モバP「乙倉ユウキの可能性」
――――――
悠貴「お疲れ様でしたっ、プロデューサーさん! お先に失礼しますねっ!」
P「ああ。お疲れ様。気をつけて帰って……ん? どうした悠貴。急いでるようだけど、何か用事か?」
悠貴「あ、はいっ! そうなんです! 実は、今日は家に帰ったらゲームするんですっ!」
P「え? ゲーム? ……。えっと、今ゲームって言ったか?」
悠貴「そうですっ。今、すごくハマってるゲームがあるんです! 楽しいですよ!」
P「え、ゲームって、その……いわゆる、テレビゲーム、ってやつの事か? マリオとか、ポケモンとか」
悠貴「はいっ。そんな感じですけど……どうかしましたか? もしかして、アイドルがゲームとか、あまり好ましくないとか……」
P「あ、いや、すまん。そういう事じゃないんだ。全然悪いことはない。そうじゃなくて、なんだか悠貴がゲームするイメージがなくて。あまりインドアな趣味はないと思ってたんだが」
悠貴「そんなことないですよ? 私、ゲーム大好きですっ!」
P「そうなのか? へえ、意外な事実を知ったな。まあこっちが勝手にイメージ持ってただけだが……。ちなみに、どんなゲームするんだ?」
悠貴「MMORPGですっ!」
P「えっ」
悠貴「え?」
P「……。えっと、何度も驚いてすまない。今度は、意外なジャンルが出てきたから驚いてしまった」
悠貴「そ、そんなに意外でしたかっ? 私は大好きなんですけど」
P「あ、ああ。俺もちょこっとやった事はあるし、面白いと思うが……まさか悠貴が、な。すごく意外だ。正直、さっきから驚きっぱなしだ」
P(最近の女子中学生の間では、当たり前なのか? ううむ、流行のリサーチ不足だな。俺もまだまだ勉強が足りないな……。よし。ならリサーチも兼ねて、悠貴にいろいろ聞いてみよう)
P「……とりあえず、俺のことはいいんだ。気にしないでくれ。それより悠貴、今やってるのはどんな感じのゲームなんだ?」
悠貴「どんな、ですか? えっと、そうですね……かんたんに言うと、妖精の国を冒険するゲームっていう感じでしょうか」
P「妖精の国? じゃあプレイヤーは妖精になるのか?」
悠貴「そうですっ。妖精だから、空も飛べるんですよっ! それがすっごく気持ち良くてっ!」
P「へえ。それは楽しそうだな」
悠貴「はいっ。それに、同じ妖精でも火とか水とか、色んな種族があるんです」
P「なるほど。それは自分で選べるってことか。ちなみに悠貴はどの種族にしたんだ?」
悠貴「闇妖精の、インプですっ!」
P「や、闇?」
悠貴「はいっ!」
P「そ、そうか。闇か。うん。きっと、可愛い衣装が好きな悠貴なりの、グッときた何かがあるんだな」
悠貴「そうなんですっ! インプの特徴はですね……あっ!?」
P「? どうした」
悠貴「ご、ごめんなさいっ! もう帰らなきゃ! 今日はギルドのみんなと約束してるんですっ! 遅刻しちゃいますっ」
P「そ、そうなのか。悪かったな、引き留めてしまって」
悠貴「い、いえっ! プロデューサーさんは悪くないですっ! 私こそ長々と説明してしまったので、お仕事の邪魔を―――」
P「いや、俺は大丈夫。それより、早く帰ったほうがよくないか? 約束……」
悠貴「ああっ!? そ、それもそうですねっ! 帰りますっ! おっ、お疲れ様でしたーっ!」ダッ!
P「お疲れー……」
P「…………」
P「……MMOか。悠貴の意外な一面を知れたな」
P「悠貴があれだけハマるゲーム……ちょっと気になるな。俺もやってみようかな」
P「どれどれ。なんてゲームだ? ちょっと検索を―――あ、しまった。肝心のタイトルを聞き忘れてしまった……まあ、明日聞けばいいか」カタカタ
P「キーワードだけでも出るかもな……MMORPG、妖精、空を飛べる、インプ……っと」カタカタ
P「……おっ、出た出た。ええっと……ん? ああ。なんだこのゲームか。これだったら、タイトルだけなら俺も聞いたことあるな」
P「社会人になってから、こういうのは久しくやってないな。学生の頃は、俺もよくやってたなぁ……ん?」
P「検索候補に……闇妖精の、凄腕プレイヤーの噂ってのがあるな。闇妖精、インプか。悠貴と同じ種族だな。なになに?」
P「……11連撃の、オリジナルソードスキル……絶剣? へえ、こりゃあすごい。有名プレイヤーとなると、こんな異名までつくのか。カッコいいな。どうせやるなら、俺もこのくらい強くなりたいもんだ」
P「えっと、プレイヤー名は……」
P「―――え」
P「…………」
P「……。いや。さすがに本名ではやらないよな。ネットは怖いからな。うん。他人他人。きっと同じ名前の違う人だな。きっとそうだ。うんうん」
P「…………」
P「……一応、もうちょっと調べてみるか」
―――その1 マザーズ・ロザリオ 終わり―――
――――――
P「悠貴って、陸上の他にも何かやってるスポーツとかあるのか?」
悠貴「陸上以外で、ですか?」
P「ああ。悠貴って、傘の上で枡を回せるくらい器用だからさ。走るだけじゃなくて球技とか、他の事もなにか始めてみてもいいんじゃないか?」
悠貴「んー、そうですねー……」
P「いっそのこと、格闘技でも始めてみるとか……いや、さすがにそれは無いか。今まで経験ないだろうし、アイドルの女の子がいきなり格闘技ってのも―――」
悠貴「経験ありますよっ」
P「えっ」
悠貴「格闘技、やったことありますっ! というか、今も習ってますっ!」
P「そ、そうだったのか!? 知らなかった……」
悠貴「内緒にしてたわけじゃなかったんですけど……すみませんっ」
P「そうか、格闘技か……すごいな悠貴は。色んな事にチャレンジしてるんだなぁ……。ちなみに、何を習ってるんだ?」
悠貴「八極拳ですっ」
P「は!?」
悠貴「えっ!? な、なんですかっ?」
P「え……あっ、ああ! そうか太極拳か! なるほどな、うんうん! 確かに体操みたいにゆっくりとした動きで、健康にもいいって言うしな―――」
悠貴「ちがいますよっ! 八極拳です、八極拳っ!」
P「……。そ、そうか。八極拳か」
悠貴「はい! 八極拳ですっ! にのうちいらず、ですっ!」
P「お、おう」
P(聞き間違いじゃなかった)
P「えっと……その、八極拳ってのは、どんなことを習うんだ?」
悠貴「もちろん格闘技なので、色んな技を習いますよ!」
P「わ、技か。……技って、いうと、例えば?」
悠貴「最初に習ったのは、鉄山靠ですね! 上手く出来るようになった時は、すごくうれしかったです! あとは連環腿とか、裡門頂肘とか、白虎双掌打とか……あっ! この間は、やっと猛虎硬爬山ができるようになりましたっ!」
P「そ、そうなのか。すごいな悠貴は」
悠貴「そんなことないです! 道場の先生にはいつも、『10年早いんだよ!!』って叱られて……お恥ずかしいですっ」
P「厳しい先生なんだな」
悠貴「でも私、頑張ります! いつかは先生みたいな、きれいな連携の、崩撃雲身双虎掌が打てるように……っ!」
P「そ、そうか。ま、まあ真面目にやってれば、いつかは叶うさ。頑張れよ悠貴」
悠貴「ありがとうございますっ! プロデューサーさんが応援してくれたら、もっと頑張れそうですっ! えへへっ」
P「それはよかった……ははは……」
P(ガチの実戦格闘技のような気がするのは、俺だけか? いつか悠貴が虎になりそう……)
―――その2 愛がたりないぜ 終わり―――
――――――
悠貴「……はあ」
P「?」
P(なんだか……レッスンから帰ってきてから元気がないな。なにかあったのか?)
P「悠貴、お疲れ様。どうした? なんだかいつもより疲れてるんじゃないか?」
悠貴「あ。プロデューサーさん。お疲れ様です……」
P「今日のレッスン、きつかったか? それとも、何か悩み事でも?」
悠貴「……えっと。その、ですね」
P「うん」
悠貴「あの、プロデューサーさん。私って……その、個性が無い、ですよね?」
P「……うん?」
悠貴「私って、ちょっと背が高いだけの、普通の女の子ですし」
P(……言ったら悪いけど、中一で164cmは、ちょっとじゃないと思うが)
悠貴「アイドルって言ってもまだ新米で、私はジュニアモデルの経験しか無いし」
P(そんな経験のある女の子も、そうそういないと思うが)
悠貴「趣味だって、普通だし」
P(ミックスジュース作り……は、普通、なのか? 普通といえば普通だが、中学生の女子はみんな嗜んでるもんなのか?)
悠貴「岡山県出身だし」
P(え、それは無個性と言っていいのか? 同郷の人、みんな敵に回すんじゃないか?)
悠貴「天秤座だし」
P(それも敵が増えるんじゃないか? 星座カーストの話か?)
悠貴「こんな私だから、なんとか個性的なキャラを目指そうと思って、さっきの演技力レッスンの時に頑張ってみたんですけど……」
P「頑張ってみた? ええっと……つまり、悠貴なりに色々考えて、レッスンで試してみたけれど、それが裏目に出てしまった。ってことか?」
悠貴「はい。失敗しちゃいました……えへへ」
P「なるほど。そういうことだったか」
悠貴「…………」
P「……まあ、うん。とりあえず、悠貴に個性があるかないかって話は置いておくとして」
P(充分個性的だと思うが、今の悠貴は何を言っても納得しないだろうし)
P「考えて考えて、それで頑張った結果、空回りしてしまった。って事なら、そんなに落ち込む必要はないんじゃないか?」
コメント一覧
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- 2016年07月27日 23:43
- つまんね
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- 2016年07月27日 23:45
- ※1
アンパンマンの友達の片割れである可能性もあるな
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- 2016年07月27日 23:54
- 事務所仲間にToloveるしちゃう可能性もあるわけか
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- 2016年07月27日 23:55
- ※2おっ夏休みニキやんけ
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つまり俺はアイドル…?