【艦これ】 艦娘小話集
こっちは毎日ではなくネタを思いついたら投下、なくなったら落とします。
↓もうひとつの方 嫁艦で静かな萌えをやりたくて。地の文。
【艦これ】叢雲「狼の慢心」【ラノベSS】
執務室で仕事中の俺に、今日の秘書艦の熊野がそういえばと語りかけてきた。
提督「ファミレス?」
熊野「ええ、最近、近くに出来たそうですわね」
少し前まで田舎町でしかなかった鎮守府のまわりも、ようやく発展してきた。
これも俺たちが日々、海の安全を守っているからだと思うと少し誇らしい。
熊野「いったいどういったお店なのでしょう」
お嬢様の両目は、まだ見ぬ未知の存在に爛々と輝いていらっしゃる。
提督「そんなに特別なモンでもないぞ?」
お嬢様気取りの熊野のことだ。
ファミレスを高級レストランかなにかを勘違いしているのかもしれない。
提督「別になんてことない、フツーの食べ物屋さんだぞ? 値段もリーズナブルだしな」
熊野「そういえば貴方は昨日のお昼、鈴谷と二人で行ってきたそうですわね」
提督「……あんまりアイツが連れてけってうるさいからだ」
鈴谷め、喋ったな。世情に疎いはずの熊野がどうして知っている、とは思ったんだ。
……提督である俺が勤務中、鎮守府の外をぶらついていると思われるのは好ましくない。
こう言ってやれば多分熊野は なあんだ、そういうのでしたらいいですわとか言って、
熊野「ハ、ハンバーグセット!?」
提督「は?」
いまコイツ、妙に反応が良くなかったか?
熊野「いいい、いえ、なんでもありませんわ。げふんげふん」
あれ、コイツもしかして……?
熊野「パフェもあるんですの!?」
提督「ん?」
熊野「ん、ん、んん! の、のどの調子がおかしいですわね」
いやこれどう考えてもファミレスに興味深々だろ。
お嬢様のハードル低すぎてハーブ不可避ですわコレ。
……熊野をおちゃくるのが面白そうだから、もうちょっとだけ遊ぶとしようか。
提督「そういうわけで、高級志向のお前には意味のないお店だな」
提督「庶民派の鈴谷はともかく、お嬢様の熊野の舌では満足せんだろう」
熊野「……っ!」
熊野「ま、まあそうですわねっ わたくしの舌を満足させられるお店が、そうそうあるとは思えませんもの!」
乗っけられると自分からは降りられないくまのん()
お、まだ頑張るか?
熊野「たまには庶民の食べ物をというのもいいかもしれませ 提督「ないわあ」 」
熊野「な、なんですの、その残念な人を見る目は!?」
ふだん演習のあとのご飯は美味しいですわとか言って、みんなと食堂で飯かっ喰らってる女が何言ってんだ?
なんて微塵も思っちゃいませんけれど、何か。
熊野「もう、なんですの、なんですの~!?」
提督「なんだ、今頃気づいたのか」
熊野「~~~~~~っ!!」
こいつの胸中は手に取るように分かる。チョロいもんだ。
提督「人にお願いがあるときは、もっと素直にしたらどうだ?」
熊野「さ、最初から分かっていましたのね。わたくしがしたがっていること」
提督「当然」
提督「ささ、言いたいことがあるのならどーぞどーぞ」
熊野「うぅ……」
熊野「その、ファミレス……一緒に行ってみたいですわ」
提督「え、何だって?」
熊野「こ、このっ、れ、レディにここまで言わせておいて、その態度はなんですの!?」
提督「はは、悪かったよ。ちょっとおちょくりすぎた」
熊野「もう!あんまり調子に乗ってると高くつきますわよ!」
提督「奢らないけどな」
そこまで必死になってでもファミレスに行ってみたいかと、俺は苦笑した。
仕事も区切りがついたし、連れて行ってやると言って、二人して執務室を出る。
調度お昼時にこんな話題が出てしまったし……熊野が行くと分かれば、アイツも誘わなくちゃ後で駄々をこねるだろう。
提督「しょうがない、ちょっと鈴谷も呼んできてくれ」
熊野「? 鈴谷は昨日行ったでしょう」
提督「アイツは二日連続だろうが行きたがる。そういうやつだ」
それに熊野としても仲のいい鈴谷がいた方が嬉しいのではないか?
熊野「鈴谷は昨日、貴方と二人で行ったのでしょう!」
そう言うと、ファミレスがどこにあるかもしらないくせに、どんどん廊下の先へ行ってしまった。
提督「おい熊野待てって、そっち逆!逆だから!」
この後……鈴谷のおねだりすらガードした俺の財布がどうしたことか。
今日はというと、二人分の昼食代を吐き出すはめになったのである。
熊野「鈴谷ばっかり、ずるいですもの!」
提督「鈴谷は俺に奢らせなかったぞ……」
そうため息をつくと分かっていませんわね、と熊野に呆れられた。
『あの映画の中には、ザイルが出てこなかったわよ』
少女の問いかけに少年ははっと息をのみ、世界は光を失っていく。
画面は教室の隅に立つ二人を遠巻きにして、そして――
夕張「でしょでしょでしょう? 夕張さんのオススメに外れはないのです!」
深夜にぶっとおしのアニメ鑑賞をしませんか。
そう言われて工房に招かれた俺は、夕張と二人してテンションをアゲにアゲアゲにしていた。
夕張のオススメという触れ込みで観始めた当初こそ半疑半疑だった俺だが、いまやどっぷりとこのアニメにハマっていた。
そうなると会話も弾み、深夜とは思えないほどの大声が出ている。
提督「お前が以前、この工房を完全防音にしましょうとか提案した理由が分かったわ」
夕張「あはは、バレましたか」
提督「このやろー」
夕張「えへへ」
そして、誘われるがままについてきた俺もこうして見事に共犯にされてしまったという訳だ。
まことにずる賢い奴である。
夕張「ふふ~ん、気になりますか?気になりますよねえ?」
提督「気になります!」
あの謎がどう解決されるか見届けなくては、気になって眠れないだろう。
すでに時計の針はふだん寝る時間を余裕で過ぎているが、そんなこと言ってられないのだ。
隣で腰までソファに浸かっていた夕張は、俺の食いつき具合に嬉しそうにして立ち上がりかけ、そこでなぜか動きを止めた。
そして、何を思ったのか……座り直して言った。
夕張「提督、次は何のアニメ見ます~?」
提督「いや、出来れば今のアニメの続きを――」
夕張「あれれ~、続きを録画したディスク、どこへやったかなあ? えへへ、ちらちら。」
こ、こいつ……。
夕張「誰かさんが諦めて帰ったころには見つかるかもしれませんね~、これは」
提督「それじゃ生殺しじゃねーか……というかお前、ぜったいワザとやってるよな?」
夕張「さあどうでしょう? うふふっ」
この女……。
提督をおちょくった際にはどのようなセクハラをされても文句は言えないという鎮守府鉄の掟を知らないのだろうか。
たったいま思いついたそれを夕張に語り、俺は出来るだけいやらしそうな顔を作って夕張に迫るふりをした。
むろん、本当に何かする気も、その勇気も無い。
夕張「ちょっ……セクハラ、セクハラですよ提督っ、というか、目が本気っ、目がヤバイです提督っ」
提督「艤装のメンテは合法、艤装のメンテは合法っ」
そう言って手をワキワキさせてみると、夕張はいっそう慌てだした。
我ながらどうかしているが深夜なら仕方ないっ。
提督「……う」
そう言われると、寝間着のうえにパーカーを羽織っているだけの夕張のいまの姿が、途端にものすごく無防備なものに見えてきた。
そう、目の前の夕張は湯上りのせいか肌がうっすらと上気しているし、いつも一つに束ねている髪も下ろしたままにしている。
同じソファに腰かけているせいで元々の距離も近い。アニメを観ている最中も時折肩と肩がぶつかって、かなり意識させられたりもした。
提督「……」
妙なところで俺が黙ってしまったせいか、お互いに何を言ったらいいか分からなくなる。
波の音、鳥の鳴き声すら聞こえないほどに工房は静まり返っており、
この沈黙を助けれれるのは自分たちだけであると知った。
提督「なあ、」
夕張「ね、ねえ」
気まずい。こうなるともう、嫌でも意識せざるを得
コメント一覧
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- 2016年08月02日 23:45
- おちゃくる?
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- 2016年08月02日 23:54
- おちょくる?
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- 2016年08月02日 23:59
- おちゃいる?
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