男「神待ち掲示板、かぁ」少女「……」
ー大学ー
友「なあ、男。お前は本物の男になったか?」
男「会って早々何だその質問。僕は魔法使い、いや、賢者すら目指してるのにそんなことするはずなかろう。というか顔見てから言え。僕の顔だとそれは不可能だ」
友「そんなお前が考えを変えるであろうサイトを見つけてやった。家に帰ったら絶対にやれ」
男「断固拒否する。どうせ出会い系サイトだろう? 安心要素ゼロだ」
友「俺はもう本物の男になったぜ。それを使って」
男「左様ですか。僕はやらない」
友「まあまあ、騙されて一度やってみろよ。きっと気に入るぜ」
男「騙されたと思ってじゃない時点で不安なんだが………」
ー男の家ー
男「………」カタカタ
男「………」ポンッ
男「ああ、分かった。 神待ち掲示板、か」
男「ここは安全です。料金かかりません。きっといい出会いがあるでしょう」
男「へぇ、こんなに馬鹿な娘どもがるんだな。
『何でもしますから泊めてください』
『○○までオーケーです』
『お金払います。体でも可能です』
男「親御さん泣いてるぞお前ら………ん?」
『助けて』
男「助けて………? 他はアッチ系しか書いてないのに。あ、希望住所この辺じゃないか」
男「………」
男「助けてやるかな。決して手は出さない。これだけは誓って」
少女「………」キョロキョロ
男「えーと、少女さん?」
少女「! ………はい」
少女(なんでマスクとサングラス?)
男「連絡取った男です。家はこちらですので来てください」
少女「………」コク
ー男の家ー
男「はい、ではまず少女さんに質問があります」
少女「何でしょうか?」
男「君はなんであんなサイトを使って助けを求めたの?」
少女「………家の、事情」
男「なるほどね。で、夏休みの間ここにいたいと」
少女「………」コク
男「君は僕に何かされる、と考えなかったのかな?」
少女「………仕方、ないです」
男「まあ、そんな考えだろうとは思ったよ」
少女(そう、あんな家にいるくらいなら、知らない男にヤられる方が、マシ)
男「よし。少女さんにここでの生活で僕が提供するもの、君に提供してもらうものを挙げるね」
少女(………来ちゃった)
男「まず僕からは住む場所、食事、あとは必要なものを買うこと、くらいかな?」
少女「………」コク
男「で、君には部屋の掃除、僕の話し相手、そして」
男「勉強」
少女「………え?」
男「そのまんま。今度高校の勉強の難易度教えてよ。参考書買ってくるからさ」
少女「で、でも」
男「高校の夏休みは長いけど短い。家出するのはいいけど勉強しないと行きたいとこいけないよ? あと教師希望だから教えてれて丁度いいしさ」
少女「あの、そうじゃなくて、私の体を………」
男「僕はそういうの希望しない人です。まあサングラスとマスクしてるから怪しさしかないと思うけどさ」
少女「なんで、そんなものを?」
男「見るに堪えない顔だからね。漫画とか小説だとこういうの取るとイケメンでしたパターンがあるけど、それは本の中だけ。実際は本当に見てて気分悪くなるだろうから」
少女「は、はぁ」
男「さて。ルールを決めよう。君がここにいる間は僕の寝室を使ってくれ。机もあるしコンセントもある。不自由はしないよ」
少女「男さん、は?」
男「リビングのソファで十分。体調崩されると困るからね。病院にも連れて行き辛いし」
少女「は、はい」
男「あと念のためのスタンガンいる? 僕はそういうのしないって宣言したけど不安でしょ?」
少女「い、いえ! 大丈夫です!」
男「おおう。オーケー」
少女(いい人、なのかな?)
男(全く。娘の家でに気づかないとかどんだけ馬鹿な親なんだよ)
男「僕は基本的に8時にバイトに出てって20時に帰ってくるっていう生活をしてるんだ。 ここまではいい?」
少女「はい」
男「それで、僕がバイトに行ってる間に君には洗濯物のお風呂を済ませておいてほしいんだ」
少女「わかりました」
男「お風呂は、そうだな………19時45分にはもうリビングにいるくらいでお願い。鉢合わせになる可能性も0に近いけど念のため、ね」
少女「………」
男「洗濯物は寝室に干して。外とかリビングだと僕に見えるからね。それは困るでしょ?」
少女「は、はい………」
男「ぐらいかな。うん、今日は掃除も何もしなくていいよ。疲れてるだろうから寝ててもいいし」
少女「え、えっと、その」
男「まあ戸惑うのも無理はないけどさ。とりあえず僕は夏休みの間、君に居場所を提供する。君はここで生活する。それだけだよ」
少女(本当に、いい人。私のこと、考えてくれてる)
男「よし。バイト行ってきます」
少女 「あ、あの」
男「?」
少女「いって、らっしゃいです」
男「………」
男(破壊力半端ない。理性先生、お仕事してください)
男「………」セッセッ
先輩(なんか張り切ってるな)
男「あ、お疲れ様です」
先輩「おつー。君は相変わらずのマスクとサングラスだね」
男「先輩を不快にしたくないですからね」
先輩「信用してくれよ。私は君の顔なんかで判断しないよ?」
男「そういう人なのは分かってるんですけどね。不快になるかならないかは別問題なのて」
先輩「奥ゆかしいというか、謙虚というか………あ、そういえばいつもより頑張ってたみたいだけどどうした?」
男「同居人が出来たので少しだけ頑張らないといけないんですよね。貯金で足りるとは思いますが一応」
先輩「同居人? 女か!」
男「ですね。でも泊まる場所と食事提供してるだけなので特に何もないですよ」
先輩「いやいや、男は狼になる可能性もある。犯罪だけはするなよ?」
男「その場合は理性が止めてけれますよ。今までの経験上、ですが」
先輩「二重人格なのか? 初耳だが」
男「というか、うーん。説明しにくいですけど二重人格ではないですね。全然表には出てきませんし」
先輩「なら君の朗報を待ってるよ」
男「悲報だけお届けできるように努力します」
ー男の家ー
男「ただいま」
男(とまあ、今までは誰もいなかったからこの返事が返ってくることもなかったけど)
少女「お、おかえり、なさい」
男「うん、やっぱり頑張った甲斐があった」
少女「?」
男「ご飯にしようか。作るから待ってて」
少女「あ、あの。作って、みました」
男「なん、だと?」
少女「あまり、上手ではないかもしれませんが、居候なのに、掃除と勉強と話し相手だけでは、足りないと思って」
男「僕が食べていいの、これ?」
少女「は、はい!」
男「………ありがとう。いただきます」
男(泣きそうになってしまった。誰かの手料理を食べれるなんて、いつ以来だろう? しかも可愛い女の子の手料理)
男「あ、マスク外すから後ろにいて。顔見られないようにしないといけないから」
少女「わ、私気にしません、よ?」
男「不快になるかならないかは別問題。ね?」
少女「はい………」
男(マスク外して、と)
少女「あ、あの。お味は、どうですか?」
男「………美味い! これからもお願いしていいかって聴きたくなるくらいに美味しい!」
少女「よ、よかった………」ホッ
ー食事中ー
男「家の事情とかは聞かないけど、高校の学力くらいは教えてもらうよ。それが条件だからね」
少女「はい。私の高校は進学校、なので県で2桁に入るくらいの学力です」
男「凄いじゃないか。微分・積分、あとは極座標とかもやるの?」
少女「はい。東大に進学する人もいるくらいなので頭はいい方だと思います」
男「少女さんも?」
少女「さんは、いらないです。学年では真ん中より少し上でした」
男「オーケー。明日買ってくるからそれを基準にして改めて教えてよ」
少女「はい!」ニコッ
少女(こんなにも、私のことを考えてくれる人なんて、今まで、いなかった)
男(全く。料理ができて可愛いのに、なんであんなとこに助けを求めたんだ? 家が悪いのか? まあ、ここで少しでも安らげればいいんだけどな)
少女「お粗末様、です。ありがとうございます」
男「僕お風呂入るから少女はもう寝室にいて。明日から勉強するから今日は英気を養って」
少女「英気って、こういう時に使うんですか?」
男「明日から戦いになるんだ。間違ってはいないさ」
少女「そうですね。では、おやすみなさい」
男「うん、おやすみ」
男(んー、買う参考書は割と難しめにしとくかな。はっ、得意教科苦手科目聞くの忘れてた)
男(まあ、また明日、でいっかなー)
男(………寝るときと風呂入るときは外すけど、やっぱり俺の顔、酷えわ。少女には見せられん)
男「あーっ、気分悪くなってきた。寝るときもつけて寝よう。少女に見られたら一大事だ」
少女「あの、朝、です」
男「おおっ!?」
少女「」ビクッ
男「起こしてくれたの?」
少女「私の方が早かったので」
男「5時っ! 早起きだね! ありがとう!」
少女「朝ご飯作りますね」
男「うん」
男(でも、今時の高校生って5時起床できるのか? アラームも何もなしで。携帯はあるみたいだけどアラーム鳴ったって感じなかったしな)
男「少女」
少女「はい?」
男(エプロンなんてあったっけ? いや、ご馳走様です)
男「じゃなくて、5時起きって普通か?」
少女「じゃなくて………? あの、そこは聞かないで貰えると、ありがたい、です」
男「そっか。ごめんな」
少女「い、いえ! 話せるようになったら、話します、ので」
男「ん、そうしよっか」
ー朝ごはんー
男「手料理、やっぱりいいね!」
少女「あ、ありがとうございます!」
男「あ、そこにあるパソコンでネット使えるから使ってもいいよ。掃除とかしっかりやってくれるなら、だけど」
少女「い、いいんです、か?」
男「やることやった人にはきちんとその報酬がないとね。携帯だけだと暇になるだろうからいいよ」
少女「………ありがとう!」パアァァッ
男(輝いて見える。こんな僕でも、笑顔に出来るなら許可してよかったよ)
男「そうそう。苦手科目と得意科目のこと聞きたかったんだよね。教えてくれない?」
少女「えっと、現代国語と古文、漢文、英語と地理、世界史、化学は出来ます。でも、生物と数学全般が分からなくて………」
男「凄いね。なら生物と数学買ってくるよ」
少女「はいっ」
男「あ、時間だ。バイト行ってきます」
少女「いって、らっしゃい」ニコッ
男(いつもの1.3倍頑張れそう)
男「少し調子に乗りすぎた感はあったけど、なんか一瞬で今日の分終わったな」
先輩「絶好調だね。同居人ためにそこまで出来るっていうのは凄いよ」
男「まあ、今現時点で生命線なの僕ですからね」
先輩「女の子のことで困ったことがあるなら私に相談しなよ。君には言
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