258 名前:緑一色[] 投稿日:2000/03/27(月) 15:55
泣ける話ではないが…
中学に入る直前の春休みのある暖かい夕方、桜を見に近くの公園まで出かけた。
北国なので、4月中旬でも桜はまだ5分咲きくらいだった。人はあまりいなか
ったが、ふと同じクラスの女子に会った。彼女とは殆ど話をしたことが無かっ
たが、せっかくなので歩きながら、新学期からのことなどいろいろしゃべった
ように思う。確か彼女は直しに出した制服を取りに行った帰りとかだった。
ふと見ると、薄桃色に色付いた川沿いの桜並木の上に、白い満月が昇っていた。
ガキだった俺が、「今日は花見と月見が同時にできてラッキー」みたいなこと
を言ったら、「本当、もし緑一色君と私が大人だったら、一緒にお酒飲めたの
にね…」と彼女。
別に大した意味があるわけでもないのに、厨房にもなってなかった俺はその言
葉に何だか急にドキドキして、「ラムネ飲も、ラムネ、おごるから」と、売店
でラムネを買って彼女に1本渡した。彼女は「ありがとう」と快く受取ってく
れた。その後どんな話をしたかは覚えていない。
でも、あの時の甘く暖かい春の空気、冷たいラムネの味、夢のように美しかっ
た桜と月、そしてそれを見て微笑んでいた彼女の横顔は、今でも忘れられない。
桜の季節にラムネを見ると、思い出して少し切なくなる。
泣ける話ではないが…
中学に入る直前の春休みのある暖かい夕方、桜を見に近くの公園まで出かけた。
北国なので、4月中旬でも桜はまだ5分咲きくらいだった。人はあまりいなか
ったが、ふと同じクラスの女子に会った。彼女とは殆ど話をしたことが無かっ
たが、せっかくなので歩きながら、新学期からのことなどいろいろしゃべった
ように思う。確か彼女は直しに出した制服を取りに行った帰りとかだった。
ふと見ると、薄桃色に色付いた川沿いの桜並木の上に、白い満月が昇っていた。
ガキだった俺が、「今日は花見と月見が同時にできてラッキー」みたいなこと
を言ったら、「本当、もし緑一色君と私が大人だったら、一緒にお酒飲めたの
にね…」と彼女。
別に大した意味があるわけでもないのに、厨房にもなってなかった俺はその言
葉に何だか急にドキドキして、「ラムネ飲も、ラムネ、おごるから」と、売店
でラムネを買って彼女に1本渡した。彼女は「ありがとう」と快く受取ってく
れた。その後どんな話をしたかは覚えていない。
でも、あの時の甘く暖かい春の空気、冷たいラムネの味、夢のように美しかっ
た桜と月、そしてそれを見て微笑んでいた彼女の横顔は、今でも忘れられない。
桜の季節にラムネを見ると、思い出して少し切なくなる。