ダイヤ「桜内さん・・・耄碌しましたか」

曜「シャドー・ミストはこのターンにマスチェン持ってきたから、墓地に落ちた時の効果は使えないよ・・・」

ルビィ「哀れルビィ」

梨子「・・・ぁ」

梨子（場は更地。モンスターは立てられない。ライフはごく僅か・・・）

梨子（そんな・・・そんな・・・）

梨子（そんな・・・っ！！）

千歌「まだ終わってないよ！」

梨子「千歌ちゃん・・・」

千歌「デュエルでは」

千歌「劣勢な方が勝つ！！」ｶﾝ!ｺｰﾝ!

全員「・・・」

全員「えぇ・・・」

ダイヤ「まあ、真理ではありますが・・・」

ルビィ「アニメの話ルビィ」

千歌「果実は臓物より金なりって言うし！」

全員「・・・」

全員「？？？」

梨子「・・・もしかして、事実は小説より奇なり？」

千歌「あ、都会ではそう言うの？」

曜「全国共通でそうとしか言わないと思うけどね・・・」

梨子「ふふっ」

千歌「？」

梨子「・・・なんだか、千歌ちゃんには助けられてばかり」

千歌「当たり前だよ」

千歌「仲間だもん！」

梨子「・・・」

梨子「そうだね」

梨子（そうだ・・・まだ終わりじゃない）

梨子「ライフが0にならない限り」

梨子「まだ終わってないよ！！」

ダイヤ「・・・」

ダイヤ（あそこから気持ちを持ち直すか・・・）

ダイヤ（強い子ね）

花丸「でも、そうだよ」

花丸「そうでなくちゃ、面白くないずら」

花丸「デュエルってのは！」

梨子「・・・ターンエンドです！」

曜（召喚権を使ってしまった状態ではモンスターは立てられないのは分かるけど・・・伏せもなし？一応何か伏せといた方がいいんじゃ・・・）

梨子（・・・この状況でブラフを伏せる意味なんてない）

ダイヤ（そう・・・ここで伏せてズーラの思惑を外れさせるカードはリビングデッドの呼び声しかない）

梨子（でも、私がこのターンに引いたカードはザ・ヒート。手札をシャッフルしてもいないからそれは周知の事実）

ダイヤ（ならばリビデを引いたのはそれ以前のターンということになりますが、それなら確実にセットしておくはずですわ）

梨子（リビデを引いたら絶対伏せてた。カーガンを蘇生できればドローに運命を委ねる必要がなかったから）

花丸（だから、梨子ちゃんがリビデをハンドインしていることはありえない）

梨子（そもそも、ここで伏せ1程度で揺らぐデュエリストじゃないんだ。マルちゃんは）

梨子（マルちゃんが攻撃力1450以上に繋がるカードを引いたら負け）

花丸（オラが攻撃力1450以上に繋がるカードを引いたら勝ち）

花丸「・・・オラのターン」

花丸「ドロー！！」

すみません。明日仕事なのでここで一旦止まります
23時頃に残り投下します

梨子「・・・」

花丸「・・・」

花丸「・・・ふぅ」

花丸「モンスターをセット、1枚伏せてエンド」

梨子「・・・」

花丸「ま、もう少し続けよっか」

花丸「こんなゾクゾクするデュエル」

花丸「簡単に終わらせるのは勿体無いでしょ？」

千歌「・・・」

曜「・・・」

ダイヤ「・・・」

ルビィ「・・・」

梨子「もう、経緯はどうでもよくて」

梨子「これは」

梨子「私たちのデュエルなんだね」

花丸（・・・さっきはカッコつけちゃったけど）

花丸（あそこで決めたかったのが本音）

花丸（なぜなら、向こうはまだ奇跡を起こせるから）

ルビィ（HEROには墓地融合があるルビィ。ライフ2150なら、攻撃表示のモンスターがいる状態でガイアを出されて問答無用で負けルビィ）

ダイヤ（かと言って、防戦に徹しても混沌が場を制す。この出来上がった戦場でのカオスは、十二分にゲームを終わらせるだけの風格がある）

花丸（・・・幸いなのは、梨子ちゃんがミラクル・フュージョンを引いてないことだけは確定してること）

花丸（このターンで仕留められなかったことで状況は一変・・・追い詰められてるのはオラの方ずら）

梨子（考えるんだ・・・ここで勝つにはそれが必須）

梨子（想定できるパターンは4通りあった）

①攻撃力1450以上のモンスターを出され、問答無用のゲームエンド
②モンスターを立たせずにエンド
③攻撃力1449以下のモンスターを立たせ攻撃してくる
④モンスターをセットし壁を増やす

梨子（マルちゃんの選んだ運命は④。そして1枚の伏せカード）

梨子（ここから推測する・・・）

梨子（①のケースを選択しない意味はなかった。私は完全なノーガード。それが分からないデュエリストじゃない）

梨子（選ばなかったということは選べなかったってことなんだ。①に必要なカードは持ってないってこと）

梨子（マルちゃんのデッキの残りモンスターで言うなら、再生ミイラ、達人キョンシー）

梨子（複数枚を絡めたら確率はもっと上がる。ミイラの呼び声とヴァンパイアジェネシス以外の上級モンスターを握っているパターン）

梨子（それともちろん、墓地蘇生の行える生者の書）

梨子（これらのカード、組み合わせはない）

梨子（ただ、これだけじゃデッキに眠ってるカードが分かっただけで盤面のカードは透けない）

梨子（そこで大きなヒントになるのが③のケースを選ばなかったこと）

梨子（①を考慮して考えると、ここでのセットモンスターは3種類のみ）

梨子（ピラタ、死霊、そして骨の塔）

梨子（この中でピラタと死霊は攻撃してくる可能性があった）

梨子（ピラタならライフを削り切れないまでも、次のターンもダイレクトアタックをするという勝ち筋がある）

梨子（私は激流葬でかなりの戦略を消費した。次ターンにモンスターを引かず、手札にモンスターもない状況というのは決して想定できないものではない）

梨子（ピラタの攻撃力なら、例え返しにモンスターで攻撃されてもライフが残る可能性は高い。加えてその後の龍骨鬼の召喚。早めにデュエルを終わらせたい心理）

梨子（・・・確定とはとても言えないけど、伏せはピラタでない可能性が高い）

梨子（ハンデスのできる死霊で攻撃するメリットもある。ここで手札に触れる効果が弱いはずがないんだから）

梨子（・・・が、こっちはピラタと違って攻撃力が低過ぎる。いくら戦闘破壊に耐性があるからといって、無策で立たせるのは怖いはず）

梨子（そのことから、ある仮説が浮かび上がる）

梨子（あの伏せカードが、デッキに眠る唯一の罠除去カード、強脱でないということ）

梨子（ピラタのパターンでもそう。攻撃に対して回答があるなら、慇懃無礼に攻めの姿勢を見せるのは無謀を超えたむしろ美学だ）

梨子（それをしないということ。それは）

梨子（あの伏せがブラフであることの証明としては充分）

梨子（結論。モンスターは死霊か骨の塔。伏せはモンスターに触れないカード）

梨子（ただ、あれがブラフだったとして、油断しちゃダメ）

梨子（ここから先は一瞬のミスも許されない駆け引きなんだから）

梨子（・・・待って。考えてみればマルちゃんはこのデュエル、パワーカードを全然出してない）

梨子（特に、あれは一度も・・・）

梨子（・・・なら）

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子「・・・」ﾋﾟｸｯ

花丸（・・・ん？）

梨子「・・・メインまでいきたいです」ｼｬｼｬｯ

花丸「・・・どうぞ」

花丸（手札を入れ替えた？）

曜（あれっ？さっきまではあんなことしなかったのに・・・）

曜（いや、それどころか今まで一度も・・・）

千歌「・・・」

花丸（・・・今まで梨子ちゃんは手札をドロー順に並べていた。完全に習慣付いた無意識の動きに見えたから、そういうのは気にしないデュエリストのはず）

花丸（現に今のシャッフルも不自然でぎこちない・・・）

ダイヤ（これは・・・）

梨子「モンスターをセット。カードを1枚伏せてエンドです」

花丸（・・・大丈夫、見逃してないずら。伏せたのはドローカード）

花丸（あれを伏せるのを隠したかったように感じるけど、ちょっと見え見えだよねぇ・・・？）

花丸（現状使用不可能なブラストはともかく、リビデにシグナル・・・どちらも引けば手なりで伏せておかしくないカード）

花丸（特にリビデはマズい・・・エンドにフォレストマンを呼んで次のターンに融合をサーチされたらガイア召喚までのプロセスがほぼ完了し）

花丸（こっちはもう生半可な攻撃表示すら封じられる・・・）

花丸（・・・）

ダイヤ（・・・読めない）

梨子「・・・」

ダイヤ（今のあの子は冴えている）

花丸（だからこそ読めない・・・あの意図が）

ダイヤ（裏をかいたつもりなのか、それを利用しているのかが）

花丸（全く読めない・・・！！）

梨子「・・・」

花丸「・・・ふぅー」

花丸「エンドに砂塵。今伏せたカードずら」

曜「っ！？」

ダイヤ（彼女を信じた・・・いえ、プレッシャーね）

千歌（・・・違うよマルちゃん）

梨子「チェーンありません。セットカード」

梨子「ヒートハート破壊で」

花丸「・・・」

花丸（やられた・・・っ！）

ダイヤ（・・・まさにしたたか。見事ですわ）

花丸「・・・オラのターン。ドローからメインまで」

梨子「はい」

花丸（・・・この読み負けは痛い）

花丸（砂塵は残りの罠を貫き、除去のデコイとしても動ける最終兵器）

花丸（無駄打ちは愚行も愚行・・・見誤った）

花丸（梨子ちゃんというデュエリストを）

梨子「・・・」

花丸（もう、ついさっきの相手とは別人。そう思わないと、負ける）

花丸（残りのセットはブラフ確実。それは今までの動きから断定できる）

花丸（セットカードはエアーマン、グラン・モール、サモプ以外。最高守備力はオネストの1900）

花丸（あの最後の手札は・・・妥当なところでモンスター。エアーマン以外の下級・・・バブルマン辺りが臭いか）

花丸（伏せは消去法で考えて平行世界融合とオーバーソウル辺りかな？）

花丸（・・・勝負を決めるとなったら壁を増やされるのは困るな）

花丸（だとしたら、あのセットはつつきたくなるけど・・・）

花丸「・・・1枚伏せてエンド」

曜（後続がない・・・モンスターなくなった？）

ダイヤ（時間を稼がれれば稼がれるだけ不利なこの状況・・・パワーカードを握っているのならいいんですが）

ルビィ（あ、これズーラの負けフラグ見えてきたルビィ）

梨子「私のターンです。ドローからメインです」ｼｬｼｬｯ

花丸「どうぞ」

梨子（・・・流れは私にきてる。けど）

梨子（ここまで引いて直接的なサーチカードを引けないってことは、まだまだ流れはマルちゃん寄り・・・？）

梨子（砂塵を使わせたとはいえ、更にサイクや大嵐をキープしている可能性を忘れてはいけない）

梨子（でも、こっちは手札もカツカツ・・・サイクを無駄に使わせた意味を求めるなら）

梨子「カードを1枚伏せてエンドです」

花丸（モンスターセットなし？手札は魔法カードではないから生き物のはずだけど・・・温存？ここで？）

花丸（・・・弄んでくるなぁ）

花丸（さらに、前ターンと同じくぎこちない手札の入れ替え。そのカードをセット）

花丸（随分と意地汚いデュエリストになったずら・・・）

花丸（・・・多分、持てる方法の全てを駆使して戦ってるんだ）

千歌（それってさ、カッコイイよ）

ダイヤ（泥臭いデュエル・・・）

ダイヤ（だからこそ美しい）

花丸「オラのターン。ドロー」

花丸「からメインまで」

梨子「はい」

花丸（・・・これを引いてくるんだ）

花丸「・・・ふぅ」

梨子「・・・」

花丸（・・・即決は困難、か）

花丸「考えます」

梨子「・・・分かりました」

梨子（このデュエル中おそらく、最初で最後の長考宣言）

千歌（なんか分かる・・・）

ルビィ（多分、勝負を決めるのはここルビィ）

ダイヤ（引きましたわね。運命のカードを）

花丸（ここの選び方がデュエルを決する。これはそれ程のカード）

梨子（終止符を打つという勝負の花型）

梨子（羨ましいな・・・その選択を自分でできるんだ）

花丸（このゲームで最悪のケースは何だ？）

花丸（それは、マストカードを看破されること）

花丸（なら、マストカードとは？それを看破するカードとは？）

花丸（オラに許された選択肢は3つ）

花丸（龍骨鬼を出すか。切り札を出すか。回すか）

花丸（龍骨鬼を出す理由はシグナルの無効化に尽きる）

花丸（あのモンスターがHERO、伏せがシグナルというのは出来過ぎなパターンだが、ありえない確率ではない）

花丸（あの最後の手札・・・またはブラフとしてセットしている伏せカードの内に融合がある可能性も0ではないんだ）

花丸（シグナルエアーワイルドサーチから融合ガイア。この流れをされたらあまりの美しさに感服するしかないな）

花丸（もちろん、向こうの全ての上級カードと相打ちできるのも当然のメリット）

花丸（なら、ここは龍骨鬼一択な気もするが）

花丸（・・・実はそうでもない）

花丸（オラの手札にはこのデッキ最強のモンスターが既にハンドインしていた。こんなカード、出すことはないとミスドローを決め込んでいたけど）

花丸（攻撃力3000はこの状況では頼もしいサイズ。固有効果もフィニッシャー級）

花丸（龍骨鬼がHEROに対して強いと言っても所詮は上級モンスターを出されたら1:1交換。向こうにオーバーソウルがあるのは確定臭いし、ネオスとタイマンしたら擬似的に一方的にやられることになる。彼にはそれがない）

花丸（龍骨鬼との危険性は互換になるけど・・・）

花丸（ここで必要なのは場持ちの良さ。それが備わっているのはどちらかというとこっちだ）

花丸（一度回す手もある。パワーカードだからといって手なりで唱えるのが正解な道理はない）

花丸（伏せがリビデだったケースだ。そもそも攻撃表示のモンスターがいるならガイアの擬似ダイレクトでゲームは終わる）

花丸（それなら相手の出方を伺うのも一つの手ではある）

花丸（バック除去を引くまでの長期戦・・・危険性は高いが、それは他の選択肢でも同じ）

花丸（・・・駄目だ。どの選択肢にもメリットとデメリットがある）

花丸（・・・相手の伏せカードの推測から判断するのは？）

花丸（伏せカードでの分岐は散々推察した通り、シグナルのケース、リビデのケース、その他のケース）

花丸（もちろん可能性としてはその他のケースが最も高い）

花丸（当たり前だ。他は1枚しかないカードなのに対し、これは残りの全てのカードなんだから）

花丸（このデュエルの前提・・・伏せカードは大体がブラフ。真っ直ぐ考えればそうなんだけど）

花丸（それで揺らがないなら、この世に悩みなんて生まれない）

花丸（あるんだ・・・何％かの確率で、向こうのディスティニードローが）

花丸（それで負けるんだ・・・）

花丸（・・・あの砂塵）

花丸（あの砂塵を外したことが、ここまで勝利を狂わせるなんて・・・！）

花丸（・・・除外するカードは？）

花丸（除外の選択肢はネクロダーク、光牙、シャドミ、フォレストマン）

花丸（・・・いや、フォレストマンは駄目だ。平行世界融合はハンドイン濃厚・・・ガイアを呼ばれて結局同じ結末）

花丸（ネクロダークは上級モンスターの召喚を防ぎ、同時に事故要因にできる）

花丸（上級で降ってくるのはネオスかエッジマン・・・龍骨鬼と1:1・・・ヒートハートがないから手札のこのカードを出すなら除外する意味は薄い）

花丸（マスクマンの除外はカオスの奇跡降臨を防げる・・・もちろん確率は低いけど、カオスを出されたら劣勢は必死・・・が）

花丸（ミラクル・フュージョンを引かれたら召喚してくるのは速攻で勝負を決められるガイア・・・）

花丸（こっちの強脱警戒という選択肢もあるけど・・・これを使ったらどんなに誤魔化してもツモ切りということは分かる。そこで強脱を持て余しているとは向こうも考えないだろう）

花丸（シャドミは間接的に1アド稼がれるが・・・ここまで極まった状況でわざわざそれを選択する必要はあるか・・・？）

花丸（・・・シャドミ除外でロード経由ジェネシス召喚。これがベスト）

花丸（攻めを考えるなら、固有能力で墓地蘇生ができるジェネシスは充分フィニッシャー級だ）

花丸（ミイラの呼び声が腐ってる今、上級モンスターを活かせるこの能力は嬉しいし、龍骨鬼蘇生にもワンチャンある）

花丸（そうなると除外するモンスターは消去法でシャドミになる）

花丸（ジェネシスならヒートハートのない上級モンスターは怖くない。万が一エッジマンでセットモンスターを攻撃されてもライフは残るし）

花丸（HEROサーチでアドを稼がれるシャドミを除外するのが最善になる。リビデでなくても生還やチャージから回収されることはあるし）

花丸（ヒーローがゾンビになるケース、奇跡を起こされたケースならそもそも終わる。それなら仕方ないと割り切り）

花丸（・・・）

花丸（本当にそうか？）

花丸（本当にそれしかないのか？）

花丸（このゲームで大切なことは何だった？）

花丸（いかに勝負の決め時を決断することだったか・・・？）

花丸「・・・違う」

花丸（いかに相手のマストを掻い潜り、自分のマストに仕事をさせるか）

花丸（大切なのは）

花丸（見極めるべきは）

花丸 （いかに相手の想定全てに対応し、攻めの姿勢を崩さずにいられるか！）

花丸（ここはオラのマストじゃない！！）

花丸「分かった・・・」

梨子「・・・」

花丸「オラの選ぶべき運命が」

梨子「・・・」

花丸「長考失礼。手札から」

花丸「生者の書を発動！」

梨子（やっぱり・・・！）

ダイヤ（そのカード・・・）

曜「ここで万能蘇生カード！？」

ルビィ「そりゃ悩むルビィ」

花丸「梨子ちゃんの墓地のモンスターを除外し、オラの墓地のモンスターを召喚する！」

ダイヤ（この局面では、無限の可能性を持つカード）

梨子（良い意味でも、悪い意味でも）

梨子（・・・大丈夫）

梨子（私の伏せカードが守ってくれる）

花丸「梨子ちゃんの墓地の光牙を除外し」
梨子（カオスを防ぐの？でも、結局ガイアを出せれば！）

花丸「ピラミッド・タートルを守備表示で特殊召喚！！」

梨子「・・・」

梨子（っ！？！？！！？）

ダイヤ（・・・）

ダイヤ「・・・ふふっ」

千歌「守備表示！？ていうかピラタ！？」

曜「ここで勝負しないの！？」

ルビィ「激萎えルビィ」

花丸（守備表示でゲームを続けることは、長期戦を意味する）

花丸（その長期戦で絶望的なこととは何か）

ダイヤ（制圧系カードの降臨・・・つまりはカオス）

花丸（それさえ封印できれば）

花丸（泥沼試合としては及第点）

ダイヤ（守備表示ピラミッド・タートル。攻撃に対し最大3度クッションとなり、そこから龍骨鬼と死霊の二択まで選択できるフレキシブルな防御札）

ダイヤ（加えて、相手の攻撃表示を誘えるステータスもここでは魅力的に映ります）

ダイヤ（なにより、最大のネックであるミラクル・フュージョンへの両対応・・・桜内さんの戦略全てに対応するには、これしか選択肢はなかった）

ダイヤ（・・・上出来ですわよ。ズーラ）

梨子（・・・全く予想できなかった事態）

梨子（やっぱりマルちゃんは強い）

梨子（まだだ）

梨子（勝負は動いてない）

花丸（勝負を決めるのはここじゃない）

梨子（次のターンからだ）
花丸（次のターンからだ）

花丸「エンド」

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子（やっときた・・・）

梨子「メインいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子「エマージェンシーコールを発動します」

花丸（・・・）

花丸（うへぇ・・・）

千歌（やっと出た）

曜（もう出番ないかと思ってたよ・・・）

ルビィ（あれだけ入ってるのにサーチカード引かな過ぎルビィ）

花丸「通すよ」

花丸（さて、現れるのは・・・）

梨子「デッキからHEROを1枚手札に加えます。私が加えるのはエアーマン」

花丸（そうなるよね。重要なのはここから）

梨子「そのままエアーマンを召喚します」

花丸「通し」

梨子「なら、サーチの効果を。持ってくるモンスターは・・・」

梨子「E・HERO ネオス！！」

千歌「ネオスキターー！！」
曜「ネオスキターー！！」

ダイヤ「最終局面を飾るに相応しいカード。まるでアニメですわね」

ルビィ（エッジマンの方がよくないかルビィ・・・？）

梨子（あのセットモンスターが死霊ならエッジマンの貫通ダメージで終わりだけど、マルちゃんは生者の書でネクロダークマンを除外してない）

梨子（加えて、蘇生したのはピラタ）

梨子（もう断定していい。あのセットモンスターは骨の塔だ）

梨子（なら、エッジマンの方を持ってくる意味は薄い）

花丸（・・・やはりオーバーソウルがある）

花丸（そして、伏せがブラストである可能性も出てきた）

梨子「バトルいきます」

梨子「エアーマンで・・・ピラタを」

花丸（こっちか）

梨子（龍骨鬼にはなるべく早めに入場してもらう）

ダイヤ（・・・真っ直ぐ考えれば、次のターンにはネオスも戦線に参加する）

花丸（ここで新たなピラタを持ってくるとエアーマンを処理できるかはドロー次第になるな・・・）

花丸（そうなると、次のターンにはエアーマンの攻撃で最後のピラタ。ネオスの攻撃で・・・龍骨鬼だな。死霊を出してもジリ貧になるだけ）

花丸（向こうの場にはエアーマンとネオス。こっちの場には龍骨鬼・・・まずはエアーマンから殴ることになる。返しに処理されてオーバーソウル）

花丸（・・・結果は変わらない。でも、時間を稼いだ分、相手には1枚多く引かれる）

花丸（オネスト、ミラクル、リビデ・・・引かれて致命的なカードは多いんだ）

花丸「ピラタ破壊で。デッキから龍骨鬼を守備で特殊召喚」

ルビィ（あれ？リクルート肉壁しないルビィ？）

梨子「・・・」

花丸（お望み通り、速攻で招いてあげたよ）

梨子（ピラタは温存・・・？たしかに2枚目を引かれてセットされるのは困るけど）

梨子（早めにとは願ってた・・・けど、これはちょっと予想外）

梨子「エンドです」

花丸「オラのターン。ドローからメインまで」

梨子「はい」

花丸（・・・いくらなんでも引き悪すぎない？）

花丸（モンスターセットが完全に裏目に出ちゃってるなぁ）

花丸「龍骨鬼を攻撃表示に変更。バトルに」

ルビィ（結局攻めるルビィ）

花丸（向こうの右手に光られたらこっちも賭けに出るしかない）

梨子「どうぞ」

花丸「龍骨鬼でエアーマン」

梨子「破壊されます」【梨子LP1450→850】

梨子（効果で・・・ね）

梨子（ほんと、龍骨鬼は天敵）

花丸「そのままエンド」

梨子（さて、これで龍骨鬼は攻撃表示・・・ワンチャンできた）

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子「・・・メインいきたいです」

花丸「ん」

梨子（・・・まあ、そんなに都合よくはいかないか）

梨子「墓地のネクロダークマンの効果で、そのままネオスを生け贄なしで召喚します」

花丸「うん。対応はないよ」

梨子（怖いのは強脱・・・だけど、さっきの考えの通りならそれはない）

梨子（ここは真っ直ぐ鬼を狩る）

梨子「バトルいきたいです。ネオスで龍骨鬼に攻撃」

花丸「いいよ。龍骨鬼破壊」【花丸LP2150→2050】

梨子「龍骨鬼の効果でネオスも破壊」

曜「退場早っ！」

ルビィ「流石ネオスルビィ」

梨子「メイン2にいきます」

梨子「セットしてあったオーバーソウルを発動。墓地のネオスを特殊召喚」

曜「復活早っ！」

ダイヤ「流石はネオスです」

梨子「愚かな埋葬を発動」

花丸「いいよ」

梨子「なら、デッキからエッジマンを墓地へ送ってエンドです」

花丸（ブラフとして伏せるより事故率を下げた・・・）

花丸（融合を持っていればエッジマンは引いてもガイアに繋げられたはず・・・どうやら、融合を持っているわけではないみたいだね）

花丸（死霊と絡めて考えれば、伏せブラストの可能性も増すか・・・？）

花丸（それよりも）

花丸（・・・さあ、攻撃力2500の台頭は普通に困る）

梨子（あわよくばこのままネオスビート）

花丸（ここで何か引かないと流石にマズいよ・・・）

花丸「オラのターン。ドローからメインまで」

花丸（・・・冗談でしょう？）

花丸「・・・1枚伏せてエンド」

梨子（ここで1伏せか・・・怖いな）

花丸（参ったなぁ・・・次で負ける可能性が出てきた）

花丸（これはずれの運命選んじゃったかな・・・？）

梨子「私のターンです。ドローからメインいきたいです」

花丸「どうぞ」

梨子「強欲で謙虚な壺」

花丸（・・・これは逆に悪くない）

花丸（これでこのターンの特殊召喚はないから変なモンスターを出されることはないずら。デッキが見えるのもある意味ではメリット）

花丸「どうぞ」

梨子「めくります。1枚目、ライトジャスティス」

梨子（・・・正直もう微妙。強脱伏せだったらどちらにせよネオスを戻される・・・マジック・ジャマーにワンチャンか）

梨子「2枚目、ハネクリボー」

梨子（・・・可愛い）
花丸（・・・可愛い）

梨子「3枚目・・・っ！」

花丸「っ！？」

梨子「・・・オネスト」

梨子「オネストを加えます！」

ダイヤ（ここでオネスト・・・！？ネオスのスペックが上がった！）

花丸（ピラタや龍骨鬼の自爆特攻が狙えなくなったのはキツい・・・！）

花丸（いや、これはもう些細な問題・・・オネストの攻撃力は1100。2回攻撃を通せばオラのライフをギリギリ削りきれるし、自身が場に残らないから返しのターンに棒立ちすることも・・・）

花丸（それ以前に、あのセットモンスターと伏せ次第ではそもそもここで終わり・・・！！）

曜「これ、ディスティニードローじゃない！？」

千歌「今の梨子ちゃん、十代くんが乗り移ってるよ！」

梨子「オネストを召喚します！そのままバトル！」

梨子「ネオスでセットモンスターを！」

花丸「・・・精気を吸う骨の塔。破壊で」

梨子（やった！強脱が飛んでこない！）

梨子「オネストでダイレクトです！」

花丸「・・・受けるよ」【花丸LP2050→950】

梨子「メイン2！オネストを手札に戻してエンドです！」

花丸「・・・」

花丸（セットモンスターはバブルマンで、伏せがブラスト）

花丸（そんなとこかな）

花丸（なんとか・・・本当になんとか助かったみたい）

梨子（あと1ターンで勝てる）

梨子（・・・違う）

梨子（あと1ターンもかかる・・・！！）

花丸（だったら、それに答えなきゃ）

ダイヤ「ズーラ」

花丸「・・・」

ダイヤ「ここだけの話、私もうAqoursに入ってあげてもいいと思ってるわ」

千歌「・・・」

梨子「・・・」

花丸「・・・」

花丸「冗談じゃないずら」ﾆﾔﾘ

花丸「オラのターン・・・ドロー」

花丸「・・・スタンバイに無謀な欲張り」

梨子「・・・はい」

花丸「さらに2枚」

梨子（・・・）

梨子（・・・勝つ）

梨子（私が、勝つ）

曜（梨子ちゃんが勝つ）

千歌（勝てるよ）

ルビィ（・・・これで部活でもお姉ちゃんと一緒かぁ）

ダイヤ（・・・）

ダイヤ（勝ちなさい。国木田花丸）

花丸「ドロー」

花丸「・・・サイク。1番最後に伏せたカードを」

梨子「・・・ヒーロー・シグナル。破壊です」

花丸「セットしてあったミイラの呼び声を発動。チェーンはないよね？」

梨子「そうだね。何もない」

花丸「呼び声の効果。手札の闇より出でし絶望を守備で特殊召喚」

花丸「そして、強制転移を発動」

梨子「・・・」

梨子（ここで強制転移・・・？）

花丸「オラは絶望を選択するけど・・・通るね？」

梨子「あ、うん・・・私はもちろん、セットモンスターを選択」

花丸「じゃあ、それらのコントロールが入れ変わる」

梨子（・・・どういうこと？この行動の意図はなに？）

梨子（私の伏せモンスターに賭けた・・・わけないよね。考えられる可能性は・・・）

梨子（守備表示が邪魔？でも、絶望は守備で出してる・・・あのカードと絶望の違いなんてそれこそ、属性、種族、レベル、ステータス、表か裏かとか山ほど・・・）

梨子「・・・あっ！」

花丸（・・・伏せはシグナル、セットはバブルマン。まあ、予想通りずら）

花丸「さっきから、これが邪魔だった」

花丸「セットモンスターをリリースして」

花丸「砂塵の悪霊をアドバンス召喚！！」

ダイヤ（・・・よしっ）

曜「・・・げっ！！」

千歌（あのカード何だっけ？）

花丸「砂塵の悪霊の効果が誘発するよ」

花丸「フィールドのこのカード以外の表側モンスター全てを、破壊する」

千歌「・・・げっ！！」

梨子「・・・対応はありません」

花丸（・・・）

花丸「・・・ふぅ」

曜（これじゃいくらオネストを握ってたって意味がない・・・）

ルビィ（おおー、ズーラやるルビィ）

花丸（梨子ちゃんの場にはまだ1枚伏せがあるけど、それはもうここでは意味を成さないカード。状況がそれを証明してる）

ダイヤ（・・・）

千歌（・・・）

花丸「楽しかったよ、本当に」

梨子「・・・」

花丸「砂塵の悪霊でダイレクトアタック！！」

梨子「・・・さっきから、シグナルばかり気にしてたみたいだけど」

梨子「このカードだって、けっこう強いんだよ？」

花丸「・・・？」

花丸（最後の伏せ・・・）

花丸（なにを・・・それはただのブラフ・・・）

梨子「ヒーロー・ブラストを発動！！」

花丸「・・・」

花丸「へっ？」

ダイヤ「そんな馬鹿な！！？」

ダイヤ「何故そのカードが伏せてあるんです！？」
ルビィ「お姉ちゃんうるさい」

花丸「・・・な」

花丸「なん・・・で・・・？」

梨子「パワーカードだもの。引いたら当然伏せるよ」

ダイヤ「だったら、どうして今まで使わずに・・・」

ダイヤ「・・・あ」

花丸（あのカードが伏せられたのは4ターン目・・・あの時から既にアナネオが見えてた）

ダイヤ（場には既にヴァンパイア・ロード。アナザー・ネオスを火種にした火力では巻き返しのない状況・・・）

ダイヤ（ここでアナザー・ネオスをセットすればヴァンパイア・レディに使える状況が訪れるが、桜内さんはそれを温存しボルテックをセット）

花丸（6ターン目はドローを優先してのカーガンセット・・・ブラストが使えるようになるのはアナネオをマスチェンセカンドで墓地に送った8ターン目から）

ダイヤ（返しの9ターン目、ズーラはモンスターをセット。攻撃力を参照できない裏側表示のモンスターを破壊することはできない・・・ここで回収のみを選択するなんて勿体無いことは当然しないでしょう）

花丸（10ターン目はピラタからの龍骨鬼。またも火力ラインを上回る）

ダイヤ（11ターン目では既にゲームエンドの下準備でアナザー・ネオスを手放している・・・たしかに、それまでにブラスト介入のタイミングはない）

花丸（ネオスも同様・・・うまくブラストに使われる可能性を避けてる・・・）

ダイヤ（なんてこと・・・冷静に考えてみれば、ここにブラストがあるのは必然よ・・・）

ダイヤ（少し頭を捻れば理解できたこと）

花丸（このゲームは、いかに相手のマストを掻い潜り、自分のマストに仕事をさせるか）

花丸（こういうことだ・・・）

花丸（それをブラフだと決め込んで、考えることを放棄し、致命的なミスを犯した）

花丸（オラには2度もあのブラストを撃ち抜く機会があった・・・これは慢心以外の何物でもない）

花丸（デュエリストとして、恥ずべき失態・・・！！）

花丸「・・・ごめん。梨子ちゃん」

梨子「・・・なんで？」

花丸「オラ、心のどこかで梨子ちゃんのことをデュエリストとして下に見ていたんだと思う」

花丸「だから、ごめんなさい」

梨子「いいよ」

梨子「それで勝ちがもらえるなら、安いものだもん」ﾆｺｯ

梨子「墓地のネオスを手札に加えて、砂塵の悪霊を破壊します」

花丸「でも、まだ終わりじゃないずら！」

花丸「セットしてあった最後のカード、リロードを使わせてもらうよ！」

曜「手札入れ替え！？」

ダイヤ「ズーラの手札は2枚。以降のドローは前借りしているので2ターンありません」

ダイヤ「つまり」

千歌「正真正銘、最後の賭けってわけなんだね・・・」

花丸（・・・もう既に、デュエルの流れは梨子ちゃんの中にある）

梨子「・・・」

花丸「・・・手札2枚をデッキに戻し、シャッフルの後に2枚」

花丸「ドロー！！」

花丸「生者の書を発動！」

曜「ここで最後の生者の書を引いてくる！？」

花丸（何だ・・・何を出せばいい・・・！？）

花丸（・・・）

花丸（・・・っ！！）

花丸「梨子ちゃんの墓地のエアーマンを除外して、オラの墓地の闇より出でし絶望を守備表示で特殊召喚！」

ルビィ「ズーラまだまだやる気ルビィ！」

千歌「いいよね」

ダイヤ「・・・」

千歌「こういうの、気持ちいいよ」

ダイヤ「・・・ええ」

花丸「1枚伏せて、エンド！」

梨子（・・・まだ勝ちを確信できないんだ）

梨子（凄いな、デュエルって）

梨子「私のターンです。ドローします」

梨子「・・・メインいきたいです」

花丸「うん」

梨子「ミラクル・フュージョンを発動」

花丸「マジック・ジャマー」

梨子（・・・引いてるのかぁ）

梨子「・・・はい。ミラクル・フュージョンは無効に」
花丸「なんてね」

梨子「・・・えっ？」

ダイヤ「桜内さん」

ダイヤ「ハンドレスよ」

梨子「あっ・・・」

花丸「最後の最後にほんの一手、足りなかった」

花丸「オラの負けずら」

梨子「・・・」

花丸「ありがとうございました」

梨子「・・・ん」

梨子「ありがとうございました」

～～～

千歌「梨子ちゃんのかっちぃー！！」

曜「イェーイ！！」

梨子「ありがとう。2人のおかげだね」

千歌「どういたしまして！」

曜「いや、私たち見てただけだから・・・」

花丸「・・・ふーぅ」

ダイヤ「ズーラ」

花丸「はひっ！すみませんっ！！」

ダイヤ「よくやりましたね。立派でしたよ」

花丸「・・・は、はぁ」

ルビィ「怒んないルビィ？」

ダイヤ「その必要がどこにあるの？」

ルビィ「・・・ま、ないルビィ」

曜「約束ですよ生徒会長さん！」

千歌「Aqoursに入ってもらいます！！」

ダイヤ「・・・ふぅ」

ダイヤ「まあ、仕方ないですわね」

梨子「生徒会長さん・・・」

ダイヤ「ダイヤよ」

梨子「・・・」

ダイヤ「よろしくね。梨子さん」

梨子「こちらこそ。ダイヤさん」

千歌「・・・あれ？そこは私の役割じゃあ」

ルビィ「器じゃないルビィ」

ダイヤ「さ、では早速」

曜「練習ですね！」

ダイヤ「梨子さん、今度は私とデュエルです」
曜「えぇー・・・」

梨子「あ、はい・・・私はいいですけど」

ダイヤ「あなたとは有意義なデュエルができそうですわ」

花丸「ちょっと待つずら！オラだって梨子ちゃんともう一回やりたい！」

ダイヤ「順番」

花丸「デュエルは2点先取！」

ルビィ「あー・・・梨子ちゃん完全にお姉ちゃんに気に入られたルビィ」

千歌「・・・あれぇ？なんか蚊帳の外？」

？？？「話はリッスンさせてもらったわ！！」

千歌「誰！？」

花丸「いや、分かるけど・・・」

鞠莉「私よ！！」

ダイヤ「いえ、分かってましたが」

ヨハネ「私もいるのよぉ！」

千歌「あ、善子ちゃんオッハー！」

ヨハネ「オッハー！あとヨハネね！」

千歌「ヨッハー！」ヨハネ「ネっ！」

千歌「ヨハネ！！」
ヨハネ「ヨハネ！！」

曜「なんだこいつら」

鞠莉「デュエルのフレイバーを感じてやってきたわ！」

鞠莉「さあ！私とアメイジングなデュエルをスタンバイするのは誰？」

花丸「自由すぎずら・・・」

ダイヤ「む？あなた遊戯王やっていたんですの？」

果南「ま、ちょっと色々あってね」

曜「果南ちゃん」

ルビィ「Aqours全員集合ルビィ」

千歌「鞠莉さんもデュエルするんですか？」

鞠莉「デュエル・キング・シャイニー・マリーとは私のこと！」

果南「初めてからまだ半月も経ってないけどね」

千歌「ほほぅ・・・では」

千歌「鞠莉さん！デュエルです！」

鞠莉「シャイニー☆ファーストゲームはみかん色の貴方ね！」

千歌「私が勝ったらAqoursに入ってもらいます！」

鞠莉「Oh!」

ダイヤ「デジャヴですわ・・・」

鞠莉「・・・断る、と言ったら？」

千歌「ルビィちゃんに全力でワサビを塗りたくります」

千歌「鞠莉さんがデュエルしてくれるまで止めません」

千歌「絶対に止めません」

ルビィ「ここは私関係ないルビィ！！？」

鞠莉「ふむ・・・それを眺めるのもまた、ナッシングヤブサカね」

ルビィ「やぶさかでもあるルビィ！！」

果南「まあ、やってあげてよ。そういうのはなしでさ」

千歌「えぇー」

ヨハネ「初心者が同じ相手ばっかりとデュエルしてると変な癖がついちゃうのよねぇ」

花丸「あー・・・ヨハネちゃんのデッキとか尖りに尖ってるもんね」

果南「たまには別の相手ともやらせてあげないと」

曜「・・・もしかして、2人が最近付き合い悪かったのってそれ？」

果南「まあ・・・ごめん」

ヨハネ「ヨハネたちはヨハネたちで外堀から埋めてたのよぉ」

ダイヤ「初心者にこそお勧めしたいのがストラクチャー対戦です」

曜「おぉぅ・・・急にステマしてきましたね」

鞠莉「ストラクチャーバトル？」

ダイヤ「基本が整ってる構築済みデッキでデュエルすることで、遊戯王というゲームを体感することができるわ」

梨子「いや・・・あれはどっちかというと世間的な遊戯王とはズレていたような・・・」

花丸「頭使い過ぎてクラクラしてるずら・・・」

千歌「じゃあこうしよう！」

千歌「Aqours対抗、デュエルトーナメント！！」

果南「途中から来たから分からないけど、そんな流れだったの？」

曜「全くそんな流れじゃなかったよ」

千歌「Aqoursの中で最強のデュエリストを決めるんだよ！」

鞠莉「オーゥ！グッアィデーアー！」

鞠莉「・・・」

鞠莉「私参加できなくない！！？」

千歌「ふっふっふ・・・この絶対楽しいイベント」

千歌「Aqoursに入らなければ楽しめないのです！！」

鞠莉「ジーザァス・・・」

果南「だーから、意地悪しないの」

千歌「えぇー」

ヨハネ「デュエルは交渉材料じゃないわ」

ヨハネ「楽しむものなのよぉ！」

梨子「あ、それはたしかに」

ダイヤ「そうですわね」

果南「みんなで楽しもうよ」

曜「そうだね。その方が楽しそうだな」

千歌「・・・そだね」

千歌「じゃあ9人でデュエル大会だー！！」

全員「おぉー！！」

ダイヤ「では、くじ引きですわね。このちょうど中身のなくなったティッシュ箱を利用しましょう」

果南「ああ。この中に紙か何か入れてくじ引きにするんだね」

ダイヤ「ええ。公平でしょう？」

花丸（絶対何か仕込む気だ・・・）
梨子（絶対何か仕込む気だ・・・）

～～～

千歌「くじ引きデコろうよ！」

曜「いいね！」

梨子「いや、それ全く意味がない・・・」

ルビィ「このくじを引いたらグラウンド一周ルビィ。これは隣の人にビンタ。これは・・・」

ヨハネ「ルビィ関係ないくじ作り過ぎよぉ」

花丸「それ全部入れたら全く別のゲームになるずら・・・」

ダイヤ「梨子さん」ﾋｿｯ

梨子「はい？」

ダイヤ「ティッシュ箱の側面に粘着性のあるものを貼り付け、そこにくじを二組固定します。すると」ﾋｿﾋｿ

梨子「・・・ああ。対戦相手を固定できるわけですね」ﾋｿﾋｿ

ダイヤ「私はあなたとデュエルしたいんです」ﾋｿﾋｿ

梨子「・・・」

ダイヤ「乗ってくれますね？」ﾋｿﾋｿ
花丸「不正！あの人不正してるずらー！！」

ダイヤ「しまった！気付かれた！？」

果南「ダメだよダイヤ」ｶﾞｯｼﾘ
ダイヤ「くぅ～・・・」ｶﾞｯｼﾘ
鞠莉「いけない先輩はこうしておかないとね」ｶﾞｯｼﾘ

梨子「・・・」

梨子「うふふっ」

～～～

果南「やっとできたか・・・」

花丸「まさかくじ引き1つ作るのにここまで時間がかかるとは・・・」

ヨハネ「ここもうちょっとカラスの羽足したくない？」

曜「それよりさ、これ防水性大丈夫？」

ルビィ「羽あるし空は飛べそうルビィ」

梨子「これ以上くじ引きカスタマイズしなくてもいいよぉ・・・」

ダイヤ「でも、まだこれバランス悪いですわ」

千歌「はいはい！そんなの後々！」

鞠莉（1番先に脱線したのこの子よね・・・？）

～もし、デッキの中で最強を決めるのなら～

ヨハネ（【暗黒界】が最強よぉ）

曜（私の【伝説のフィッシャーマン】に勝てるデッキはない！）

ダイヤ（【ダイヤモンドガイ】には美学があります）

花丸（【幻奏】も戦い方次第ずら）

ルビィ（【宝玉獣】は弱いルビィ・・・けど、負けないルビィ）

果南（そういえば私のデッキって何て言えばいいんだろう・・・【海】？）

鞠莉（ふふっ・・・私の【トゥーン】モンスターはマスト！ディシジョン！オールウィン！！）

梨子（えーっと・・・何使ったらいいんだろう・・・【メタルフォーゼ】とか【SR幻影彼岸】はマズいよね？Tier下げるなら・・・【シャドール】とか？）

千歌（・・・）

千歌（私のデッキが最強！！）

千歌「さぁ！最初の組み合わせは・・・」

千歌「これだぁ！！」


～～～～～

～～～

終わるか