みほ「風速40メートル」
- 2016年08月17日 23:40
- SS、ガールズ&パンツァー
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男「よせ……くん!……わかるが、早ま……」
男2「……ください!どうした……です!こんなこと……!」
メガネの男「……」ニヤッ
…ドサッ
重工業技術の急速な発展とともに、あらゆる戦場に進出した装甲戦闘車輌…戦車
鋼鉄の外皮、唸る発動機、全てを蹂躙する無限軌道…そして雄叫びを上げる主砲。人類は新たな脅威をも生み出すことになった
しかし、怪物としか形容し得ない彼らを手なずけ、一つの道を築き上げた少女たちが居た
戦車道の誕生である
陸上自衛隊 東富士演習場
戦車教導隊 戦車道チーム 第二中隊
第一小隊長「こちら第一小隊、配置完了、Tポイントを確保」
第二中隊長『中隊本部より第二小隊へ、そちらはどうか』
第二小隊長「Lポイントを確保…目標を補足、方位02距離1200、目標を確認。目標発砲!」
中隊長『応戦しろ、あまり深追いはするな。援護を回す』
観測ヘリパイロット『目標、方位03へ向けて毎時40キロで移動中』
中隊長『目標を補足次第再度攻撃を行う。第一小隊は側面より追撃へ加われ、第三小隊は現地点で待機、警戒を厳とせよ』
第三小隊長『目標を視認、方位07、距離800。小隊、撃ち方始め』
同小隊長『命中、撃ち方止め。目標より白旗、走行不能を確認』
中隊長『了解、中を調べる。全車警戒体制のまま待機せよ』
第三隊長車 車内
同小隊長「まったく…だからあんなうさんくさいの嫌だって言ったのよ」
砲手「現代の主力戦車はハイテクの塊、たって車両でしかないのに…これじゃロボットですよ」
操縦手「将来的には実物もあーなるのかねー。やですよそんなの」
中隊長『おしゃべりするならマイクを切りなさーい。そんなんだから普通科の男どもにナメられるのよ!』
小隊長「りょ、了解!…一尉荒れてるねー。まぁそりゃ自分の管轄でこんなこと起きれば無理もないか」
操縦手「ああ、またお見合いダメだったそうですよ」
砲手「あー…今度は海?空?」
中隊長「聞きたい?」カパッ
小隊長「そりゃ、もう!私だって他人事じゃないし…はぇ?」
第二中隊長 蝶野亜美一尉「あらそう…じゃあ後でゆっくり聞かせてあげるわ。…個人的にね」ニコッ
小隊長「」
バラバラバラバラバラ…
黒森峰女学園 機甲科保有 ドラッツェ
エリカ「あれが連盟の新型艦よ。学園艦ほどの人数を収容するわけじゃないけど、戦車道チームを運営するだけの設備や選手、
関係者が生活する…言ってみれば選手村を丸ごと積んだようなものね」
優花里「と言ってもほとんど未完成のようですけど」
エリカ「そりゃあね。あれを建造する予算を捻出するために、国が学園館を統廃合する方針へ乗り出したはいいけど、有望な
線が『どっかのだれかさん』のお陰で白紙になっちゃったんだもの。建造費だけでなく鋼材の足しとしてもアテにしてたらし
いのに」
みほ「あはは…そっか、うちの学校もあれの一部になるところだったんだ…それにしても学園艦ってああやって作ってたんだ
ね。あんな大きい浮きドックなんて初めて見た」
エリカ「今時新しい学園艦なんてそうそう作られるものじゃないもの。って言うかなんで当事者であるあなたたちがそういう
ことを知らないのよ?」
みほ「うちは…そういうの全部会長が握ってるからなぁ…」
エリカ「呆れた。学園を救った戦車道チームの隊長が政治に全く興味ないなんて!ちょっとは野心とかないわけ?あなた、都
合よく使われただけなんじゃないの?」
みほ「はじめはそうだったかもしれないけど…今は違うよ。会長も大切な仲間の一人だから」
エリカ「ふぅん…まぁいいわ。えー『こちら黒森女学園機甲科、副隊長逸見エリカ。着艦許可願います』」
管制官『こちら管制室、着艦を許可します。さすが黒森峰、時間通りね?3番ヘリポートへどうぞ』
エリカ「『了解しました。ありがとうございます』さて、お客さん、席へ戻ってシートベルトを締めてもらえる?」
優花里「あ、はい!」
浮きドック GREEN DOCK Ⅴ
日本戦車道連盟 支援揚陸艦 あきつまる(建造中)
中央格納庫
研究員「お疲れさま!西住さん。後輩ちゃんが迎えに来てるわよ?」
まほ「どうも。ふふ、エリカのやつ…私ももう引退だっていうのに、律儀なことだ…おや?」
優花里『わぁー!見てください西住殿!あれ!』
みほ『あれって…61式戦車?』
優花里『正確にはその試作車輌の一号車です!日本の鉄道輸送事情に合わせるため車幅を抑え、さらに車高を抑えた設計にな
っています!その分車体が長くなったうえ車体後方にエンジンブロックが盛り上がってしまい、砲塔を後ろに向けると極端に
俯角が制限されるという問題はありましたが…アメリカの90mmM3戦車砲をさらに長砲身化した61式52口径90mmライフル砲の信
頼性は抜群です!』
エリカ『よくもまぁそんなにスラスラ出てくるわね…まぁここはいろんなチームから貸し出された車両が集まってるから、あ
なたたちの迎えが来るまで見てくれば?』
優花里『はい、もちろんです!』
まほ「やぁ、みほ、秋山さん。エリカもご苦労だったな」
みほ「お姉ちゃん、久しぶり」
優花里「お久しぶりです!西住ど…まほ殿!」
エリカ「お疲れ様です隊長。小用で港に立ち寄り、偶然会ったところを同乗したいと頼まれまして…」
まほ「ああ、いいんだ。さすがに抜け目がないな?みほのところはⅣ号を出してるのか」
みほ「あ、うん。公式戦に出る予定はないし…うちで手を加えられそうなのはⅣ号くらいだから。ところでそれって何してる
の?ヘッドギアなんて付けて」
まほ「これか?なんでも新しい形式の戦車道競技で使われる機材の開発実験らしいんだが…円滑な動作のためにコンピュータ
ープログラムの支援を受けるそうで、その動作パターンを学習させているとか。私にはよくわからんが、基本に忠実な行動を
仕込んで欲しいとやらで手伝っているんだ」
優花里「索敵や照準だけでなく操縦そのものにOSを?なんだか未来的な発想ですね…」
まほ「操縦だけでなく装填は自動だし、照準や射撃も操縦者が行うんだ。要するに一人乗りの戦車と言うわけだな。もちろん
周囲の視界もこれに映るようになっている」コンコン
みほ「…まるでロボットみたい」
まほ「そうだな…外見からはわからないが、中身はほとんど別物と言ってもいい。しかし、これからの戦車道はこういうもの
が主流になるかもしれないぞ?」
エリカ「まさか…冗談ですよね?」
まほ「考えてもみろ、国主導でプ口リーグなんてものを立ち上げようとはしているが、そのチームを組むのにいったい何人の
プロ選手が必要になるんだ?ただでさえ莫大な費用のかかる戦車道チームの運営に手を出せる企業なんてどれだけあるか…社
会人チームなら戦車道のほかに仕事をしてもらうこともできるが、競技専門のプロなんてそれこそ自衛官くらいにしか務まら
ないんじゃないか?」
優花里「えーっと、あの、では装填手ではプロになれないと…」
まほ「可能性の話だよ。それに、もしそうなったら私はプロで戦車道をやりたいとは思わないな」
みほ「どうして?」
まほ「私がやるよりもずっと信頼できる乗員に恵まれたからさ。みほや、エリカだってそうだろう?」
エリカ「はい!」
アナウンス『大洗女子学園の西住みほさん、秋山優花里さん。お迎えの輸送船が到着しております。搬入ベイまでお越しくだ
さい』
優花里「ええっ!もう着いちゃったんですかぁ!?」
みほ「いくらなんでも早すぎじゃ…ナカジマさんたち、車だけじゃ物足りなくなっちゃったのかな?」
まほ「なんだ、もう帰るのか?…たまにはお母様にも連絡しろよ」
みほ「あ、うん…じゃあ。エリ、逸見さんもありがとう」
優花里「ありがとうございました!失礼します!」
エリカ「はいはい、じゃあね元ふ…隊長さん」
まほ「……」クスッ
エリカ「…なんですか」
まほ「いや、お互い素直になればいいのになと思って」
エリカ「っな!どういう意味ですか!」
下層格納庫
みほ「わぁ、すごい。改めて見るとこんなにたくさん戦車道のチームがあるんだね」
優花里「連盟主導での判定システムのバージョンアップでしたか…稼働状況をバックアップしてより繊細な判定が下せるとか
、搭乗員の操作を数値化して問題点の洗い出しや逆にそれをフィードバックさせて自動操縦させたりとか…どうも眉唾ものの
ような気がしてなりません」
みほ「うーん、まぁまずはお試しってことだし、気に入らなかったら外してもらえばいいんじゃない?どのみち今の段階じゃ
公式戦には出られなくなるって条件だったし。自分たちで勝ち取ったとはいえ、廃校を取りやめにしてもらったんだから…少
しは協力しないと」
優花里「まぁ西住殿がそうおっしゃるなら…お、あれはクルセイダーに…パーシング?いえ、サンダース付属のジャンクヤー
ドにあったT26E1ですか…大きな学校は余った戦車を出して実験台にすればいいわけですから、いいですよねえ…」
みほ「まぁね…あ、いたいた。すみません、大洗女子学園の西住ですが、Ⅳ号の引き取りに来ました」
研究員「あ、どうも。わざわざご自分たちで引き取りに来られるとは…お手数をかけてすみません。こちらにサインを」
みほ「いえ、ちょっとどんなところか興味があったものですから…はい、これでいいですか?」
研究員「はい、よろしいですよ。学校の方がお迎えにいらしてますから、そのまま搬入ベイへどうぞ」
みほ「はい、優花里さん操縦お願いね」
優花里「了解しました!」
搬入ベイ
ホシノ「オーラーイ、オーラーイ!はいストーップ!ラッシングしちゃうから二人とも降りた降りた!」
スズキ「おかえりー。さぁて、どこがどう変わったのか見せてごらーん?」
みほ「あはは…ほどほどにお願いしますね?」
ナカジマ「そういうのは帰ってからやんなー?よーしツチヤ、ぶっ飛ばせ!」
ツチヤ『りょうっかーい!出港しまーす!』
優花里「あの、それもほどほどでお願いします…」
ナカジマ「わかってますって!港で降ろしたら私たちはこいつ返してクルマで帰りますから。隊長たちもお気をつけて!」
みほ「はい、わざわざありがとうございました」
ホシノ「いいって!にしてもまた連盟も妙なこと始めたもんだ。こんな余計なものをごてごてと…無粋だよ」
スズキ「スポーツ科学の一環っていうの?今後世界と戦うには粋なことばかりも言ってられないんでしょ」
ナカジマ「世界ねえ…まっ、一通りいじくりまわしてみますか!」
優花里「ほんと頼もしいやら恐ろしいやら…」
東京港
沙織「あ、みぽりーん!ゆかりーん!」
みほ「ただいま!ごめんね待たせちゃって」
沙織「いいのいいの!東京なんてめったに来られないし楽しかったよー!あーいいなあ都会って…」
華「けっこう街中を戦車が通るんですね。私たちと同じよう
コメント一覧
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- 2016年08月17日 23:51
- 台風かな?
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- 2016年08月18日 00:01
- 何かと思えばパトレイバーか
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