金糸雀・イン・ナイトメア

§ 主な登場人形紹介: 真紅
ビニールプールで大量のウナギと一緒にゼリーよせにしてもらえるのなら、死んでもいい。

雛苺
ジュンと巴の間に赤ちゃんが生まれたら、二歳ぐらいまで育てさせてもらいたいと思っている。

翠星石
でっかいでっかいピーマンを作り、それを船にしたい。

蒼星石
たまにコック帽をかぶっているが、誰からもツッコまれない。

金糸雀
ハナクソに生命を与えるタイプのスタンド使い。

水銀燈
簿記二級の勉強を始めた。

雪華綺晶
働かない働きアリばかり集めて、働かざるを得ない状況に追いやるのが趣味。

薔薇水晶&珪孔雀
東京ビッグサイトへ遠征中。
§ 薔薇屋敷の庭の木陰にて: 蒼星石「木陰を抜ける自然の涼しい風…、なんて最高の贅沢なんだ」

雪華綺晶「全くですわ。今が猛暑日の真昼だという事を忘れそうです」

蒼星石「風通しまで計算されつくして、こんなに素晴らしく手入れされた庭園が他にあるだろうか。いや、無い」

水銀燈「風は涼やかだけど、アンタの自画自賛は吃驚するほど熱いわねぇ、蒼星石」

蒼星石「ん？　何か言ったかい？　文句あるなら、そこの日向の金糸雀と場所を交代させてもいいんだよ」

金糸雀「そうよそうよ！　環境に文句を言う奴には晴れ舞台は来ないかしら！　と言うか何でカナだけ直射日光の下に！？」

蒼星石「ごめんね、金糸雀。この木陰、三人用なんだ」

水銀燈「ある意味、晴れ舞台じゃないの？　本当にお似合いよぉ、金糸雀」

雪華綺晶「ええ…。直射日光を浴びる金のお姉様は実に輝いていますわよ、特にデコが」

金糸雀「むきーっ！　みんなしてカナをイジメて楽しいの！？　アリスゲームの最中ですら、ここまでされる謂れはないかしら」

蒼星石「楽しいからやってるんだよ」

金糸雀「えっ…！？」

蒼星石「冗談冗談。これから僕は飲み物を淹れてくるから。金糸雀は僕がいたところに座ってていいよ」スタスタ

金糸雀「じょ、冗談に聞こえなかった…。でも、場所代わってくれてサンキューかしら蒼星石」

雪華綺晶「真顔で今の台詞を言い放つんですもの、蒼薔薇のお姉様は…」

水銀燈「まるでゲイのサディストね」

蒼星石「聞こえてるよ水銀燈～、僕が戻ってきたら次は君が日向に出てよね」クルッ

水銀燈「げろげろ」

金糸雀「ふわわわわわわわっ、水銀燈大納言お姉ちゃん様ですら蒼星石に手玉に取られてるかしら？」

雪華綺晶「金のお姉様ならまだしも、黒薔薇のお姉様が日向に出るのヤバくないですか？　黒は熱を吸収しますよ」

金糸雀「カナ、たまたま虫眼鏡を持って来ているから、これで水銀燈のドレスに光を当てて燃えるかどうか試してもいい？」

水銀燈「そんなことしたら、もれなくアンタも不完全燃焼させて炭にして、トイレ用消臭剤として出荷するから」

金糸雀「…ッ！？」

雪華綺晶「姉妹を燃やすのは感心しません。私もその虫眼鏡を見て思いついた百種類の拷問で黒薔薇のお姉様の仇をうちますわ」

金糸雀「な、なんなの？　この子達…ッ！？　薔薇乙女の良心は最早、カナ一人だけになってしまったとでも！？」

蒼星石「…お待たせ！　ヴィシソワーズしかなかったんだけどいいかな？」
§ 桜田ジュンの部屋: 真紅「ぬわああああん！　暑すぎるのだわああああん！」

翠星石「暑いですーっ！　もう辛抱たまらんですよー！」

雛苺「アツゥイのー！　アツくて死ぬのー！」

ジュン「うるさーい！　そんなに騒いでも涼しくはならないんだぞ」

真紅「けど、騒いだからと言って暑くなるわけでもないでしょ？」

ジュン「……」

翠星石「騒ごうが騒ぐまいが同じなら翠星石達は騒ぐですぅ」

ジュン「静かに心を落ち着けさせた方がマシだと思うんだが。心頭滅却すれば火もまた涼し」

真紅「じゃあ、今からここで焚き火を始めても、ジュンは涼しいって言うのね？」

雛苺「うぉおお！　あんまぁ～、ファ、ファイヤーなのぉおおお！　ヒナが火をつける～！」

ジュン「馬鹿か！　例えばの話だ！　そもそも室内で焚き火とか！？」

翠星石「うわぁあああん！　チビ人間ってば、口から出まかせばかりのクズ野郎ですー！」

真紅「自分ができない事を私達に押し付けるだなんて、人間のオスは想像以上に下劣ね！」

ジュン「くっ、言葉尻ばかり捕まえやがって…」

雛苺「ああ～、ヒナの心はもうファイヤーなのぉ～！　火！　燃え盛る火が見たい！　あびゃびゃー！」

翠星石「いけない！　チビ苺がファイヤーモードになったですぅ！」

ジュン「ファイヤーモード…？」

真紅「こうなった雛苺は何かが燃えているところを見ない限り、おさまらないわ！」

ジュン「物狂いか」

雛苺「火、火ぃいいー！　水銀燈の人が無残に燃え散るところが見たいのよぉ！　あびゃぁぁー！」

ジュン「おい、雛苺をどうにかしろ真紅！」

真紅「はいはい…。ほら雛苺、こっちに蚊取り線香あるから、これ見て我慢して頂戴」

雛苺「おおぉ？　ああんままままぁ～…」

ジュン「蚊取り線香の燻っているところでも、見られれば満足なのかよ」

翠星石「翠星石達は『足るを知る』乙女ですからね。無茶は言わんですぅ」

ジュン「さっきから無茶しか言ってない気がするんですが…」

雛苺「うゆゆっ！？　ヒ、ヒナは今まで一体何をして…？」

翠星石「チビ苺が正気に戻ったです！」

真紅「ようこそ桜田家へ、雛苺」

雛苺「あるぇ～？　ヒナはどうしちゃっていたのよ？　よく覚えていないの」

ジュン「やれやれだよ、全く」

真紅「しかし、このままジュンが言っていたように騒ぐだけでは何の解決にもならないわ」

翠星石「ですぅ…」

雛苺「もっとラディカルかつロジカルな解決方法を探す必要があるのよね」

真紅「桜田家の冷房関係機器が軒並みぶっ壊れていなければ、何も問題は無いはずだったのに」

ジュン「悪うございました。と言うか、真紅の巻き戻しの懐中時計も壊れてるじゃあないか」

翠星石「時間巻き戻しさえできれば、クーラーも扇風機も復活ですのにぃ…」

真紅「このっ！　軟弱者ども！！」スパパパーン

ジュン「ぐわーっ！　ビ、ビンタ！？」ばちこーん

翠星石「あばーっ！」バチーン

雛苺「うにょらーっ！？」バチーン

真紅「時間を巻き戻せるから物が壊れても大丈夫だなんて…、そんな考え方！　私は大っ嫌いだわ！」

ジュン「ぐうっ…、そう言われて見ればそれもそうだな」

翠星石「むむむ…、翠星石達の思考がユルユルのガバガバだったですか」

雛苺「ヒナは何も言ってないのに、なんで一緒に真紅にビンタされたのよ！？」

真紅「何か雛苺の顔にイラついたから、ついでよ」

雛苺「ついで！？」

ジュン「悪びれもせず、言い切りやがったな真紅」

翠星石「薔薇乙女はゲイのサディストだらけですぅ…」

真紅「ともあれ、無闇に私がいらついてしまうのも全ては暑さのせいだわ」

翠星石「そうなのですか」

真紅「何か斬新な納涼方法とかないかしらね」

雛苺「ケツの穴にツララを突っ込むとかどうなのよ？」

ジュン「マジで言ってんのか、雛苺」

真紅「グゥレイトだわ雛苺！　そのアイデア、ナイスよナイス！　ヴェリィ～ナァ～イス雛苺！」

翠星石「うっひょー！　何で今までその発想が出てこなかったですかチビチビー！」

ジュン「おいおいおいおいおいおいおいおいおい…！」

真紅「逆転の発想とはまさにこの事ね。私は貴女のことを誇りに思うわ雛苺」

雛苺「えへへへへ、なのぉ」

翠星石「まさに悪魔的奇手！　コロンブスの卵ですぅ！」

雛苺「コロンブスの卵？　コロンブスさんは卵をケツに入れたのよ？」

真紅「ええ、そうよ。さらに彼はケツに入れた卵をゆで卵にするタイプのスタンド使いだったわ」

雛苺「コロンブスさんスゴいのー！　ヒナ、そんけーするぅ！！」

ジュン「雛苺に嘘を教えるな真紅」

翠星石「ともかく早いとこツララをケツに入れようぜ、ですぅ！」

真紅「そうね。どうせなら極太がいいわ」

ジュン「言っとくけど、ツララとか我が家には無いからな」

真紅「え…っ！？」

雛苺「ええぇ…？」

翠星石「ええ…？」

ジュン「何でドン引きなんだよ。こっちの方こそお前達の挙動に引きまくりだ」

真紅「ツララも無い家に、私達は住んでいたというの！？　ちょっと、ホーリエ来なさい！」

ホーリエ「ッ？」

真紅「ホーリエ！　あなた、契約相手の事前のリサーチちゃんとしてたの！？」

翠星石「そうですよ！　今時ツララも持っていない家のガキを契約相手に選ぶだなんて！」

雛苺「人工精霊としてのショクムタイマンなのー！」

ホーリエ「ッ？　…！！」

ジュン「ホーリエを虐めるのはやめろ。無茶を言われて困ってるじゃあないか」

ホーリエ「…っ！！」

真紅「えっ？　冬になれば、ちゃんとツララができる家を選んだはずだ…？」

ジュン「…リサーチ済みだったんだ。できちゃうのねツララ…、我が家でも」

翠星石「むむうっ…、冬までは流石に待てんですよ」

真紅「ケツの穴にツララを突っ込むのは諦めるしかないわね」

翠星石「それじゃあ怖い話でもして、涼むというのはどうですぅ？」

雛苺「ヒナ、怖いの嫌なの～」

真紅「怖い話ねぇ…。ケツ穴ツララのアイデアに比べると見劣りするけど…」

翠星石「まあまあ、そう言わずに。いいネタがあるんですよ。翠星石のとっときですよ」

真紅「とっとき？」

翠星石「ええ、世にも怖いお話ですぅ…」

雛苺「あやややややや…、ヒナ怖いの嫌だって言ってるのにぃ～」ジョババー

翠星石「フフン。チビ苺がいくら失禁しようが話はさせてもらうですよ」

雛苺「みょわわわわわっ…」ジョボジョボジョボ

翠星石「実は、ここだけの話ですがね…」

雛苺「うみゅみゅみゅみゅ…」ジョビジョバー

真紅「…ゴクリ」

ジュン「……」

真紅「あっ…、今のゴクリてのは、雛苺の失禁を飲んだわけじゃないからね」

ジュン「どうでもいいわい。と言うか、お漏らしを飲んでいたとしても今さら驚かん」

翠星石「おいおい、翠星石の話の方に集中してくれですぅ！」

真紅「あら、ゴメンなさい翠星石」

翠星石「いいですか、これは…とある漫画の話なのですが」

ジュン「漫画？　ホラーとかオカルト系の漫画か？」

翠星石「まあ…、オカルトっちゃあオカルトですね」

雛苺「あびゃびゃびゃびゃ、おかるとおおおおおぉお」ジョワワワワー

ジュン「雛苺の尿量が最早オカルトの域だがな。と言うかションベンちびる人形って時点で…」

翠星石「だから翠星石の話を聞けですってば。んで、その漫画…新連載で始まって半年が経とうというのに…！」

真紅「……」

翠星石「主人公がずぅーっと寝っぱなしで、登場コマ数も両手で数えるほどしかないのですぅ！」

雛苺「みょわわわっー！　こ、怖すぎるのー！　主人公の扱いとして許されない事なのよねェーッ！」

真紅「……」

ジュン「なんて恐ろしい話なんだ！　その主人公、よっぽど人気がな…」

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