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アメリカ、アーカンソー州のフェーエットビルには住民が食べ物や日用品を寄付できる場所がある。道端に設置された小さな棚(パントリー)の利用方法はすごく簡単。
「24時間、誰でも寄付できるし、そこにある物なら誰でも取っていくことができる。」というものだ。
誰の家にも眠っているであろう、まだ使えるのに必要のないもの。賞味期限が間近に迫っているのに使いきれないもの。あなたにとってはいらなくなったものでも、誰かにとってはとてもありがたいものとなる。
この無料のパントリーは要らなくなった物を寄付して家を整理することを可能し、同時に社会問題にも対応しているのだ。
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きっかけは町に設置された無料の図書館ボックス
この小さな無料の寄付棚を考え付いたのは、ジェシカ・マククラードさん(41歳)。マククラードさんは、フェーエットビルの町のいたる所で、小さな無料の図書館ボックスが置かれだしたことに気が付いた。ジョギングをしているマククラードさんもよく無料の図書館に立ち寄り、置かれている本をチェックするようになった。そのうち、なぜ自分や他の人がこんなに無料の図書館をありがたく思うのかと考え始めるようになった。
「きっと無料の棚に寄付することで自分の家が片付くし、社会問題にも対応しているからだと思います」。そう語ってくれたマククラードさんは、同じようなコンセプトで他の社会問題にも対応できないかと考え始めた。そして思いついたのが、食べ物や日用品を寄付できる小さな無料のパントリー(棚)である。
本は人を育てる。食べ物も人を育てる
マククラードさんは早速行動を開始した。個人向けプロジェクトの資金としてNPO向けの金融サービス、スリベント・ファイナンシャル(Thrivent Financial)から$250(約2万5000円)を受け取り、まずは手作業で棚を作ることからはじまった。
2016年5月10日、第一号のパントリーはフェーエットビルにある教会の前に設置された。人々はこのパントリーを利用してくれるだろうか?
マククラードさんは不安でいっぱいだったがそれは杞憂だった。多くの住人たちが集まり、あっという間にパントリーは物でいっぱいになったのだ。
それ以来、このパントリーはとても高い回転率で稼働しており、日々、常温保存可能食品や日用品などが置かれるようになった。
「ピーナッツバターにゼリー、女性用生理用品やおむつなどの需要が高いです」とマククラードさんは語る。他にはパンや家庭菜園の野菜なども需要が高いと言う。
このパントリーは小学校の近くにあるため、子供たち用の文具なども喜ばれるそうだ。
夏休みに入る前日、マククラードさんは子供たちが喜んでくれるよう、パントリーに風船をつけて、ガムや縄跳びやキャンディーなどを置いたそうだ。
そして広がる善意のパントリーの輪
マククラードさんのパントリーがフェイスブックで公開されると、他の人もこれに続くようになった。善意の輪が広がり始めたのである。
フェーエットビル南部にあるキリスト教会の小さな無料のパントリー。ここには飲み物や個別包装された食べ物などが置かれている。
オクラホマ州アードモアのクリスタル・ロック大聖堂に置かれたパントリー。「祝福の箱にはたくさんのアイテムが置かれています。もしあなたやあなたの友人がアードモアに住んでいるならぜひこの箱のことを教えてあげてください。」
マククラードさんはフェイスブックにThe Little Free Pantry(小さな無料のパントリー)というページを作り、宣伝を行っている。このページのファン数はすでに9000人を超えていて、マククラードさんも大喜びしている。
「私はみんなに自分のパントリーを建てることを促しています。自分の予想よりもプロジェクトが大成功することにみんな驚くはずです」
via:facebook・littlefreepantry/ translated melondeau / edited by parumo
ゴミ問題や食品廃棄問題までにも対応できる善意のパントリー。そんな棚があったらすごく便利だし、助かる人も多いだろう。自分にとって不必要なものが誰かにとって必要なものだったり、誰かにとって不必要なものが自分にとって必要なものだったりする場合もあるはずだ。
今すぐどうしても必要なものがその棚にあったらどれだけうれしいか。この棚から何かをもらった人は自分も何かを置こうとするだろう。それこそが恩送りだ。
とは言え実際にパントリーを運営するには設置許可を取ったり、棚が荒らされたりしないよう管理などが必要になってくる。また、運営しないとわからない問題が発生するかもしれないが、できないことの理由を探して何もやらなければ何も変わらない。
最初に行動を起こしたマククラードさんの実行力、そしてその善意を無駄にすることなくルールを守って利用してくれる住人達。その善意の輪に習えと後に続く人々。世界規模で人助けはできなくても、まずは身近にいる人々が気軽に助け合うことのできる社会が、のちに大きく何かを変えていく力になるのかもしれない。
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コメント
1. 匿名処理班
これは素敵なアイディアだね。
日本だと、誰がおいたかわからない食べ物は持っていかないだろうし、そういうボックスから持っていくことを誰かに見られたくない人もいてあんまり流行らないだろうなあ。
でも近くの小学生に向けて風船やガムをおくのはすてきだよね!
2. 匿名処理班
ゴミ置き場にならないように管理しているのが素晴らしい。
少なからずも賞味期限間近あるいは当日のものもあるだろう。
異物混入など心無いイタズラをする人もいるかもしれない。
マイナスな事象に繋がらないよう努力しているのが綺麗なBOXから分かる。
3. 匿名処理班
無人野菜販売所でお金を入れず持っていくような輩もいるからな…マナー良い人ばかりなら良いけどねー
4. 匿名処理班
善意はとても良いけど、安全が気になる。
こういう事こそネットを使えば、安全に助け合いできるんじゃないかな。
棚のドアにナンバーロックかけられる。入れた人がネットに情報アップ。
欲しい人が連絡とってパスワードもらって開ける。とかどうかな。
5. 匿名処理班
これが広まると浮浪者が集まるのを懸念する人がいるかもしれないけど、そしたらそれ以上に広めればいい。偽善も否定しないが見たくないものにも目を向けるのが本当の助け合い。
6. 匿名処理班
パンパースって日本のオムツかと思ってた。
7. 匿名処理班
そうえば昔、観光でY県に行ったとき野菜の無人販売所があったけど、それと同じように平和な場所なんだね。
8. 匿名処理班
新品の消耗品を置いてく人がいるってすごいな
うちの近所で似たような使われ方してる場所があるから、
日本でもいけるかもしれない
その場所はたまに誰かが使わなくなった食器類、植木鉢、ぬいぐるみやフィギュア類などを置いていき、「ご自由にお持ち下さい」などと書いた紙が一緒に貼ってある
大体次の日にはなくなってるよ
記事にあるような消耗品類が置かれた事はないけど、
管理する人がいれば可能だと思う
9.
10.
11. 匿名処理班
住むところが分かれてるから、意外に日本より他の先進国の方が治安が良かったりする
12.
13. 匿名処理班
※4
ネットさえ使えない人が必要としてる事も多いから
14. 匿名処理班
世界はもっとシェアする事を覚えた方がええよね。
運営するのは難しそうだけど頑張って欲しい。
悪意に満ちてる世の中なのは解ってるけど
善意に対して悪意しか持てない人間って本当に悲しいやね。
15. 匿名処理班
理由は何であれ、結局のところは誰か一人が現地でつきっきりで管理するか、それに変わる自動化の仕組みがないと、中長期的に継続する仕組みにするのは難しそうではあるなぁ。
16. かわうそ
安全が気になるなら持っていかなきゃいいだけだ
賞味期限ギリギリの食品でも、それを持っていかなきゃ飢えてどうしようもない人も居る
そんな人達の為の偽善BOXなんだろ?
17. 匿名処理班
売り切れなかった商品を置きに来る店もありそう。
18.
19. 匿名処理班
※15
アメリカはNPOとかボランティア活動がとても活発なイメージがあるから、割となんとかなるのかもしれない。
特に教会はもともと支援活動をしていることが多いしね。教会が管理している場所なら継続しやすそう。
自動化できればより良いのはもちろんだけど。
20. 匿名処理班
行動した→回転してる→広まった 一時でも上手くいったならすばらしい。続けばなおすばらしい。
確かに何もしなければ変わらない。買ってまで置く必要はないとおもうけど。
21. 匿名処理班
※16
君はもう善意と言うものが分らなくなってしまっているんだね・・・。
誰かが誰かに施しをすること自体がもはや偽善としか考えられないんだろう。
悲しい事だねぇ・・・。
22.
23. 匿名処理班
これはいいね
食べ物はともかく、よく「ご自由にお持ちください」って
食器や小物、服なんかが住宅街に置かれてるの見かけるから
日本なら壊れてないけど捨てるの勿体無い物を交換するのに丁度良い
しっかり管理しないと粗大ゴミやガラクタ置き場になる気もするけど
24.
25. 匿名処理班
ホームレスじゃなくても生活苦しい人とか、お金の事だけに誰にも相談出来ずに苦しんでいる人はこういうささやかな善意って滅茶苦茶助かると思うんだ
26.
27.
28. 匿名処理班
今は無くなったけど 、粗大ゴミの収集日はソワソワしちゃったな、カラーボックスとかパイプベットとか学生のころは家具にカネを使わなかった。
日本では棄てるのにもカネが掛かるし、リサイクルショップに持って行ってもガッカリする値段しか提示されないから(仕組みは理解してるつもりなんですが 買った時の値段を覚えてるもので)こんなシステムもアリだね。
でも 粗大ゴミの日復活しないかな?学校の校庭に並ぶアレ、宝の山に見えた。
29. 匿名処理班
日本じゃ無理だろうなあ
絶対何か仕掛けて動画撮って笑いものにする奴が出てくる
河川敷のホームレスをゲーム感覚で襲撃するような奴がいるからね
向こうではそういう人たちは憐みの対象なんだろうけど、日本じゃ嫌悪と蔑視の対象でしかないから
それと同時に「もっといい物をよこせ」っていう人種も存在するしなあ
30. 匿名処理班
あちらのキリスト教国らしい奉仕精神は羨ましい
もちろんあちらも心ない人間もいるだろうけどきちんと管理してるから大丈夫じゃないかな?
自分もフードバンクのサイト作り手伝ったけど思ったよりこの国は飢えてる人は多いからな
もっとしっかりした食料循環システムあったらいいなと思う
日本人のなんでもかんでもケチつけて行動しないってのは一番よくない癖だ
31. かわうそ
※21
やらない善よりやる偽善っつってな、別に偽善でもいいだろう?
それにそもそも本当の善意ってどんなんだ?
誰かに施す、そうする事で自分がいい気持ちになれるからってのはどっちだ?オレは偽善だと思う
でもそれでいい 神様じゃあるめーし、何の見返りもなく気分を害しながら他人の為に何かをしてやれる人間なんて殆どいない
2000年程前にイエスってヤツがそれやって、神様認定されたくらいか?
32. 匿名処理班
たまにこういうアイデア思いつくけど、地域住民が密接に繋がっていればこんなの必要ないのかもなぁ。
33. 匿名処理班
こういう相互扶助は日本でも市役所とかでやってるけどこういう方が気楽に出来ていいね
34. 匿名処理班
海外はチャリティ系のこういう対策は
上手な一方で根本的なインフラ整備や
治安改善は全くダメなんだよね。残念。
35. 匿名処理班
外国人はよく日本人が親切だと言うけれど、こういう優しさは海外ならではだと思うんだ。
36. 匿名処理班
※15
1日1回行けば十分とのこと。
※20
買ってはいるみたい。
ttp://www.littlefreepantry.org/frequently-asked-questions
37. 匿名処理班
すげーな・・・
38. 匿名処理班
貨幣経済の廃止まであと少し
39. 匿名処理班
こんだけ収納スペース少ないんなら
入れる人と取る人が決まってるだろうから
もう個人間で寄付の契約すればいいじゃん?
40. 匿名処理班
素晴らしい。この発案者とその協賛者には天国の門が開かれている。
そして善意は伝染する。
41. 匿名処理班
ネットで規模を大きくしてやれないかな、と思ったり
震災のときに足りない物資と寄付のやり取りとかあったじゃない?
仲介管理するボランティアというかNPOが必要だけど
ってもうありそうな気もするな
42. 匿名処理班
※31
それは善だよ。そうしないと「完全自己犠牲以外は善行とは認めない」って事になってしまいそうだから。そうなるとその恩恵を受ける人が周りから酷いヤツだと罵られかねないしさ。善行ってそんな窮屈でシビアな話であってほしくない。
例えば見返りが行き過ぎた報酬であり、それを払わせるために脅迫するのであればそれは偽善だ。
けど、求める見返りが「感謝の言葉」や「笑顔」であれば、それはほんとに素敵な話じゃないですか。
もちろん、思うようにそれが得られないときに喚き散らしてしまうとそれはまた美しくなくなってしまうけど…。
「感謝の言葉があると元気出るんだけどなー…」と仲間内でぼやくくらいなら全然素晴らしい人柄だと思うよ。
43. 匿名処理班
※39
手間かかりすぎ。
なんで捨てるためにそこまで時間を割かなきゃいけないのか。
それじゃ誰もやらないよ。
44. 匿名処理班
いたずらで食べ物に毒がはいってるとか、そういうことがあったら機能しない
システムだよね、この地域の人たちはそれだけ信頼しあっているんだね。
都民だけど、都心のど真ん中でこれやってても、やっぱ怖くてあんまり使えないかも・・・悲しいことに。
45. 匿名処理班
こじんまりと近所の人だけで運営してるときは上手くいく
これが一定以上広がるといたずらや悪意が出てきて閉鎖になる
46. 匿名処理班
こう言うとアレかもしれんけど、
ここに物を置いていく人は、
「給餌器に餌を入れて、小鳥をかわいがっている」感覚なのかもね。
誰かが、自分の置いたものを使ってくれたら(世の中が自分にリアクションを返したら)、
嬉しいのよ。
47. 匿名処理班
学校の使ってないロッカーとかでやったらどうだろう。 本については色んな公民館やらリサイクルセンターやらで既に仕組みはあるな
あ、試しに役所に要望出してみます。
48. 匿名処理班
そういえばこの前食べ物限定でこんな活動をしているNPO団体がTVで紹介されてたなぁ
49.
50.
51. 匿名処理班
※31
善を成す者は人目を気にしない。人目を気にするものが偽善者である。また他者の善行を気にする者、判定する者が偽善者である。
善を成すものは、シンプルに、ただ助けたいから助けるのだ。
52.
53. 匿名処理班
大学んのとき、生協が不用品ボックスをおいてくれてたよ。
読み終わった本とか漫画とか家電もあったりしてた。
そこの漫画とか読んだり、でっかいぬいぐるみを持ち帰ったりしたし、
カセットデッキとか買い替えて余ったプリンターのインクとか置いたりしてた。
基本的にまだ使えるものっていう不文律は、みんななんとなく守ってたな。
今の時代だとできるのかどうかは、わかんないけれど。