提督「養子になってほしいんだ」
提督「仕事上の付き合いではない関係になりたい」
提督「君たち4人を大切に思っている」
提督「無論、性的な目で見ているとかそういうことではない」
提督「君たちと別れるのが辛い。今後とも見守っていたい」
提督「だから……養子に、家族になってほしい」
ついに部隊の解散日が訪れ、共に戦った艦娘達とも別れることになった。
長い時間を共に過ごし、共に暮らし、共に戦い、共に努力した。
だけれども彼女らは私の家族ではない。
仕事仲間だ。
仕事が終われば別れるのは必然だろう。
むしろそうでないといけない。
どこかで同じ場所に配属される子もいるかもしれない。
武蔵と那智など私の指揮下のままになる子もいる
だがそんなものはごく一部。
平時は2年に1度程度で人事異動
彼女達との別れもそう遠くないだろう。
それに艦娘の多くは軍属を離れ、民間人としての生活を選んだ。
同窓会幹事は青葉。色々計画しているとのことでそれは楽しみだ。
指揮者だった間、私の場合はどちらかと言うと受け身の交友関係だった。
上役として部下の話を聞くことに努めたためだ。
比較的高めの年齢ということもあり色恋の話もなかった。
提督まで出世するのは勤務年数一ケタ年では無理だろう
どうして多くの鎮守府提督が10代20代なのか 入隊して即提督なのか。
軍人として経験を積み出世という形で提督になった私にはわからない
だが彼らのほうが戦果が多かったりして悔しい。
その結果よく会話していたのは積極かつ遠慮なく話しかけてくる子供
駆逐艦が多かった。
決して少女趣味ではない。
0から鎮守府を作り上げたかけがえのない相棒。
初期のころは机は段ボール。電灯すらなく、夜中にトイレに起こされたこともしばしば。
いくらなんでもアレは環境的にどうかと思う。
雷雨の日などは布団に潜りこんできて対応に困った。
そんな名前してて怖いのかよ。
その姉妹である雷にはだらしないところをいつも助けてもらった
辛い時もいつも励ましてもらった
職務関係なく洗濯とかやってもらっちゃったな。うん。
部屋を勝手に掃除されるのと食生活にガミガミ言うのには閉口した。
小さいなりで一人前ぶる 姉ぶるのが可愛らしくよくご飯を御馳走してあげた。
毎回『なぜか』旗が刺さっているのに本人激昂。その姿もまた愛らしかった。
響が執務室に遊びにくるようになったのはいつごろだったろうか……
気がついたら傍にいたという感覚
暁や雷のようにどんどん話しかけてくるわけではなかったが一緒に居てとても自然だった
波長が合っていたのかもしれない。
とにかくこの4人とは仲良くやっていたと思う。
部隊の解散が決まり、艦娘たちが何人かで連れ立って別れの挨拶に来る際
この4人の番が来た時、私はとんでもないことを口走ってしまい……
なんだ「大切に思っている」って「家族になりたい」って
「仕事上の付き合いだけではない関係になりたい」?
いい年した男がなに馬鹿なこと言ってる。キモいわ!!
これはドン引きしてるだろうなぁ…と怯えながら4人の顔を見ると。
8つの目がじっとこちらを見ていた。
そして30秒ほどの沈黙の後、帰ってきた言葉はまさかの肯定だった。
響「こいつはいい……が家賃もいい値段。少しは遠慮したらどうだい」
雷「そうよ! いくら司令官でもお給料には限度があるわ!」
電「電は2LDKで十分だと思うのです」
暁「えー? でも一人部屋欲しいしー」
突然子供4人の親になって住む家を選ぶことになった。
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
響「司令官からの話じゃないか」
電「まさか…やっぱりなしとか言わないですよね?」
不安そうに見つめないでくれ。
提督「ホントにいいのか?」
だって独身男の家に美少女が養子なんて周囲の目とか
雷「ひどーい 疑ってるの?」
響「知っているだろう。ちゃんと親がいる少年兵など数少ないこと」
響「頼れる親族等もなかった。身元がしっかりとした家に養子なんて夢のような話さ」
提督「だけど同じ引き取られるなら同姓の」
多くの駆逐艦たち、子供は身寄りのない者から選抜されたものであることは知っていた。
だが、戦後行き場がない子達は声を上げた有志
年長者の戦艦や重巡・空母等が引き取るとも聞いた。
退職金も出るし生活はやっていける
私が声をかけなければこの4人もそうなっていただろう。
電「それに…」
それに?
暁「い、言わせないでよ! 司令官がよかったの!!」
そう言うと暁が右足に抱きついてくる。電は左足に。
にやりと笑うと響が背中に飛びついてきた。
雷「あー 出遅れたー ずるーい」
ぷんぷんしていたので空いていた両手を差し出すと
雷はその手を掴み、自分の両頬に当てて大きな声でこう言った。
「家族になるんだもん」
「これからはもーっと私に頼っていいのよ!」
・
・
・
その言葉通りだった
雷「はいテレビはそこ」
雷「電、そんなとこに椅子置いちゃだめよ。五人等間隔にしないと」
雷「タンスの段ごとに自分の服を入れること」
雷「あー なんで調味料が下駄箱に入ってんのよー」
引っ越しの時一番頼りになったのは雷だった。
というか後の四人は頼りにならなかった。
当然四人であるからして自分もである。
雷「姉なら姉らしくちゃんとして! 靴は脱ぎっぱなし、さっき水道出しっぱなし!」
暁「……」
言い返せずちょっと悔しそう
響は我関せず。電は新しい家にわくわくしていた。
響「置物は玄関でいいかな?」
電「こ、怖いのです! なにこれ…」
響「ゾーラの仮面」
雷「変なもの持ち込まないで!!」
提督「狭すぎやしない?」
新居は電の意見が通って2LDK
8畳と6畳の部屋と12畳ほどのリビング
今までの一人住まいの部屋と比べると格段に広いが人数分部屋はない。
提督「もうちょっと広いところでも予算的には」
電「みんな一緒のほうが楽しいのです 問題ありません」
雷「そうね」
響「あまり出費を強いる気はないさ」
暁「一人部屋~ 憧れてたのにぃ~」
多数決は3対1になった模様。
一人部屋の夢破れ、隅っこでいじいじしている暁を抱き上げてソファーまで運んであげる。
暁「ふぇー! 子供扱いしないでよー ばかー!」
ぷんすかされてしまった。
でも積極的に抱っこから抜け出そうとはしなかった。
小さくても女の子らしく柔らかい。抱き心地は大きい猫といったところ。
バタバタされるとちょっと重いかな。鍛え方が足りないか。
電「ジー」
ん? なんか凄い視線
電「できれば次…」
そのあと3人抱っこ5分ずつ 腕パンパン 父親業は肉体労働
響「抱っこの次は肩車でもしてもらおうか」
電「コミュニケーションは大切なのです!」
ナデナデ(肩車の代用)をしつつ本題へ
暁「小学校?」
提督「お前らくらいの子供が皆でお勉強するところ」
電「足柄さんたちが教えてくれてたみたいにですか?」
提督「そうそう」
提督「あと役所に届け出しないといけないし、仕事は毎日あるしこれから忙しいぞー」
雷「もーっと頼っても」
提督「退役しちゃったんだから仕事は頼れないなぁ」
雷「ひどーい」
電「はいなのです! 楽しみです」
暁:そわそわそわそわ
提督「ところで……全員何年生? 2年生くらい?」
暁「4年生!! これは許さないんだから!」
ポカポカ 痛い痛い
どっちにしろ子供じゃないか。
暁「大違いなのー!」
響「おしゃれイズムを見てから」
駄目です
電「5人並んで寝ると何の字だと思いますか?」
4人で並んでろ
雷「いいじゃないの初日くらい」
暁「ふぇっ い、一緒のお布団で寝るのぉ!?」
寝ません
子供部屋にした8畳に4人を押し込んで
2時間後くらいに覗くと仲良く抱き合ってひとかたまりになって寝てた。
1日目日曜日はそれで終了。
月曜は朝から有給で役所巡りをして
申請を出すと…火曜からもう小学校に編入可能。
なんて受け入れるのに数週間会議を経るとこなんだろうが
「義務教育」という法律上
コメント一覧
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- 2016年08月18日 23:49
- ※1
魔界か天界に頼めば簡単に引き取れるぞ?
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- 2016年08月18日 23:52
- アフォかこんなん泣くわヴォケ…………
俺……終戦したらしほと暮らすんだ……
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- 2016年08月18日 23:53
- いい
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- 2016年08月18日 23:53
- よしよし、おじさんがペンギンを見せてあげよう(ボロン
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- 2016年08月18日 23:54
- 俺の日常勝手に晒すなよ
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- 2016年08月18日 23:55
- 遠まわしに伴侶が居ないことは辛いぞと思わせる巧妙な作戦
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- 2016年08月18日 23:55
- 反則だよ…
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- 2016年08月18日 23:55
- 辛いわ
幸せだけど辛いわ
こんな辛さを感じられるほど幸せに俺は慣れるだろうか……
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- 2016年08月18日 23:59
- 大井っちの場合、養うというより、養ってもらう感じの見た目かな。結構しっかりしてるし。
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ペンギンが欲しいのなら最低値開発すれば良いじゃない!