【ガルパン】まほ(8)「お父様のおよめさんになる」みほ(7)「わたしもー!」
- 2016年08月06日 22:40
- SS、ガールズ&パンツァー
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常夫「何だ」
みほ「釣りって楽しいね」
常夫「そうか?」
みほ「うん」
常夫「それなら良かった。まほはどうだ」
まほ「うん、楽しい」
常夫「そうか。二人がそう言ってくれて良かった」
まほ「お父様は?」
常夫「楽しいさ。こうして可愛い娘たちの間に座って、のんびり釣り糸を垂れてるんだからな」
まほ「かわいい?」
常夫「ああ。可愛い娘二人に挟まれて両手に花。俺は幸せ者だ」
みほ「かわいい? わたしも?」
常夫「二人とも可愛いぞ」
みほ「えへへ」
常夫「お前たちが釣りを楽しいと言ってくれるのは意外だな」
みほ「いがい?」
常夫「思ってたことと違って、びっくりしたって意味だ」
みほ「ふぅん」
常夫「こうしてただ3人で並んで座ってウキを眺めてるだけなんだが、これでも楽しいのか?」
みほ「わたしはおとうさんといっしょにいるのが楽しい」
常夫「そうか、俺もみほとこうしてるのが嬉しいぞ。まほはどうだ」
まほ「わたしもお父様といっしょにいるのがうれしい」
常夫「そうか」
常夫「しほさんはお仕事だ。外国の戦車道連盟のお偉いさんが来てて、会いに行ってる」
まほ「……」
常夫「難しくてよく分からないか。とにかくお仕事に行ってるんだ。夜には帰って来るよ」
まほ「出かける時、菊代さんもいっしょだった」
常夫「あの人は秘書役としてしほさんに付いて行った」
みほ「きくよさんもいないの? おかあさん、夜に帰って来る?」
常夫「二人とも戻るのは夜だ。だから今日はこうして俺がお前たちの相手をしてるんだ」
みほ「……」
常夫「みほ、寂しいか?」
みほ「さみしくなんかない。だって…」
常夫「何だ」
みほ「わたしにはおとうさんがいるもん」ギュッ
常夫「ははは、そうか。だが服を引っ張るな」
まほ「わたしもさみしくない。お父様がいるから」ギュッ
常夫「まほも服を引っ張らないでくれ。お前がそんなふうに甘えてくるのは珍しいな」
常夫「そうだな、お前たちと出掛けるなんてほとんどなかった。久しぶりだから甘えたくなるのか」
みほ「ねぇおとうさーん、おとうさんもわたしたちともっとあそんでー」
常夫「分かった、これからはそうしよう」
まほ「もっとお父様と遊びに行きたい。またわたしがⅡ号を操縦する」
常夫「ほう。今日みたいにお前が戦車で連れて行ってくれるのか」
まほ「うん」
常夫「まほは操縦が上手くなったな。もうしほさんや俺が後ろで見てる必要なんてないかもしれん」
まほ「わたしは操縦がとくい」
常夫「自転車より戦車の方が自在に操れるようになるのが早い女の子なんて、お前だけだな」
みほ「……」ジー
常夫「ん? みほ、どうしてそんな目で俺を見るんだ」
みほ「さっきからずるいー! おとうさん、おねえちゃんばっかりほめてるー!」
まほ「みほは操縦がへた。わたしはうまいからお父様がほめてる」
みほ「だってわたし、そうじゅうがにがてだもんー! おねえちゃんばっかりずるいー!」
常夫「二人ともケンカするな。みほ、お前にだって得意なことがあるだろう」
みほ「うん! わたしはしゃげきがうまい!」
常夫「まだ距離の計算をやっとできてるような状態だが、落ち着いて撃てばほとんど外さないな」
まほ「でも射撃だってわたしのほうがうまい。みほはまだへた」
みほ「えー? おねえちゃんと同じくらいうまいもんー! まけないもんー!」
常夫「おい、ケンカするなと言ってるだろう」
常夫「分かってる。引いてるな」
みほ「えっ、釣れるの? お魚釣れるの?」
まほ「しずかにしろ、みほ」
常夫「よし……今だ」
ヒュッ
まほ「あ…」
みほ「ハリになんにもついてない…?」
常夫「ふっ、逃げられたか」
まほ「引いてたのに……」
常夫「ただ引いてるだけでは魚は掛からないんだ、まほ」
まほ「?」
常夫「魚がエサを咥えた瞬間にサオを素早く動かして、ハリを口に引っ掛ける必要があるんだ」
まほ「……」
常夫「“合わせ”というんだ。待ってろ、今度は必ず釣ってみせる」
まほ「うん」
常夫「エサが取れちまったから付け直さないと。みほ、そこのエサ箱をこっちへ渡してくれ」
みほ「これ? お魚のエサってなに?」
常夫「ミミズだ」
みほ「めめず?」
常夫「見るか? 箱を開けてみろ」
みほ「うん」パカ
ウネウネ…
常夫「ほう。みほはミミズを何とも思わないんだな」
みほ「めめずをなんとも?」
常夫「気味が悪くないのか? そういう生き物が」
みほ「きみわるくなんかないよ。へいきだよ」
常夫「そうか、それなら触ったりできるか? 俺に1匹くれ」
みほ「はい」ヒョイ
常夫「普通に指でつまんだな。大したもんだ。だがまほは…」
まほ「…」プイ
常夫「見るのも嫌のようだな」
みほ「おねえちゃん、めめず見ないの?」
まほ「……」
みほ「ほら、うごいてるよ?」
ウネウネ…
みほ「おもしろいよ?」
常夫「やめてやれ。まほはミミズが苦手なんだ」
みほ「え? にがてなの?」
まほ「……」
みほ「おねえちゃん、めめずこわいの?」
まほ「こ、こわくなんかない……」
みほ「でも見ない。やっぱりこわいんだ!」
まほ「……」
みほ「やーい、おねえちゃんはめめずがこわいー!」
まほ「……」
みほ「やーい、おねえちゃんのおくびょうものー!」
みほ「わたしをぶつ? おくびょうもののくせにー!」
まほ「何だと、この…!」
常夫「二人ともよせ。俺を挟んでケンカするんじゃない」
まほ「でもお父様、みほが」
みほ「やーい、おくびょうものが人をぶつだってー!」
常夫「みほもやめろ。誰にだって苦手な物はある。お前もそうだろう」
みほ「にがてなもの? えーと、ピーマン?」
常夫「いや、食べ物のことじゃなくてだな」
まほ「お父様、みほがわたしをばかにした」
常夫「ミミズが苦手かどうかなんて大したことじゃない。許してやれ」
まほ「……」
常夫「まほの性格だと難しいかもしれないけどな」
まほ「……分かった。がまんする」
常夫「そうか。偉いな」
まほ「お父様の言いつけだから。お父様にえらいってほめてもらえるから」
常夫「うん、そうか。偉いな、まほは」
みほ「あっ。またおとうさん、おねえちゃんばっかりほめてるー! ずるいー!」
まほ「え? ミミズで魚を釣るのが釣りって思ってた」
常夫「魚釣りのエサはミミズだけとは限らないんだ。すごくたくさんの種類があるんだ」
まほ「……」
常夫「ミミズなどの動物じゃなくて、イモとか植物を元にしたエサもある」
まほ「……」
常夫「動物でも植物でもない、ゴムとかプラスチックでできた物まであるぞ」
みほ「お魚がゴム食べるの?」
常夫「そんなことあり得ないと思うだろうな。だがそれへ魚が本当に食い付くんだ。釣れるんだ」
みほ「そうなの?」
常夫「そのゴムやプラスチックは目立つ色だったり、小魚などの生き物そっくりだったりする」
みほ「……」
常夫「そういう物をエサと勘違いする魚がいるんだ」
みほ「ふぅん」
常夫「さっき釣れかけたことで、この池の魚はミミズを食うことが分かった」
まほ「だからそれを、釣りのエサに使える……」
常夫「そのとおりだ。実はな、俺は今日ほかのエサを持って来ていないんだ。助かった」
常夫「分かってる、もう一回だ。今度は釣ってみせるぞ」
みほ「おとうさん、がんばって」
常夫「今だ…!」
ヒュッ ピシッ
常夫「よし、上手く合わせられた」
みほ「えっ、釣れたの? お魚が!?」
まほ「池のあそこで釣れた魚があばれてる」
みほ「やったぁ! お魚釣れたー!」
まほ「しずかにしろ、みほ。お父様のじゃまになる」
常夫「いや構わんさ。まほ、そこにある網を取ってくれ」
まほ「はい」スチャ
常夫「待て……それほど大きい獲物じゃないかもしれん。ゴボウ抜きするか……」
まほ「お父様?」
常夫「そうだな……まほ、お前がその網を使ってみるか?」
まほ「え?」
常夫「さっきはみほがエサを付けるのを手伝ってくれた。今度はまほが俺を手伝ってくれ」
まほ「お父様、わたし、どうしたら」
常夫「落ち着いて聞け。俺が魚を岸へ引っ張り寄せる」
まほ「うん」
常夫「近くへ来たら、お前がその網で捕まえるんだ。すくい上げるんだ」
まほ「うん、了解」
常夫「お? “了解”なんて言うようになったのか」
まほ「お母様から教わった。作戦の命令を聞いて分かったらこう答えなさいって」
まほ「……」
常夫「そっちへ寄せるぞ、まほ」
まほ「うん」
常夫「よし、いいぞ」
バシャッ
みほ「わー! お魚だ! ホントにお魚だー!」
まほ「ふぅ……」
みほ「すごいすごーい! おとうさんがお魚釣ったー!」
常夫「まほ、網を持ち上げて魚をこっちへ寄越してくれ」
まほ「うん」
みほ「おとうさんがお魚釣ったー!」
常夫「ハリを外して、と…」
まほ「お父様。これ、何という魚?」
常夫「詳しくは分からんがフナの仲間だろうな」
まほ「フナ……」
常夫「この国の池や沼、湖、川のどこにでもいる魚だよ」
みほ「フナだー!」
まほ「えっ」
常夫「ミミズは苦手でも魚は平気だろう」
まほ「う、うん……」
常夫「手を水で濡らして両手で持て。…そうだ。ちゃんと持てるじゃないか」
まほ「……」
常夫「本当は魚にとって、人間が素手で触るのは良くないと言われてるらしいんだが」
まほ「……」
常夫「飼われてるのではなく自然にいる魚を間近で見たり、実際に触ったりするのも経験…」
ビクビクッ
まほ「わっ!?」
ボチャン
みほ「あーっ! おねえちゃんがお魚にがしちゃったー!」
まほ「だ、だって急に……」
みほ「お魚がお池へにげちゃったー!」
まほ「急に魚が……」
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- 2016年08月06日 23:01
- 以下根暗の集まり
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- 2016年08月06日 23:01
- 凄いほっこりする話なのに頭にパパー寝具がチラつく俺の頭は腐ってるようだ。吊ってくる
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- 2016年08月06日 23:14
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この世に生きる喜びそして悲しみの事を
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- 2016年08月06日 23:58
- しぽりんとしっぽりしたい
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