本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2
本田未央「プロデューサーとのごはん」
未央「やみのまー! いやー、今日も疲れましたよー!」
P「全然疲れてなさそうなんだが」
未央「いやいや、未央ちゃんはとっても頑張りましたよ? だから、ご褒美が欲しいなー?」
P「まあ、頑張ったのは事実だからな……何がいい?」
未央「んー……お腹が空いてるから、何か食べに行きたいかも。何でもいいから、ね」
P「……なんだか、こういった感じのやりとり、前にもやったような気がするな」
未央「そうだったっけ?」
P「そんな気がする」
未央「んー……そう言われてみればそんな感じもするような、しないような……」
P「まあ、だからなんだって話でもあるんだがな」
未央「プロデューサーから振っといてそれ言っちゃう? いや、そうなんだけどさー」
P「だろ? ……まあ、とにかく、行くか」
未央「そだね。行っちゃお行っちゃおー!」
――店の前
未央「お、ここは……ラーメン屋さん? そう言えば、初めてプロデューサーに連れて行ってもらったところもラーメン屋さんだったね」
P「今日のところはラーメン屋というか、つけ麺屋みたいなところあるけどな。……そう言えば、そうだったな」
未央「うん? ラーメンもつけ麺も一緒じゃないの? というか、つけ麺がラーメンの一種みたいなものじゃないの?」
P「んー……どうなんだろうな。俺もよくわからんが、ここはつけ麺専門店……だったはずだ」
未央「へぇ……でも、つけ麺ってあんまり食べたことないかも。そもそもプロデューサーと一緒じゃないとラーメン屋さんになかなか来ないし?」
P「お、そうなのか。つまりここも来たことがない、と。チェーン店だし、結構色んなところにあるから知っていてもおかしくないとは思うが」
未央「見たことはあるかもしれないけど……覚えてないかなー。意識してなかったら覚えられなくない?」
P「確かにな。何度も通っている道にある店でもまったく知らなかったりするからな」
未央「そういうことそういうこと。……まあ、とりあえず入ろっか」
P「そうだな」
――店内
未央「ほうほう……ここ、割りと社会人御用達のお店だったりするのかな?」
P「あー……そうかもな。ここはそういうところかもしれない」
未央「それって理由とかあるの?」
P「ある……が、まあ、先に何を頼むか決めるか。と言っても、つけ麺か辛つけ麺か、ってくらいだが。あと、量も決められるが……」
未央「量? そんなの決められるんだ」
P「ああ。まあ、つけ麺だからな。麺とスープ……というか、つけ汁と言った方がいいのか? とにかく、それが別々に出されるからな。麺の量も調節しやすいんじゃないのか?」
未央「あー、そういうことかー。それで、量ってどれくらいの区別があるの?」
P「並、中、大……これが全部同じ値段で、特大だけ100円プラスだな」
未央「えっ、同じ値段なの?」
P「ん? そうだが……いや、確かに初めてなら驚くか。理由は……まあ、サービスじゃないか?」
未央「へぇ……太っ腹だね?」
P「なんで疑問形なんだよ」
未央「いやあ、ただより高いものはないと言いますし?」
未央「ん? えーっと、そうだね……なになに? 並が200gで中が300gで大が400g……ん? これがぜんぶ同じ値段なの?」
P「そうなるな」
未央「おおー……それはなんだか、すごいね。でも、400g……ぜんぶ同じ値段ってなるといちばん多いのにしたくなるけど、さすがに無理だよね?」
P「なんで俺に聞くんだよ……」
未央「いや、400gが多いってことは感覚的にわかるんだけど、実際どれくらいの量なのかはわかりませんし?」
P「……まあ、そうか。とりあえず大は俺が腹いっぱいになるくらいだからやめといた方がいい。未央なら……並か中じゃないか? 並でちょうど。中で腹いっぱい、って感じだろ」
未央「さすがプロデューサー。私のことを私以上に知ってるね!」
未央「んー……そうだね。せっかくだから中にしよっかなー。多過ぎたらプロデューサーが食べてくれるでしょ?」
P「まあ、そうだが……お前から言うことか?」
未央「えへへ……確かに今のは流石に図々しかったかも。ごめんね、プロデューサー」
P「べつに謝らなくてもいい。俺と未央の仲だし、遠慮する必要もないしな」
未央「え? プロデューサーと私の、仲、って……その」
P「あっ……い、いや、今のはそういう意味じゃなくてだな……」
未央「そっ、そうだよねー! ごめんごめん、ちょっと、勘違いしちゃったよー!」
未央「えっ……」
P「……」
未央「……」
P「……あー! もう! なんでこんなところでこんな雰囲気になってるんだ。未央が中、俺が大で決まりでいいな? 注文するぞ?」
未央「う、うん」
P「よし。すみませーん!」
――
未央「おおー……これがつけ麺。割りと多い?」
P「どうだろうな。まあ、これまで俺と付き合ってきた未央なら食べ切れるだろ」
未央「それ、よろこぶべきかどうなのか迷っちゃうんだけど。でも、こういうのなんだ。このスープ、と言うか、つけ汁? この色は……何味?」
P「魚介系だな。濃厚魚介系のつけ麺、って言うと割りとスタンダードな感じがするな」
未央「そうなんだ。あと……麺、すっごく太いね。これを言ってもいいのかわかんないけど……うどんみたいな感じがするかも」
P「極太麺もここの店の特徴だな。いや、つけ麺は割りとこういう麺が多い印象もあるが……」
未央「そうなの?」
P「俺の知る限りは、な。やっぱりスープと絡ませることが重要だからなのかもな」
P「まあ、そうだろうな。早く出てきて、腹いっぱい食べることができる。牛丼なんかと比べると値段はさすがに違うが……それでも、来るだけの価値はある」
未央「おっ、つまり、おいしいんだね? これは期待がもてますなあ」
P「魚介系は好みがわかれるところではあるが、な」
未央「好みがわかれるところではあるが、たぶん未央も好きな味、って?」
P「そういうことだな」
未央「やっぱり、プロデューサーは私よりも私のことを知ってるね。うんうん、これからも精進してくれたまえ?」
未央「うーん……お星様?」
P「お前、星だったのか……」
未央「アイドルだしねー。ほら、私ってよく星に例えられるでしょ? パーフェクトスターですし?」
P「そうだな」
未央「むぅ……冷たくない?」
P「冷たいと言えば、早く食べなきゃ冷めるぞ」
未央「あ、そうだね。じゃあ、いただきまーす」
P「いただきます、と」
未央(濃厚魚介系のスープ……らしいけれど、どういうものなんだろう。さすがにスープは……うん、飲まないよね。濃そうだし。ざるそばのおつゆを飲まないのと同じで?)
未央(えーっと……ざるそばと同じ要領で、麺を持って、漬けて……おおう、これは見るからに濃いね。ドロドロっぽい。麺を漬けるとより鮮明、って感じ? これは確かによく絡みそう……というか、足りるのかな? さすがに足りるかな? どうだろ。なんだか心配になってきたかも……って、食べる前から何を心配してるんだ、私。取らぬ狸の皮算用、って?)
未央(とにかく、麺をスープによく絡めて……いただきます)ズルズル……
未央(おおー、これは濃いですなあ。前に……プロデューサーに初めて連れて行ってもらった『こってり』の店とはまた違うって感じ。これが魚介系……なかなかに癖が強いというか、何と言うか? あ、これが前の塩ラーメンのお店でプロデューサーが言ってた『雑味や生臭さ』みたいなものなのかな? でも、私はそこまで嫌いじゃないかも)
未央(あと、麺もなんだかいい感じかも。極太だからなのかな。この濃厚なスープに負けてないというか……麺も麺で楽しめるみたいな。どっちかが主張し過ぎているわけではなくて……いや、どっちも主張してきてるから、相対的に同じくらいに感じるのかも)
未央(シコシコというか、ゴワゴワというか、なかなかに食べごたえのある感じ。やっぱりうどんが思い浮かぶなー……いや、ちょっと違うんだけど)
未央(こういうの、食べるの初めてだなー。うん、おいしい! 濃厚なスープが極太麺に絡んで、それを一気に啜るのが気持ち良い。いくらでも食べられる……みたいな感じではないけれど、かなり良いね!)
未央(なんて言ったらいいのかなー……なんか、この感じをうまく表せる言葉があるような気がするんだけど……ジャンク? あ、ジャンク。ジャンクな感じ)
未央(なんだか褒め言葉なのかどうかわからない言葉になっちゃったけど、この早さで出てきて、この量が出てきて、この濃い味。ジャンク、って感じがするかも。そりゃおいしいよね! っていう)
未央(つけ麺……良いね! これは色んなお店のつけ麺を食べてみたくなっちゃいますなあ……)
未央「おいしいよ! すっごく太い麺とすっごく濃厚なスープが良い感じ!」
P「だよなー。この味がこの早さで出てくるチェーン店、それに量を調整できるなんて、そりゃ人気も出るだろ、って話だ」
未央「うん。人気も納得、って感じかも」
P「魚介系、ってことで割りと癖があるというか、臭みはあるんだが、そこまで嫌な臭みってわけでもないんだよな。むしろ魚のいいにおい、って感じか。そりゃ、苦手な人も居るんだろうけどな」
未央「私は好きだったなー。みくにゃんとかは苦手かも?」
P「あー……確かにみくは苦手そうだな。こういう臭みがないんだったら魚介系もいけるんだろうが……」
未央「だねー……って、でも、鰹節とかの出汁は大丈夫っぽいよね? ここのも割りと鰹っぽい感じじゃない?」
P「ん、確かにそうか……いや、そもそも鰹の出汁が大丈夫なのかどうかわからんが……どうなんだろうな。みくにはみくで基準があるんだろうが……」
未央「うーむ……みくにゃんがどこまで大丈夫なのか。これは結構な謎かもしれませんね、ワトスン君?」
未央「試してみるか、って