転載元:神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」【パート1】【パート2】【パート3】
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テクテク
神様「暑い〜!」パタパタ
神使「神様? Tシャツをパタパタさせないで下さい・・・ お腹見えてますよ?」
神様「暑いんだよ!」
神使「もう少し女神らしく御淑やかにされてはいかがですか?」
神様「うるせー 極悪邪道腐れ犬ころ変態神使」ゲシッ
神使「私に変なあだ名を付け足していかないで下さい。普通に“狛犬の神使”と呼んで頂きたいです」
神様「じゃぁ私のことも“かわゆい神ちゃん”って呼べよ」
神使「・・・・・・」
神様「呼べよ!!」
・エッロいグラインド騎乗位をする女神たち集めたったwww
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〜あらすじ〜
神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」
神使(訳)「神宮が誇る最悪の問題児、減給左遷を総なめにするダメ神です」
神様「悪の手先の陰謀にも負けず、今日も私を待つ者を救うべく旅を続ける」
神使(訳)「数々の問題行動の発覚により神宮から無期出向となった神様は全国の廃神社の管理を命じられたのでした」
神様「そう! 私は神の中でも最も優れた力を持つ最強の神様だ!」
神使(訳)「神力ゼロです・・・」
【#7】
テクテク
神様「で? どこに行くんだよ」
神使「こわこわ神社という廃神社が次の勤務先です」
神様「」ピクッ
神使「どうされました?」
神様「よし、神宮に帰るか」
神使「神様?」
神様「お前さぁ、バカなの?」
神使「いきなりなんですか・・・」
神様「こわこわ神社って幽霊が出るって噂の場所だろ?」
神使「幽霊?」
神様「まとめブログの危険マップに必ず載ってる」
神使「そういうのはあんまり本気にしない方が良いですよ?」
神様「い〜や、こわこわ神社に向かって手をかざしてみろ」パッ
神使「?」
神様「邪悪な気を感じる。 ビビビッ」
神使「こわこわ神社は反対側です」
神様「ビッ・・・」
神様「ちょっと待てよ。 なんで私たちは反対側に向かって歩いてんだよ!」
神使「今日はもう遅いので宿で一泊して、神社の方は明日伺います」
神様「そうなの? まだ暗くないのに珍しいな。 いつもなら宿代ケチるくせに」
神使「・・・・・・。 さっ、早く宿に行きましょう」
神様「ん? あぁ」
テクテク
――― こわこわ旅館
ガラガラ
神使「ごめんくださ〜い」
若旦那「はい〜」スタスタ
神使「本日予約してます神使と申します」
若旦那「お待ちしてました。 どうぞお入りください」
神使「失礼いたします」
神様「・・・・・・」キョロキョロ
神使「神様、どうされました?」
神様「ん? いや、何でも無い」スタスタ
ガラガラ
女将「こちらがお部屋になります」
神使「ありがとうございます」
女将「お茶ご用意しますね」
神様「コーラ飲みたいなぁ〜」
女将「ございますよ。 1本400円ですがよろしいですか?」
神様「・・・・・・」
神使「お飲みになるならご自分のお財布からお支払いくださいね?」
神様「やっぱお茶でいいです・・・」
女将「どちらからいらっしゃったんですか?」
神使「神宮から参りました」
女将「」ピクッ
神使「こわこわ神社の方に用がございまして」
女将「こわこわ神社・・・」
神様「・・・・・・」ジィー
女将「あっ、そうでしたか」
神様「やっぱ出るの?」
女将「出るというのは?」
神様「幽霊」
神使「まだ言ってるんですか?」
神様「お前幽霊怖くないの?」
神使「怖いも何も、いない物を怖がっても仕方が無いと思うのですが・・・」
神様「いーや、幽霊は絶対いる!」
女将「・・・・・・」
神使「女将さん?」
女将「え? 幽霊ですか? どうでしょうね〜」
神様「・・・・・・」
女将「では、何かございましたら内線ください」スタスタ
ガラガラ バタンッ
神使「神様、本当に幽霊信じているんですか?」
神様「神使みたいな訳の分からないのがいるんだから幽霊だっていても不思議じゃないだろ」
神使「一緒にしないで頂きたいのですが・・・ どちらかというと神様の方が不思議だと思います」
神様「それより、あの女将さん」
神使「どうかされましたか?」
神様「お前さぁ〜 もう少し人間観察しろよ」
神使「?」
神様「ハァ〜 まぁ良いわ。 疲れたからちょっと寝る」ポイポイ
神使「また下着姿で・・・ 寝るならパジャマ着てください」
神様「暑いからこれで良いの!」
神使「そんなこと言って、冬も下着姿じゃないですか・・・」
神様「うるせー おやちゅみ〜」モソモソ
── 1時間後
神使「神様? 起きて下さい」ユサユサ
神様「ん〜 何だよ〜 もう少し寝かせてくれよ」モソモソ
神使「外から何か変な音が聞こえるんですが・・・」
神様「音?」ムニャムニャ
神使「はい、悲鳴というか笑い声というか・・・」
神様「は?」ヨイショ
キェッ! キェッ! キェッ!
神使「聞こえました?」
神様「窓開けてくれ」
神使「それが窓が開かないんです」
神様「んっ! んっ! 本当だ開かない」ガチャガチャ
ギャハッ! ギャハッ!
神様「少し遠いな。 鳥とか動物の鳴き声じゃねぇの?」
神使「そうでしょうか・・・」
神様「あれ? 森の方がなんか光ってるな」
神使「本当ですね。 なんでしょうか、あれ」
神様「ここで私のかわゆいスマホの出番だ!」ゴソゴソ
神使「スマホですか?」
神様「グーグーマップで確認すればあそこに何があるか分かる」ポチポチ
神使「どうです?」
神様「ん〜 あの位置は・・・・・・」
神使「神様?」
神様「こわこわ神社だ」
神使「・・・・・・」
バチン!
神様「なんだ!?」
神使「停電!?」
神様「取りあえず部屋を出よう」
スタスタ
神使「あれ?」ガチャガチャ
神様「何やってんだよ、早くしろよ」
神使「ドアが開きません」
神様「あん? 何でだよ」ガチャガチャ
ギャー--!!!!
神様「ひやっー! 何この叫び声!!」
バタン
神様「え? ちょと神使君??」
神使「・・・・・・」
神様「うそ、霊的な何かにやられた感じ? おい大丈夫か?」ユサユサ
ギャー--!!!!
神様「ひやっー! なんだよこの声〜! めっちゃ怖えー!」
神様「取りあえず、こいつだけは・・・ お守りまだあったよな・・・ 神力残ってるかな?」ゴソゴソ
神様「よし! 封じし我が神力を解放す! 我が神使を不可思事象から解き放て!」
ポワポワ
神様「よし、もうちょっと神力残ってるみたいだな」
神様「事象の元凶を遠ざけ我に平穏を与えよ!」
ポワポワ
痛っ!
タッ タッ タッ
神様「ん?」
神様「今、廊下から聞こえた声って・・・」
パッ
神様「あっ、電気ついた」
神様「おい、犬ころ大丈夫か?」ユサユサ
神様「こいつなんで意識戻さないんだ? 私の神力鈍ってんのか?」
神様「まさか・・・ 怖くて意識失っただけ・・・ とか?」
── 30分後
神様「さて、我が神使狛犬よ」
神使「はい」セイザ
神様「神使奉務心得・第三章を述べよ」
神使「神使の袴の色は浅葱色とする」
神様「・・・・・・ 第四章だった」
神使「神使は主神である神に仕える際は常に主神の身を守ることを責務とする」
神様「それ!」
神使「ちなみに第二章です」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
神様「神使君さぁ、もしかして幽霊怖い?」
神使「」ピクッ
神様「怖くて意識失っちゃった系?」ニヤッ
神使「・・・・・・」
神様「なぁ神使さんよ〜 ここは相談なんだけどバックレて帰らねぇ?」ズイ
神使「しかし・・・ 神宮からこわこわ神社を調べるよう命令を受けています」
神様「大丈夫だよ、バレねぇよ」ズイ ズイ
神使「ダメです。 神宮からの命令は絶対です」
神様「主神の私と神宮の命令どっちが重いんだよ!」
神使「神宮です」キッパリ
神様「即答っすか!」
神使「しかし、先ほどはお見苦しいところを失礼いたしました」
神様「まぁそれは別にいいんだけどさぁ〜 なんか変だよな〜」
神使「変?」
神様「さっきの現象は霊的・・・ いや神力由来の類いじゃない」
神使「え?」
神様「人が意図的に起こした可能性が高い」
神使「人が?」
神様「たぶん・・・ この旅館の女将とか」
神使「女将さんが? なぜ・・・」
神様「こわこわ神社から聞こえた変な声とも関係ありそうだなぁ〜 面倒くさそぉ〜」ハァ
神使「こわこわ神社に行ってみますか?」
神様「いや、今日はもう暗いしやめておこう」
神使「はい・・・ しかし、神様ってご自身の神力使えないんじゃないんですか?」
神様「あ? 今は使えないけど、昔作ったお守りに当時の神力が入ってるから解放すればちょっと使える」
神使「そうだったんですか」
神様「でも一つのお守りにちょっとしか入っていないから使い捨てだな」
神使「すいません、私なんかのために一つ無駄にしてしまい・・・」
神様「まだ何個かある、気にすんな。 それと!」
神使「?」
神様「お前を守るのは私の務めでもある。 変な気を遣うな」
神使「神様・・・」
神様「でも、どうしてもお礼をしたいのならコーラ買ってくれ」
神使「・・・・・・冷蔵庫に入っているそうですから取っていいですよ?」
神様「やった〜♪」
パカッ
神様「ぇ・・・」
神使「どうされました?」
神様「輸入コーラだ・・・ しかも250ml缶・・・ これが400円なの??」
神使「それ、スーパーで2本50円で売ってましたね・・・」
神様「うぅ・・・」シュパッ
神使「あっ、でも飲むんですね・・・」
神様「グビッ・・・ 私の求めるコーラとなんか違う・・・」シュン
── 翌日
チュンチュン
神使「神様? 朝ですよ?」ユサユサ
神様「ん〜 あと6時間・・・」
神使「またそんなことを言って・・・ ほら、起きて下さい」ユサユサ
神様「も〜 分かったよ」ムニャムニャ
神使「お着物用意しておきましたので早く着替えちゃって下さい」
神様「Tシャツと短パンが良い」
神使「ダメです。 正装でお願いします」
神様「正装ったって普通の巫女装束じゃん・・・」
神使「神様は階位的にこれしか支給されておりませんのでこれが正装です」
神様「私もさすがに神用の装束揃えてもらおうかなぁ〜」
神使「安い物でも20万はしますよ? 買えるんですか?」
神様「え? 神宮が買ってくれるんじゃないの?」
神使「財政難らしくて今年から神と神使の服は全部自腹です」
神様「マジかよ!」
神使「神様の襦袢とか足袋とかも全部自費購入なんですから大切にして下さいね?」
神様「神に厳しい時代だな〜」
――― フロント
神使「すいませ〜ん」
シーン
神様「誰もいないな」
神使「連泊の予約してますし、このまま外出しちゃいますか」
神様「え〜 ここで連泊するの〜?」
神使「この村には旅館がここしかないようでして・・・」
神様「ふ〜ん、んじゃ行くか」
神使「あっ、こわこわ神社に行く前に村役場へ行きますので」
神様「役場?」
神使「はい、神宮から一度役場に行けと言われておりまして」
神様「何しに行くんだよ」
神使「さぁ、ただ最初に村長へ挨拶をしろとだけ・・・」
神様「村長? なんか引っかかるなぁ」
――村役場
神使「すいません、神宮から参りました神使と申しますが」
受付「神宮? ・・・なんでしょうか」
神使「村長さんはいらっしゃいますでしょうか」
受付「ご用件は?」
神使「神宮より村長さんにご挨拶をするように言われておりまして」
受付「少々お待ち下さい、確認いたします」
神様「・・・・・・」ジィー
神使「神様、何を見ているんですか?」
神様「あの写真」
神使「村長さんみたいですね」
神様「あれ、前に神宮にいた神主じゃないか?」
神使「え?」
神様「ほら、二年くらい前まで外宮にいた民俗学研究担当の」
神使「そう言われれば・・・」
受付「お待たせいたしました」
神使「あっ、はい」
受付「村長はこわこわ神社の方に行っているようです」
神使「こわこわ神社に?」
受付「はい」
神使「神様、どういたしましょうか」
神様「ねぇ、今の村長さんっていつから村長やってんの?」
受付「一年前からです」
神様「この村の人?」
受付「いえ、たしか伊勢の方だったと」
神様「ふ〜ん」
神使「やはり外宮の神職でしょうか」
神様「・・・取りあえずこわこわ神社に行こう」
神使「分かりました」
テクテク
神様「あちぃ〜 やっぱTシャツ短パンにすれば良かった・・・」
神使「そんな格好で公務をするのは神の品位に関わりますので」
神様「巫女装束あっちーんだよ! スケスケした巫女服買ってくれよ!」
神使「スケスケの服なんてもっとダメです。 それに、神様はそういうの似合いませんよ?」
神様「うっせーよ犬ころ! 私だって女神なんだからスケスケした服で男どもを悩殺することくらいできるわ!」
神使「それは、神の仕事では無いと思うのですが・・・」
神様「ったく。それにしても暑いな〜 汗だくだくだよ」フキフキ
神使「神様・・・ 袖で汗をぬぐわないで下さい」
神様「あ? じゃぁどうすんだよ」フキフキ
神使「ハンカチ持ってきてないんですか?」
神様「お前の服が私のハンカチだ〜」ガシッ
神使「ちょ! 離れて下さい!」
神様「ふわ〜 私の汗がお前の服に吸われる〜」スリスリ
神使「いい加減にして下さい! はい、ハンカチです」スッ
神様「ん」フキフキ
神使「もぉ〜 男性に抱きつくなんて、はしたないですよ?」
神様「いい年して照れてんじゃねーよ」フキフキ
神使「いい年してもう少し恥じらいを持って下さい」ハァ
神様「ん? お前のハンカチ良いにおいするな」クンクン
神使「香り袋と一緒に置いておいたので、その香りかと」
神様「お前って結構オシャレさんなのな」
神使「嗜みです。 神様も少し気を遣われた方がよろしいですよ?」
神様「わたし汗臭い?」クンクン
神使「そのようなことはございませんが・・・ やはり神としての品格を・・・」
神様「私に品格を求めても仕方ないだろ」
神使「・・・・・・」
神様「それよりまだ着かないのか? これ以上歩いたら暑くて溶けちゃう」
神使「あっ、あれが“こわこわ神社”じゃないでしょうか」
スタスタ
神様「お〜 以外とでかいな。 それに廃神社と思えないほど綺麗だけど・・・ あれ? ここって・・・」
神使「神様このお社知っているんですか?」
神様「えっ? いや・・・ 気のせいかな」
神使「?」
神様「それより、あそこに誰かいるぞ」
神使「村長さんでしょうか・・・」
神様「やっぱあれ外宮にいた神主だよ」
神使「そうですね、とても似ています」
―― こわこわ神社
神使「あの〜、すいませんが・・・」
役場職員「はい、どうされました?」
神使「ここって、こわこわ神社で間違いないでしょうか?」
村長「そうですが・・・ どちら様で?」
神使「申し遅れました。 私、神宮から参りました神使と申します」
役場職員「神宮・・・ こちらのお嬢ちゃんは?」
神様「神様だ!」
神使「神力ゼロですが・・・」
村長「神様!?」ハッ
神様「おや? 私のことを知ってるの?」
村長「・・・・・・」
神様「やっぱり外宮にいた神主か」
役場職員「村長・・・」
村長「え? あぁ・・・ すまないが席を外してもらえないか?」
役場職員「分かりました。先に役場に戻ってます」
神様「神主やめて村長になったのか?」
村長「ご無沙汰しております、神様」フカブカ
神使「私、神様の使いで狛犬の神使と申します」
村長「神宮で何度かお見かけいたしました」フカブカ
神様「訳ありっぽいな、理由を聞いても?」
村長「はい・・・ 社務所でもよろしいでしょうか」
神様「オッケ〜」
―― 社務所
村長「わざわざ神様が出向くなど、そんなに深刻な状況でしょうか」
神使「神宮からこわこわ神社を調べるように命を受けまして」
村長「・・・・・・」
神様「私は神力が使えないから正確には分からないけど、この近辺に神が居るな」
村長「!?」
神使「え? 神がいるんですか!?」
神様「あぁ、けど何か変だ」
神使「変と言いますと?」
神様「私が神にした覚えがない、というより別の方法で神・・・ いや神に近い存在になった感じだな」
神使「そんなことあるんですか?」
神様「話を聞こうか、村長」
村長「・・・はい」
村長「私は二年ほど前から外宮の宮司様の命を受けこの村を調査しております」
神様「外宮の宮司?」
神使「先日神様が失脚させた次期大宮司さまですね」
神様「人聞き悪いなお前」ゲシッ
村長「先ほど神様が仰ったとおり、この村に特殊な方法で神となった者がいるということで調査のために来たのです」
神使「特殊な方法?」
村長「はい、外宮宮司からはその方法を調べるよう命を受けました」
神様「なるほどね。 私を通さなくても神になる方法があればあいつが知りたがるのも無理はないか」
神使「そんなこと可能なのですか?」
村長「それが・・・ 調べるどころか、その神にすら会えない状況でして」
神様「会えない?」
神使「神職が神に会えないとは珍しいですね・・・」
村長「どうも存在を知る一部の村民が極秘にしているらしく」
神使「極秘ですか」
村長「そこで村の長としてこの村に入れば調べることができるのではと、外宮宮司が・・・ その・・・ 工作をして、一年前に私を村長に」
神様「アイツ・・・ そういうところは徹底してるよな」
神使「でもまだその存在を確認できないと?」
村長「はい」
神使「まさか、昨日の旅館での出来事と関係あるのでしょうか」
村長「何か不審なことでも?」
神様「女将さんに心霊現象もどきを味合わせられた」
村長「・・・そうでしたか」
神使「何かご存じで?」
村長「旅館の女将さんは、神もどきの事情を知っていると私は睨んでいます」
神使「女将さんがなぜそんな細工をする必要が・・・」
神様「神もどきの存在を知られたくないんだろ」
村長「えぇ。 噂を聞きつけこの地に入った者を追い返す方法の一つかと思います」
神使「なるほど」
村長「それと、昨日の夜にこの神社で極秘の祭儀が一部の村民で行われたと情報を聞きました」
神使「それで村長さんはこちらに来られたのですか?」
村長「はい、何か手がかりになる物でもあればと思いまして」
神使「神様、どう思われます?」
神様「う〜ん、その神もどきは間違いなくいる。 今もかなり近くに居る気配は感じる」
村長「!?」
神使「失礼ながら、神力が強い神の方に来ていただいた方がよろしい気がするのですが・・・」
神様「あまり事を大きくしない方が良い気がする」
神使「どういうことですか?」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
神様「さて、ちょっと境内を案内してもらえるか?」
村長「承知いたしました」
―― 本殿
ギィー
村長「こちらが本殿です」
神使「廃神社とは思えないくらい綺麗ですね」
村長「暇を見つけて私が掃除を・・・ これでも神職ですので」
神使「ご苦労様です」
神様「ご神体が無いみたいだけど?」キョロキョロ
村長「ご神体は私が来てすぐに消失してしまいまして」
神様「・・・・・・」
村長「これは無くなる前に撮った写真ですが」ピラッ
神使「拝見いたします」
神様「どれどれ」ヒョコ
神使「女神さまの像でしょうか・・・」
神様「うげっ・・・・・・」
神使「神様ご存じですか?」
神様「私だ」
神使「はい?」
神様「私! かわゆい神ちゃん像」
村長・神使「・・・・・・」
神使「なるほど、今回の事件の謎がすべて解けました」
村長「え?」
神使「神様って、ご神体でも問題児なんですね」
神様「うわっ、何それ! お前、私が悪いって言うのか!?」
神使「神様? 今回の件、何かお心当たりはございませんか?」
神様「ちょ、待てよ! なに、そのまた神様ですか? みたいな目!」
神使「しかし、神様のご神体なんて・・・ 初めて見ました」
神様「ほほほっ、私を奉るなんて良い心がけじゃないか」
村長「このご神体ですが、元は別の場所にあった物かと思われます」
神使「別の場所?」
村長「はい、150年ほど前まで“わらわら神社”で祭られていたご神体と似ています」
神様「」ピクッ
神使「わらわら神社?」
村長「えぇ、芸の神様をお祭りしている神社です」
神使「そ、そうだな! 私は芸達者だからな」
村長「その・・・ お笑いの神様として有名です」
神様「・・・・・・」
神使「ぷっ」
神様「てめぇ犬ころ! 今笑ったな!」
神使「さすが神様、お似合いです」
神様「神罰」ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ!
神使「痛い! 神様、本気蹴りはやめて下さい」
神様「ハァ〜 でも、村長さぁ」
村長「はい」
神様「お前に調査の命を出した外宮の宮司はもう神宮にいないし、神宮帰ってもいいよ?」
村長「・・・ 神宮からもそう言われております」
神使「なにか問題でも?」
村長「神職としてこの村で起こっている出来事は放っておくわけにも行かず・・・ 民俗学的にも興味がありまして・・・」
神使「そうですよね」
神様「真面目だね〜」
神使「原因は神様でしょうから、過去の神様の行動をたどれば解決するのでは?」
神様「お前、本当に私が犯人って思ってるわけ?」
神使「100%間違いないと思います」
神様「・・・・・・」チッ
神使「村長さん、調べたことで分かっていることを教えていただけますか?」
村長「はい。 村に伝わる過去の文献に150年前に一人の女神様が立ち寄られたと記載がありました」
神使「神様ですね。 お心当たりは?」
神様「ない!」プイッ
村長「その女神様は、お腹が空いていたようで牡蠣ご飯を頂く代わりに由緒あるご神体をお預けになると約束をしたそうです」
神使「牡蠣ご飯ですか・・・」チラッ
神様「うっ・・・ 私じゃ・・・ ない・・・」
神使「神様の好物は?」
神様「コーラ・・・」
神使「食べ物です」
神様「・・・二枚貝」
神使「牡蠣ですよね?」
神様「ハマグリも好き・・・」
村長「・・・女神様は毎日のように牡蠣ご飯をねだり、困り果てた村人たちが神様が夜寝ている間に隣村に捨ててきたそうです」
神使「神様・・・ そんなに牡蠣ご飯をねだったのですか?」
神様「そんなにねだってねーよ! それにヤツらご神体を奪って私を隣町の廃神社に捨てたんだぞ!」
村長・神使「・・・・・・」
神様「ぁ・・・」
神使「やっぱり・・・」ハァ
神様「てへっ!」
神使「神宮にバレるとマズいことがあるのですね?」
神様「はい」
神使「具体的にどのあたりが?」
神様「神力がたっぷり入ったご神体をまるっと取られました」
神使「わらわら神社のご神体ですね?」
神様「そんな名前の神社だったような気がします」
村長「しかし、なぜ神様が自身のご神体などお持ちだったのですか?」
神様「分社を作ろうと思いまして・・・」
神使「分社!?」
神様「すいません、出来心だったんです。 反省してます」ドゲザ
神使「・・・・・・」
神様「だから神宮には黙ってて! マジで怒られる! シャレにならない!」
神使「村長、どうされますか?」
村長「神様がそこまで言うのでしたら・・・ 私は何も・・・」
神様「マジで! ありがとう村長! 何でも言うこと聞く!」
神使「ハァ〜 やはり解決しないと帰れませんね・・・」
神様「女将さんを拉致して吐かせりゃ良いんだろ」ポキポキ
神使「そんなことダメに決まっているじゃないですか・・・」
村長「神もどきの原因はそのご神体ということでしょうか」
神使「はい、神様が無くしたご神体の神力が原因でしょうね」
神様「無くしたんじゃない! 取られたの!」
神使「今となっては確認のしようがございませんのでどちらでも良いのですが」
神様「酷っ!」
神使「神様、神もどきに関しては何かご存じですか?」
神様「知らな〜い」
神使「ご神体の神力が人に移ってしまったという事は考えられませんか?」
神様「そんなことで神力が人に移るわけ無いじゃん」
村長「ご神体の一部を体内に取り込めば可能性はございますか?」
神様「あ〜 それなら可能性はあるかもね。 でも私と同じ波長を持った人なんてそんなにいないと思うけど」
神使「神様と同じ波長を持った人であれば可能なんですか?」
神様「まぁ、そうね・・・ でも数千年の中で2人しかいなかったよ?」
神使「そんなに少ないんですか・・・」
神様「うん、特に神もどきは私の神力をそのまま受け入れているっぽいし・・・ 結構すごい人なんじゃないの?」
神使「まぁ・・・ 神様の凄さは確かに否定はいたしませんが・・・」
神様「素直に私は立派でかわゆい理想の女神だって事を受け入れろよ!」
ガサゴソ
神使「?」
村長「あ〜 狸ですね。 この神社によく出るんですよ」
神使「へぇ、かわいいですね」
神様「・・・・・・マジかよ」
神使「あれ? 神様は狸さんが苦手ですか?」
神様「あの狸・・・ 私の神力持ってる・・・」
村長・神使「・・・・・・」
神使「あの・・・ どういう事でしょうか?」
神様「あの狸を確保!」ダッ
神使「え? ちょ神様?!」
── 境内
神様「まてコラ〜!」ダッ ダッ ダッ
狸「!?」タッ タッ タッ
神使「神様〜 一体どういう事です〜」タッ タッ タッ
神様「待て〜 うぎゃっ!」ビタンッ
神使「大丈夫ですか神様? 派手に転びましたね・・・」
神様「痛い・・・」グスッ
村長「逃げてしまいましたか」
神様「くそっ! あの狸め!」グヌヌ
神使「あ〜神様、巫女装束ボロボロですよ・・・」
神様「やべっ! 私のおべべが・・・」
神使「新調しないとダメですね」
神様「神宮持ち?」
神使「自腹です」
神様「うそ! 狸! 弁償しろよ!!」グスッ
村長「まさか、神もどきの正体が狸だったとは・・・」
神使「あの狸さんは神様と同じ波長を持っていたと言うことになりますね・・・」
神様「・・・・・・」
神使「神様って狸さんと同じレベ―――」
神様「てめー、その先言ったら地球の裏側まで蹴り飛ばすぞ!」
村長「・・・取りあえず、対策は明日にでも考えましょう」
――― 旅館
神様「ハァ〜 おうち帰りたい」グテー
神使「・・・・・・」ペラ
神様「?」チラッ
神使「・・・・・・」ペラ
神様「ねぇねぇ、何見てんの?」ヒョコ
神使「神様の新しい巫女装束の注文をするのにカタログを見ているんです」
神様「ふ〜ん」
神使「今回から自費購入となりますので・・・」
神様「あ〜・・・ 金ないし安いので良いぞ」
神使「しかし、頻繁に着る物ですしあまり安いと見た目も・・・」
神様「スケスケのやつが良い」
神使「ダメです」
神様「お? これ安いじゃん」
神使「あまり素材が良くないですよ?」
神様「十分だよ。 今まで神宮から支給されていたヤツだって安っすいヤツだろ?」
神使「では、私もこれにしますか」
神様「お前も買うの?」
神使「はい、ついでにと思いまして」
神様「・・・お前、今着てるのって良いやつだよな」
神使「?」
神様「さっきスリスリした時、肌触りが違った」
神使「よくそこまで分かりましたね・・・」
神様「・・・お前のそれと同じヤツで良い」
神使「結構しますが・・・」
神様「ん? いくら?」
神使「白衣と袴を合わせて12万です」
神様「・・・お、おう」
神使「無理なさらなくても、私も神様と合わせますので」
神様「いや、それで良い。 私のカードで買ってくれ」シャキーン
神使「大丈夫ですか?」
神様「お前の分と合わせて12回払いで頼む」
神使「え? 私の分は自分で支払いしますが」
神様「いや、私が買う。 お前が私の神使になってそろそろ4年目だ。 プレゼントって事で受け取ってくれ」
神使「神様・・・」
神様「ついでに今回の件を神宮に報告しないという口止め料も込みだ。 そこを忘れるなよ?」
神使「ふふっ」
神様「何だよ・・・」
神使「では、ありがたくお受けいたします」
神様「買収されるのにありがたいとかあるのか?」
神使「はい、とても嬉しい買収です」ニコッ
神様「・・・寝る!」モソモソ
神使「ありがとうございます、神様」ボソッ
神様「・・・・・・」モソモソ
――― 翌日
神使「神様! 神様!」ユッサ ユッサ
神様「なんだよ〜 もう少し優しく起こせよ・・・」ムニャムニャ
神使「狸さんを捕まえたそうです!」
神様「よっしゃ! 神使よ、私の正装を!」ガバッ
神使「ボロボロですが・・・」
神様「あぁ・・・ Tシャツと短パンで・・・」
――― こわこわ神社
神様「うわっ、なんか人だかりができてるぞ」
神使「警察もいますね」
村人「入れろよ!」
警官「ダメです。 近づかないで下さい」
女将「お願いです! 入れて下さい!」
警官「ダメダメ」
神使「すいません、関係者ですが中に入れてもらえないでしょうか」
警官「関係者? どちらさん?」
神使「神社を管理しております神宮の者なのですが」
警官「神宮?」
村長「あっ、神使様」スタスタ
警官「村長さん」
村長「関係者の方です。 入れてあげて下さい」
警官「はぁ・・・ どうぞ」
神使「ありがとうございます」
神様「どうも〜」
警官「おっと、お嬢ちゃんはダメだよ」
神様「私も関係者! 神宮の者!」
警官「その格好で?」
神様「・・・・・・装束汚れちゃったんだもん」ブーブー
村長「そちらの方も入れて下さい」
警官「・・・・・・どうぞ」
神様「サンキュー」スタスタ
女将「私たちも関係者です!」
警官「ダメだって言ってんでしょ」
村人「神罰が下るぞ!」
神使「村長さん、これは一体・・・」
村長「狸狩りをしているところを村人に見つかってしまいまして・・・」
神様「あ〜 それでこんななってんのか」
神使「狸さんが捕まったと伺いましたが」
村長「はい、社務所にいます。 どうぞ」
スタスタ
── 社務所
神様・神使「・・・・・・」
神使「あの、これは・・・」
村長「8匹捕まえましたが、どれが神力を持った狸か分からずでして」
神使「神様、お分かりになりますか?」
神様「え? う〜ん・・・ あっ、あの右端のヤツ!」
狸「!?」
神様「さてと、ハロ〜 たぬちゃ〜ん」
狸「・・・・・・」
神使「神様、いくら何でも言葉は通じないと思うのですが・・・」
神様「そうかな〜?」ゴソゴソ
神使「何してるんです?」
神様「これな〜んだ」
狸「!?」
神使「牡蠣せんべい?」
狸「くれ!」
神使・村長「・・・・・・」
神様「やっぱり」ニヤッ
狸「あっ!」
村長「狸がしゃべった・・・」
狸「私には“たぬ吉”という名がある」
神使・村長「・・・・・・」
神様「おい、たぬ吉さんよ〜」
たぬ吉「なんだ」
神様「お前、私のかわゆい神ちゃん象どこに隠したんだ?」
たぬ吉「知らん」
神様「この煎餅、牡蠣が丸ごと入ってんだよ。 おいしいぞ?」
たぬ吉「旅館の女将が持ってる」
神様「ほぉ」
たぬ吉「その煎餅くれ!」
神様「ほれ」
たぬ吉「うまい!」ムシャムシャ
神使「神様、これは一体・・・」
神様「神力の影響だ」
神使「言葉をしゃべると言うことは神使と同じと言うことですか?」
神様「いや、神使になる過程をすっ飛ばして神になったな。 お前人の姿になれるか?」
たぬ吉「私はただしゃべることができる狸なだけだ」
村長「こんなことって・・・」
神使「どうされるんですか? 神様」
神様「おい、たぬ吉」
たぬ吉「なんだ」
神様「お前、どうしたい?」
たぬ吉「どうとは?」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「私は普通の生活に戻りたい、しかしここの村民の願いも叶えてやりたい」
神様「願い?」
たぬ吉「この村は見ての通り何も無い退屈な所だ。 年に数回の神事が皆の唯一の楽しみだからな」
村長「神事というのは?」
たぬ吉「わらわい神事」
神使「わらわい神事?」
たぬ吉「明日が本祭の予定だ」
神様「どんな神事だ?」
たぬ吉「参加してみるか?」
神様「・・・・・・明日夜に来れば良いんだな?」
神使「神様、まさか・・・」
神様「ご神体が無い状況じゃどうしようもない。 村長、たぬ吉を一度解放してやってくれ」
村長「神様がそれでよろしければ」
たぬ吉「うむ」
神使「このまま解放して大丈夫でしょうか・・・」
神様「大丈夫だ」
たぬ吉「この力はお嬢ちゃんの物なんだろ?」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「明日の神事後に私から力を抜くのであれば従う。 元々私の力じゃないしな」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「それでは、明日会おう」テクテク
――― 境内
女将「あっ、たぬ吉様!」
村人「ご無事か!」
狸「・・・・・・」タッ タッ タッ
女将「あなたたち一体・・・」
神様「私は、神宮に籍を置く神だ」
女将「!?」
神様「こっちは、私の神使で狛犬」
神使「神様の使いで狛犬の神使と申します」
村人「神と神使だぁ?」
神様「神使よ、狛犬になれ」
神使「はい」ボンッ
女将・村民「!?」
神様「納得したか?」
女将「うそ・・・」
神様「お前たちが崇めるたぬ吉が神としてふさわしいかを明日確認させてもらう」
女将「・・・・・・」
村人「よそ者が何を!」
神様「あれは正式な手順を踏まずに神の力を得た。 これはあってはならない事だ」キリッ
村人「・・・・・・」
神様「明日の神事如何で今後の対応を決めることにした。 決定は覆らない」
女将「・・・・・・」
神様「いくぞ、神使」
神使「はい」
神様「村長、車を」
村長「え? 神様?」
スタスタ
神使「偉そうな事を言ってますが、元凶は神様ですよ? 分かってます?」ボソッ
神様「うっせー、あいつらに聞こえるだろ! ここは格好つける場面だ、黙ってろ!」
村長「神様? 私、車で来ていないのですが・・・」ボソッ
神様「・・・・・・」
――― 翌日・こわこわ神社
神使「結構大勢の村の方がいますね」
神様「これだけの人数がいてよく今まで極秘にできたな」
村長「村のほとんどの人間がいるとは・・・」
女将「わらわい神事へようこそ。 本日は半年に一度の本祭、存分に楽しんで下さい」
ワーワー
ガヤガヤ
神使「申し訳ございません、一体どのような神事なのでしょうか?」
女将「今日の本祭は、たぬ吉さまがお話しになる笑い話を最後まで拝聴する神事です」
神様「はい?」
女将「途中で笑ったら即退場。 笑いをこらえた者だけが、たぬ吉さまのお話を最後まで聞くことができるんです」
神使「はぁ・・・」
村人「たぬ吉さまのお話は、爆笑必至だ。 気を許すと一発で退場だぞ」
神様「・・・・・・」
女将「前の方の席を空けますので座ってお聞きになりますか?」
神様「いや、私たちは後ろで立って聞くから気にしないでくれ」
女将「分かりました」スタスタ
神使「神様、座らなくてもよろしいんですか?」
神様「私たちは部外者だ。 わきまえろ」
神使「失礼いたしました」
女将「それでは! たぬ吉さま〜 ご入場〜」
トテトテ
たぬ吉「始める」
神様「早っ」ズコッ
たぬ吉「神宮に一人の女神さまがいたそうだ」
神様「」ピクッ
女将「神ちゃんシリーズだわ! これは爆笑必至ね」
村人「俺、このシリーズ最後まで聞いたこと無いんだ。 今日は絶対こらえてみせる!」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「女神さまは神力が使えず神宮の神職から役立たずと罵られていたが、持ち前の明るさで毎日元気に過ごしていた」
たぬ吉「ある日女神さまは自身の分社を作ろうと、わらわら神社からご神体を借り受けて別の神社に向かっていたそうだ」
神使「(このお話ってもしかして・・・)」チラッ
神様「なんだ?」ギロッ
神使「・・・・・・いえ」
たぬ吉「女神さまは途中・・・ この村に立ち寄った」
女将「この村のお話!?」
ザワザワ
たぬ吉「数百年ぶりに村に神様がお越し下さった! 村人は女神さまにおもてなしを沢山した」
たぬ吉「女神さまの好物が牡蠣であることを知れば牡蠣ご飯を用意し、甘い飲み物が好きと知ればうんと甘い飲み物を献上した」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「数日後、女神さまはこの村をたつため本殿の扉を開けると、そこに一匹の狸が倒れていた」
たぬ吉「そう・・・ この神社の本殿・・・ 神宮から来たお嬢ちゃんが立っている場所だった」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「狸は、とある事情でまもなく死を迎えようとしていたそうだ」
たぬ吉「女神さまは、その狸に自身のご神体の一部をなんの躊躇もなく割って飲み込ませた」
たぬ吉「狸の体を女神さまの優しさが包み込んだ」
たぬ吉「女神さまは、その狸が回復するのを待つまでこの村に残ると言ってくれた」
たぬ吉「村人たちは、そんなことなど露知らず・・・ いつまでたっても居座る女神さまに不信感を募らせていった」
たぬ吉「裕福でない村は神様の食事を献上するのが大変だったのだ」
たぬ吉「女神さまは献上はしなくて良いと何度も話をしたが、神罰におびえる村人は牡蠣ご飯を献上し続けた」
たぬ吉「女神さまは、献上された牡蠣ご飯を狸にすべて与えてくれた」
たぬ吉「なんとか命の危機を脱した狸が女神さまにお礼をしようとしたその時・・・」
村人「」ゴクリ
たぬ吉「女神さまは村人に捕らえられ、隣町まで連れて行かれてしまったそうだ」
たぬ吉「狸は村人を恨んだ・・・ 自分を死の淵に追いやるだけでなく、命を救って下さった心優しい女神さまにこんな仕打ちをするなんて・・・」
たぬ吉「しかし狸の中にある女神さまの神力は、そんな村人を全く恨んでなどいなかった・・・」
神使「・・・・・・」
たぬ吉「女神さま・・・」トテトテ
神様「?」
たぬ吉「命をお助けいただきありがとうございます」チョコン
神様「・・・・・・」
女将「!? 女神さまって!」
村人「この女の子が・・・!?」
ザワザワ
たぬ吉「私は、あのとき以来ずっと村人のみんなを笑顔にするために生きてきました」
たぬ吉「みんなの笑顔が私の何よりの宝物でした」
神様「そうか・・・」
たぬ吉「ご神体の神力をお返しいたします」
神様「・・・・・・」
女将「たぬ吉さま!」
村人「そんな・・・」
神様「今のお前から神力を抜くと死ぬぞ?」
たぬ吉「心得ております」
神様「覚悟の上か・・・」
神使「神様・・・」
神様「神勅を申し伝える!」
一同「!?」
神様「私、神様は“たぬ吉”をこわこわ神社の主神として任命する!」
たぬ吉「なっ・・・!」
神様「たぬ吉よ、お前は本日をもって神籍に登録。 神階を従三位とする」
神様「村人達よ、たぬ吉は人の姿を持たぬ特殊な神だ。 皆でたぬ吉を守ってやってくれ」
女将「女神さま・・・」
神様「村長」
村長「はい」
神様「申し訳けないが、もうしばらくこの村に残ってこの社の宮司を兼任してくれるか?」
村長「しかとお受けいたしました」フカブカ
神様「あ〜 それと、神宮には・・・」
村長「承知しております。 私からは一切報告の方は行いません」
神様「すまない」
神様「神使よ」
神使「はい」
神様「神籍登録を神宮に通達せよ」
神使「承知いたしました」フカブカ
神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた」
神様「私たちは失礼する。 皆、神事を続けて大いに楽しんでくれ」
たぬ吉「・・・・・・」
神様「たぬ吉、酷かもしれないがお前の役目末永く続けよ」
神様「行くぞ、神使」
神使「神様、ご神体の方は・・・」
神様「もう100年以上この神社にあるんだ。 この村の物だ」
たぬ吉「女神さま・・・」
神様「今日からお前と私は同じ神だ。 神には上も下もない。 さま付けはやめろ」
たぬ吉「はい、かわゆい神ちゃん」
神様「!? たぬ吉! お前が初めてだ! 私をそう呼んでくれたのは!!」ウルウル
─── 旅館
神使「ただいま戻りました」
若旦那「お帰りなさいまし。 神使様宛にお荷物が届いております」
神使「ありがとうございます」
神様「荷物?」
神使「昨日注文した新しい装束ですね」
神様「あ〜」
――― 旅館・お部屋
神様「早く見せろよ、新しい巫女服♪」
神使「はいはい」ゴソゴソ
神様「お〜 朱色が濃いな。 肌触りもいいね〜」スリスリ
神使「それと、こちらも神様の物です」
神様「?」
神使「神用のご装束です」
神様「え? 私注文してないぞ?」
神使「私からのプレゼントです」
神様「マジかよ!」
神使「神様のご希望通り、少しスケスケした物ですが・・・ まぁ巫女装束の上からであれば大丈夫でしょう」
神様「うわ〜 これ高かったんじゃない?」
神使「私、お仕えする神が神様で今日は本当に誇りに思いました」
神様「あ?」
神使「どうして他の神々の皆様が神様のことを大切に思っているのか、なんとなく分かった気がします」
神様「・・・・・・」
神使「ですから、どうぞ受け取って下さい」
神様「そうか・・・」
神使「大切にして下さいよ?」
神様「あぁ、私が神として責務を果たすときは必ずコレを着る」
神使「神様・・・」
神様「ありがとうな。 大切にする」ニコッ
神使「さてと、それでは次の場所に行きましょうか」
神様「どこです?」
神使「着いてからのお楽しみです」
神様「・・・・・・もう、そういうの本当勘弁して下さい」
神使「さっ、準備して下さい。 早くしないと今日中に着きませんので」
神様「もしかして遠いの?」
神使「鈍行で4時間ほどかかりますので」
神様「やだ! 新幹線で行く!」
神使「そんなお金ありません。 行きますよ」ガシッ
神様「やだやだ! 鈍行で4時間なんてお尻なくなっちゃう!」ジタバタ
神使「この前12時間耐えたんですから4時間くらい大丈夫ですよ」
神様「たぬ吉ー! 助けてくれー!」ズルズル
―― こわこわ神社
たぬ吉「そして、女神さまがオマルにまたがった次の瞬間!」
シーン
たぬ吉「・・・・・・」
たぬ吉「今回のお話は最後まで残った者はいなかったか」ハァ
たぬ吉「ここからが傑作なのにのぉ〜」
助けて〜 やだやだ、新幹線で行く〜
神様、もう遅いんですから外で大声出さないで下さい!
たぬ吉「・・・・・・神様、またお目にかかれる日を楽しみにしております」
たぬ吉「いつまでも明るく元気なかわゆい神ちゃんで・・・ 皆を幸せにしてあげて下さい」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#7 ―END
夏だし怖いの書こうと思ったのに1ミリも怖くない……
なんじゃそりゃ
ありがとうございました
怖くはなかったが楽しい話だったよ。
乙乙。
乙
今回も楽しませてもらった
神ちゃんや、もう少しスレが余っているようじゃが?
次スレも神ちゃん見たい!
できれば狛犬が神になるまで続けてほしい
――― 車内
ガタンガタン
神様「あっ 海が見えるね・・・」
神使「砂浜が白くてとても綺麗ですよね」
神様「左側には山が広がってるね・・・」
神使「海の青と、山の緑。 とても美しいです」
神様「でも人がいないね・・・ 民家もさっきからないしね・・・」
神使「電車の中も私たちしかいませんね」ハハッ
神様「だからこんな田舎に来て何すんだよ! 腐れ犬ころ!!」ゲシッ
ファーン
ガタンガタン
〜あらすじ〜
神様「かわゆい神ちゃん」
神使(訳)「ダメ神です」
【#8】
プシュー
神使「神様、ホーム少し低いので気をつけて降りて下さい」
神様「ん」
神使「空気が美味しいですね」
神様「神使君さぁ、ここどこ?」
神使「ホームに駅名書いてませんか?」
神様「あ? 錆びてて読めねーよ」
神使「神使です」
神様「はい?」
神使「その・・・ 神使駅です」
神様「え? なにそれ」
神使「実家の・・・ 神使家の別荘がありまして・・・」
神様「もしかして、この駅って・・・ 神使家専用?」
神使「他に民家はありませんのでそうなりますね」
神様「そう・・・」
神使「あの山の上に家があります」
神様「神使君ってお金持ちのお坊ちゃま?」
神使「先祖から継いだだけですので」
神様「別荘って、誰かいるの?」
神使「私の妹がいます」
神様「は? お前の妹!?」
神使「はい。 普段は別の場所にいるんですが今日は神様をお連れすると言ったらこちらにと」
神様「はへ〜」
神使「さて、では行きましょうか」
神様「あ、うん・・・」
スタスタ
神様「でも、なんでお前ん家の別荘なんかに行くんだよ」
神使「夏休みです」
神様「え?」
神使「本日から1週間私たち夏休みとなります」
神様「うそ!」
神使「ですのでアルバイトをしようかと思いまして」
神様「お前の家で?」
神使「妹の手伝いですが」
神様「ちょっと待って、夏休みなのになんでアルバイトするの?」
神使「生活費が足りません」
神様「やだ! 夏休み遊びたい!」
神使「遊ぶお金あるんですか?」
神様「うっ」
神使「財布にいくら入っているんです?」
神様「・・・・・・」ジャラジャラ
神使「730円ですか」
神様「ぎ、銀行に行けば!」
神使「貯金が601円ありますね」
神様「・・・・・・」
神使「1週間私と神様で頑張ればバイト料を弾んでくれるそうです」
神様「あ〜 私の夏休みが・・・」
トテトテ
まだ全部書いてないですが、
短い予定なので数回で投下は終わらせたい……
そう思っているのであります。
>>930
二人とも神宮に籍ありです
その代わり可哀想なくらいの減給……
――― 神使家・別荘
神様「はぁっっっあ!?」
神使「どうされたんですか、大声なんて出して」
神様「家デカすぎだろ! それに神社建築じゃねぇかよ! お前の妹何者だよ!」
神使「妹は会社を経営しておりまして」
神様「まじかよ」
ピンポン♪
はい〜
神使「私です」
あっ お兄ちゃん? どうぞ〜
ギー
神使「どうぞ、神様」
神様「お、おう」
スタスタ
妹「お兄ちゃん久しぶり〜」
神使「元気でしたか?」
妹「うん」
神使「紹介します。 こちら私の主神で神様です」
神様「はじめまして、神様と申します」ペコリ
妹「お初にお目にかかります。 神使の妹と申します。 このような場所まで足をお運び頂きありがとうございます」フカブカ
神様「あっ、そんな畏まらないで下さい」
神使「どうされたんですか神様、随分よそよそしいじゃないですか」
神様「いや、なんとなく」
妹「どうぞ、お上がり下さい」
神使「さっ、神様どうぞ」
神様「はい。 お邪魔します」
――― 応接室
妹「ご連絡いただければお迎えに上がりましたのに申し訳けございません」
神様「いえ、気にしないで下さい」
神使「妹さん、神様は堅苦しいのが苦手なので気軽に接して下さい」
妹「でも・・・ 神宮の神さまなのに失礼じゃ・・・」
神様「畏まられるのは苦手ですのでフレンドリーに接してあげて下さい」
神使「神様も、いつも通りでよろしいんですよ?」
神様「そ、そうだな。 うん」
妹「分かった、よろしくお願いします。 神様」ペコッ
神様「よ、よろぴこ」
神様「そういえば、妹ちゃんは社長って聞いたけど」
神使「はい、お守りやおみくじなどを作って神社に卸しています」
神様「え? あれって神使家が作ってたの?」
神使「神使家と言うより妹の会社ですが」
神様「はぁ〜 ビックリした! あれどこで作ってんのかと思ってたんだよ」
神使「あまり大っぴらに言うことでもありませんので」
神様「犬ころ・・・ いや神使君の妹と言うことはやっぱ狛犬なんでしょ?」
妹「はい、一応神使籍に入っています」
神様「だれの神使なの?」
妹「・・・神様機構の長官さんです」
神様「あ〜・・・ そうなんだ」フム
妹「・・・・・・」
神使「神様、疲れたでしょうし少し横になりますか?」
神様「いや、バイトすんだろ?」
神使「大丈夫ですか? 結構疲れますけど」
神様「ところで何のバイトなの?」
神使「おみくじを折る作業です」
神様「え? おみくじ?」
妹「はい、一枚一枚手で折ります」
神様「面倒くさ」
神使「機械で作業しているところもあるようですが、妹の所では基本手作業なんです」
神様「そうなんだ〜 んじゃ早速始めますかね」
妹「でもお兄ちゃん、本当に神様にそんな作業をさせても良いの?」
神使「気にしないで下さい、神様はこういう事をするのが好きで慣れているので」
神様「そうそう、神宮では巫女の仕事しかさせてもらえてないし。 はははっ」ズーン
妹「で、では作業場へご案内します」
ガチャ
妹「こちらのお部屋をお使い下さい」
神様「!!」
神使「良い部屋ですね。 外の眺めが素晴らしいです」
神様「は〜 海一望できるじゃん! すげー」
妹「疲れたら海に行って息抜きでもして下さい」
神様「もしかして、あのビーチって・・・」
妹「神使家しか入れませんので貸し切りです」
神様「妹ちゃん、私と結婚しない? 嫁がせて?」
妹「え?」
神使「なに言っているんですか・・・ 作業始めますよ」
妹「ふふっ、じゃぁ何かあったら言ってねお兄ちゃん。 よろしくお願いします神様」ペコリ
ギィー ガチャ
神様「お前の妹、良い子だな」
神使「ありがとうございます」
神様「とても清楚で良家の箱入り娘って感じ」
神使「あまり褒めないで下さい。 ああ見えてすぐに調子に乗りますから・・・」
神様「ふ〜ん、で、折り折りするおみくじは?」
神使「あの箱です」
神様「・・・結構あるね」
神使「この時期は注文が特に多いようですので」
神様「まぁ夏休みで参拝客多いしな・・・」
――― 1時間後
神様「飽きた」
神使「え? まだ1時間ですよ?」
神様「外、良い天気だな〜 海水浴とか気持ちいいだろうな〜」
神使「…海行きますか?」
神様「ん〜 でも今から行っても時間も半端だよなぁ〜」
神使「神様今日はお昼寝されてませんから、少しお休みになります?」
神様「まだいっぱいあるし・・・ 続ける」オリオリ
――― 夕方
コンコン
神使「はい」
妹「どう? お兄ちゃん」
神使「久しぶりなので少し疲れますね」
妹「神様は?」
神使「そちらに・・・」
妹「?」
神様「ちかれた〜」グテッ
妹「ふふっ、夕飯にしましょうか」
神使「そうですね」
妹「お兄ちゃんから神様の好物を聞きましたので沢山ご用意いたしました」
神様「!?」バッ
神様「うひょ〜 貝づくし! 牡蠣もあるじゃん」
神使「豪勢ですね」
妹「沢山働いてもらわないといけませんからね」
神様「残さず全部食い尽くしてやる!」フンスッ
一同「いただきます!」
神様「うまい!!」パクパク
妹「どんどん食べて下さい」
神様「どんどん食べる」モグモグ
神様「でもさぁ〜 結構大変だよね、あれ」
神使「慣れないと大変ですよね」
神様「200枚しか折れなかった」
神使「もう少し頑張って下さい・・・」
神様「機械使って大量生産した方が良いんじゃない?」
妹「確かにその方が楽なんですが・・・」
神様「なにか理由があるの?」
妹「一枚一枚心を込めて折ったおみくじと、機械で折ったおみくじってなんか違うと思うんです」
神様「・・・・・・」
妹「神社にお納めしたおみくじに神さまが神力をお授けになって・・・」
妹「その後参拝者の方が手にする物ですので、作り手もきちんとしたいと思いまして」
神様「ごめん」
妹「え!?」
神様「さっき私が折ったおみくじ、買い取る」
神使「神様いきなりどうされたんですか?」
神様「私、心込めて折ってない」
妹「そんな、気になさらないで下さい」オロオロ
神様「ダメ、1枚いくら?」
妹「卸値は1枚2円ですからそんな気になさらずに」
神様「1枚2円!? そんなに安いの?」
妹「ですから、お気になさらずに」
神様「・・・・・・明日がんばります」シュン
神使「神様、そんなに気にする必要ございませんよ?」
神様「・・・うん」
妹「あっ、そうだ! 神様は和室と洋室どちらが良いですか?」
神様「ん?」
妹「寝室をご用意いたしますので」
神様「あ〜、私こいつ・・・ 神使君と一緒で」
妹「お兄ちゃんと?」
神使「主神とお付きの神使は、同行中一緒にいないといけない決まりがあるんですよ」
妹「あ〜 そうだったね」
神使「神様は恐ろしいほど寝相が悪いので和室にして下さい」
妹「寝相?」
神使「ベッドなんかで寝たら5分以内に転がり落ちます」
神使「落ちねーよ! でも、念のため和室でお願いします」
――― 寝室
妹「こちらが寝室です」
神様「・・・・・・すげー」
神使「あれ、畳張り替えたんですか?」
妹「うん、神様がお泊まりになるんだもん」
神使「わざわざありがとうございます」
妹「洗面所は突き当たりです。 ではお休みなさい、神様」
神様「おやすみ〜」
妹「お兄ちゃんも、おやすみ」
神使「おやすみなさい」
ギィー バタン
神様「寝るだけなのに広すぎだろ。 なんだよこの部屋は」
神使「すいません、神様は寝室が広いと緊張しちゃいますよね」
神様「お前、相変わらず刺々しいな」
神使「そうでしょうか?」
神様「まぁいいや」ポイポイ
神使「・・・・・・」
神様「うるせーよ、良いだろ下着姿でも!」ゲシッ
神使「何も言っていないのですが・・・」
神様「あっ、寝る前にお花もりもり摘んでくる」スタスタ
神使「ちょっと神様、さすがにその格好では!」
ギィー バタン
ジャァー
神様「なんでトイレが神宮の私の部屋よりデカいんだよ・・・」
スタスタ
神様「あれ? 部屋ここだっけ?」
ギィー
妹「あっ、神様どうされました?」
神様「妹ちゃん、ごめん部屋間違えた」
妹「神様その格好!? もしかして浴衣気に入りませんでしたか?」
神様「あ〜 私寝るときいつもコレだから」
妹「・・・そ、そうでなんですか」
神様「何やってんの?」
妹「えぇ、急に神宮からおみくじの追加が来たので」
神様「神宮から? 夜だよ?」
妹「はい、明後日までに6000枚入れて欲しいと」
神様「ストックの確認すらまともにできないのかよ・・・ 発注者って誰?」
妹「えぇと〜 巫女のA子さんという方から御発注書を頂いております」
神様「A子ちゃん・・・」
神様「・・・・・・」
妹「神様?」
神様「手伝う」
妹「え? そんな大丈夫です」
神様「お願い、手伝わせて」
妹「でも」
神様「ちゃんと心込めて折るから! お願い!」
妹「では、お願いします」ニコッ
神様「・・・・・・」オリオリ
妹「・・・・・・」オリオリ
――― 翌日・朝
チュンチュン
神様「これで最後!」オリオリ
妹「お疲れ様でした」
神様「いや〜 久しぶりに本気で仕事したよ」フー
妹「ありがとうございます。 朝一の宅急便で送れそうです」
神様「よかった」
妹「何かお飲みになりますか?」
神様「コーラある? 炭酸系」
妹「ありますよ」
スタスタ
妹「はい、キンキンに冷えたコーラです」コトッ
神様「ひょ〜 仕事の後のコーラは格別なのよ」グビグビ
妹「いっぱいありますから好きなだけ飲んで下さいね」
神様「ぷは〜 うまい!」ゲップ
妹「ふふっ」
神様「あっ、ごめん。 はしたなかった・・・」
妹「気にしないで下さい」
神様「いつも神使に、はしたないからやめて下さい!って怒られてるんだよ」
妹「お兄ちゃんらしいなぁ。 いつも兄がお世話になってます」ペコッ
神様「いやいや、世話になってるのはこっちだし・・・」
神様「私、ダメ神で神階も低いから迷惑かけっぱなしで」
妹「お兄ちゃん神様のことすごく尊敬しているみたいですよ?」
神様「あ〜 それ社交辞令だよ」
妹「そんなことないと思いますよ? あんなに楽しそうなお兄ちゃん見たの久しぶりだもん」
神様「そぉ? いつもと変わんないけど」
妹「じゃぁ、神様といるときはいつも楽しいんだと思います」
神様「あいつもこんなに良い家柄の息子なんだから、もっと神階が高い神の神使になれば良いのに」
妹「・・・・・・」
神様「どったの?」
妹「お兄ちゃん神様の神使になる前は、すごく位の高い神の神使だったんです」
神様「そうなの? 私あんまり神使君の過去聞いてないから」
妹「ならなら神社の主神さまだったと思います」
神様「あ〜 鹿の宮神だっけ。 アイツってそんなに神階高いんだ」
妹「はい、鹿の宮神様は正一位です。 お兄ちゃんは第二神使でした」
神様「ふ〜ん」
妹「色々と大変だったみたいですが・・・」
神様「あそこも大きいからね〜 しがらみも多いだろうなぁ〜 あいつの苦労はなんとなく分かるわ」
妹「え?」
神様「神使の中でも優秀で名高い狛犬、しかもあいつは最高位だし良家出身となれば嫉妬もすごかっただろう」
妹「毎日つらかったと思います」
神様「妹ちゃんもでしょ?」
妹「・・・・・・」
神様「神様機構長官の神使だって聞いたから」
妹「長官はとても良い方です」
神様「まぁアイツは根っからの良い子ちゃんだしね。 でもね? 私の給減承認にポンポン判を押してるから。 だまされちゃダメ」
妹「減給?」
神様「お守りを三年間値引き販売したの。 あと賄賂とご神体紛失と・・・ それから〜」
妹「それは・・・ 長官が正しいかと・・・」
神様「うん、そうね・・・ 自分で言っててそう思った」シュン
コンコン
ガチャッ
神使「神様ここにいたんですか」
神様「ん? あぁ」
神使「昨日はずっと戻ってこないので廊下で寝てしまったのかと思いました」
神様「そんなとこで寝ねーよ」
神使「うわっ、何ですか? このおみくじの山は」
妹「昨日の夜に急に発注が入って」
神使「妹さん、まさか神様を朝まで付き合わせたんですか?」
妹「ごめんなさい」シュン
神様「神宮から明後日までに6000枚納品しろって言われたんだよ」
神使「神宮がそんな急におみくじの発注をかけるなんて考えられないですが」
神様「A子ちゃんからの発注」
神使「あぁ・・・ なるほど。 発注を忘れていたんですね・・・ でも6000枚なんて間に合うんですか?」
妹「神様にお手伝いしてもらって全部終わったから大丈夫だよ」
神使「神様、徹夜で作業なさったんでしたら少しお休みになりますか?」
神様「ん〜 お昼まで寝ようかな」
妹「では、折角ですし午後は海で遊んだらいかがです?」
神様「でも、おみくじ折り折りしないと」
妹「今日お願いする予定だった分は神宮の分に回してしまいましたので」
神様「あ〜」
神使「では、今日はゆっくり夏休みを満喫しましょうか」
神様「よし! そういうことなら寝る! 神使、絶対お昼に起こせよ」
神使「はいはい、お休みなさい」
神様「んじゃ、おやちゅみ〜」スタスタ
ガチャ
妹「神様って素敵な方だね」
神様「はい、自慢の主神さまです」
妹「うん、そうだね」ニコッ
神使「・・・・・・」
また夜にでも
>>958
こんな感じ?
神宮はあくまでも宗教団体の一つという位置づけで、国とか関係なし。
神様機構、神使協会、神職協会があって3団体で神宮や全国の社を管理運営。
●神宮
頂点に神宮主神(最高神)、管理者として大宮司。
建物が内宮(内宮神)と外宮(外宮神)に分かれていて、管理者として内宮宮司、外宮宮司。
・内宮神(外宮神)直轄で、神宮付きの神が何人かいる。
・内宮宮司(外宮宮司)直轄で、神職と巫女、神宮付きの神使がいる。
神宮に関してはこんなレベル。
組織図張れば簡単なんですけどね……
――― 昼・神使家ビーチ
神様「良いね! 海!」
神使「天気も良いですし、絶好の海水浴日和ですね」
神様「よし! それじゃぁ早速」ポイ ポイ ポイ
神使「ちょっと神様! なに素っ裸になってるんですか!」
神様「あ? ほかに誰もいないんだろ」
神使「私がいます! 妹だっているんですから」
妹「・・・///」
神様「だって水着ないもん」
神使「だからって素っ裸にならなくても・・・ Tシャツと短パンで良いじゃないですか」
神様「え〜 そんなの着てたら動きにくいじゃん」
神使「幼稚園児でも人前で裸なんかで泳がないですよ?」
神様「なんだよそれ! 私は幼稚園児以下って言いたいのかよ!」
神使「・・・・・・」
神様「いや〜ん 犬ころが私の豊満な体を視姦する〜」
神使「・・・神様の裸を見ても全くそのような気は起こりませんが」
神様「てめぇ! 今“神様ってつるペタ幼児体型なんですね”って思ってんだろ!」
神使「妹さん、神様に何か着るものを用意して下さい」
妹「一応、神用の水着を用意したんだけど」
神様「そんなのあるの? 初耳」
妹「はい、神宮から取り寄せまして」ゴソゴソ
神使「これは、磯着ですか?」
神様「じぇじぇじぇ!」
神様「は〜 気持ち良い〜」プカプカ
神使「神様、泳げないんですね・・・」スイスイ
神様「浮き輪にのって他のヤツに引っ張らせてプカプカするのが良いの!」
神使「はいはい」スイスイ
神様「お前、泳ぐのうまいな。 それに犬掻きじゃないんだな」
神使「まぁ・・・ さすがに人の姿の時は・・・」スイスイ
神様「もっと沖に行こうぜ」
神使「ダメです」
神様「この格好で潜ったら牡蠣採れるかなぁ」
神使「採れるわけないじゃないですか、下は砂ですよ?」
神様「じぇじぇ!」
神使「神様ってあまっちゃん見てましたっけ?」
神様「ん? 見たことない」
神使「そうですか・・・」
神様「妹ちゃんは遊ばないのか?」
神使「結構仕事がたまっているそうですので」
神様「ふ〜ん 大変だな」
神使「仕事ですし、好きでやっていることですからお構いなく」
神様「なぁ」
神使「これ以上沖へは行きませんよ?」
神様「ちげーよ! ・・・妹のこと話せよ」
神使「はい?」
神様「なにかあるんだろ?」
神使「・・・・・・」
神様「お前、私が何年生きてると思ってんだよ。 訳ありな事くらいすぐ分かるわ」
神使「しかし・・・」
神様「気になるんだよ!」
神使「・・・妹は数年前までお社の主神様に仕える神使だったんです」
神様「へぇ〜 誰に仕えてたの?」
神使「くろがね大神宮の第二神使です」
神様「くろがね・・・か」
神使「私が言うのも何ですが、妹はとても素晴らしい神使です」
神様「だろうな。 私も枠があったら妹を神使に付けたいくらだ」
神使「自慢の妹です。 私よりも先に神使の最高位を取得したんですよ?」
神様「お前より先にか!? それは凄いな・・・」
神使「今は階位が下がって第二階位ですが、出仕時代はどっちが先に神宮の神へお仕えできるか競争していましたね」
神様「神宮の神?」
神使「神宮の神にお仕えするのは、私たちの憧れでしたから」
神様「ふ〜ん、お前夢かなってんじゃん。 仕えてんの最低神のダメ神のだけど・・・」
神使「そうですね、私の夢は叶いました。 しかも尊敬できる最高神さまですから。 これ以上は望めませんね」
神様「ん・・・・・・///」
神使「でも・・・ 本来ならば、神様の横にいるのは私でなく妹だったと思います」
神様「えっ?」
神使「妹は神宮所属の主神付き神使として私より前に内定を頂いていました」
神様「・・・・・・」
神使「でも、妹は辞令が出る直前に・・・ 失職しました」
神様「失職!?」
神使「厳密に言えば失職直前に神様機構の長官に拾って頂いたのですが・・・」
神様「もしかして、四年前の裏金事件か?」
神使「!? 神様ご存じで・・・」
神様「話題になったからな。 その時の神使がお前の妹だったのか」
神使「妹は・・・ そんな事には加担などしていないです・・・」
神様「言い方が悪かった、すまない」
神使「・・・・・・」
神様「嵌められたんだろ?」
神使「え?」
神様「当時のくろがね大神宮の第一神使が犯人だ。 極秘で懲戒解雇処分が下っている」
神使「それは・・・ 初めて聞きました」
神様「公になるとかなり問題になる規模のお金が動いていたから神宮が極秘で処理したはずだ」
神使「そうでしたか」
神様「ここ百年では最大規模の神社界の汚点だ」
神使「・・・・・・」
神様「無念だっただろうな、妹は・・・ 夢を壊してしまった・・・」
神使「でも、今はあの通り元気にやってますから。 社長ですし私なんか足下にも及ばないくらい給料良いんですよ?」
神様「・・・申し訳ない、お前の妹を巻き込んでしまって」ドゲザ
神使「そんな、やめて下さい。 神様が頭を下げることじゃないです。 それに・・・」
ザバーン
神使「浮き輪の上で正座なんてしたら落ちるに決まってるじゃないですか・・・」
ブク ブク ブク…
――― 数日後
神様「・・・これで最後!」オリオリ
神様「終わった!!」
神使「お疲れ様でした、神様」
神様「いや〜 百年分は仕事をしたな」
神使「そこまでの作業量ではないと思うのですが・・・」
妹「ありがとうございました神様、お兄ちゃんもお疲れ様」
神使「これだけ作ればしばらくは急な発注にも耐えられますね」
妹「はい神様、仕事の後のコーラです」コトッ
神様「妹ちゃん分かってるね〜」グビグビ
神使「神様、今日はぐっすりお休みになって、明日朝一番でここを立ちましょう」
神様「はぁ? まだ夏休み満喫してねーよ!」ゲップ
神使「先日海に行ったじゃないですか」
神様「半日だけじゃん!」
神使「しかし、明日は夕方までに次の勤務先にご挨拶に行かないといけませんので」
神様「まじかよ・・・ なんだよそれ・・・」
妹「あっ、じゃぁバイト代を先に渡しておくね」
神様「そうだ! バイト代もらえるんだった」ヤッター
妹「はい、お兄ちゃん」
神使「ありがとうございます」
神様「♪〜」ワクワク
妹「じゃぁ、私は発送用の荷物を梱包してくるね」スタスタ
神様「?」キョトン
神使「どうされました神様?」
神様「ん? 私のバイト代は?」
神使「私が一緒に頂きましたので」
神様「もしかして・・・」
神使「ご説明が必要ですか?」
神様「・・・いえ、予想はしてましたのでショックはそれほど大きくありません」
――― 翌日
神使「では妹さん、また」
妹「うん、元気でね。 神様も兄をよろしくお願いいたします」
神様「妹ちゃん」
妹「はい?」
神様「妹ちゃんには正直に話しておこうと思う」
妹「なんでしょう」
神様「妹ちゃんのお兄さんは神宮の神に仕える最高位の神使だ」
妹「はい、妹として誇りに思います」
神様「そして〜 私は何を隠そう神宮の最高神なのだよ」カッ カッ カッ
妹「え?」
神使「神様! それはトップシークレットでは・・・」
神様「良いんだよ。 妹ちゃんは神宮三神って知ってる?」
妹「最高神様、内宮神様、外宮神様ですよね?」
神様「その三神は私が兼任している。 ちなみに、神宮は私のために建てられた」
妹「・・・・・・」
神使「妹さん、驚いたかもしれませんが本当なんです」
神様「訳あって素性を隠しているんだけどね〜」
妹「神様が最高神様!?」
神様「そう、だから私には叶えられない願いなどない!」
神使「・・・・・・」
神様「妹ちゃん、世話になったお礼に願いがあるなら一つだけ叶えてあげる」
妹「願い・・・ ですか?」
神様「うん、どんなことでも叶えてあげるから。 その代わり本心以外は受け付けないよ」
神使「・・・・・・」
妹「私の願い・・・」
神様「遠慮せずに、ほらほら〜 夢とか希望とか一つくらいあるでしょ〜?」
妹「これからも、お兄ちゃんをどうぞよろしくお願いします」フカブカ
神使「妹さん・・・」
神様「・・・・・・」ジーッ
妹「」フカブカ
神様「本心みたいだね」ニコッ
神様「分かった! その願い、最高神・神様がしかと受け止めた」
妹「口うるさい兄ですがよろしくお願いします、神様」ニコッ
神様「神使よ」
神様「はい」
神様「お前の妹は本当に素晴らしいな」
神使「ありがとうございます。 私も誇りに思います」
神様「では、神勅を申し伝える!」
神使・妹「!?」
神様「私、神様は“妹”を神宮・内宮神付きの神使として任命する!」
妹「えっ!? 私が神宮の神使!?」
神様「」ゴホン!
神使「妹さん、神勅が発せられてる間は神さまからの問い以外で神使は言葉を発してはいけません」ボソッ
妹「・・・・・・」
神様「続ける」
神様「同時に本日付けで、妹の階位を第二位から最高位である特位へ昇格とする」
妹「!?」
神使「・・・・・・」
神様「我が神使よ」
神使「はい」
神様「神勅内容を神宮へ通達せよ」
神使「・・・承知いたしました」フカブカ
神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた」
神使「・・・・・・」フカブカ
妹「」ポカーン
神使「ちょっと神様!」
神様「あ?」
神使「どういうことですか?」
神様「神勅で伝えたとおりだ」
神使「こんな手順で妹が特位へ戻れるわけないじゃないですか。 しかも神宮の神付き神使だなんて」
神様「神様機構長官と神使協会、神宮大宮司の許可は得た。正式な手順を踏んだ発令だ」
神使「え? いつの間にそんな事したんです?」
神様「内宮神の神ちゃん経由で数日前から脅し・・・ 根回しをした」
神使「しかし、内宮神付の神使となると妹は神宮に行かなくては・・・ 仕事もありますし・・・」
神様「神宮に行く必要はない。 内宮神が必要であると召還したときにだけ神宮に来れば良い」
妹「・・・・・・」
神様「妹、それから神使よ」
妹・神使「はい」
神様「勘違いしないでもらいたいが、私は同情や償いのためにこんな事をした訳じゃない」
妹「・・・・・・」
神様「妹、其方は神宮に必要であると最高神である私が判断した」
妹「え?」
神様「今すぐという訳ではないが、いつか妹の力が神宮に必要になると思ったから今回の神勅を発令した」
妹「神様・・・」
神様「最高神の神使であるお前の兄、本日より内宮神の神使となった妹。 二人の力が神宮の将来を変える。 私はそう思っている」
神使「・・・・・・」
神様「迷惑か? 妹よ」
妹「いいえ。 内宮神様の神使をお受けいたします」フカブカ
神様「よろしい。 期待している、妹よ。 いや神使兄妹」
――― 電車内
ガタンガタン
神様「ねぇ、本当にコレで夏休み終わりなの?」
神使「そうですよ」
神様「ハァ〜 夏休みをバイトに費やし、そのバイト代も取られて私の夏とは一体何だったのであろうか・・・」
神使「そんなに拗ねずに」ゴソゴソ
神使「はい、これ神様のお小遣いです」
神様「え?」
神使「今回妹からもらったバイト代のうち、神様分は全部お小遣いとしてお渡しします」
神様「うそ! 良いの!?」
神使「妹から少し多めにもらってしまったので・・・ 今回だけ特別です」
神様「やったー!!」
神使「途中で買い物でもしていきましょう」
神様「なんか気持ち悪いな〜 お前なにか裏があるんじゃないか?」ジロッ
神使「そんなことございません」
神様「お前、まさかさっきのお礼とか―――」
神使「神様? 私はそんな公私混同はしない主義ですよ?」
神様「・・・・・・」
神使「でも、妹を救っていただきありがとうございました」フカブカ
神様「私は神さまだ。 私を慕ってくれる者の願いは絶対に叶える」
神様「神力がない分、どんな手を使ってでもな」
神使「そうでした、神様は立派な女神様でした」
神様「だろ? だからお前はかわゆい神ちゃんをもっと崇め奉るが良い!」カッ カッ カッ
神使「では、実力で神階を上げてダメ神を返上して下さい」
神様「ぅっ・・・・・・」
神使「神様?」
神様「それは・・・」
神使「できないのでしたら、あまり調子に乗らないで下さいね?」
神様「神使君さぁ、私にけんか売ってる?」
神使「そんなことはございません。 これでもダメ神に付く最高位神使ですから」
神様「やっぱ、けんか売ってんじゃねーかよ! 神罰」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! ですから、それは神罰でなくただの足蹴りです」
神様「うひゃひゃ、折檻だー!」ゲシッ ゲシッ
ドタバタ
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#8 ―END
ありがとうございました
・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
・エッロいグラインド騎乗位をする女神たち集めたったwww
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・【キチガイ】外国人さんのマイクロビキニ、一線を越える wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(画像あり)
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・売れないアイドルとHする簡単な方法。
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・声に魔力がある女の子「君は女の子」 俺「……ちがう……」 女の子「君女の子」 俺「あ……あ……ちが……う……?」
・男「神待ち掲示板、かぁ」少女「……」
・俺が歌丸やるからみんなで笑点やろうぜ
・アスカ「あっついわねぇ、シンジクーラーの温度もっと下げなさいよ」
・(´・ω・`)「お兄ちゃん、天皇陛下って世界三大権威なんだって!」
・【閲覧注意】山の中で ”ありえない状態” の女性が発見される
・”ミス・コリア” に続いて ”ミス・アメリカ” の最終候補者も「全員同じ顔だ」と話題に
・巨乳の女の子がブラジャーをしなかったら・・・ここまでエ□い事に
・【悲報】いまだに違法ダウンロードしてるやつはこうなるwwwww(※画像あり)
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・【画像】篠崎愛さん(24)セクシーすぎるwwww
・ 浜崎あゆみ(37)の現在水着画像、ウエストが細すぎてヤバイ
・【驚愕】リオ選手村でレoプされた女がヤバイ・・・闇が深すぎる・・・
・【画像】彡(゜)(゜)「えっ!ワイが童話の主人公に!?」
・男「お前、毒舌なんだってな?」 毒舌少女「そうよ」
・実況「金メダルをとった萩野には俺さんへの挑戦権を手にしました!」俺「ほう君が萩野か」
・俺「コンビニ行くけど一緒に行きたい人〜wwww」 父母「Zzz…」 妹(無視) 犬1「ワンワン!!」 犬 2(シッポフリフリ)
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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」【パート1】【パート2】【パート3】
832: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:32:50 ID:K3iglqnM
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
テクテク
神様「暑い〜!」パタパタ
神使「神様? Tシャツをパタパタさせないで下さい・・・ お腹見えてますよ?」
神様「暑いんだよ!」
神使「もう少し女神らしく御淑やかにされてはいかがですか?」
神様「うるせー 極悪邪道腐れ犬ころ変態神使」ゲシッ
神使「私に変なあだ名を付け足していかないで下さい。普通に“狛犬の神使”と呼んで頂きたいです」
神様「じゃぁ私のことも“かわゆい神ちゃん”って呼べよ」
神使「・・・・・・」
神様「呼べよ!!」
・エッロいグラインド騎乗位をする女神たち集めたったwww
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・男「神待ち掲示板、かぁ」少女「……」
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・(´・ω・`)「お兄ちゃん、天皇陛下って世界三大権威なんだって!」
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・ 浜崎あゆみ(37)の現在水着画像、ウエストが細すぎてヤバイ
・【驚愕】リオ選手村でレoプされた女がヤバイ・・・闇が深すぎる・・・
・【画像】彡(゜)(゜)「えっ!ワイが童話の主人公に!?」
・男「お前、毒舌なんだってな?」 毒舌少女「そうよ」
・実況「金メダルをとった萩野には俺さんへの挑戦権を手にしました!」俺「ほう君が萩野か」
・俺「コンビニ行くけど一緒に行きたい人〜wwww」 父母「Zzz…」 妹(無視) 犬1「ワンワン!!」 犬2(シッポフリフリ)
833: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:33:51 ID:K3iglqnM
〜あらすじ〜
神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」
神使(訳)「神宮が誇る最悪の問題児、減給左遷を総なめにするダメ神です」
神様「悪の手先の陰謀にも負けず、今日も私を待つ者を救うべく旅を続ける」
神使(訳)「数々の問題行動の発覚により神宮から無期出向となった神様は全国の廃神社の管理を命じられたのでした」
神様「そう! 私は神の中でも最も優れた力を持つ最強の神様だ!」
神使(訳)「神力ゼロです・・・」
834: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:34:45 ID:K3iglqnM
【#7】
テクテク
神様「で? どこに行くんだよ」
神使「こわこわ神社という廃神社が次の勤務先です」
神様「」ピクッ
神使「どうされました?」
神様「よし、神宮に帰るか」
神使「神様?」
神様「お前さぁ、バカなの?」
神使「いきなりなんですか・・・」
835: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:35:29 ID:K3iglqnM
神様「こわこわ神社って幽霊が出るって噂の場所だろ?」
神使「幽霊?」
神様「まとめブログの危険マップに必ず載ってる」
神使「そういうのはあんまり本気にしない方が良いですよ?」
神様「い〜や、こわこわ神社に向かって手をかざしてみろ」パッ
神使「?」
神様「邪悪な気を感じる。 ビビビッ」
神使「こわこわ神社は反対側です」
神様「ビッ・・・」
836: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:36:21 ID:K3iglqnM
神様「ちょっと待てよ。 なんで私たちは反対側に向かって歩いてんだよ!」
神使「今日はもう遅いので宿で一泊して、神社の方は明日伺います」
神様「そうなの? まだ暗くないのに珍しいな。 いつもなら宿代ケチるくせに」
神使「・・・・・・。 さっ、早く宿に行きましょう」
神様「ん? あぁ」
テクテク
837: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:38:03 ID:K3iglqnM
――― こわこわ旅館
ガラガラ
神使「ごめんくださ〜い」
若旦那「はい〜」スタスタ
神使「本日予約してます神使と申します」
若旦那「お待ちしてました。 どうぞお入りください」
神使「失礼いたします」
神様「・・・・・・」キョロキョロ
神使「神様、どうされました?」
神様「ん? いや、何でも無い」スタスタ
838: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:38:56 ID:K3iglqnM
ガラガラ
女将「こちらがお部屋になります」
神使「ありがとうございます」
女将「お茶ご用意しますね」
神様「コーラ飲みたいなぁ〜」
女将「ございますよ。 1本400円ですがよろしいですか?」
神様「・・・・・・」
神使「お飲みになるならご自分のお財布からお支払いくださいね?」
神様「やっぱお茶でいいです・・・」
839: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:40:09 ID:K3iglqnM
女将「どちらからいらっしゃったんですか?」
神使「神宮から参りました」
女将「」ピクッ
神使「こわこわ神社の方に用がございまして」
女将「こわこわ神社・・・」
神様「・・・・・・」ジィー
女将「あっ、そうでしたか」
神様「やっぱ出るの?」
女将「出るというのは?」
神様「幽霊」
840: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:41:13 ID:K3iglqnM
神使「まだ言ってるんですか?」
神様「お前幽霊怖くないの?」
神使「怖いも何も、いない物を怖がっても仕方が無いと思うのですが・・・」
神様「いーや、幽霊は絶対いる!」
女将「・・・・・・」
神使「女将さん?」
女将「え? 幽霊ですか? どうでしょうね〜」
神様「・・・・・・」
女将「では、何かございましたら内線ください」スタスタ
ガラガラ バタンッ
841: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 02:42:23 ID:K3iglqnM
神使「神様、本当に幽霊信じているんですか?」
神様「神使みたいな訳の分からないのがいるんだから幽霊だっていても不思議じゃないだろ」
神使「一緒にしないで頂きたいのですが・・・ どちらかというと神様の方が不思議だと思います」
神様「それより、あの女将さん」
神使「どうかされましたか?」
神様「お前さぁ〜 もう少し人間観察しろよ」
神使「?」
神様「ハァ〜 まぁ良いわ。 疲れたからちょっと寝る」ポイポイ
神使「また下着姿で・・・ 寝るならパジャマ着てください」
神様「暑いからこれで良いの!」
神使「そんなこと言って、冬も下着姿じゃないですか・・・」
神様「うるせー おやちゅみ〜」モソモソ
845: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:25:27 ID:K3iglqnM
── 1時間後
神使「神様? 起きて下さい」ユサユサ
神様「ん〜 何だよ〜 もう少し寝かせてくれよ」モソモソ
神使「外から何か変な音が聞こえるんですが・・・」
神様「音?」ムニャムニャ
神使「はい、悲鳴というか笑い声というか・・・」
神様「は?」ヨイショ
キェッ! キェッ! キェッ!
神使「聞こえました?」
神様「窓開けてくれ」
神使「それが窓が開かないんです」
神様「んっ! んっ! 本当だ開かない」ガチャガチャ
846: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:26:48 ID:K3iglqnM
ギャハッ! ギャハッ!
神様「少し遠いな。 鳥とか動物の鳴き声じゃねぇの?」
神使「そうでしょうか・・・」
神様「あれ? 森の方がなんか光ってるな」
神使「本当ですね。 なんでしょうか、あれ」
神様「ここで私のかわゆいスマホの出番だ!」ゴソゴソ
神使「スマホですか?」
神様「グーグーマップで確認すればあそこに何があるか分かる」ポチポチ
神使「どうです?」
神様「ん〜 あの位置は・・・・・・」
神使「神様?」
神様「こわこわ神社だ」
神使「・・・・・・」
847: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:28:12 ID:K3iglqnM
バチン!
神様「なんだ!?」
神使「停電!?」
神様「取りあえず部屋を出よう」
スタスタ
神使「あれ?」ガチャガチャ
神様「何やってんだよ、早くしろよ」
神使「ドアが開きません」
神様「あん? 何でだよ」ガチャガチャ
ギャー--!!!!
神様「ひやっー! 何この叫び声!!」
848: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:32:04 ID:K3iglqnM
バタン
神様「え? ちょと神使君??」
神使「・・・・・・」
神様「うそ、霊的な何かにやられた感じ? おい大丈夫か?」ユサユサ
ギャー--!!!!
神様「ひやっー! なんだよこの声〜! めっちゃ怖えー!」
神様「取りあえず、こいつだけは・・・ お守りまだあったよな・・・ 神力残ってるかな?」ゴソゴソ
神様「よし! 封じし我が神力を解放す! 我が神使を不可思事象から解き放て!」
ポワポワ
神様「よし、もうちょっと神力残ってるみたいだな」
神様「事象の元凶を遠ざけ我に平穏を与えよ!」
ポワポワ
849: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:33:25 ID:K3iglqnM
痛っ!
タッ タッ タッ
神様「ん?」
神様「今、廊下から聞こえた声って・・・」
パッ
神様「あっ、電気ついた」
神様「おい、犬ころ大丈夫か?」ユサユサ
神様「こいつなんで意識戻さないんだ? 私の神力鈍ってんのか?」
神様「まさか・・・ 怖くて意識失っただけ・・・ とか?」
850: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:34:52 ID:K3iglqnM
── 30分後
神様「さて、我が神使狛犬よ」
神使「はい」セイザ
神様「神使奉務心得・第三章を述べよ」
神使「神使の袴の色は浅葱色とする」
神様「・・・・・・ 第四章だった」
神使「神使は主神である神に仕える際は常に主神の身を守ることを責務とする」
神様「それ!」
神使「ちなみに第二章です」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
神様「神使君さぁ、もしかして幽霊怖い?」
神使「」ピクッ
神様「怖くて意識失っちゃった系?」ニヤッ
神使「・・・・・・」
851: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:36:39 ID:K3iglqnM
神様「なぁ神使さんよ〜 ここは相談なんだけどバックレて帰らねぇ?」ズイ
神使「しかし・・・ 神宮からこわこわ神社を調べるよう命令を受けています」
神様「大丈夫だよ、バレねぇよ」ズイ ズイ
神使「ダメです。 神宮からの命令は絶対です」
神様「主神の私と神宮の命令どっちが重いんだよ!」
神使「神宮です」キッパリ
神様「即答っすか!」
神使「しかし、先ほどはお見苦しいところを失礼いたしました」
神様「まぁそれは別にいいんだけどさぁ〜 なんか変だよな〜」
神使「変?」
神様「さっきの現象は霊的・・・ いや神力由来の類いじゃない」
神使「え?」
852: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:38:20 ID:K3iglqnM
神様「人が意図的に起こした可能性が高い」
神使「人が?」
神様「たぶん・・・ この旅館の女将とか」
神使「女将さんが? なぜ・・・」
神様「こわこわ神社から聞こえた変な声とも関係ありそうだなぁ〜 面倒くさそぉ〜」ハァ
神使「こわこわ神社に行ってみますか?」
神様「いや、今日はもう暗いしやめておこう」
神使「はい・・・ しかし、神様ってご自身の神力使えないんじゃないんですか?」
神様「あ? 今は使えないけど、昔作ったお守りに当時の神力が入ってるから解放すればちょっと使える」
神使「そうだったんですか」
神様「でも一つのお守りにちょっとしか入っていないから使い捨てだな」
神使「すいません、私なんかのために一つ無駄にしてしまい・・・」
神様「まだ何個かある、気にすんな。 それと!」
神使「?」
853: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/23(土) 23:39:41 ID:K3iglqnM
神様「お前を守るのは私の務めでもある。 変な気を遣うな」
神使「神様・・・」
神様「でも、どうしてもお礼をしたいのならコーラ買ってくれ」
神使「・・・・・・冷蔵庫に入っているそうですから取っていいですよ?」
神様「やった〜♪」
パカッ
神様「ぇ・・・」
神使「どうされました?」
神様「輸入コーラだ・・・ しかも250ml缶・・・ これが400円なの??」
神使「それ、スーパーで2本50円で売ってましたね・・・」
神様「うぅ・・・」シュパッ
神使「あっ、でも飲むんですね・・・」
神様「グビッ・・・ 私の求めるコーラとなんか違う・・・」シュン
855: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:39:43 ID:HlEed/9g
── 翌日
チュンチュン
神使「神様? 朝ですよ?」ユサユサ
神様「ん〜 あと6時間・・・」
神使「またそんなことを言って・・・ ほら、起きて下さい」ユサユサ
神様「も〜 分かったよ」ムニャムニャ
神使「お着物用意しておきましたので早く着替えちゃって下さい」
神様「Tシャツと短パンが良い」
神使「ダメです。 正装でお願いします」
神様「正装ったって普通の巫女装束じゃん・・・」
神使「神様は階位的にこれしか支給されておりませんのでこれが正装です」
856: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:41:11 ID:HlEed/9g
神様「私もさすがに神用の装束揃えてもらおうかなぁ〜」
神使「安い物でも20万はしますよ? 買えるんですか?」
神様「え? 神宮が買ってくれるんじゃないの?」
神使「財政難らしくて今年から神と神使の服は全部自腹です」
神様「マジかよ!」
神使「神様の襦袢とか足袋とかも全部自費購入なんですから大切にして下さいね?」
神様「神に厳しい時代だな〜」
857: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:42:45 ID:HlEed/9g
――― フロント
神使「すいませ〜ん」
シーン
神様「誰もいないな」
神使「連泊の予約してますし、このまま外出しちゃいますか」
神様「え〜 ここで連泊するの〜?」
神使「この村には旅館がここしかないようでして・・・」
神様「ふ〜ん、んじゃ行くか」
神使「あっ、こわこわ神社に行く前に村役場へ行きますので」
神様「役場?」
神使「はい、神宮から一度役場に行けと言われておりまして」
神様「何しに行くんだよ」
神使「さぁ、ただ最初に村長へ挨拶をしろとだけ・・・」
神様「村長? なんか引っかかるなぁ」
858: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:43:25 ID:HlEed/9g
――村役場
神使「すいません、神宮から参りました神使と申しますが」
受付「神宮? ・・・なんでしょうか」
神使「村長さんはいらっしゃいますでしょうか」
受付「ご用件は?」
神使「神宮より村長さんにご挨拶をするように言われておりまして」
受付「少々お待ち下さい、確認いたします」
859: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:44:44 ID:HlEed/9g
神様「・・・・・・」ジィー
神使「神様、何を見ているんですか?」
神様「あの写真」
神使「村長さんみたいですね」
神様「あれ、前に神宮にいた神主じゃないか?」
神使「え?」
神様「ほら、二年くらい前まで外宮にいた民俗学研究担当の」
神使「そう言われれば・・・」
860: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:47:03 ID:HlEed/9g
受付「お待たせいたしました」
神使「あっ、はい」
受付「村長はこわこわ神社の方に行っているようです」
神使「こわこわ神社に?」
受付「はい」
神使「神様、どういたしましょうか」
神様「ねぇ、今の村長さんっていつから村長やってんの?」
受付「一年前からです」
神様「この村の人?」
受付「いえ、たしか伊勢の方だったと」
神様「ふ〜ん」
神使「やはり外宮の神職でしょうか」
神様「・・・取りあえずこわこわ神社に行こう」
神使「分かりました」
861: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:48:25 ID:HlEed/9g
テクテク
神様「あちぃ〜 やっぱTシャツ短パンにすれば良かった・・・」
神使「そんな格好で公務をするのは神の品位に関わりますので」
神様「巫女装束あっちーんだよ! スケスケした巫女服買ってくれよ!」
神使「スケスケの服なんてもっとダメです。 それに、神様はそういうの似合いませんよ?」
神様「うっせーよ犬ころ! 私だって女神なんだからスケスケした服で男どもを悩殺することくらいできるわ!」
神使「それは、神の仕事では無いと思うのですが・・・」
神様「ったく。それにしても暑いな〜 汗だくだくだよ」フキフキ
神使「神様・・・ 袖で汗をぬぐわないで下さい」
神様「あ? じゃぁどうすんだよ」フキフキ
862: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:49:44 ID:HlEed/9g
神使「ハンカチ持ってきてないんですか?」
神様「お前の服が私のハンカチだ〜」ガシッ
神使「ちょ! 離れて下さい!」
神様「ふわ〜 私の汗がお前の服に吸われる〜」スリスリ
神使「いい加減にして下さい! はい、ハンカチです」スッ
神様「ん」フキフキ
神使「もぉ〜 男性に抱きつくなんて、はしたないですよ?」
神様「いい年して照れてんじゃねーよ」フキフキ
神使「いい年してもう少し恥じらいを持って下さい」ハァ
神様「ん? お前のハンカチ良いにおいするな」クンクン
神使「香り袋と一緒に置いておいたので、その香りかと」
863: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 02:50:59 ID:HlEed/9g
神様「お前って結構オシャレさんなのな」
神使「嗜みです。 神様も少し気を遣われた方がよろしいですよ?」
神様「わたし汗臭い?」クンクン
神使「そのようなことはございませんが・・・ やはり神としての品格を・・・」
神様「私に品格を求めても仕方ないだろ」
神使「・・・・・・」
神様「それよりまだ着かないのか? これ以上歩いたら暑くて溶けちゃう」
神使「あっ、あれが“こわこわ神社”じゃないでしょうか」
864: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 22:56:34 ID:HlEed/9g
スタスタ
神様「お〜 以外とでかいな。 それに廃神社と思えないほど綺麗だけど・・・ あれ? ここって・・・」
神使「神様このお社知っているんですか?」
神様「えっ? いや・・・ 気のせいかな」
神使「?」
神様「それより、あそこに誰かいるぞ」
神使「村長さんでしょうか・・・」
神様「やっぱあれ外宮にいた神主だよ」
神使「そうですね、とても似ています」
865: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 22:58:26 ID:HlEed/9g
―― こわこわ神社
神使「あの〜、すいませんが・・・」
役場職員「はい、どうされました?」
神使「ここって、こわこわ神社で間違いないでしょうか?」
村長「そうですが・・・ どちら様で?」
神使「申し遅れました。 私、神宮から参りました神使と申します」
役場職員「神宮・・・ こちらのお嬢ちゃんは?」
神様「神様だ!」
神使「神力ゼロですが・・・」
村長「神様!?」ハッ
神様「おや? 私のことを知ってるの?」
村長「・・・・・・」
866: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:06:08 ID:HlEed/9g
神様「やっぱり外宮にいた神主か」
役場職員「村長・・・」
村長「え? あぁ・・・ すまないが席を外してもらえないか?」
役場職員「分かりました。先に役場に戻ってます」
神様「神主やめて村長になったのか?」
村長「ご無沙汰しております、神様」フカブカ
神使「私、神様の使いで狛犬の神使と申します」
村長「神宮で何度かお見かけいたしました」フカブカ
神様「訳ありっぽいな、理由を聞いても?」
村長「はい・・・ 社務所でもよろしいでしょうか」
神様「オッケ〜」
867: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:08:08 ID:HlEed/9g
―― 社務所
村長「わざわざ神様が出向くなど、そんなに深刻な状況でしょうか」
神使「神宮からこわこわ神社を調べるように命を受けまして」
村長「・・・・・・」
神様「私は神力が使えないから正確には分からないけど、この近辺に神が居るな」
村長「!?」
神使「え? 神がいるんですか!?」
神様「あぁ、けど何か変だ」
神使「変と言いますと?」
神様「私が神にした覚えがない、というより別の方法で神・・・ いや神に近い存在になった感じだな」
神使「そんなことあるんですか?」
神様「話を聞こうか、村長」
村長「・・・はい」
868: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:09:19 ID:HlEed/9g
村長「私は二年ほど前から外宮の宮司様の命を受けこの村を調査しております」
神様「外宮の宮司?」
神使「先日神様が失脚させた次期大宮司さまですね」
神様「人聞き悪いなお前」ゲシッ
村長「先ほど神様が仰ったとおり、この村に特殊な方法で神となった者がいるということで調査のために来たのです」
神使「特殊な方法?」
村長「はい、外宮宮司からはその方法を調べるよう命を受けました」
神様「なるほどね。 私を通さなくても神になる方法があればあいつが知りたがるのも無理はないか」
神使「そんなこと可能なのですか?」
村長「それが・・・ 調べるどころか、その神にすら会えない状況でして」
神様「会えない?」
869: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:10:34 ID:HlEed/9g
神使「神職が神に会えないとは珍しいですね・・・」
村長「どうも存在を知る一部の村民が極秘にしているらしく」
神使「極秘ですか」
村長「そこで村の長としてこの村に入れば調べることができるのではと、外宮宮司が・・・ その・・・ 工作をして、一年前に私を村長に」
神様「アイツ・・・ そういうところは徹底してるよな」
神使「でもまだその存在を確認できないと?」
村長「はい」
神使「まさか、昨日の旅館での出来事と関係あるのでしょうか」
村長「何か不審なことでも?」
神様「女将さんに心霊現象もどきを味合わせられた」
村長「・・・そうでしたか」
870: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:11:45 ID:HlEed/9g
神使「何かご存じで?」
村長「旅館の女将さんは、神もどきの事情を知っていると私は睨んでいます」
神使「女将さんがなぜそんな細工をする必要が・・・」
神様「神もどきの存在を知られたくないんだろ」
村長「えぇ。 噂を聞きつけこの地に入った者を追い返す方法の一つかと思います」
神使「なるほど」
村長「それと、昨日の夜にこの神社で極秘の祭儀が一部の村民で行われたと情報を聞きました」
神使「それで村長さんはこちらに来られたのですか?」
村長「はい、何か手がかりになる物でもあればと思いまして」
神使「神様、どう思われます?」
神様「う〜ん、その神もどきは間違いなくいる。 今もかなり近くに居る気配は感じる」
村長「!?」
871: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:12:25 ID:HlEed/9g
神使「失礼ながら、神力が強い神の方に来ていただいた方がよろしい気がするのですが・・・」
神様「あまり事を大きくしない方が良い気がする」
神使「どういうことですか?」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
神様「さて、ちょっと境内を案内してもらえるか?」
村長「承知いたしました」
872: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:13:17 ID:HlEed/9g
―― 本殿
ギィー
村長「こちらが本殿です」
神使「廃神社とは思えないくらい綺麗ですね」
村長「暇を見つけて私が掃除を・・・ これでも神職ですので」
神使「ご苦労様です」
神様「ご神体が無いみたいだけど?」キョロキョロ
村長「ご神体は私が来てすぐに消失してしまいまして」
神様「・・・・・・」
873: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:14:14 ID:HlEed/9g
村長「これは無くなる前に撮った写真ですが」ピラッ
神使「拝見いたします」
神様「どれどれ」ヒョコ
神使「女神さまの像でしょうか・・・」
神様「うげっ・・・・・・」
神使「神様ご存じですか?」
神様「私だ」
神使「はい?」
神様「私! かわゆい神ちゃん像」
村長・神使「・・・・・・」
874: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:16:05 ID:HlEed/9g
神使「なるほど、今回の事件の謎がすべて解けました」
村長「え?」
神使「神様って、ご神体でも問題児なんですね」
神様「うわっ、何それ! お前、私が悪いって言うのか!?」
神使「神様? 今回の件、何かお心当たりはございませんか?」
神様「ちょ、待てよ! なに、そのまた神様ですか? みたいな目!」
神使「しかし、神様のご神体なんて・・・ 初めて見ました」
神様「ほほほっ、私を奉るなんて良い心がけじゃないか」
村長「このご神体ですが、元は別の場所にあった物かと思われます」
神使「別の場所?」
村長「はい、150年ほど前まで“わらわら神社”で祭られていたご神体と似ています」
神様「」ピクッ
875: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:17:17 ID:HlEed/9g
神使「わらわら神社?」
村長「えぇ、芸の神様をお祭りしている神社です」
神使「そ、そうだな! 私は芸達者だからな」
村長「その・・・ お笑いの神様として有名です」
神様「・・・・・・」
神使「ぷっ」
神様「てめぇ犬ころ! 今笑ったな!」
神使「さすが神様、お似合いです」
神様「神罰」ゲシッ! ゲシッ! ゲシッ!
神使「痛い! 神様、本気蹴りはやめて下さい」
876: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:18:22 ID:HlEed/9g
神様「ハァ〜 でも、村長さぁ」
村長「はい」
神様「お前に調査の命を出した外宮の宮司はもう神宮にいないし、神宮帰ってもいいよ?」
村長「・・・ 神宮からもそう言われております」
神使「なにか問題でも?」
村長「神職としてこの村で起こっている出来事は放っておくわけにも行かず・・・ 民俗学的にも興味がありまして・・・」
神使「そうですよね」
神様「真面目だね〜」
神使「原因は神様でしょうから、過去の神様の行動をたどれば解決するのでは?」
神様「お前、本当に私が犯人って思ってるわけ?」
神使「100%間違いないと思います」
神様「・・・・・・」チッ
877: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:19:34 ID:HlEed/9g
神使「村長さん、調べたことで分かっていることを教えていただけますか?」
村長「はい。 村に伝わる過去の文献に150年前に一人の女神様が立ち寄られたと記載がありました」
神使「神様ですね。 お心当たりは?」
神様「ない!」プイッ
村長「その女神様は、お腹が空いていたようで牡蠣ご飯を頂く代わりに由緒あるご神体をお預けになると約束をしたそうです」
神使「牡蠣ご飯ですか・・・」チラッ
神様「うっ・・・ 私じゃ・・・ ない・・・」
神使「神様の好物は?」
神様「コーラ・・・」
神使「食べ物です」
神様「・・・二枚貝」
神使「牡蠣ですよね?」
神様「ハマグリも好き・・・」
878: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:21:17 ID:HlEed/9g
村長「・・・女神様は毎日のように牡蠣ご飯をねだり、困り果てた村人たちが神様が夜寝ている間に隣村に捨ててきたそうです」
神使「神様・・・ そんなに牡蠣ご飯をねだったのですか?」
神様「そんなにねだってねーよ! それにヤツらご神体を奪って私を隣町の廃神社に捨てたんだぞ!」
村長・神使「・・・・・・」
神様「ぁ・・・」
神使「やっぱり・・・」ハァ
神様「てへっ!」
神使「神宮にバレるとマズいことがあるのですね?」
神様「はい」
神使「具体的にどのあたりが?」
神様「神力がたっぷり入ったご神体をまるっと取られました」
神使「わらわら神社のご神体ですね?」
神様「そんな名前の神社だったような気がします」
879: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:22:44 ID:HlEed/9g
村長「しかし、なぜ神様が自身のご神体などお持ちだったのですか?」
神様「分社を作ろうと思いまして・・・」
神使「分社!?」
神様「すいません、出来心だったんです。 反省してます」ドゲザ
神使「・・・・・・」
神様「だから神宮には黙ってて! マジで怒られる! シャレにならない!」
神使「村長、どうされますか?」
村長「神様がそこまで言うのでしたら・・・ 私は何も・・・」
神様「マジで! ありがとう村長! 何でも言うこと聞く!」
神使「ハァ〜 やはり解決しないと帰れませんね・・・」
神様「女将さんを拉致して吐かせりゃ良いんだろ」ポキポキ
神使「そんなことダメに決まっているじゃないですか・・・」
880: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:23:34 ID:HlEed/9g
村長「神もどきの原因はそのご神体ということでしょうか」
神使「はい、神様が無くしたご神体の神力が原因でしょうね」
神様「無くしたんじゃない! 取られたの!」
神使「今となっては確認のしようがございませんのでどちらでも良いのですが」
神様「酷っ!」
神使「神様、神もどきに関しては何かご存じですか?」
神様「知らな〜い」
神使「ご神体の神力が人に移ってしまったという事は考えられませんか?」
神様「そんなことで神力が人に移るわけ無いじゃん」
村長「ご神体の一部を体内に取り込めば可能性はございますか?」
神様「あ〜 それなら可能性はあるかもね。 でも私と同じ波長を持った人なんてそんなにいないと思うけど」
881: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:24:21 ID:HlEed/9g
神使「神様と同じ波長を持った人であれば可能なんですか?」
神様「まぁ、そうね・・・ でも数千年の中で2人しかいなかったよ?」
神使「そんなに少ないんですか・・・」
神様「うん、特に神もどきは私の神力をそのまま受け入れているっぽいし・・・ 結構すごい人なんじゃないの?」
神使「まぁ・・・ 神様の凄さは確かに否定はいたしませんが・・・」
神様「素直に私は立派でかわゆい理想の女神だって事を受け入れろよ!」
882: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:25:19 ID:HlEed/9g
ガサゴソ
神使「?」
村長「あ〜 狸ですね。 この神社によく出るんですよ」
神使「へぇ、かわいいですね」
神様「・・・・・・マジかよ」
神使「あれ? 神様は狸さんが苦手ですか?」
神様「あの狸・・・ 私の神力持ってる・・・」
村長・神使「・・・・・・」
神使「あの・・・ どういう事でしょうか?」
神様「あの狸を確保!」ダッ
神使「え? ちょ神様?!」
883: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:26:09 ID:HlEed/9g
── 境内
神様「まてコラ〜!」ダッ ダッ ダッ
狸「!?」タッ タッ タッ
神使「神様〜 一体どういう事です〜」タッ タッ タッ
神様「待て〜 うぎゃっ!」ビタンッ
神使「大丈夫ですか神様? 派手に転びましたね・・・」
神様「痛い・・・」グスッ
村長「逃げてしまいましたか」
神様「くそっ! あの狸め!」グヌヌ
884: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/24(日) 23:27:32 ID:HlEed/9g
神使「あ〜神様、巫女装束ボロボロですよ・・・」
神様「やべっ! 私のおべべが・・・」
神使「新調しないとダメですね」
神様「神宮持ち?」
神使「自腹です」
神様「うそ! 狸! 弁償しろよ!!」グスッ
村長「まさか、神もどきの正体が狸だったとは・・・」
神使「あの狸さんは神様と同じ波長を持っていたと言うことになりますね・・・」
神様「・・・・・・」
神使「神様って狸さんと同じレベ―――」
神様「てめー、その先言ったら地球の裏側まで蹴り飛ばすぞ!」
村長「・・・取りあえず、対策は明日にでも考えましょう」
885: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:06:57 ID:r3J1jPRQ
――― 旅館
神様「ハァ〜 おうち帰りたい」グテー
神使「・・・・・・」ペラ
神様「?」チラッ
神使「・・・・・・」ペラ
神様「ねぇねぇ、何見てんの?」ヒョコ
神使「神様の新しい巫女装束の注文をするのにカタログを見ているんです」
神様「ふ〜ん」
神使「今回から自費購入となりますので・・・」
神様「あ〜・・・ 金ないし安いので良いぞ」
886: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:07:38 ID:r3J1jPRQ
神使「しかし、頻繁に着る物ですしあまり安いと見た目も・・・」
神様「スケスケのやつが良い」
神使「ダメです」
神様「お? これ安いじゃん」
神使「あまり素材が良くないですよ?」
神様「十分だよ。 今まで神宮から支給されていたヤツだって安っすいヤツだろ?」
神使「では、私もこれにしますか」
神様「お前も買うの?」
神使「はい、ついでにと思いまして」
887: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:08:15 ID:r3J1jPRQ
神様「・・・お前、今着てるのって良いやつだよな」
神使「?」
神様「さっきスリスリした時、肌触りが違った」
神使「よくそこまで分かりましたね・・・」
神様「・・・お前のそれと同じヤツで良い」
神使「結構しますが・・・」
神様「ん? いくら?」
神使「白衣と袴を合わせて12万です」
神様「・・・お、おう」
神使「無理なさらなくても、私も神様と合わせますので」
神様「いや、それで良い。 私のカードで買ってくれ」シャキーン
888: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:09:00 ID:r3J1jPRQ
神使「大丈夫ですか?」
神様「お前の分と合わせて12回払いで頼む」
神使「え? 私の分は自分で支払いしますが」
神様「いや、私が買う。 お前が私の神使になってそろそろ4年目だ。 プレゼントって事で受け取ってくれ」
神使「神様・・・」
神様「ついでに今回の件を神宮に報告しないという口止め料も込みだ。 そこを忘れるなよ?」
神使「ふふっ」
神様「何だよ・・・」
神使「では、ありがたくお受けいたします」
神様「買収されるのにありがたいとかあるのか?」
神使「はい、とても嬉しい買収です」ニコッ
神様「・・・寝る!」モソモソ
神使「ありがとうございます、神様」ボソッ
神様「・・・・・・」モソモソ
889: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:09:31 ID:r3J1jPRQ
――― 翌日
神使「神様! 神様!」ユッサ ユッサ
神様「なんだよ〜 もう少し優しく起こせよ・・・」ムニャムニャ
神使「狸さんを捕まえたそうです!」
神様「よっしゃ! 神使よ、私の正装を!」ガバッ
神使「ボロボロですが・・・」
神様「あぁ・・・ Tシャツと短パンで・・・」
890: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:10:20 ID:r3J1jPRQ
――― こわこわ神社
神様「うわっ、なんか人だかりができてるぞ」
神使「警察もいますね」
村人「入れろよ!」
警官「ダメです。 近づかないで下さい」
女将「お願いです! 入れて下さい!」
警官「ダメダメ」
神使「すいません、関係者ですが中に入れてもらえないでしょうか」
警官「関係者? どちらさん?」
神使「神社を管理しております神宮の者なのですが」
警官「神宮?」
891: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:11:22 ID:r3J1jPRQ
村長「あっ、神使様」スタスタ
警官「村長さん」
村長「関係者の方です。 入れてあげて下さい」
警官「はぁ・・・ どうぞ」
神使「ありがとうございます」
神様「どうも〜」
警官「おっと、お嬢ちゃんはダメだよ」
神様「私も関係者! 神宮の者!」
警官「その格好で?」
神様「・・・・・・装束汚れちゃったんだもん」ブーブー
村長「そちらの方も入れて下さい」
警官「・・・・・・どうぞ」
神様「サンキュー」スタスタ
892: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:11:58 ID:r3J1jPRQ
女将「私たちも関係者です!」
警官「ダメだって言ってんでしょ」
村人「神罰が下るぞ!」
神使「村長さん、これは一体・・・」
村長「狸狩りをしているところを村人に見つかってしまいまして・・・」
神様「あ〜 それでこんななってんのか」
神使「狸さんが捕まったと伺いましたが」
村長「はい、社務所にいます。 どうぞ」
スタスタ
893: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:12:50 ID:r3J1jPRQ
── 社務所
神様・神使「・・・・・・」
神使「あの、これは・・・」
村長「8匹捕まえましたが、どれが神力を持った狸か分からずでして」
神使「神様、お分かりになりますか?」
神様「え? う〜ん・・・ あっ、あの右端のヤツ!」
狸「!?」
神様「さてと、ハロ〜 たぬちゃ〜ん」
狸「・・・・・・」
神使「神様、いくら何でも言葉は通じないと思うのですが・・・」
神様「そうかな〜?」ゴソゴソ
神使「何してるんです?」
894: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:13:49 ID:r3J1jPRQ
神様「これな〜んだ」
狸「!?」
神使「牡蠣せんべい?」
狸「くれ!」
神使・村長「・・・・・・」
神様「やっぱり」ニヤッ
狸「あっ!」
村長「狸がしゃべった・・・」
狸「私には“たぬ吉”という名がある」
神使・村長「・・・・・・」
895: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:14:27 ID:r3J1jPRQ
神様「おい、たぬ吉さんよ〜」
たぬ吉「なんだ」
神様「お前、私のかわゆい神ちゃん象どこに隠したんだ?」
たぬ吉「知らん」
神様「この煎餅、牡蠣が丸ごと入ってんだよ。 おいしいぞ?」
たぬ吉「旅館の女将が持ってる」
神様「ほぉ」
たぬ吉「その煎餅くれ!」
神様「ほれ」
たぬ吉「うまい!」ムシャムシャ
896: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:15:04 ID:r3J1jPRQ
神使「神様、これは一体・・・」
神様「神力の影響だ」
神使「言葉をしゃべると言うことは神使と同じと言うことですか?」
神様「いや、神使になる過程をすっ飛ばして神になったな。 お前人の姿になれるか?」
たぬ吉「私はただしゃべることができる狸なだけだ」
村長「こんなことって・・・」
神使「どうされるんですか? 神様」
神様「おい、たぬ吉」
たぬ吉「なんだ」
神様「お前、どうしたい?」
たぬ吉「どうとは?」
神様「・・・・・・」
897: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:15:51 ID:r3J1jPRQ
たぬ吉「私は普通の生活に戻りたい、しかしここの村民の願いも叶えてやりたい」
神様「願い?」
たぬ吉「この村は見ての通り何も無い退屈な所だ。 年に数回の神事が皆の唯一の楽しみだからな」
村長「神事というのは?」
たぬ吉「わらわい神事」
神使「わらわい神事?」
たぬ吉「明日が本祭の予定だ」
神様「どんな神事だ?」
たぬ吉「参加してみるか?」
神様「・・・・・・明日夜に来れば良いんだな?」
898: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:16:49 ID:r3J1jPRQ
神使「神様、まさか・・・」
神様「ご神体が無い状況じゃどうしようもない。 村長、たぬ吉を一度解放してやってくれ」
村長「神様がそれでよろしければ」
たぬ吉「うむ」
神使「このまま解放して大丈夫でしょうか・・・」
神様「大丈夫だ」
たぬ吉「この力はお嬢ちゃんの物なんだろ?」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「明日の神事後に私から力を抜くのであれば従う。 元々私の力じゃないしな」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「それでは、明日会おう」テクテク
899: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:18:17 ID:r3J1jPRQ
――― 境内
女将「あっ、たぬ吉様!」
村人「ご無事か!」
狸「・・・・・・」タッ タッ タッ
女将「あなたたち一体・・・」
神様「私は、神宮に籍を置く神だ」
女将「!?」
神様「こっちは、私の神使で狛犬」
神使「神様の使いで狛犬の神使と申します」
村人「神と神使だぁ?」
900: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:19:24 ID:r3J1jPRQ
神様「神使よ、狛犬になれ」
神使「はい」ボンッ
女将・村民「!?」
神様「納得したか?」
女将「うそ・・・」
神様「お前たちが崇めるたぬ吉が神としてふさわしいかを明日確認させてもらう」
女将「・・・・・・」
村人「よそ者が何を!」
神様「あれは正式な手順を踏まずに神の力を得た。 これはあってはならない事だ」キリッ
村人「・・・・・・」
神様「明日の神事如何で今後の対応を決めることにした。 決定は覆らない」
女将「・・・・・・」
901: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/26(火) 01:20:12 ID:r3J1jPRQ
神様「いくぞ、神使」
神使「はい」
神様「村長、車を」
村長「え? 神様?」
スタスタ
神使「偉そうな事を言ってますが、元凶は神様ですよ? 分かってます?」ボソッ
神様「うっせー、あいつらに聞こえるだろ! ここは格好つける場面だ、黙ってろ!」
村長「神様? 私、車で来ていないのですが・・・」ボソッ
神様「・・・・・・」
903: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:21:02 ID:TANvLE/A
――― 翌日・こわこわ神社
神使「結構大勢の村の方がいますね」
神様「これだけの人数がいてよく今まで極秘にできたな」
村長「村のほとんどの人間がいるとは・・・」
女将「わらわい神事へようこそ。 本日は半年に一度の本祭、存分に楽しんで下さい」
ワーワー
ガヤガヤ
神使「申し訳ございません、一体どのような神事なのでしょうか?」
女将「今日の本祭は、たぬ吉さまがお話しになる笑い話を最後まで拝聴する神事です」
神様「はい?」
女将「途中で笑ったら即退場。 笑いをこらえた者だけが、たぬ吉さまのお話を最後まで聞くことができるんです」
神使「はぁ・・・」
村人「たぬ吉さまのお話は、爆笑必至だ。 気を許すと一発で退場だぞ」
神様「・・・・・・」
904: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:21:53 ID:TANvLE/A
女将「前の方の席を空けますので座ってお聞きになりますか?」
神様「いや、私たちは後ろで立って聞くから気にしないでくれ」
女将「分かりました」スタスタ
神使「神様、座らなくてもよろしいんですか?」
神様「私たちは部外者だ。 わきまえろ」
神使「失礼いたしました」
女将「それでは! たぬ吉さま〜 ご入場〜」
トテトテ
たぬ吉「始める」
神様「早っ」ズコッ
905: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:23:16 ID:TANvLE/A
たぬ吉「神宮に一人の女神さまがいたそうだ」
神様「」ピクッ
女将「神ちゃんシリーズだわ! これは爆笑必至ね」
村人「俺、このシリーズ最後まで聞いたこと無いんだ。 今日は絶対こらえてみせる!」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「女神さまは神力が使えず神宮の神職から役立たずと罵られていたが、持ち前の明るさで毎日元気に過ごしていた」
たぬ吉「ある日女神さまは自身の分社を作ろうと、わらわら神社からご神体を借り受けて別の神社に向かっていたそうだ」
神使「(このお話ってもしかして・・・)」チラッ
神様「なんだ?」ギロッ
神使「・・・・・・いえ」
906: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:24:17 ID:TANvLE/A
たぬ吉「女神さまは途中・・・ この村に立ち寄った」
女将「この村のお話!?」
ザワザワ
たぬ吉「数百年ぶりに村に神様がお越し下さった! 村人は女神さまにおもてなしを沢山した」
たぬ吉「女神さまの好物が牡蠣であることを知れば牡蠣ご飯を用意し、甘い飲み物が好きと知ればうんと甘い飲み物を献上した」
神様「・・・・・・」
たぬ吉「数日後、女神さまはこの村をたつため本殿の扉を開けると、そこに一匹の狸が倒れていた」
たぬ吉「そう・・・ この神社の本殿・・・ 神宮から来たお嬢ちゃんが立っている場所だった」
神様「・・・・・・」
907: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:25:22 ID:TANvLE/A
たぬ吉「狸は、とある事情でまもなく死を迎えようとしていたそうだ」
たぬ吉「女神さまは、その狸に自身のご神体の一部をなんの躊躇もなく割って飲み込ませた」
たぬ吉「狸の体を女神さまの優しさが包み込んだ」
たぬ吉「女神さまは、その狸が回復するのを待つまでこの村に残ると言ってくれた」
たぬ吉「村人たちは、そんなことなど露知らず・・・ いつまでたっても居座る女神さまに不信感を募らせていった」
たぬ吉「裕福でない村は神様の食事を献上するのが大変だったのだ」
たぬ吉「女神さまは献上はしなくて良いと何度も話をしたが、神罰におびえる村人は牡蠣ご飯を献上し続けた」
たぬ吉「女神さまは、献上された牡蠣ご飯を狸にすべて与えてくれた」
たぬ吉「なんとか命の危機を脱した狸が女神さまにお礼をしようとしたその時・・・」
村人「」ゴクリ
908: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:27:01 ID:TANvLE/A
たぬ吉「女神さまは村人に捕らえられ、隣町まで連れて行かれてしまったそうだ」
たぬ吉「狸は村人を恨んだ・・・ 自分を死の淵に追いやるだけでなく、命を救って下さった心優しい女神さまにこんな仕打ちをするなんて・・・」
たぬ吉「しかし狸の中にある女神さまの神力は、そんな村人を全く恨んでなどいなかった・・・」
神使「・・・・・・」
たぬ吉「女神さま・・・」トテトテ
神様「?」
たぬ吉「命をお助けいただきありがとうございます」チョコン
神様「・・・・・・」
女将「!? 女神さまって!」
村人「この女の子が・・・!?」
ザワザワ
909: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:27:51 ID:TANvLE/A
たぬ吉「私は、あのとき以来ずっと村人のみんなを笑顔にするために生きてきました」
たぬ吉「みんなの笑顔が私の何よりの宝物でした」
神様「そうか・・・」
たぬ吉「ご神体の神力をお返しいたします」
神様「・・・・・・」
女将「たぬ吉さま!」
村人「そんな・・・」
神様「今のお前から神力を抜くと死ぬぞ?」
たぬ吉「心得ております」
神様「覚悟の上か・・・」
神使「神様・・・」
910: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:28:44 ID:TANvLE/A
神様「神勅を申し伝える!」
一同「!?」
神様「私、神様は“たぬ吉”をこわこわ神社の主神として任命する!」
たぬ吉「なっ・・・!」
神様「たぬ吉よ、お前は本日をもって神籍に登録。 神階を従三位とする」
神様「村人達よ、たぬ吉は人の姿を持たぬ特殊な神だ。 皆でたぬ吉を守ってやってくれ」
女将「女神さま・・・」
911: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:29:23 ID:TANvLE/A
神様「村長」
村長「はい」
神様「申し訳けないが、もうしばらくこの村に残ってこの社の宮司を兼任してくれるか?」
村長「しかとお受けいたしました」フカブカ
神様「あ〜 それと、神宮には・・・」
村長「承知しております。 私からは一切報告の方は行いません」
神様「すまない」
神様「神使よ」
神使「はい」
神様「神籍登録を神宮に通達せよ」
神使「承知いたしました」フカブカ
神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた」
912: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:30:22 ID:TANvLE/A
神様「私たちは失礼する。 皆、神事を続けて大いに楽しんでくれ」
たぬ吉「・・・・・・」
神様「たぬ吉、酷かもしれないがお前の役目末永く続けよ」
神様「行くぞ、神使」
神使「神様、ご神体の方は・・・」
神様「もう100年以上この神社にあるんだ。 この村の物だ」
たぬ吉「女神さま・・・」
神様「今日からお前と私は同じ神だ。 神には上も下もない。 さま付けはやめろ」
たぬ吉「はい、かわゆい神ちゃん」
神様「!? たぬ吉! お前が初めてだ! 私をそう呼んでくれたのは!!」ウルウル
913: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:30:58 ID:TANvLE/A
─── 旅館
神使「ただいま戻りました」
若旦那「お帰りなさいまし。 神使様宛にお荷物が届いております」
神使「ありがとうございます」
神様「荷物?」
神使「昨日注文した新しい装束ですね」
神様「あ〜」
914: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:31:59 ID:TANvLE/A
――― 旅館・お部屋
神様「早く見せろよ、新しい巫女服♪」
神使「はいはい」ゴソゴソ
神様「お〜 朱色が濃いな。 肌触りもいいね〜」スリスリ
神使「それと、こちらも神様の物です」
神様「?」
神使「神用のご装束です」
神様「え? 私注文してないぞ?」
神使「私からのプレゼントです」
神様「マジかよ!」
神使「神様のご希望通り、少しスケスケした物ですが・・・ まぁ巫女装束の上からであれば大丈夫でしょう」
神様「うわ〜 これ高かったんじゃない?」
915: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:32:41 ID:TANvLE/A
神使「私、お仕えする神が神様で今日は本当に誇りに思いました」
神様「あ?」
神使「どうして他の神々の皆様が神様のことを大切に思っているのか、なんとなく分かった気がします」
神様「・・・・・・」
神使「ですから、どうぞ受け取って下さい」
神様「そうか・・・」
神使「大切にして下さいよ?」
神様「あぁ、私が神として責務を果たすときは必ずコレを着る」
神使「神様・・・」
神様「ありがとうな。 大切にする」ニコッ
916: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:33:27 ID:TANvLE/A
神使「さてと、それでは次の場所に行きましょうか」
神様「どこです?」
神使「着いてからのお楽しみです」
神様「・・・・・・もう、そういうの本当勘弁して下さい」
神使「さっ、準備して下さい。 早くしないと今日中に着きませんので」
神様「もしかして遠いの?」
神使「鈍行で4時間ほどかかりますので」
神様「やだ! 新幹線で行く!」
神使「そんなお金ありません。 行きますよ」ガシッ
神様「やだやだ! 鈍行で4時間なんてお尻なくなっちゃう!」ジタバタ
神使「この前12時間耐えたんですから4時間くらい大丈夫ですよ」
神様「たぬ吉ー! 助けてくれー!」ズルズル
917: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:34:58 ID:TANvLE/A
―― こわこわ神社
たぬ吉「そして、女神さまがオマルにまたがった次の瞬間!」
シーン
たぬ吉「・・・・・・」
たぬ吉「今回のお話は最後まで残った者はいなかったか」ハァ
たぬ吉「ここからが傑作なのにのぉ〜」
助けて〜 やだやだ、新幹線で行く〜
神様、もう遅いんですから外で大声出さないで下さい!
たぬ吉「・・・・・・神様、またお目にかかれる日を楽しみにしております」
たぬ吉「いつまでも明るく元気なかわゆい神ちゃんで・・・ 皆を幸せにしてあげて下さい」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#7 ―END
918: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/27(水) 01:36:12 ID:TANvLE/A
夏だし怖いの書こうと思ったのに1ミリも怖くない……
なんじゃそりゃ
ありがとうございました
919: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/07/27(水) 02:31:07 ID:nJIqq7NE
怖くはなかったが楽しい話だったよ。
乙乙。
920: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/07/27(水) 20:53:40 ID:L9D1rFU2
乙
今回も楽しませてもらった
神ちゃんや、もう少しスレが余っているようじゃが?
921: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/07/27(水) 22:08:25 ID:P9oE.qBk
次スレも神ちゃん見たい!
できれば狛犬が神になるまで続けてほしい
922: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:29:24 ID:fk.qfhc2
――― 車内
ガタンガタン
神様「あっ 海が見えるね・・・」
神使「砂浜が白くてとても綺麗ですよね」
神様「左側には山が広がってるね・・・」
神使「海の青と、山の緑。 とても美しいです」
神様「でも人がいないね・・・ 民家もさっきからないしね・・・」
神使「電車の中も私たちしかいませんね」ハハッ
神様「だからこんな田舎に来て何すんだよ! 腐れ犬ころ!!」ゲシッ
ファーン
ガタンガタン
923: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:29:57 ID:fk.qfhc2
〜あらすじ〜
神様「かわゆい神ちゃん」
神使(訳)「ダメ神です」
924: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:31:08 ID:fk.qfhc2
【#8】
プシュー
神使「神様、ホーム少し低いので気をつけて降りて下さい」
神様「ん」
神使「空気が美味しいですね」
神様「神使君さぁ、ここどこ?」
神使「ホームに駅名書いてませんか?」
神様「あ? 錆びてて読めねーよ」
神使「神使です」
神様「はい?」
神使「その・・・ 神使駅です」
神様「え? なにそれ」
神使「実家の・・・ 神使家の別荘がありまして・・・」
925: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:32:51 ID:fk.qfhc2
神様「もしかして、この駅って・・・ 神使家専用?」
神使「他に民家はありませんのでそうなりますね」
神様「そう・・・」
神使「あの山の上に家があります」
神様「神使君ってお金持ちのお坊ちゃま?」
神使「先祖から継いだだけですので」
神様「別荘って、誰かいるの?」
神使「私の妹がいます」
神様「は? お前の妹!?」
神使「はい。 普段は別の場所にいるんですが今日は神様をお連れすると言ったらこちらにと」
神様「はへ〜」
神使「さて、では行きましょうか」
神様「あ、うん・・・」
927: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:36:58 ID:fk.qfhc2
スタスタ
神様「でも、なんでお前ん家の別荘なんかに行くんだよ」
神使「夏休みです」
神様「え?」
神使「本日から1週間私たち夏休みとなります」
神様「うそ!」
神使「ですのでアルバイトをしようかと思いまして」
神様「お前の家で?」
神使「妹の手伝いですが」
神様「ちょっと待って、夏休みなのになんでアルバイトするの?」
神使「生活費が足りません」
神様「やだ! 夏休み遊びたい!」
928: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:37:55 ID:fk.qfhc2
神使「遊ぶお金あるんですか?」
神様「うっ」
神使「財布にいくら入っているんです?」
神様「・・・・・・」ジャラジャラ
神使「730円ですか」
神様「ぎ、銀行に行けば!」
神使「貯金が601円ありますね」
神様「・・・・・・」
神使「1週間私と神様で頑張ればバイト料を弾んでくれるそうです」
神様「あ〜 私の夏休みが・・・」
トテトテ
929: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 18:40:47 ID:fk.qfhc2
まだ全部書いてないですが、
短い予定なので数回で投下は終わらせたい……
そう思っているのであります。
931: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:19:54 ID:fk.qfhc2
>>930
二人とも神宮に籍ありです
その代わり可哀想なくらいの減給……
932: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:20:38 ID:fk.qfhc2
――― 神使家・別荘
神様「はぁっっっあ!?」
神使「どうされたんですか、大声なんて出して」
神様「家デカすぎだろ! それに神社建築じゃねぇかよ! お前の妹何者だよ!」
神使「妹は会社を経営しておりまして」
神様「まじかよ」
ピンポン♪
はい〜
神使「私です」
あっ お兄ちゃん? どうぞ〜
ギー
神使「どうぞ、神様」
神様「お、おう」
933: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:22:10 ID:fk.qfhc2
スタスタ
妹「お兄ちゃん久しぶり〜」
神使「元気でしたか?」
妹「うん」
神使「紹介します。 こちら私の主神で神様です」
神様「はじめまして、神様と申します」ペコリ
妹「お初にお目にかかります。 神使の妹と申します。 このような場所まで足をお運び頂きありがとうございます」フカブカ
神様「あっ、そんな畏まらないで下さい」
神使「どうされたんですか神様、随分よそよそしいじゃないですか」
神様「いや、なんとなく」
妹「どうぞ、お上がり下さい」
神使「さっ、神様どうぞ」
神様「はい。 お邪魔します」
934: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:23:53 ID:fk.qfhc2
――― 応接室
妹「ご連絡いただければお迎えに上がりましたのに申し訳けございません」
神様「いえ、気にしないで下さい」
神使「妹さん、神様は堅苦しいのが苦手なので気軽に接して下さい」
妹「でも・・・ 神宮の神さまなのに失礼じゃ・・・」
神様「畏まられるのは苦手ですのでフレンドリーに接してあげて下さい」
神使「神様も、いつも通りでよろしいんですよ?」
神様「そ、そうだな。 うん」
妹「分かった、よろしくお願いします。 神様」ペコッ
神様「よ、よろぴこ」
935: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:25:23 ID:fk.qfhc2
神様「そういえば、妹ちゃんは社長って聞いたけど」
神使「はい、お守りやおみくじなどを作って神社に卸しています」
神様「え? あれって神使家が作ってたの?」
神使「神使家と言うより妹の会社ですが」
神様「はぁ〜 ビックリした! あれどこで作ってんのかと思ってたんだよ」
神使「あまり大っぴらに言うことでもありませんので」
神様「犬ころ・・・ いや神使君の妹と言うことはやっぱ狛犬なんでしょ?」
妹「はい、一応神使籍に入っています」
神様「だれの神使なの?」
妹「・・・神様機構の長官さんです」
神様「あ〜・・・ そうなんだ」フム
妹「・・・・・・」
936: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:26:36 ID:fk.qfhc2
神使「神様、疲れたでしょうし少し横になりますか?」
神様「いや、バイトすんだろ?」
神使「大丈夫ですか? 結構疲れますけど」
神様「ところで何のバイトなの?」
神使「おみくじを折る作業です」
神様「え? おみくじ?」
妹「はい、一枚一枚手で折ります」
神様「面倒くさ」
神使「機械で作業しているところもあるようですが、妹の所では基本手作業なんです」
神様「そうなんだ〜 んじゃ早速始めますかね」
妹「でもお兄ちゃん、本当に神様にそんな作業をさせても良いの?」
神使「気にしないで下さい、神様はこういう事をするのが好きで慣れているので」
神様「そうそう、神宮では巫女の仕事しかさせてもらえてないし。 はははっ」ズーン
妹「で、では作業場へご案内します」
937: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:27:28 ID:fk.qfhc2
ガチャ
妹「こちらのお部屋をお使い下さい」
神様「!!」
神使「良い部屋ですね。 外の眺めが素晴らしいです」
神様「は〜 海一望できるじゃん! すげー」
妹「疲れたら海に行って息抜きでもして下さい」
神様「もしかして、あのビーチって・・・」
妹「神使家しか入れませんので貸し切りです」
神様「妹ちゃん、私と結婚しない? 嫁がせて?」
妹「え?」
神使「なに言っているんですか・・・ 作業始めますよ」
妹「ふふっ、じゃぁ何かあったら言ってねお兄ちゃん。 よろしくお願いします神様」ペコリ
ギィー ガチャ
938: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:28:12 ID:fk.qfhc2
神様「お前の妹、良い子だな」
神使「ありがとうございます」
神様「とても清楚で良家の箱入り娘って感じ」
神使「あまり褒めないで下さい。 ああ見えてすぐに調子に乗りますから・・・」
神様「ふ〜ん、で、折り折りするおみくじは?」
神使「あの箱です」
神様「・・・結構あるね」
神使「この時期は注文が特に多いようですので」
神様「まぁ夏休みで参拝客多いしな・・・」
939: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:29:34 ID:fk.qfhc2
――― 1時間後
神様「飽きた」
神使「え? まだ1時間ですよ?」
神様「外、良い天気だな〜 海水浴とか気持ちいいだろうな〜」
神使「…海行きますか?」
神様「ん〜 でも今から行っても時間も半端だよなぁ〜」
神使「神様今日はお昼寝されてませんから、少しお休みになります?」
神様「まだいっぱいあるし・・・ 続ける」オリオリ
940: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:30:18 ID:fk.qfhc2
――― 夕方
コンコン
神使「はい」
妹「どう? お兄ちゃん」
神使「久しぶりなので少し疲れますね」
妹「神様は?」
神使「そちらに・・・」
妹「?」
神様「ちかれた〜」グテッ
妹「ふふっ、夕飯にしましょうか」
神使「そうですね」
妹「お兄ちゃんから神様の好物を聞きましたので沢山ご用意いたしました」
神様「!?」バッ
941: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:31:03 ID:fk.qfhc2
神様「うひょ〜 貝づくし! 牡蠣もあるじゃん」
神使「豪勢ですね」
妹「沢山働いてもらわないといけませんからね」
神様「残さず全部食い尽くしてやる!」フンスッ
一同「いただきます!」
神様「うまい!!」パクパク
妹「どんどん食べて下さい」
神様「どんどん食べる」モグモグ
942: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:31:47 ID:fk.qfhc2
神様「でもさぁ〜 結構大変だよね、あれ」
神使「慣れないと大変ですよね」
神様「200枚しか折れなかった」
神使「もう少し頑張って下さい・・・」
神様「機械使って大量生産した方が良いんじゃない?」
妹「確かにその方が楽なんですが・・・」
神様「なにか理由があるの?」
妹「一枚一枚心を込めて折ったおみくじと、機械で折ったおみくじってなんか違うと思うんです」
神様「・・・・・・」
妹「神社にお納めしたおみくじに神さまが神力をお授けになって・・・」
妹「その後参拝者の方が手にする物ですので、作り手もきちんとしたいと思いまして」
神様「ごめん」
妹「え!?」
943: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:32:27 ID:fk.qfhc2
神様「さっき私が折ったおみくじ、買い取る」
神使「神様いきなりどうされたんですか?」
神様「私、心込めて折ってない」
妹「そんな、気になさらないで下さい」オロオロ
神様「ダメ、1枚いくら?」
妹「卸値は1枚2円ですからそんな気になさらずに」
神様「1枚2円!? そんなに安いの?」
妹「ですから、お気になさらずに」
神様「・・・・・・明日がんばります」シュン
神使「神様、そんなに気にする必要ございませんよ?」
神様「・・・うん」
944: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:33:32 ID:fk.qfhc2
妹「あっ、そうだ! 神様は和室と洋室どちらが良いですか?」
神様「ん?」
妹「寝室をご用意いたしますので」
神様「あ〜、私こいつ・・・ 神使君と一緒で」
妹「お兄ちゃんと?」
神使「主神とお付きの神使は、同行中一緒にいないといけない決まりがあるんですよ」
妹「あ〜 そうだったね」
神使「神様は恐ろしいほど寝相が悪いので和室にして下さい」
妹「寝相?」
神使「ベッドなんかで寝たら5分以内に転がり落ちます」
神使「落ちねーよ! でも、念のため和室でお願いします」
945: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:34:23 ID:fk.qfhc2
――― 寝室
妹「こちらが寝室です」
神様「・・・・・・すげー」
神使「あれ、畳張り替えたんですか?」
妹「うん、神様がお泊まりになるんだもん」
神使「わざわざありがとうございます」
妹「洗面所は突き当たりです。 ではお休みなさい、神様」
神様「おやすみ〜」
妹「お兄ちゃんも、おやすみ」
神使「おやすみなさい」
ギィー バタン
946: ◆8YCWQhLlF2 2016/07/31(日) 23:36:12 ID:fk.qfhc2
神様「寝るだけなのに広すぎだろ。 なんだよこの部屋は」
神使「すいません、神様は寝室が広いと緊張しちゃいますよね」
神様「お前、相変わらず刺々しいな」
神使「そうでしょうか?」
神様「まぁいいや」ポイポイ
神使「・・・・・・」
神様「うるせーよ、良いだろ下着姿でも!」ゲシッ
神使「何も言っていないのですが・・・」
神様「あっ、寝る前にお花もりもり摘んでくる」スタスタ
神使「ちょっと神様、さすがにその格好では!」
ギィー バタン
947: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:38:25 ID:z7QyLviE
ジャァー
神様「なんでトイレが神宮の私の部屋よりデカいんだよ・・・」
スタスタ
神様「あれ? 部屋ここだっけ?」
ギィー
妹「あっ、神様どうされました?」
神様「妹ちゃん、ごめん部屋間違えた」
妹「神様その格好!? もしかして浴衣気に入りませんでしたか?」
神様「あ〜 私寝るときいつもコレだから」
妹「・・・そ、そうでなんですか」
948: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:39:23 ID:z7QyLviE
神様「何やってんの?」
妹「えぇ、急に神宮からおみくじの追加が来たので」
神様「神宮から? 夜だよ?」
妹「はい、明後日までに6000枚入れて欲しいと」
神様「ストックの確認すらまともにできないのかよ・・・ 発注者って誰?」
妹「えぇと〜 巫女のA子さんという方から御発注書を頂いております」
神様「A子ちゃん・・・」
949: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:40:17 ID:z7QyLviE
神様「・・・・・・」
妹「神様?」
神様「手伝う」
妹「え? そんな大丈夫です」
神様「お願い、手伝わせて」
妹「でも」
神様「ちゃんと心込めて折るから! お願い!」
妹「では、お願いします」ニコッ
神様「・・・・・・」オリオリ
妹「・・・・・・」オリオリ
950: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:41:06 ID:z7QyLviE
――― 翌日・朝
チュンチュン
神様「これで最後!」オリオリ
妹「お疲れ様でした」
神様「いや〜 久しぶりに本気で仕事したよ」フー
妹「ありがとうございます。 朝一の宅急便で送れそうです」
神様「よかった」
妹「何かお飲みになりますか?」
神様「コーラある? 炭酸系」
妹「ありますよ」
スタスタ
951: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:41:56 ID:z7QyLviE
妹「はい、キンキンに冷えたコーラです」コトッ
神様「ひょ〜 仕事の後のコーラは格別なのよ」グビグビ
妹「いっぱいありますから好きなだけ飲んで下さいね」
神様「ぷは〜 うまい!」ゲップ
妹「ふふっ」
神様「あっ、ごめん。 はしたなかった・・・」
妹「気にしないで下さい」
神様「いつも神使に、はしたないからやめて下さい!って怒られてるんだよ」
妹「お兄ちゃんらしいなぁ。 いつも兄がお世話になってます」ペコッ
神様「いやいや、世話になってるのはこっちだし・・・」
神様「私、ダメ神で神階も低いから迷惑かけっぱなしで」
妹「お兄ちゃん神様のことすごく尊敬しているみたいですよ?」
952: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:44:25 ID:z7QyLviE
神様「あ〜 それ社交辞令だよ」
妹「そんなことないと思いますよ? あんなに楽しそうなお兄ちゃん見たの久しぶりだもん」
神様「そぉ? いつもと変わんないけど」
妹「じゃぁ、神様といるときはいつも楽しいんだと思います」
神様「あいつもこんなに良い家柄の息子なんだから、もっと神階が高い神の神使になれば良いのに」
妹「・・・・・・」
神様「どったの?」
妹「お兄ちゃん神様の神使になる前は、すごく位の高い神の神使だったんです」
神様「そうなの? 私あんまり神使君の過去聞いてないから」
妹「ならなら神社の主神さまだったと思います」
神様「あ〜 鹿の宮神だっけ。 アイツってそんなに神階高いんだ」
妹「はい、鹿の宮神様は正一位です。 お兄ちゃんは第二神使でした」
神様「ふ〜ん」
妹「色々と大変だったみたいですが・・・」
953: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:47:11 ID:z7QyLviE
神様「あそこも大きいからね〜 しがらみも多いだろうなぁ〜 あいつの苦労はなんとなく分かるわ」
妹「え?」
神様「神使の中でも優秀で名高い狛犬、しかもあいつは最高位だし良家出身となれば嫉妬もすごかっただろう」
妹「毎日つらかったと思います」
神様「妹ちゃんもでしょ?」
妹「・・・・・・」
神様「神様機構長官の神使だって聞いたから」
妹「長官はとても良い方です」
神様「まぁアイツは根っからの良い子ちゃんだしね。 でもね? 私の給減承認にポンポン判を押してるから。 だまされちゃダメ」
妹「減給?」
神様「お守りを三年間値引き販売したの。 あと賄賂とご神体紛失と・・・ それから〜」
妹「それは・・・ 長官が正しいかと・・・」
神様「うん、そうね・・・ 自分で言っててそう思った」シュン
954: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:48:29 ID:z7QyLviE
コンコン
ガチャッ
神使「神様ここにいたんですか」
神様「ん? あぁ」
神使「昨日はずっと戻ってこないので廊下で寝てしまったのかと思いました」
神様「そんなとこで寝ねーよ」
神使「うわっ、何ですか? このおみくじの山は」
妹「昨日の夜に急に発注が入って」
神使「妹さん、まさか神様を朝まで付き合わせたんですか?」
妹「ごめんなさい」シュン
神様「神宮から明後日までに6000枚納品しろって言われたんだよ」
神使「神宮がそんな急におみくじの発注をかけるなんて考えられないですが」
神様「A子ちゃんからの発注」
神使「あぁ・・・ なるほど。 発注を忘れていたんですね・・・ でも6000枚なんて間に合うんですか?」
955: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:49:19 ID:z7QyLviE
妹「神様にお手伝いしてもらって全部終わったから大丈夫だよ」
神使「神様、徹夜で作業なさったんでしたら少しお休みになりますか?」
神様「ん〜 お昼まで寝ようかな」
妹「では、折角ですし午後は海で遊んだらいかがです?」
神様「でも、おみくじ折り折りしないと」
妹「今日お願いする予定だった分は神宮の分に回してしまいましたので」
神様「あ〜」
神使「では、今日はゆっくり夏休みを満喫しましょうか」
神様「よし! そういうことなら寝る! 神使、絶対お昼に起こせよ」
神使「はいはい、お休みなさい」
神様「んじゃ、おやちゅみ〜」スタスタ
ガチャ
956: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:50:16 ID:z7QyLviE
妹「神様って素敵な方だね」
神様「はい、自慢の主神さまです」
妹「うん、そうだね」ニコッ
神使「・・・・・・」
957: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 18:51:41 ID:z7QyLviE
また夜にでも
959: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:18:10 ID:z7QyLviE
>>958
こんな感じ?
神宮はあくまでも宗教団体の一つという位置づけで、国とか関係なし。
神様機構、神使協会、神職協会があって3団体で神宮や全国の社を管理運営。
●神宮
頂点に神宮主神(最高神)、管理者として大宮司。
建物が内宮(内宮神)と外宮(外宮神)に分かれていて、管理者として内宮宮司、外宮宮司。
・内宮神(外宮神)直轄で、神宮付きの神が何人かいる。
・内宮宮司(外宮宮司)直轄で、神職と巫女、神宮付きの神使がいる。
神宮に関してはこんなレベル。
組織図張れば簡単なんですけどね……
960: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:20:38 ID:z7QyLviE
――― 昼・神使家ビーチ
神様「良いね! 海!」
神使「天気も良いですし、絶好の海水浴日和ですね」
神様「よし! それじゃぁ早速」ポイ ポイ ポイ
神使「ちょっと神様! なに素っ裸になってるんですか!」
神様「あ? ほかに誰もいないんだろ」
神使「私がいます! 妹だっているんですから」
妹「・・・///」
神様「だって水着ないもん」
神使「だからって素っ裸にならなくても・・・ Tシャツと短パンで良いじゃないですか」
神様「え〜 そんなの着てたら動きにくいじゃん」
神使「幼稚園児でも人前で裸なんかで泳がないですよ?」
神様「なんだよそれ! 私は幼稚園児以下って言いたいのかよ!」
神使「・・・・・・」
961: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:22:18 ID:z7QyLviE
神様「いや〜ん 犬ころが私の豊満な体を視姦する〜」
神使「・・・神様の裸を見ても全くそのような気は起こりませんが」
神様「てめぇ! 今“神様ってつるペタ幼児体型なんですね”って思ってんだろ!」
神使「妹さん、神様に何か着るものを用意して下さい」
妹「一応、神用の水着を用意したんだけど」
神様「そんなのあるの? 初耳」
妹「はい、神宮から取り寄せまして」ゴソゴソ
神使「これは、磯着ですか?」
神様「じぇじぇじぇ!」
962: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:24:31 ID:z7QyLviE
神様「は〜 気持ち良い〜」プカプカ
神使「神様、泳げないんですね・・・」スイスイ
神様「浮き輪にのって他のヤツに引っ張らせてプカプカするのが良いの!」
神使「はいはい」スイスイ
神様「お前、泳ぐのうまいな。 それに犬掻きじゃないんだな」
神使「まぁ・・・ さすがに人の姿の時は・・・」スイスイ
神様「もっと沖に行こうぜ」
神使「ダメです」
神様「この格好で潜ったら牡蠣採れるかなぁ」
神使「採れるわけないじゃないですか、下は砂ですよ?」
神様「じぇじぇ!」
神使「神様ってあまっちゃん見てましたっけ?」
神様「ん? 見たことない」
神使「そうですか・・・」
963: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:25:25 ID:z7QyLviE
神様「妹ちゃんは遊ばないのか?」
神使「結構仕事がたまっているそうですので」
神様「ふ〜ん 大変だな」
神使「仕事ですし、好きでやっていることですからお構いなく」
神様「なぁ」
神使「これ以上沖へは行きませんよ?」
神様「ちげーよ! ・・・妹のこと話せよ」
神使「はい?」
神様「なにかあるんだろ?」
神使「・・・・・・」
神様「お前、私が何年生きてると思ってんだよ。 訳ありな事くらいすぐ分かるわ」
神使「しかし・・・」
神様「気になるんだよ!」
964: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:27:50 ID:z7QyLviE
神使「・・・妹は数年前までお社の主神様に仕える神使だったんです」
神様「へぇ〜 誰に仕えてたの?」
神使「くろがね大神宮の第二神使です」
神様「くろがね・・・か」
神使「私が言うのも何ですが、妹はとても素晴らしい神使です」
神様「だろうな。 私も枠があったら妹を神使に付けたいくらだ」
神使「自慢の妹です。 私よりも先に神使の最高位を取得したんですよ?」
神様「お前より先にか!? それは凄いな・・・」
神使「今は階位が下がって第二階位ですが、出仕時代はどっちが先に神宮の神へお仕えできるか競争していましたね」
神様「神宮の神?」
神使「神宮の神にお仕えするのは、私たちの憧れでしたから」
神様「ふ〜ん、お前夢かなってんじゃん。 仕えてんの最低神のダメ神のだけど・・・」
神使「そうですね、私の夢は叶いました。 しかも尊敬できる最高神さまですから。 これ以上は望めませんね」
神様「ん・・・・・・///」
965: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:30:29 ID:z7QyLviE
神使「でも・・・ 本来ならば、神様の横にいるのは私でなく妹だったと思います」
神様「えっ?」
神使「妹は神宮所属の主神付き神使として私より前に内定を頂いていました」
神様「・・・・・・」
神使「でも、妹は辞令が出る直前に・・・ 失職しました」
神様「失職!?」
神使「厳密に言えば失職直前に神様機構の長官に拾って頂いたのですが・・・」
神様「もしかして、四年前の裏金事件か?」
神使「!? 神様ご存じで・・・」
神様「話題になったからな。 その時の神使がお前の妹だったのか」
神使「妹は・・・ そんな事には加担などしていないです・・・」
966: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:32:41 ID:z7QyLviE
神様「言い方が悪かった、すまない」
神使「・・・・・・」
神様「嵌められたんだろ?」
神使「え?」
神様「当時のくろがね大神宮の第一神使が犯人だ。 極秘で懲戒解雇処分が下っている」
神使「それは・・・ 初めて聞きました」
神様「公になるとかなり問題になる規模のお金が動いていたから神宮が極秘で処理したはずだ」
神使「そうでしたか」
神様「ここ百年では最大規模の神社界の汚点だ」
神使「・・・・・・」
967: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/01(月) 23:34:09 ID:z7QyLviE
神様「無念だっただろうな、妹は・・・ 夢を壊してしまった・・・」
神使「でも、今はあの通り元気にやってますから。 社長ですし私なんか足下にも及ばないくらい給料良いんですよ?」
神様「・・・申し訳ない、お前の妹を巻き込んでしまって」ドゲザ
神使「そんな、やめて下さい。 神様が頭を下げることじゃないです。 それに・・・」
ザバーン
神使「浮き輪の上で正座なんてしたら落ちるに決まってるじゃないですか・・・」
ブク ブク ブク…
969: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:16:20 ID:Y6GLr2y6
――― 数日後
神様「・・・これで最後!」オリオリ
神様「終わった!!」
神使「お疲れ様でした、神様」
神様「いや〜 百年分は仕事をしたな」
神使「そこまでの作業量ではないと思うのですが・・・」
妹「ありがとうございました神様、お兄ちゃんもお疲れ様」
神使「これだけ作ればしばらくは急な発注にも耐えられますね」
970: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:17:02 ID:Y6GLr2y6
妹「はい神様、仕事の後のコーラです」コトッ
神様「妹ちゃん分かってるね〜」グビグビ
神使「神様、今日はぐっすりお休みになって、明日朝一番でここを立ちましょう」
神様「はぁ? まだ夏休み満喫してねーよ!」ゲップ
神使「先日海に行ったじゃないですか」
神様「半日だけじゃん!」
神使「しかし、明日は夕方までに次の勤務先にご挨拶に行かないといけませんので」
神様「まじかよ・・・ なんだよそれ・・・」
971: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:18:05 ID:Y6GLr2y6
妹「あっ、じゃぁバイト代を先に渡しておくね」
神様「そうだ! バイト代もらえるんだった」ヤッター
妹「はい、お兄ちゃん」
神使「ありがとうございます」
神様「♪〜」ワクワク
妹「じゃぁ、私は発送用の荷物を梱包してくるね」スタスタ
神様「?」キョトン
神使「どうされました神様?」
神様「ん? 私のバイト代は?」
神使「私が一緒に頂きましたので」
神様「もしかして・・・」
神使「ご説明が必要ですか?」
神様「・・・いえ、予想はしてましたのでショックはそれほど大きくありません」
972: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:18:46 ID:Y6GLr2y6
――― 翌日
神使「では妹さん、また」
妹「うん、元気でね。 神様も兄をよろしくお願いいたします」
神様「妹ちゃん」
妹「はい?」
神様「妹ちゃんには正直に話しておこうと思う」
妹「なんでしょう」
神様「妹ちゃんのお兄さんは神宮の神に仕える最高位の神使だ」
妹「はい、妹として誇りに思います」
神様「そして〜 私は何を隠そう神宮の最高神なのだよ」カッ カッ カッ
妹「え?」
973: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:20:13 ID:Y6GLr2y6
神使「神様! それはトップシークレットでは・・・」
神様「良いんだよ。 妹ちゃんは神宮三神って知ってる?」
妹「最高神様、内宮神様、外宮神様ですよね?」
神様「その三神は私が兼任している。 ちなみに、神宮は私のために建てられた」
妹「・・・・・・」
神使「妹さん、驚いたかもしれませんが本当なんです」
神様「訳あって素性を隠しているんだけどね〜」
妹「神様が最高神様!?」
神様「そう、だから私には叶えられない願いなどない!」
神使「・・・・・・」
神様「妹ちゃん、世話になったお礼に願いがあるなら一つだけ叶えてあげる」
妹「願い・・・ ですか?」
神様「うん、どんなことでも叶えてあげるから。 その代わり本心以外は受け付けないよ」
神使「・・・・・・」
974: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:21:57 ID:Y6GLr2y6
妹「私の願い・・・」
神様「遠慮せずに、ほらほら〜 夢とか希望とか一つくらいあるでしょ〜?」
妹「これからも、お兄ちゃんをどうぞよろしくお願いします」フカブカ
神使「妹さん・・・」
神様「・・・・・・」ジーッ
妹「」フカブカ
神様「本心みたいだね」ニコッ
神様「分かった! その願い、最高神・神様がしかと受け止めた」
妹「口うるさい兄ですがよろしくお願いします、神様」ニコッ
神様「神使よ」
神様「はい」
神様「お前の妹は本当に素晴らしいな」
神使「ありがとうございます。 私も誇りに思います」
975: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:22:51 ID:Y6GLr2y6
神様「では、神勅を申し伝える!」
神使・妹「!?」
神様「私、神様は“妹”を神宮・内宮神付きの神使として任命する!」
妹「えっ!? 私が神宮の神使!?」
神様「」ゴホン!
神使「妹さん、神勅が発せられてる間は神さまからの問い以外で神使は言葉を発してはいけません」ボソッ
妹「・・・・・・」
976: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:23:31 ID:Y6GLr2y6
神様「続ける」
神様「同時に本日付けで、妹の階位を第二位から最高位である特位へ昇格とする」
妹「!?」
神使「・・・・・・」
神様「我が神使よ」
神使「はい」
神様「神勅内容を神宮へ通達せよ」
神使「・・・承知いたしました」フカブカ
神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた」
神使「・・・・・・」フカブカ
977: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:24:11 ID:Y6GLr2y6
妹「」ポカーン
神使「ちょっと神様!」
神様「あ?」
神使「どういうことですか?」
神様「神勅で伝えたとおりだ」
神使「こんな手順で妹が特位へ戻れるわけないじゃないですか。 しかも神宮の神付き神使だなんて」
神様「神様機構長官と神使協会、神宮大宮司の許可は得た。正式な手順を踏んだ発令だ」
神使「え? いつの間にそんな事したんです?」
神様「内宮神の神ちゃん経由で数日前から脅し・・・ 根回しをした」
神使「しかし、内宮神付の神使となると妹は神宮に行かなくては・・・ 仕事もありますし・・・」
神様「神宮に行く必要はない。 内宮神が必要であると召還したときにだけ神宮に来れば良い」
妹「・・・・・・」
978: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:25:40 ID:Y6GLr2y6
神様「妹、それから神使よ」
妹・神使「はい」
神様「勘違いしないでもらいたいが、私は同情や償いのためにこんな事をした訳じゃない」
妹「・・・・・・」
神様「妹、其方は神宮に必要であると最高神である私が判断した」
妹「え?」
神様「今すぐという訳ではないが、いつか妹の力が神宮に必要になると思ったから今回の神勅を発令した」
妹「神様・・・」
神様「最高神の神使であるお前の兄、本日より内宮神の神使となった妹。 二人の力が神宮の将来を変える。 私はそう思っている」
神使「・・・・・・」
神様「迷惑か? 妹よ」
妹「いいえ。 内宮神様の神使をお受けいたします」フカブカ
神様「よろしい。 期待している、妹よ。 いや神使兄妹」
979: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:26:45 ID:Y6GLr2y6
――― 電車内
ガタンガタン
神様「ねぇ、本当にコレで夏休み終わりなの?」
神使「そうですよ」
神様「ハァ〜 夏休みをバイトに費やし、そのバイト代も取られて私の夏とは一体何だったのであろうか・・・」
神使「そんなに拗ねずに」ゴソゴソ
神使「はい、これ神様のお小遣いです」
神様「え?」
神使「今回妹からもらったバイト代のうち、神様分は全部お小遣いとしてお渡しします」
神様「うそ! 良いの!?」
神使「妹から少し多めにもらってしまったので・・・ 今回だけ特別です」
神様「やったー!!」
980: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:27:25 ID:Y6GLr2y6
神使「途中で買い物でもしていきましょう」
神様「なんか気持ち悪いな〜 お前なにか裏があるんじゃないか?」ジロッ
神使「そんなことございません」
神様「お前、まさかさっきのお礼とか―――」
神使「神様? 私はそんな公私混同はしない主義ですよ?」
神様「・・・・・・」
神使「でも、妹を救っていただきありがとうございました」フカブカ
神様「私は神さまだ。 私を慕ってくれる者の願いは絶対に叶える」
神様「神力がない分、どんな手を使ってでもな」
神使「そうでした、神様は立派な女神様でした」
981: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:28:37 ID:Y6GLr2y6
神様「だろ? だからお前はかわゆい神ちゃんをもっと崇め奉るが良い!」カッ カッ カッ
神使「では、実力で神階を上げてダメ神を返上して下さい」
神様「ぅっ・・・・・・」
神使「神様?」
神様「それは・・・」
神使「できないのでしたら、あまり調子に乗らないで下さいね?」
神様「神使君さぁ、私にけんか売ってる?」
神使「そんなことはございません。 これでもダメ神に付く最高位神使ですから」
神様「やっぱ、けんか売ってんじゃねーかよ! 神罰」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! ですから、それは神罰でなくただの足蹴りです」
神様「うひゃひゃ、折檻だー!」ゲシッ ゲシッ
ドタバタ
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#8 ―END
983: ◆8YCWQhLlF2 2016/08/02(火) 21:37:29 ID:Y6GLr2y6
ありがとうございました
・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
・エッロいグラインド騎乗位をする女神たち集めたったwww
・【動画あり】スカパー圧勝wwwポロリしまくり水泳大会が絶対地上波で放送できないwww
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