ポケモンGOの人気にあやかり、Engadgetが8月3日に開催した読者参加型イベント「ポケモンGOの夕べ」。屋内からジムとポケストップにアクセスできるお店を貸し切り、食事とアルコールも用意。ポケモン関連イベントとしてはかなり速いであろう開催となりましたが、内容は打って変わってとても濃く、熱い夜となりました。
前編に引き続き、こちらではライトニングトークを中心としたレポートをお届けします。
Engadget主催「ポケモンGOの夕べ」レポ(前編):LV30の参加者に驚き。世永氏の最新攻略や発売前の養成ギブス試用も
現在のポケモンGOはテスト版より楽しくなっている?
続くライトニングトークには、モンスターボールが当てやすくなると話題沸騰の「画面端スワイプ投法」を考案(発見)した橋本新義氏が登壇しました。Engagdetでライターをしている橋本氏は、本サービスが開始される前に、ポケモンGOのフィールドテスト(いわゆるベータテスト)に当選していたそうです。そこでライトニングトークでは、ポケモンGOのフィールドテスト版と現行版の違いについて解説しました。
▲エンガジェ投げこと「画面端スワイプ投法」を発見した橋本新義さん
同氏によると、フィールドテスト版と現行版で大きく変わったのが、ポケモンの捕獲シーンだと言います。実はリリース版で難しくなったあと、現行で最新となる0.31でフィールドテスト版に「戻った」とコメントしました。
フィールドテスト版ではバージョン0.31と同じくボールがコントロールしやすかったのですが、リリース直後のバージョンではボールが曲がりやすくなっており、とくにスーパーボールやハイパーボールといった上位ボールはちょっとスワイプが曲がっただけで、明後日の方向にボールが飛んでいってしまうようになり、驚いたとのこと。
さらにフィールドテスト版から大きく変わったのが、ルアーモジュールの効果。テスト版では持続時間はリリース版に比べて半分となる15分。さらにポケモンの引き寄せ効果も今より高くなかったため、秋葉原や上野公園などでもポケストップから桜吹雪が舞う光景などは一切見られなかったといいます。
結論から言うと「現行版はかなり楽しくなっている」そうです。
▲フィールドテスト版では、近くのポケモンまでの距離が10m単位で表示されていたそう
モバイルバッテリーのポケモンGO特需はいかほど?
次にCheeroの立ち上げメンバーで、同社を代表するダンボーシリーズ製品の仕掛け人でもある東智美さんが登壇。本誌読者であれば気になる「バッテリーはどれだけ売れてるんでしょ?」の問いに対しては「ポケモンGOがローンチされてから販売台数が5倍になった」と、驚きのコメントが。
▲Cheeroの東智美さん
▲ポケモンGOで心配なのがスマホのバッテリー切れ。会場ではCheeroの協賛により、ダンボーバッテリーを無料で貸し出すサービスも
ポケモンGOに「緑チーム」がない理由
続いてフリーライターの岡安学さんが登壇。ポケモンGOから入ったトレーナーにはあまり知られていない、これまでのポケモンシリーズの数々のトリビアを紹介しました。▲フリーライターの岡安氏
代表的なものが、初代ポケモンをプレイしたトレーナーであれば一度は疑問に感じたであろう、「ポケモンGOに緑チームがない理由」などを紹介してくれました。
ご存知の通り、ポケモンGOは青・赤・黄の3色からチームを選ぶことができます。しかし日本のトレーナーにとって「緑」がない、というのは不思議な話でもあるのです。というのも、もともと初代ポケモンは出現ポケモンが異なる「赤」「緑」バージョンの2種類が発売され、後に「青」と「ピカチュウ」版が追加されたという経緯があるため。
またポケモンGOの兄弟とも言える、米国ナイアンティックの位置情報ゲームIngressにおいても、チームは青と緑の2種類でした。Ingressで緑チームだった人は、当然ポケモンGOでも緑チームに入るか......と期待していたところ、肩透かしを喰らったというわけです。
これに関してよく言われるのが、それぞれのチームのエンブレムが伝説の鳥ポケモン「サンダー」「ファイヤー」「フリーザー」から取られているという点。これらポケモンのイメージカラー合わせたという話です。
しかし岡安氏曰く、緑チームがない理由については、米国の初代ポケモンの販売形態にもあるとコメント。
実はナイアンティック社の本国であるアメリカでは、ポケモンは赤と青とピカチュウしか発売しておらず、そもそも緑がないそうです。なので、そもそもアメリカ人にとっては「緑ってなんだ?」状態であり、「ポケモンといえば赤と緑」という日本とは大きく事情が異なる、というわけです。
他社がポケモンGOを簡単にパクれないワケ
続いてネットウォッチャーとして知られるおおつねまさふみ氏が登壇。「Niantic位置ゲームを簡単にパクれないワケ」として、ポケモンGOの肝と言える「ポケストップ」の仕組みが、いかに簡単に真似できないものかを紹介しました。
Niantic位置ゲームを 簡単にパクれないワケ by @otsune #ingress #pokemongo https://t.co/Ip9lyDsr2X via @SlideShare
— ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ (@otsune) 2016年8月4日
ポケストップのベースになったのは、Ingressの施設である「ポータル」です。そのポータルはどのように作られたのかというと、ベータ版においてはユーザーが写真のEXIFにGPSジオタグをつけて申請するといった仕組みや、リリース版では「スキャナー」(Ingressアプリを実行している端末)から写真を撮って申請できるシステムを構築。つまり、ユーザーからの報告などによるものです。
そして、現在のポータルデータベースを成立させるまでには、約3年もかかったそうです。「ポケモンGOのポケストップの仕組みを真似たいという企業が、3年間ポータルを作り続けられるわけがない」と、おおつねさんは主張します。
▲軽快な語り口と重厚な内容のプレゼンで参加者を沸かせたおおつねまさふみ氏
また合わせて「ナイアンティックはグーグルらしくない」とも語ります。
ナインアンティック社は過去、グーグルの傘下にありました。グーグルといえば、機械に任せられることはできるだけ機械に任せようというスタンスを取ることが多い社風ですが、ポータル登録におけるナイアンティックは、ポータルの審査を人力で行うなど、それと逆を行くような手法を取っていたため。スケーラービリティのある手法を好むグーグルに比べてかなり異質だといいます。
果ては、世界中のポータルを審査するために、その言語を理解できる担当者を外注していたといいます。そんな彼らが3年間にわたり人力で構築したポータルデータベースであるからこそ、他社は容易に真似できないとまとめました。
週刊アスキーからの刺客?も
続いて、週刊アスキー編集部から矢崎飛鳥氏も登壇しました。ライトニングトークのお題は「ポケモンGOで何をしたらいいか、わからなくなっちゃった人に」。ポケモンGOの自由度が高すぎて、次に何をしていいかわからなくなってしまった、という人に向けたお話です。矢崎氏は「位置情報を活用した素晴らしいフィールドを用意してもらって、何をしていいかわからないって、子供かと。(会場笑いに包まれる) 。ポケモンGOのストーリーは誰かがプログラミングするんじゃなくて、リアルワールドで展開している。楽しみ方は自分で見つける」とポケモンGOの楽しみ方を力説。また発売が延期となったポケモンGO Plusが登場すると、もっと楽しくなると付け加えました。
ポケモンGOに便利なグッズも紹介
アウトドアグッズを手がける企業による、ポケモンGOで便利なグッズのプレゼンテーションもありました。そのスタイルは解説担当者が自ら試しながら解説するという、体当たり感あふれるものです。▲カバンにもおさまる腰掛け、ドッペルギャンガーアウトドアの『Vチェア』。ちょっとした休憩や、ルアーモジュールを挿したポケストップで「張っている」時に便利そうなアイテムです
▲この時期のポケモンGOプレイで気になる虫対策に効果的な全身虫よけネット、ビビラボの『ネッツメン』
さらに参加者の方が個人で作成したという、近くにいる人とポケモンGOの話ができるウェブサービス「ポケトーク」などの紹介などもありました。
ポケモンGOの夕べ #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA
このようにライトニングトークでは、ポケモンGOを主軸としながらも、さまざまなトークを展開。たまに参加者から叫ばれる「レアポケモンが出ました!!」という告知に右往左往しながらも、総勢35名がポケモンGOについて熱く語り合った夜になりました。
今後もEngadgetでは機会がされば、いろいろなジャンルのイベントを開催して行く予定です。残念ながら今回参加できなかった方も、ぜひご期待ください。